
端唄小唄は好きなんですが、長唄はあんまり聴いた事がありませんでした。長唄どうこうではなく、歌舞伎が大衆娯楽って感じであんまり好みじゃないもんでね(゚ω゚*)。でも、日本に生まれて、海外の物まねばかりの英米商業ソングしか知らないのも悲しいし、せめて有名な曲だけでもいいから長唄を聴いてみたいな、な~んて思ってアマゾンで探したら…おお~ありました、僕の需要にピッタリそう!収録されてる曲は「道成寺」「石橋」「雛鶴三番叟」など、有名曲ばかり5曲。唄や三味線は、僕はこの世界にまったく無知なのでよく分からないのですが、苗字が「
杵屋」という人と「
藤舎(とうしゃ)」という人が多くて、なんでも現代の名プレイヤー揃いなんだそう。きっと、家元制とか世襲制とかなんでしょうね。
歌舞伎の中で使われる音楽は、語りもの(義太夫、常磐津、清元など)と歌もの(長唄)に大別されるそうです。僕は小唄も端唄も長唄も三味線音楽という認識でしたが、このCDの解説によると、
長唄は三味線と囃子(小鼓、大鼓、締太鼓、笛)で伴奏されるんだそうです。そして、このCDを聴く限りでは、「イヨ~ッ」とか「ハアッ」とかいう合いの手を入れる人たちと、主メロディは複数でユニゾンで歌ってました。そして、長唄の名の通り、1曲がけっこう長くて、構成が大きいです。有名な「道成寺」が13分ぐらい、「鷺娘」になると20分もあります。モーツァルトの交響曲ぐらいの長さですね。
音楽は、途中でアッチェルしたり、打楽器が抜けてアリアになったりと、なかなか仕掛けが見事。シブく聴こえるのは、西洋音楽に飼い慣らされてしまった僕の感覚では、低音楽器がなく、簡素に感じてしまうことが原因かと。一方でかっこいいいと思ったのは、クライマックス部分の合いの手に入る「イヨ~ッ」がメッチャかっこいい!三味線はほとんど合奏でしたが、大概の場合で僕は合奏より独奏の方が好きなので、三味線は小唄端唄や浪曲や津軽三味線の独奏の方が好みでした。
歌。静かな部分での歌の歌い回しが見事!いや~これは日本の音楽でしか聴く事の出来ない唱法、名人芸です(^^)。一方で、小唄端唄に比べると、言葉が理解しにくかったです。いや、小唄端唄の方が詩的な表現が多くて難しいのかも知れませんが、それでも短いのでなんとかなりました。でも、長唄は、ひとつひとつの言葉は分かるんですが、これがつながるとだんだん分からなくなってしまいました。「人々眠ればよきひまぞと、立ち舞うようにねらいよて、撞かんとせしが…」みたいな感じ。英語の長文読解と同じで、単語は分かるんだけど長文読解に苦しんでしまった(^^;)。これって、琵琶音楽でも同じ事を感じた事があるなあ。というわけで、反則と言われようが、先にストーリーを覚えるなり、解説を読んで聴くなりした方がいいかも。西洋音楽よりも言葉で語られるストーリー重視なので、詞をきかずに音だけ楽しもうとすると、すこし退屈。詞を追いながらだと退屈してる暇なんて全然ないんですけどね。。
日本のオペラとかバレエという感じ。音楽というよりも、総合芸術として接した方が楽しめるかも知れないな。ここはたぶん歌舞伎役者が登場してきてるところなんだろうな…とかいう所もありましたし。というわけで、長唄だけを集めたCDを買っておきながら、歌舞伎そのものに興味が出てきたのでした。でも、貧乏人の僕は歌舞伎座なんてなかなかいけないなあ(T_T)。
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