
僕が
何枚も聴いてきたバド・パウエルの録音の中でいちばん好きな1枚!「シーン・チェンジズ」でも「ホット・ハウス」でもなく絶対にこれというほど鉄板の1枚です!1950~51年録音という事でバド・パウエルの録音の最初期のものにして絶頂期、考えてみたら51年って
チャーリー・パーカーがまだ生きていてレコーディングもしてますよね。ビバップの最後の炎が燃え上がってるぐらいの時期でしょうか。
このCD、あんまり音楽的じゃないですが、そこがいい!!
バド・パウエルの超絶的なピアノ演奏を聴くことに特化したようなレコードで、ほとんどのトラックが演奏しまくりな超絶技巧練習曲のような構成。2曲を除いてピアノソロなんですが、もうピアノだけだなんて忘れちゃうぐらいの凄さ。バラードですらアドリブ炸裂で弾きまくりです。ビバップ全盛だった40年代中ごろ~50年代前半のジャズの魅力って、まさにそこじゃないかと思うんですよね。狂ったようにアドリブで演奏しまくるその狂いこそがジャズだ、みたいな(^^)。
右手の高速プレイ、左手のポンピング、どちらもすごすぎ。いや~どうしてこんなキレッキレに演奏できるんだ。
僕らが知ってるいわゆるジャズ・ピアノって、ぜんぶバド・パウエルからスタートしてるんでしょうね。あのクラシカルでエレガントな
ビル・エヴァンスですら、アップテンポなジャズでは完全にバド・パウエルですし。高速のアドリブでグイグイ進む躍動感、この熱さこそジャズ!実は僕、若い頃にジャズピアノにいそしんでいた事がありまして、バド・パウエルのこの光速の右手を一生懸命練習したんです。クラシックをやっていたので、クラシック以外の音楽は技術的には何でも演奏できる自信があったんです。ところがバド・パスエルの演奏、速度は何とか追いつくんですが、この強烈な切れがぜんぜん出ずにまったく太刀打ちできず。音大で習った表現とか全部ほったらかして、クラシックではありえないこのタッチと技術一本槍に夢中になってました。表現なんて言ってる前にまずは技術がないとどうにもならない、みたいな。。これは本当にすごい、
モダンジャズ最初期に出てきたトップバッターにして、いきなり4番クラスのこの技は反則というもんです(^^)。
何年か前に、
チャーリー・パーカーの演奏の研究本を読んで考えがちょっと変わったんですが、でもやっぱり僕の中では「パーカーがあまりに有名だけど、音楽面でのビバップの進化を支えていたのは
モンクとバド・パウエルだよな」なんて思ってました。だって、ジャズという音楽の進化でいえば、管楽器じゃなくてやっぱりピアノでしょ、みたいな。しかもこの強烈演奏ですからね。
ジャズが好きなら避けては通れない1枚、久々に聴きましたが、燃え上がってしまいました(^^)/!
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