
「
サキソフォン・コロッサス」と「
テナー・マッドネス」の翌1957年に、
ソニー・ロリンズがコンテンポラリー・レーベルから発表したアルバムです。
56~57年の2年間でロリンズが発表したリーダー・アルバムは、なんと13枚!!出せば売れる、ロリンズ大ブレイクの時期だったんでしょうね(^^)。とうぜん、貧乏な僕は全部買えるはずもありません(^^;)。
それほど大量にあるこの時期の録音の中、
このアルバムの特徴になってるのは、イーストコーストのロリンズが、ウエストコーストのミュージシャンと共演してる事と、ピアノレスのトリオである事。サイドマンが豪華で、ベースがレイ・ブラウン、そしてドラムが私の大のひいきのシェリー・マン!でも、これは
ザックリやったセッションという感じで、ウエスト・コースト・ジャズ得意の見事なアレンジやアンサンブルは聴くことが出来ず、あんまりウエスト・コーストでやった意味がない感じでした(>_<)。とはいうものの、たしかにロリンズのアドリブソロは悪くないです。でも、テナー・マッドネスの方が上かな…。
56~57年の2年間にロリンズが出したアルバムはどれもキンタロー飴で、音楽的に新しい挑戦はありません。曲もすべて歌謡形式のアメリカ軽音楽で、曲だけとっかえて、あとはぜんぶアドリブ、みたいな。
ヨーロッパと違って、合衆国は「より高度なもの」を作るんじゃなくって、売れなくなるまで「分かりやすく、かつすぐ再生産しやすい単純なもの」を矢継ぎ早に作るのでした。ロックンロールもハードバップも80年代の産業ロックもみんなそうです。しかもジャズだから、ロックと違って録音もあっという間だっただろうし、製作費と販売数の費用対効果が抜群だったんでしょう。以降の合衆国産のポップスや産業ロックのレベルがかなりアレなので、相対的にジャズが少し高度に聴こえるだけで、実際には大同小異のエンターテイメントな産業音楽に聴こえます。曲に至っては、ロックやポップス以上にキンタロー飴なので、やっぱり面白くなかったです。僕的にこのへんのジャズを楽しく聴けるのは、ソロアドリブのアナリーゼをしながら聴いている時だけなので、きっとオーセンティックなジャズが好きな人も、似たような聴き方をしてるんじゃないかなあ。そんなロリンズが、エンターテイメント一辺倒でなく、アーティスティックな作品を発表するようになるのは、翌1958年からなのでした。さすがに当人も、こんないい加減で雑な事してていいのかと思ったんじゃないかな(^^;)。
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