音楽で好きなのは「Automatic」と「Movin' on without you」。詞や曲ではなく、当時のクラブ・ミュージックやら何やらのテイストをふんだんに取り込んだアレンジがカッコいい、素晴らしいと思いました。低音の効きまくったベースの「ドゥーン」って音がムチャクチャ気持ちいのです。このちょっと前に「渋谷系」なんていうのがありまして、クラブでEVのスピーカーのウーファーでベースをやたら強調するのが流行したんですよね。そういう色んな要素が入ってる感じ。Misiaさんのアルバムもそうですが、メジャーのレコード会社が出すものはダサいのが相場だった時代に、ザ・音楽産業界じゃないクラブとかのインディー文化から音を引っ張ってきたところに勝因があったのかも。洋楽でも似たような事をプリンスやジャミロクワイがやってましたが、日本もそれに倣ったんでしょうか。というわけで、メジャー制作のポップスのくせにカッコいいものが出来たという(^^)。
コルトレーンがプレスティッジから離れた後に出された、プレスティッジ未発表録音集です。録音はふたつのセッションから取られていて、A面はEarl May(b), Art Taylor (dr) とのトリオ、B面はDonald Byrd (tp), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Louis Hayes またはAlbert Heath (dr) という編成。録音は1957年から58年にかけてです。
まずはA面のトリオ演奏「Like Someone in Love」の冒頭のサックス独奏が泣きたくなるほど良い…いやあ、コルトレーンってこんなに歌心ある人だったのか。そういえば『Soultrane』での「I want to talk about you」も、マイルスの『Kind of Blue』での「Blue in green」も、めっちゃくちゃ良い演奏だったなあ。この曲、トリオでも他のふたりが実に控えた演奏をしてるので、まるで最初から最後までコルトレーンの独奏のようにきこえて、すごくいい。。 「I love You」と「Trane’s Slow Blues」は、ニューヨークというよりシカゴのロフトで聴けそうな古き良きハードバップという感じ。50年代アメリカ都市部の黒人文化をそのまま聴いてるみたいで最高でした。それにしてもコルトレーン絶好調、すごい。。
B面はレッド・ガーランドのピアノ入り。「Lush Life」はバラードで、ドナルド・バードのトランペットが入ります。最初のテーマはサックスのみ、次にサックス、ピアノ、ペットというソロオーダー順で、最後に2管のアンサンブルのテーマで閉じるという構造です。雰囲気はいいけど、それぞれのソロが冗長かな…。「I Hear a Rhapsody」は、ピアノ入りワンホーン。どういうわけかこれがシカゴではなくてニューヨークに聴こえるのは、もしかするとバック陣がマイルスのグループだからなのかな…。
このアルバム、コルトレーンがレギュラーグループを持つ前の1枚で、コルトレーンチェンジやモード以前という事もあって、あまり取り上げられませんが、とにかくコルトレーンが絶快調、素晴らしい1枚だと僕は思っています。「Like Someone in Love」や「I Love You」というA面のトリオ演奏を聴くためだけに買ってもお釣りがくるほど。いやあ、ジャズって、自分にピタッと嵌まるものに出会うと、本当にいい音楽ですね。コルトレーンのレコードは全部買ってもいいと思ってしまうほど良かった…って、若いころそう思ってコルトレーンのレコードと見るや片っ端から買ってたんだろうなあ(^^)。
1曲目「Good Bait」で、いきなりズッコケそうになります。ロリンズの「サキコロ」みたいに、いきなりのほほんとした曲調なんですもの。でも、コルトレーンのソロがえぐかった!こんなノホホントした曲で、これでもかというぐらいに音符をたくさん押し込んできます。曲想とかまったく考えてないですね、インプロヴィゼーションの修行僧だわ、これは(^^)。 でも、そういう事を考えるようになったのは、自分でジャズをやるようになってから。その前の聴く専だったころは、2曲目のバラード「I want to talk about you」にしびれていたのでした(^^)ワカカッタネ。僕はこのアルバムより先に、コルトレーンの「バラッド」というアルバムを聴いていたんですが、それで「コルトレーンって、いいバラード吹きだなあ」なんて思っていたのです。その頃は、まだモード時代もコルトレーンチェンジもフリー時代も知らなかったのでね。。いま聴くと、これは曲そのものがいい曲で、またさりげなくピアノのレッド・ガーランドがいい味出してる事に気づきました。ただ、バラードの演奏となると、レスター・ヤングとかの先輩テナー奏者たちにはアーティキュレーションの差で勝てないですね、コルトレーンは(^^;)。いや、いい演奏だと思うんですが、デュナーミクが平らなんだなあ。これも今回聴いて思った事で、昔は自分のベストカセットに入れてるぐらいに好きなバラード演奏でした。 そして、アップテンポの「Russian Lullaby」のアドリブの速さがヤバい!ジャズを練習した事ある人なら分かると思いますが、このチェンジの速さで演奏しきるのは考えてたらもう間に合いません、これは名人技ではないかと!もう、ジャイアント・ステップスの予兆がありますね。。
お、これはけっこう面白かったです。理由は単純で、低音がいっぱい入っていて、頭で考えるより先に体に来るから(゚∀゚*)エヘヘ。でもこれ、間違いなくスピーカーにダメージを与えます。高級スピーカーを使ってる人は聴かない方が良いかも。あと、電子音をそのまま突っ込んでいて、アタックもなければデュナーミクも恐ろしく狭い音楽なので、普通の状態で音量のレベルが大きいです。最初のアンプのボリュームに気をつけましょう(^^)。 中でも好きだったのは3曲目の「soft water rhinoceros」で、バッソ・オスティナートの上でフィルター変化するノイズがかなり高速でグシャグシャいう感じ。これはノイズというより、インプロヴィゼーションの面白さかも。まあでも、つまみをクイクイひねってるだけなので、これだとインプロヴィゼーションといっても音の遊び以上の所に踏み込むのはどこまでやっても難しいのかなあ、なんて思ったり。
このアルバム、マーレーのアルバムの中であんまり注目されていませんが、ブラス・セクションが入ったり、デジタルのシンセっぽい音が入ったり、なんと転調を含んでいる曲まであったりして(レゲエでは珍しい気がします)、音楽的にはマーリー&ウェイラーズのレコードの中でトップレベルの1枚じゃないかと。詞とは別に、僕がボブ・マーリーの曲でいちばん好きなのって、このアルバムの1曲目「So Much Trouble In The World」なんです。日本人にとってはピンとこない詞かも知れませんが、日本も実は似たようなバビロン・システムの上に成り立っている事を考えると、要は危機感の違い程度であって、馬鹿なままで搾取され続ける市民をアジテートする人がいてくれた方が、実は有り難いのかも知れませんね(^^)。
Natto dreadlock in a babylon A dreadlock congo bongo I Childeren get your culture and don’t stay there and gesture 俺はバビロンに生きるナッティ・ドレッド、ドレッド・ロックを振りかざす自由の戦士 子供達よ、自分の文化を学ぶんだ、とどまらず、真似るのではなく (「Natty dread」)
Most people think Great God will come from the skies Take away everything, and make everybody feel high But if you know what life is worth, You will look for yours on earth And now you see the light You stand up for your rights, Jah ほとんどの人は、偉大な神が空から来て、すべての障害を取り除き、全員を幸福にしてくれると考えている でももし、人生の価値が何であるかに気づいたら、この地上に自分を探そうとするだろう いま、この光をお前は見た、お前の権利のために立ち上がれ (「Get up, stand up」)
How many rivers do we have to cross, Before we can talk to the boss? eh! All that we got, it seems we have lost We must have really paid the cost. Burnin’ and a-lootin’ tonight そのボスと話す為に、俺たちはどれぐらいの川を渡らなければならなかったろう そのために俺たちはすべて失い、ものすごい支払いをしてきた だから今夜、焼いて盗むのだ (「Burnin’ and lootin’」)
このアルバムの後、バンドは「ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ」へと変わりますが、僕がいちばん好きなボブ・マーリー関係のアルバムは、これです。「Get Up, Stand Up」のほか、「I shot the sheriff」と、「Hallelujah time」「Burnin’ and lootin’」などなど、名曲ぞろい。僕は、オリジナル・ウェイラーズのアルバムはこれしか聴いてませんが、「オリジナル・ウェイラーズがいい!」という人の言葉は本当かも。いつか機会があったら、遡って聴いてみたいと思ってるんですが、そう思ったままもう何十年も経ってしまったなあ(^^;)。