
そんなに有名じゃない
バッハのフルート作品ですが、バロック時代の通奏低音やソナタ形式を使った作品の中では相当レベルの高いものだと思うので、僕はものすごく好きなんです(^^)。そしてこのCD、バッハのフルート曲は、このCDだけ持ってればあとはいらないと思って買ったものです。有名な「無伴奏フルートのためのパルティータ」と、その他フルート絡みのソナタ全曲を収録!演奏はフルート世界最高峰のランパル!というわけで、録音さえちゃんとしてれば、僕程度のアマチュアにはこれだけあればいいんです(^^)。
収録曲は、以下の通りです。
・フルートとチェンバロのためのソナタ 4曲
・フルートと通奏低音のためのソナタ 3曲
・無伴奏フルートのためのパルティータ
このCD、定位が面白いです。ソロフルート以外はチェンバロとのデュオなんですが、フルートが左でチェンバロが右です。へえ~、普通逆の気がしますが、バロックってこういう配置で演奏したりするのかな。。そして、録音。サロンで演奏したような感じで、響きは少なめ、小さな部屋で演奏しているナチュラルな響きでした。というわけで、「うお~すっげえカッコいい響きだ!」という事はなく、けっこう普通かな?
まずは
「無伴奏フルートのためのパルティータ」は、前までに紹介してきた無伴奏ヴァイオリン、無伴奏チェロに連なる作品で、単旋律楽器の独奏でポリフォニーを生み出すような音楽。18世紀フルート独奏曲の最高峰といわれているそうです。いやあ、これは素晴らしい、僕は無伴奏ヴァイオリンと無伴奏チェロばかり聴いてきましたが、無伴奏フルートも素晴らしかった(^^)。
「フルートとチェンバロのためのソナタ」。バッハはㇳ短調BWV1020、ロ短調1030、変ホ長調1031、イ長調1032の全4曲を書いています…が、1020は贋作、1031は贋作の疑いあり、みたいな状態なんだそうで(^^;)。いずれも3楽章制で、
ベートーヴェンの頃のあの「第1主題、第2主題、展開部…」というアレとはけっこう違います。
バロック期のソナタって、大きく分けると①教会ソナタ、②室内ソナタ(宮廷ソナタor世俗ソナタ)、③トリオ・ソナタ、の3つに分かれていて、この曲はトリオ・ソナタのフォーマットに従っています。アンサンブルは、メロディ部をフルート、和声部を鍵盤の右手、バス声部を鍵盤左手が演奏します。
ちなみに、教会ソナタと室内ソナタは楽式的な分類ですが(教会ソナタは緩急緩急の4部形式、室内ソナタは急緩急の3楽章制が多い)、トリオ・ソナタは楽器編成による分類という事になります。
名曲といわれているのはBWV1030で、なるほどこれをCDの1曲目にもってきたのもうなずける見事なアンサンブルの曲でした。特にバス声部と和声部を受け持つチェンバロが秀逸、すげえ。
「フルートと通奏低音のためのソナタ」、このCDでは通奏低音をチェンバロが担当してます。曲は3曲あって、BWV1033、1034、1035。
ホ短調BWV1034が有名ですが、これは形式的には緩急緩急の4楽章制で、教会ソナタ。たしかにおごそかな雰囲気があって、「フルートとチェンバロのためのソナタ」とは空気感が違いました。
そして、演奏。
ランパルは、オケや室内楽のアンサンブル要因だったフルートを花形のソロ楽器に持ち上げた、20世紀最高のフルート奏者といわれる人です。僕も学生の時、「フルート奏者ではランパルだけは覚えておけ」と習いました。そんなランパルさんのフルートが見事なのは当たり前ですが、バッハのフルート曲のスコアはそんなに難しくなさそうだし、なんせバロックの曲なのでテンポやデュナーミクがそんなにエスプレッシーヴォでないので、良さがよく分からん(゚∀゚*)シロウトデスミマセン。。むしろ、僕みたいなシロウトがすごいと思ってしまうのは、チェンバロのロベール・ヴェイロン=ラクロワの演奏の方!この人に限らずですが、バロック期の通奏低音とかのチェンバロ演奏って、超絶な人が多くないですか?チェンバロはピアノと比べて音の減衰が速いからか、テンポを速くパンパンとメカニカルに演奏する人が多いと感じますが、だから僕はみんなすごいと思っちゃうんですよね。いや~1曲目のフルートとチェンバロのためのソナタロ短調BWV1030の最初のアンダンテから悶絶してしまいました(^^)。
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