若いころにこのアルバムを買ったのは、ふとしたきっかけで聴いた「Long Live Rock’n Roll」がめちゃくちゃカッコよかったからでした。買ってきてワクワクしながらアルバムを聴くと…おお~やっぱりカッコいい!!しかも「Long Live Rock’n Roll」だけじゃない、他の曲も名曲名演ぞろい!買ってきてしばらくは、「またそれ聴いてるの」と友人があきれるほどに何度も聴いてました。曲がコンパクトになった以外はディープ・パープルとの差が分からなかったもので、ブラックモアさんはディープ・パープルをわざわざ脱退して新しいバンドを作る必要あったのかなあ、な~んて思ったり。あ、そうそう、このアルバムで、ロニー・ジェームス・ディオというヴォーカリストの名前を覚えました。ドラムのコージー・パウエルも、もしかしたらこれが初体験だったかも?
ハードロックって、60年代末から70年代中ごろは、極端にギターを歪ませて疾走するグランド・ファンクとか、「child in time」みたいな歌謡形式をはみ出した作曲の見事なディープ・パープルとか、個性的なバンドが多かったイメージです。でも70年代後半になると、1曲4~5分でABCの3コーラスの歌謡形式という、チャート・ミュージックの形式に落ち着いたバンドがほとんど…あとになって考えれば、このアルバムもそうでした。僕も、そのレギュレーションを当たり前に思ってて、むしろその枠からはみ出した音楽は「長い」とか「変」とか思っていたほど。民族音楽なんて「だせえ」と全否定でしたし、感性が完全に飼い慣らされちゃってました(^^;)。今ではそういう方向で作られたハードロックは「またこれか、少しは創造的になれないもんかね」なんて思っちゃうところですが、ところがそういうレギュレーションにのっとった音楽の中でもカッコいいと思う音楽がいまだにあるのも事実なのです。これはその中のひとつで、別に歌謡形式が悪いわけではなくて、歌謡形式が1万曲あるのに1万1曲目もまた歌謡形式で作るという飽和状態が問題ということなんでしょうね。そんな多すぎる歌謡形式ロックの中で、いったい何を自分の中に残すのかを考えると、僕ならこれは間違いなく残します(^^)。
そうそう、いま聴いてカッコいいと思ったのは、「Long Live Rock'n Roll」より、「Gates Of Babylon」の曲想。こういう曲を書いてバンドアレンジも出来るのが、優秀なギタリストというだけでないブラックモアさんのトータルな才能なんじゃないかと(^^)。