チャイコフスキー交響曲の最高傑作!それだけでなく、ハイドンからずっと連なる機能和声やソナタ形式といった
古典派/ロマン派の伝統的な交響曲の中で、僕はこの交響曲が一番好きかも。1981年録音という事は、ジュリーニがロスフィルの常任指揮者だった時の演奏ですね。僕、アメリカのオケってきっぱりさっぱりしてて、けっこう好きなオケが多いんです(^^)。
クラシックだと
ベートーヴェンのピアノソナタ8番も「悲愴」と呼ばれていまして、
チャイコフスキーの交響曲とどちらも有名。チャイコフスキーの悲愴シンフォニーの方は、僕的には特に第1楽章の素晴らしさにやられてしまいます。第5番の1楽章に続いて序奏つきソナタなんですが、この構造が完璧すぎるほど完璧。同時代のドイツ後期ロマン派の多くのシンフォニーと違って、無駄がひとつもない所が見事、メロディのせつな美しい感じが見事、アーチ状に高揚していくドラマが見事です。重い序奏から第1主題になだれ込み、それが主題反復と対比をくりかえしながら高揚していき、そしてあの美しすぎる第2主題に入り、その第2主題だけでもABAの3部形式を形成していて…主題再現部で第2主題に帰ってきた瞬間の例えようもない切なさと美しさ…18分にも及ぶソナタ形式ながら、構造が見事すぎて無駄も飽きる事もまったくなく、心が震えてしまいます。奇跡のソナタです。
1楽章と対になっているのが最終4楽章。第4楽章は暗いですが、ひとつのクライマックスを形成する適度な高揚があります。しかしこれがまた暗い所に帰ってきて、最期は消え入るように終わります。46分もかけた音楽が、なんという絶望的な終わり方(´;ω;`)。悲愴って、救いの2~3楽章がなかったら、ダウナーな時に聴いたら結構ヤバいことになる音楽かも。
ジュリーニ&ロスフィルはこの曲をあまりエスプレッシーヴォにしすぎないようにまとめたように聴こえます。あまりやり過ぎると悲愴は暗すぎるという判断なのかな。重くエスプレッシーヴォにすりゃいいってもんでもないですし、この判断は全体のバランスとして正しかったような気がします。というわけで、僕はこの演奏も録音も大好きです。ひとつだけ弱点を挙げるとすると、第3楽章のクラです。第3楽章はスケルツォなので軽快に行ってほしい所ですが、テーマを引き継いだクラだけ遅くてオケが一瞬乱れちゃう。でもまあこれぐらいはね(^^)。僕は「悲愴」のCDを3枚持ってるんですが、あからさまなミスがないのはこのCDだけですし。
素晴らしい悲愴の演奏と録音、これはなかなか見事と思います。80年代って、アメリカのオケのレベルがあからさまにあがりましたよね。ジュリーニって、ロスフィル時代が全盛期のひとつだと思っています!
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