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心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

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『宇多田ヒカル / First Love』

UtadaHikaru_FirstLove.jpg あと数時間で新元号の発表ですね。あれ、新しい元号っていつから?5月からでしたっけ?ここ数日、何人か平成Jポップの歌姫さんのCDを聴きかえしてましたが、僕にとっての平成は、音楽よりも野球の野茂秀雄やサッカーのJリーグ、そして将棋の羽生善治さんという印象が強かったかも。そんな中、平成の歌姫の切り札はこの人、宇多田ヒカルさん!MISIAさんのデビュー作に続く1999年にリリースされたデビューアルバムで、当時はMISAさんと宇多田さんでR&B系の女性ヴォーカルのブームが決定的となったムードがありました。僕のまわりの人の多くがこのアルバムを持ってたんですが、友人がみんな同じレコードを持ってるなんて、僕の人生で「およげ!たいやきくん」とこのCDだけ。それぐらい、すごい事でした。大体このアルバムを買った記憶がまったくない僕ですら何故か持ってるぐらいですから(^^;)。でもこのひどいジャケットを見るに、最初は藤圭子の2世だし15歳と若いし、ニュース性はあるのでとりあえず出してみた、ぐらいのいい加減なリリースだったんだろうな。。

 音楽で好きなのは「Automatic」と「Movin' on without you」。詞や曲ではなく、当時のクラブ・ミュージックやら何やらのテイストをふんだんに取り込んだアレンジがカッコいい、素晴らしいと思いました。低音の効きまくったベースの「ドゥーン」って音がムチャクチャ気持ちいのです。このちょっと前に「渋谷系」なんていうのがありまして、クラブでEVのスピーカーのウーファーでベースをやたら強調するのが流行したんですよね。そういう色んな要素が入ってる感じ。Misiaさんのアルバムもそうですが、メジャーのレコード会社が出すものはダサいのが相場だった時代に、ザ・音楽産業界じゃないクラブとかのインディー文化から音を引っ張ってきたところに勝因があったのかも。洋楽でも似たような事をプリンスジャミロクワイがやってましたが、日本もそれに倣ったんでしょうか。というわけで、メジャー制作のポップスのくせにカッコいいものが出来たという(^^)。

 そして、歌がうまいと痛感したのが、「First Love」。詞も曲もアレンジもなんでもない曲だと思うんですが、歌がとにかく良かった!技術もそうだけど言葉や感情を伝えるうまさがすごい!宇多田さんってヴィブラートが横隔膜でかけるんじゃなくて喉でかけるさざなみヴィブラートなので、ヴィブラートとしては浅いしばらつきがあるので、あんまり綺麗じゃないんですよね。でもそれは聴き方によっては「震えるように絞り出している声」という勘定表現に聴こえる場合もあるというメリットもあって、その武器を最大に活かしたのがこの歌だったように感じました。

 そして、歌唱以上に素晴らしいと思った事があります。プロ野球の野村監督が「まずは人間から」みたいな事を言ってた事があります。野村さんが監督になったヤクルトが、移動の新幹線で食べた弁当の空き箱をそのまま放ったらかしの状態にする子供以下の選手が後を絶たない状況だったそうで、野球以前に人間教育をしなくては、と思ったそうです。人間としてダメなやつが、いくら一芸に秀でていても人間的にクズである事には変わらんだろう、という意味だと思うんですが、芸能事の気質がどこまでも抜けない日本の産業音楽界では、アイドルや歌い手がこれに近い状態に感じるんですよね。いいものを持っていてもアタマが弱くて、歌がうまくても、それで何を歌うのか、歌って何を伝えようとしているのか、という所を考えられない状況なんかがそれです。未成年ならまだしも、30代になっても40代になっても「こいつは馬鹿か?」という発言や行動をしてしまうヴォーカリストやタレントって、後を絶たないじゃないですか。そういう人が、人の心に刺さる言葉を言えるはずもなければ、仮に歌っても言葉に説得力がないですよね。商売の事しか考えてない大人に簡単にコントロールされちゃって、「アーティスト」と言ってるくせにキューティーハニーや銀河鉄道999を歌わされて平然としていられる人の詞に感動するのが難しいのは、そういう事じゃないかと。
 そんな中、ヴォーカルとしてプロでありつつ、歌心もあり、さらに「自分は何をしたいか」をしっかり考える頭も持っていたところが、宇多田ヒカルさんの素晴らしさだったんじゃないかと思っています。それがなかったら、歌がうまいというだけで、ここまで人の心は打てなかったと思うんですよね。同じように、サッカーの三浦カズさんや野球の野茂さんなんかにも、そういう人間力を感じます。MISIAさんも小柳さんもNOKKOさんも好きだけど、「まあミュージシャンだしな」みたいに軽く見てしまう所が僕にはあるんですが、宇多田さんは彼女たちよりも一歩踏み込んだ教養を持っている人だと思っています…偉そうに書いてますが、僕は宇多田さんの音楽はこのアルバムしか聴いてないんですけどね(^^;)。平成のJポップで1枚と言ったら、一般的にはたぶんこれになるんじゃないかなあ。そう言われるだけのものを色々と持っているアルバムだと思います。

 そうそう、どうでもいい事ですが…僕、このジャケットの写真が嫌いで、別のページの写真を表紙にしています。鼻がどうもね。でも、僕と同じ事をしている人が、日本には5000人はいると思ってます(゚∀゚*)エヘヘ。


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『UA / AMETORA』

UA AMETORA この人も平成の歌姫になるのかな?UA(ウーア)さんです。これはMISIAさんのデビュー作と同じ1998年(平成10年)発表のセカンドアルバム。倖田來未さんや小柳ゆきさんやMISIAさんがどこか担がれた神輿っぽく感じたのに、この人はどこかアーティスティックでした。作曲やアレンジが素晴らしいんですが、そこは本人じゃないんです。それなのにアーティストを感じるって、何だったのでしょうね。歌詞とヴォーカルが本人で、それがとても個性的だったからかも。ジャケットの顔なんて怖いし(^^;)。

 クラブにジャズやにワールド・ミュージック、それに日本のポップスをシェイクしたようなアレンジのセンスがメッチャ良かったです!若いはずなのに、世界観がシックで大人。これはカッコよかったなあ。こんなところも、歌がうまい歌姫というイメージより、トータルでいいものを仕上げてくるアーティスト的に感じた原因だったかも。90年代後半のJポップの女性ヴォーカルものの売れたアルバムでは、このアルバムがいちばん完成度が高いかも知れません。

 90年代後半は、洋楽も邦楽もポップスのアレンジセンスがめっちゃくちゃ素晴らしかったと思います。80年代だって70年代だって良いものはいっぱいあったけど、その上を粗製乱造のアイドル歌謡がおおい尽くしてたもんで、良いものが見えづらかったと思うんですよね。アイドル歌謡の作曲や演奏が、ザックリとメロコード譜を書いて、ヘッドアレンジでスタジオ入って、スタジオミュージシャンに半分アドリブで演奏してもらって、そうするとプロの演奏ではあるけど常套句しか出てこなくて、音なんてみんな同じで…みたいな感じだったのが、MISIAさんやUAさんとなると、作家が丁寧に仕上げてくる、みたいな。これはサンプラーの進化で、作曲家が家でオケ・トラックまで作る事が出来るようになったのが大きかったのかも。

 ところがJポップのこの幸せな時代は数年で終焉。またしても粗製乱造なa○○xやら○室哲〇の波が来てしまって、さらにジャ○○ズやらA○○4〇みたいな広告宣伝会社を押えた人だけがチャートを覆い尽くす事で完全に子供だましの世界になってしまい、普通に生きているとJポップでまともな音楽が耳に届かなくなってしまったのでした(T-T)。そりゃ、子ども以外は日本の流行歌を聴かなくなるのが当たり前だわな。。ああ、MISIAさんやUAさん、それにICEさんあたりが来た時に、日本の軽音楽はもっといい方向に行く可能性が開けていたように見えたんだけどなあ。そうならなかったのは、日本は音楽産業よりも芸能産業界が強い事と、聴く人たちもその多くがそこまでレベルの高い音楽なんて求めてない事の両方がなかなか強力なんでしょうね。求める人はJポップに求めるんじゃなくって、最初からもっと深い事をやってる他の音楽を聴き始めてしまう、みたいな。


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『MISIA / Mother Father Brother Sister』

MISIA Mother Father Brother Sister 彼女も間違いなく平成を代表するJポップの歌姫、ミーシャさんです!これは彼女のデビューアルバム、1998年(平成10年)発表です。このアルバム、今の時代では考えられないぐらい爆発的に売れてました。ここからR&B色の強い平成の実力派女性歌姫の大ブームが起きた印象でした。平成10年ごろはまだCD文化が生きてたんですね。CDって平成何年から売れなくなったんだろう。

 1曲目、冒頭にスキャットでいきなりものすごいハイトーンを聴かせるところで、「あ、マライア・キャリーみたいにレンジが広くて歌がうまい人として売りたいんだな」と感じたものでした。ただ、喉歌いで声が針金みたいに細いし(他のアルバムはどうか知りません)、ピッチがめっちゃくちゃ甘いので、うまい人というより「うまい風の人」に感じていました。テレビでもラジオでも「ムッチャうまい」みたいにプッシュするもんだから、「いやいやいや…」と思ってしまう現象が僕の中で起こってしまったのです。僕はこれを「ゴリ押ししてほめ過ぎるとむしろハードルがあがってしまって、逆に『いやいやそこまでのもんじゃないだろ』という反論を生んでしまう現象」と呼んでるんですが、そんな無理やりうまいの押し売りしなきゃ、そんなこと思わないのにね(^^;)。。でもそれって本人のせいじゃないと思うんですよね。ライブじゃないんだから、ピッチなんてジャストになるまでテイクを重ねればいいだけだったはずだし、今ほど簡単でないにしても当時だってピッチ補正の技術はあったので、「めちゃうまい」で売るなら、ピッチ合わせすらやらなかった制作陣の怠慢が大きかったはず。

 でも、それでダメかというと、このアルバムは曲やアレンジのセンスがすごく良く感じて好きだったのです。当時流行っていたTLCみたいなちょっとポップスのはいったR&B系のサウンドと、低音を重視した当時のクラブ・カルチャーの音の傾向と、分かりやすくて落ち着く日本の昭和歌謡曲の伝統、この3つがいいバランスで混じって、心地よくて好きだったのです。作編曲のほとんどは島野聡さんで、これが大ブレイクのきっかけだったと思うんですが、そんな訳で僕はこれを島野さんのアルバムだと思ってます(^^)。

 歌だって、「天才!」とか「世界を代表する」とか言われると「いやいやこれを天才と言われたらスティーヴ・マリオットダニー・ハサウェイダイナ・ワシントンや都はるみは…」となっちゃうだけで、そんな事さえ言わなければ間違いなくいいヴォーカルだと思います。僕にとっては、これがいちばん平成を感じる1枚なのかも。20年ぶりぐらいに聴きましたが、記憶していたより気持ち良かった(^^)。まさかこの後、日本のポップス業界が壊滅するとはまったく予想できなかったなあ。


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『小柳ゆき / Koyanagi the Covers PRODUCT 1』

Koyanagi Yuki_the Covers PRODUCT 1 もうすぐ平成もオシマイ。でも平成の音楽を思い出そうとしても、これというものが全然思いつきません。ZARDとかWANZとかのビーイング系?小室ファミリーみたいなavex系?モーニング娘とかAKB48みたいな女性アイドルグループやSMAPみたいなジャニタレ?どれも世代が違って卒業した世界だったので、耳にする機会がほとんどありませんでした。別の言い方をすると、平成には、10代を過ぎた後に聴くことのできる流行歌がなかったという事かも。昔なら演歌なり何なり、大人が聴ける歌謡曲があったんですけどね。。そんな中、少しだけ聴いたとすれば、宇多田ヒカルさんあたりのR&B系の女性ヴォーカルかも。小柳ゆきさんはそうしたR&B系女性ヴォーカリストのひとりで、ちょっと遅れてきた人だったかな?MISIAさん、UAさん、宇多田さんと女性R&B歌手がブレイクしてるという事で、芸能系プロダクションのバーニングが急きょ持ってきた歌手、みたいな。そんなわけで、歌手としての実力は充分と思ったけど、曲や売り方にどこか芸能チックなものを感じた人でした。売れなくなってくると脱がされたり、ミュージシャンじゃなくて芸能界チックなんですよね。金の事しか考えてなさそうな音事協系の大人たちにいいように使われる商品っぽいというか、ザ・芸能界に身を置いて翻弄される日本の女性タレントの運命を見るようでした。かわいそうに…。

 このアルバムは洋楽カバー集です。でも、最後にこの人の歌った「あなたのキスを数えましょう」が入っていて、この曲が好きで買いました。洋楽カバー部分は、何から何まで洋楽の猿真似なのでダサかった(^^;)。何でもかんでも英米の真似するだけで自分の主張はないのかよ、みたいな。でもそれ自体が平成の日本の傾向にも思えます。政治も完全にアメリカさんの言いなりだしね。政治どころか、精神的な所まで「西洋カッコいい」みたいになってしまったのが平成の歌音楽だったのかも。平成の日本の音楽「産業」界って、ディレクターもアレンジャーもプレイヤーも、こういうアメリカの文化戦略にまんまと染められたような人たちの集まりだったな、と今にして思います。

 でも、大好きだった「あなたのキスを数えましょう」はメッチャクチャ良かったんです!オーケストラ・アレンジな部分は「こうすればカッコいいでしょ」みたいなディレクターの浅はかさが痛かったですが、詞と歌唱力の素晴らしさですべて帳消し。タイトルは、彼と別れる事になってしまった女が「(今まで)あなた(とした)キス(の数)を数えましょう」という意味です。
「出会わなければよかったの?」
「こんな日が来るなら抱きあえばよかったよ、もっと」
「嫌いになって、楽になって、夜を静かに眠りたい」

 失恋体験がある人なら、こんな言葉を言われたら胸に刺さらないわけがないですよねえ。。

 そして、この曲での小柳さんの歌唱力が素晴らしい!いや~、この時代のJポップの女性R&Bシンガーは、宇多田ヒカルさんとMISIAさんのデビューアルバムを聴いた事がありますが、ピッチは安定してるし声量はあるし声は太いし表現力はあるし、小柳さんがいちばん凄いんじゃなかろうか。発音の怪しい英語詞なんて歌わないで、日本語詞で勝負すればいいのに。結局、平成のJポップは音楽そのものが洋楽丸パクリだからか、若い子がみんな英米に憧れまくってしまうのも自然といえば自然なのかも知れませんね。

 平成のポップスの光明は、力ある女性ヴォーカリストが目立った点にあったんじゃないかと。たとえ海外のものまねであったにせよ、宇多田さんや小柳さんがいなくて、もしモーニング娘にavexにAKB48が平成の日本ポップス界だったらと思うと、いくらなんでも子供だましな安すぎる文化だっただろうな、と(^^;)。いや、AKBとかの本人たちが悪いというんじゃなくて、彼女たちのようなものをしか拾えない聴く側の幼稚さや、そういう下世話な売り方しか考えない売る側の産業音楽業界の文化レベルの低さがね。な~んて言いつつ、僕は「あなたのキスを数えましょう」以外の小柳さんをぜんぜん知らなかったりして(゚∀゚*)エヘ。まあ、世代が違うから仕方ないですよね。。とにかく、「あなたのキスを数えましょう」の詞と歌唱は大好きでした。すばらしい!


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『John Coltrane / Coltrane Time』

John Coltrane Coltrane Time これも1958年録音、コルトレーンにとって58年以降は凄まじいですね。コルトレーンの58年録音だけで、僕のレコード棚にいったい何枚のレコードがあるんでしょう。いっぱいあるから58年のアルバムはもういいやと思いつつ、僕がこのレコードを買ってしまったのは、セシル・テイラーとコルトレーンが共演していたから。こんなの、聴かないわけに行かないでしょ(^^)。。ちなみにメンバーは、John Coltrane (ts), Kenny Doham (tp), Cecil Taylor (p), Chuck Israels (b), Rouis Hayes (dr)。いや~、なんと一貫性のないメンバーなんだ(^^;)。。

 ところが、この一貫性のなさがムッチャ良かった!まずは1曲目「Shifting Down」、ケニー・ドーハムとコルトレーンの2管サンサンブルがバップっぽく黒くて、ものすごく良い!そして、うしろで演奏してるセシル・テイラーのピアノがヤバいぐらいに刺激的です!50年代のセシル・テイラーって、モンクのコピーみたいな演奏も聴いた事がありますが、これは完全に自分を確立していてアヴァンギャルド、とんでもないカッコよさです!でも、このピアノの前で演奏するコルトレーンは、ものすごく吹きにくそう(゚∀゚*)アハハ。なるほど、ルイス・ヘイズやチャック・イスラエルというキープに徹する人を起用したのは正解かも、これでドラムとベースがイケイケだったら保てなくなっちゃいそうです。。
 2曲目「Just Friends」と3曲目「Like Someone in Love」、ジャズをやってたら誰もが演奏した事ある曲だと思いますが、これはケニー・ドーハムのアドリブがいい!ついでに、やっぱりセシル・テイラーがめっちゃくちゃいいわ。。セシル・テイラーって、完全なオリジナルに行かずにジャズをやっていたらどういうアーティストになっていたんでしょうね。もしそうやったとしても、やっぱり偉大なピアニストになってたんじゃないかなあ。こんなに独創性に富むジャズピアノ、他で聴いた事がないです。
 4曲目「Double Clutching」、火の出るようなコルトレーンのソロと、ピアノがぶっ壊れんじゃないかというほどに鍵盤をたたきまくるセシル・テイラーがヤバい!すごい!いや~もうこれは言葉にならないカッコよさ、やっぱりロックよりジャズの方がぜんぜん過激で知的な音楽だわ。アメリカが生み出した文化の中で、ジャズだけはずば抜けて素晴らしいものと感じちゃうなあ、極端に走った時の破壊力や、個人技の凄さ、主張の強さがすごい。

 これはコルトレーンのリーダーアルバムじゃなくて、メンバーのキャスティングが生み出した3頭政治的な超刺激的ジャズ、50年代のコルトレーンの録音の中でもずば抜けて刺激的な1枚じゃないでしょうか?!特に、フリージャズ一歩手前まで行っていたセシル・テイラーが演奏したジャズの破壊力がヤバい、実は大名盤なんじゃないかと!


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『John Coltrane / Lush Life』

John Coltrane Lush Life コルトレーンがプレスティッジから離れた後に出された、プレスティッジ未発表録音集です。録音はふたつのセッションから取られていて、A面はEarl May(b), Art Taylor (dr) とのトリオ、B面はDonald Byrd (tp), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Louis Hayes またはAlbert Heath (dr) という編成。録音は1957年から58年にかけてです。

 まずはA面のトリオ演奏「Like Someone in Love」の冒頭のサックス独奏が泣きたくなるほど良い…いやあ、コルトレーンってこんなに歌心ある人だったのか。そういえば『Soultrane』での「I want to talk about you」も、マイルスの『Kind of Blue』での「Blue in green」も、めっちゃくちゃ良い演奏だったなあ。この曲、トリオでも他のふたりが実に控えた演奏をしてるので、まるで最初から最後までコルトレーンの独奏のようにきこえて、すごくいい。。
 「I love You」と「Trane’s Slow Blues」は、ニューヨークというよりシカゴのロフトで聴けそうな古き良きハードバップという感じ。50年代アメリカ都市部の黒人文化をそのまま聴いてるみたいで最高でした。それにしてもコルトレーン絶好調、すごい。。

 B面はレッド・ガーランドのピアノ入り。「Lush Life」はバラードで、ドナルド・バードのトランペットが入ります。最初のテーマはサックスのみ、次にサックス、ピアノ、ペットというソロオーダー順で、最後に2管のアンサンブルのテーマで閉じるという構造です。雰囲気はいいけど、それぞれのソロが冗長かな…。「I Hear a Rhapsody」は、ピアノ入りワンホーン。どういうわけかこれがシカゴではなくてニューヨークに聴こえるのは、もしかするとバック陣がマイルスのグループだからなのかな…。

 このアルバム、コルトレーンがレギュラーグループを持つ前の1枚で、コルトレーンチェンジやモード以前という事もあって、あまり取り上げられませんが、とにかくコルトレーンが絶快調、素晴らしい1枚だと僕は思っています。「Like Someone in Love」や「I Love You」というA面のトリオ演奏を聴くためだけに買ってもお釣りがくるほど。いやあ、ジャズって、自分にピタッと嵌まるものに出会うと、本当にいい音楽ですね。コルトレーンのレコードは全部買ってもいいと思ってしまうほど良かった…って、若いころそう思ってコルトレーンのレコードと見るや片っ端から買ってたんだろうなあ(^^)。


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『John Coltrane / Soultrane』

John Coltrane Soultrane 1958年発表、ジョン・コルトレーンのプレスティッジ最終作です。58年という事は、モンクとの共演を通過したあとかな?コルトレーン自身、「58年が転機だった」なんていってますし、この辺からがいよいよコルトレーン爆発の時期ですね(^^)。

 1曲目「Good Bait」で、いきなりズッコケそうになります。ロリンズの「サキコロ」みたいに、いきなりのほほんとした曲調なんですもの。でも、コルトレーンのソロがえぐかった!こんなノホホントした曲で、これでもかというぐらいに音符をたくさん押し込んできます。曲想とかまったく考えてないですね、インプロヴィゼーションの修行僧だわ、これは(^^)。
 でも、そういう事を考えるようになったのは、自分でジャズをやるようになってから。その前の聴く専だったころは、2曲目のバラード「I want to talk about you」にしびれていたのでした(^^)ワカカッタネ。僕はこのアルバムより先に、コルトレーンの「バラッド」というアルバムを聴いていたんですが、それで「コルトレーンって、いいバラード吹きだなあ」なんて思っていたのです。その頃は、まだモード時代もコルトレーンチェンジもフリー時代も知らなかったのでね。。いま聴くと、これは曲そのものがいい曲で、またさりげなくピアノのレッド・ガーランドがいい味出してる事に気づきました。ただ、バラードの演奏となると、レスター・ヤングとかの先輩テナー奏者たちにはアーティキュレーションの差で勝てないですね、コルトレーンは(^^;)。いや、いい演奏だと思うんですが、デュナーミクが平らなんだなあ。これも今回聴いて思った事で、昔は自分のベストカセットに入れてるぐらいに好きなバラード演奏でした。
 そして、アップテンポの「Russian Lullaby」のアドリブの速さがヤバい!ジャズを練習した事ある人なら分かると思いますが、このチェンジの速さで演奏しきるのは考えてたらもう間に合いません、これは名人技ではないかと!もう、ジャイアント・ステップスの予兆がありますね。。

 アップテンポ1曲、ミドルテンポ2曲、スロー2曲とバランスを取っているものの、曲はどれも普通のジャズチューン的で、ブローイングコーラスに入ってしまえばアンサンブルもアレンジもなしのアドリブなので、良くも悪くもスタンダードなジャズアルバムだと思います。バラード以外の曲のアドリブのそこかしこに、「おっ!」と思うところが結構あるんですが、超えられそうで超えられない感じがあります。でも実は、初リーダー作「コルトレーン」から5枚も6枚もアルバムを吹き込んでるのに、まだ1年しかたってないんですよね。。それを考えると恐ろしい進化のスピードだと思います。これで翌年にはコルトレーン・チェンジを含んだあの「ジャイアント・ステップス」を吹き込んでしまうんですから、やっぱり化け物だな、と(^^;)。


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『John Coltrane / Coltrane』

John Coltrane Coltrane ジャズ最高のアーティストに彼の名前を挙げる人もいるほどのモダンジャズの大物ジョン・コルトレーン!彼がアトランティックに移籍する前の初期録音をまとめて聴いてみよう、そうしよう(^^)。これは、ジョン・コルトレーンの記念すべきソロ・デビュー作です!1957年発表なので、まだモンクのバンドに参加する前かな?このアルバム、あんまり評価されてない…というか、あからさまにダメという人もいるぐらいですが、メッチャかっこいいです!

 とにかく素晴らしいのが、1曲目「Bakai」。3管のアンサンブルで、いきなりプログレのようなジャズです!ロックばかり聴いていた僕がモダンジャズを聴き始めた頃、みんな同じような曲やってるのがつまらなかったんですよね。ちょっとアドリブ演奏偏重すぎるな…みたいな。そういう所が解消されていたのがミンガスのアルバムだったり、この曲だったりしたのです。ドルフィーが『Last Date』で演奏したモンクの「Epistrophy」みたいなアレンジで、バリサクのオスティナートの上に管のアンサンブルが折り重なる幾何学的なテーマ部分から、いきなりフォービートのコーラスパートに繋がります。これはアドリブ以前に曲として素晴らしい!しかも、最初のブローイング・コーラスをコルトレーンが取らないし、うまい下手の前に、視点がアーティストなんですね。

 以降は、ワンホーンのジャズチューンが続きました。コルトレーンのバラード演奏は、他の曲の演奏と違って、あくまで歌わせに行くんですが、そのスタイルはここですでに完成。問題はそれ以外の、アドリブの妙技を聴かせるジャズチューンで、これが美感がすでにそれまでのテナーサックス奏者と違って、「メロディを歌わせる」とか「聴衆を楽しませる」という所に行ってません。ここがソニー・ロリンズと大違いで、コードプログレッションに対するインプロヴィゼーションのプレイアビリティの追求っぽい。なるほど、この後のモダンジャズの動向やコルトレーンの音楽の発展を知らずにこれを聴くと、「練習みたいなアドリブだなあ」と思われて、それが低評価につながったのかも。

 コルトレーンの処女作を聴くと、コルトレーンって元々は音楽のセンスはあまりなかったのかも。リズムは良くないし、アーティキュレーションはイマイチだし、ソロは理詰めで考えた練習みたい。ただ、プレイヤーって、トップの成績の人は意外とすんなりミュージシャンを止めちゃったりして、「あんまりセンスないけど努力家だよな」なんて人が生き残ったりしますよね。極めようという姿勢が尋常じゃなくて、32分のあのコルトレーンなフレージングになると、すでにものすごいです。こういうのはセンスだけじゃダメで死ぬほど練習した人だけが出来る技だと思うんですよね。口でいうのは簡単だけど、努力が出来る人なんて本当にごく少数。この求道者的な姿勢が、ジャズをエンターテイメントから引きはがして求道的な音楽へと引きずりこんだのかも。評価の高いアルバムじゃないですが、僕的にはアトランティックやインパルス以前のコルトレーンでは、ブルーノートのブルートレーンよりもソウルトレーンよりもこれが一番好きです (^^)。


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楽譜『池辺晋一郎:ギターは耐え、そして希望しつづける』

Ikebe_Guitar ha Tae_score  池辺先生作曲の 「ギターは耐え、そして希望しつづける」は、実は楽譜も買ったのです(^^)。これは池辺晋一郎先生のギター作品の楽譜で、池辺作曲「ギターは耐え、そして希望しつづける」「カーチャのテーマ」と、池辺編曲「インターナショナル」の3曲を収録。ちなみに、後半2曲は映画「スパイ・ゾルゲ」の劇中曲なんだそうです。

 この楽譜を買った頃、はじめてクラシックギターのための曲を書くことになりまして、現代曲のギター譜ってどうやって書けばよいのかなあ、と思って買いました。同時に武満さんの「フォリオス」や、ブローウェルの「鐘の鳴るキューバの風景」の楽譜も買った記憶があります。そして、実際に見てみたら、意外と普通でした。そりゃそうですよね、曲自体がけっこうオーソドックスな作りの曲ですし(^^)。ただ、弦が飛んで交互に弾くようなところは、上と下の交互に連桁をつけていたりして、なるほどこうやって書けば変に上下2段に書かなくて済むなあ、なんて思ったりして。やっぱり、一流の先生が書いた楽譜を見ると勉強になりますね。

 そして、けっこうシンプルな楽譜だったので、自分でも弾けそうだなと思ってチャレンジしてみたら、けっこう難しかった(^^;)。ギターを初見で演奏する時に難しいと感じるのは、とにかく和音です。ひとつひとつの音を拾って押えないと、すぐに弾けない(^^;)。。ピアノだと運指の問題はあるにせよ、ドと言ったらあの鍵盤しかないので迷う事もないんでスが、ギターはドが色んな所にあったりするので、「ええっと…」みたいになっちゃうんですよね。それ以上にポジションと音がちゃんと一致していなくてうろ覚えなのがきつい(^^;)。。

 クラシックギターは、聴いてると「あ、これならすぐ弾けそうだな」って思えても、弾いてみると「うわ、これ、どうやったら弾けるの?」みたいなものがあって、なかなか骨が折れます。半面、取り組み始めると面白くてついつい5時間も6時間も弾いちゃいます。この曲、そこまで好きな曲じゃないのに、弾きはじめると夢中になってしまいました。クラシック・ギターって、ピアノとはぜんぜん別の面白さがある楽器だと思います!


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『鈴木大介 / ギターは耐え、そして希望しつづける』

SuzukiDaisuke_GuitarHaTaeSosite.jpg 池辺晋一郎先生、2007年の作品「ギターは耐え、そして希望しつづける」の初録音CDです。下手すると最初で最後の録音になるかも。現代音楽って、初演にして最後の演奏という曲が大量にあるんですよね(^^;)。演奏は同曲の初演演奏者の鈴木大介さんで、これは鈴木さんのソロギター演奏集です。収録曲は、以下の通り。

・セゴビア「光のない練習曲」
・ブリテン「ノクターナル」
・J.S.バッハ「プレリュード、フーガ、アレグロ BWV998」
・池辺晋一郎「ギターは耐え、そして希望しつづける」
・スカルソープ「フロム・カカドゥ」
・ハンス・ハウク「夜明け」

 セゴビア「光のない練習曲」は、古いギター曲ってこんな感じのものが多いよな、という感じでした。「禁じられた遊び」とか、ソルの曲とか、こんな感じですよね、みたいな。

 ブリテン「ノクターナル」。これはメッチャクチャ好きな曲でして、ブリームとか、色んなギタリストの演奏で、僕はこの曲を聴いた事があります。他の演奏に比べると、可もなく不可もなくという感じかな?全体的に、もうちょっとレガートでいいんじゃないかと思ってしまった。。

 バッハ「プレリュード、フーガ、アレグロ BWV998」は、もともとリュート用の曲です。バッハはリュート曲を7曲書いたと言われていて、その中の1曲です。この曲は山下和仁さんのCD『J.S.バッハ :リュート組曲(ギター版)』で聴いた事があって、そっちに比べると演奏が平坦すぎるし、響きの美しさは劣るしというわけで、つまらなかった…バッハなので山下さんだってやたらと歌わせているわけではないんですが、わずかなアゴーギクが生み出す表情があるかないかでこんなに違うものかと思わされてしまいました。

 池辺晋一郎「ギターは耐え、そして希望しつづける」。曲は、セゴビアと武満の間みたいな感じで(かなりセゴビア寄り)、ちょっと保守的でつまらないなあ、と思ってしまった(^^;)。僕、このCDを、この曲目当てに、発売当時に新譜で買ったんです。だって、タイトルからして面白そうじゃないですか!それに、初演コンサート観に行くより、CDかった方が安いし(^^)。でも、なんだか委嘱されたからそれっぽい曲を書いてみました、みたいな感じで、ちょっと残念だったなあ。

 スカルソープ「フロム・カカドゥ」。スカルソープは1929年生まれのオーストラリア(!)の作曲家。オーストリアじゃないですよ、オーストラリアです。曲は…もしかすると演奏が大人しいからかもしれませんが、ニューエイジ系ギター曲みたいな感じがしました。この曲、もっと暴れるように演奏したらカッコよかったかも。

 ハウク「夜明け」。ハウクは1900-67年のスイスの作曲家で、この曲はセゴビアの演奏で有名なんだそうです。これも、古いギター曲ってこんな感じだよな、みたいな感想でした。クラシック・ギター全盛って、セゴビア隆盛からだと思うので、それまでにはまだ曲が揃いきってなかったのかも。

 録音は響きすぎずにナチュラル。演奏は、さすが現在の日本人ギタリストのトップレベルのひとり、ノーミスのパーフェクトという感じ。ただ、録音もギターも挑戦がないというか、「意地でもすごいものを作ってやろう」みたいな気迫がないというか、凡庸…。ギターに限らずですが、2000年代以降のクラシックのプレイヤーは、「無難」「怒られたり揚げ足を取られたりしにくい演奏」というあたりのメンタリティで演奏しているみたいで、ひっかかるものが何にもありませんでした。もっと「ここをこういう風にしたいんだ、この演奏を聴いてくれ!」みたいな主張があってもいいと思うんだけどなあ。


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『池辺晋一郎:管弦楽作品集 木に同じく』

IkebeShinichiro_KiniOnajiku.jpg 池辺先生の管弦楽作品集です!池辺さんの交響曲2番が心に響いた事がありまして、それを収録したCDはないものかと探して行きついたCDがこれでした。フォンテックやカメラータって、いい仕事するレーベルだなあ。

・交響曲第2番《トライアス》(1979)
 日本フィルハーモニー
・チェロとオーケストラのための協奏曲《木に同じく》(1996)
 向山佳絵子(cello)、大阪センチュリー交響楽団
・フルートとオーケストラのための協奏曲《砂の上に対座して》(2003)
 小泉浩(flute)、日本フィルハーモニー

  「交響曲第2番《トライアス》」。印象だけを言えば、伝統的な西洋音楽の長的重力と点描手法が併存していて、それでいて頭でっかちでセコセコした所がなくダイナミック!骨格となっている部分はセリーではなく、オブリや対位法的な所があったりするので、しいていえばメシアンや新古典あたりに近いものを感じました。一方で、うしろで弦がかすかに反復音型を繰り返していたり、それは大構造を作っている骨格と少し違っていたりするので、こういう別の改装で成立しているものが堆積して(池辺先生が言うには3つ)、「トライアス」というのだそうで。僕的には、池辺先生のシンフォニーと言えばこの曲です!

 「チェロとオーケストラのための協奏曲《木に同じく》」。僕の池辺先生の音楽のイメージって、1にメシアン2に武満、3が新古典などの西洋クラシック音楽の伝統で、その上に反復やゆらぎなどのポストモダン期の作風が重なって…みたいな感じです。この曲はまさにそれで、その全部が重なって感じます。7つのパートに分かれていますが、けっこう連続しているので、音楽が一気に流れていく感じでした。う~んこれもよく出来た作品だなあ。でも、ちょっと器用すぎて頭がよすぎて、僕程度の音楽能力の人間にとってはシーンの移り変わりが多くて複雑すぎて掴み切れませんでした(^^;)>。でも、ものすごく良く出来ているんだろうな、というのだけは感じました。

 「フルートとオーケストラのための協奏曲《砂の上に対座して》」。匂いとしては、武満さんのノーヴェンバー・ステップスみたい。弦のサウンドと、ソロ楽器への絡ませ方がそう感じるんでしょうね。これも素晴らしいです…が、なんか60年代の日本の前衛の模倣にしか感じない気がしたのも事実でした。フルートも死ぬほどうまい。うまいんですが、もっと鬼気迫る演奏をして欲しい…。

 池辺先生に限らず、日本でも海外でも、ポストモダン期の作曲家の作品を聴いていて思うのは、ポリシーに欠けるという事と、ポリシーを持っていてもそれがあんまり音楽の胆じゃないようなところを一生けんめい掘り下げているように思えるところが問題なのかも。AやってBやってCやって、それを混ぜ、新しいものを重ねて…というのは、逆にいうとAとBとCのどれが優れているのかというのをきちんと判定できていないという事なのかも。それを乗り越える場合は、混ぜるんじゃなくて止揚しないといけないと感じました。技法としてはものすごい緻密で、これこそ作曲の職人と感じるんですが、じゃあそれが良いかというと…メシアンやシェーンベルクノーノや弦カル3~4番前後のバルトークの音楽にあるような説得力を感じないんですよね。作曲技術としてはプロ中のプロの匠の技、でもそれでやろうとしている事がちょっと…と思ってしまったのでした。でもこんな事、日本の作曲界にいたら、口が割けても言えないよなあ(^^;)。。


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『池辺晋一郎:ヴァイオリンの花束 篠崎功子(vln)、斎木ユリ(pf)』

IkebeShinIchiro_Violin no Hanataba 池辺先生が書いたヴァイオリン作品集…と言いたいところですが、じつはヴァイオリン学習者のための練習曲で、池辺さんが娘さんのために書いた曲。やっちまった、そういう曲だと知らずに買っちゃった(^^;)。

 娘さんの上達とともに、ちょっとずつ難しくなっていく所が微笑ましいです(^^)。僕はヴァイオリンを弾かないので細かい事はわからないんですが、ボウイングとか、第1ポジションだけで弾けるとか、スルポンを使った曲とか、色々と上達を目指した工夫がされているんじゃないかという気がします…分からないんですけどね(^^)。
 面白かったのは、「2つのヴァイオリンのための2つの小品」で、2曲とも日本の謡曲みたいな雰囲気です。こういう音楽って、今ではぜんぜん聴かれなくなってしまったので、旋律を耳にするだけでホッコリしてしまうなあ(^^)。

 とはいっても、僕はバリバリの作曲の最前線を聞きたくて池辺さんのこのCDを手にしてしまったもので、「間違えた!」というかんじ(^^;)>ヤッチャッタヨ。決して悪い作品じゃないんですが、あくまでこの曲を練習したいお子様のための、演奏見本CDという感じかな?


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『池辺晋一郎:ストラータ 室内楽作品集Ⅱ』

IkebeShinIchiro_Strata.jpg 日本人の現代音楽作曲家のビッグネームのおひとり池辺晋一郎さんの室内楽作品集です!池辺さんって、世間ではN響アワーの司会とか大河ドラマや宮崎アニメ『未来少年コナン』あたりの劇伴作曲家としての方が知られているかも。実は海外留学経験がなく(!)、東京芸大で矢代秋雄、三善晃、島岡譲さんらに師事していたそうです…いいなあ、東京芸大は。こうして海外留学がなくても一線級の作曲家への道が残っているんだから…そりゃ、入れた時点でそれだけの事をやってきてた証拠なんだから、本人の実力ですよね(^^)。

・《クレパ》7章(1966)
・無伴奏ヴァイオリン・ソナタ(1965)
・君は土と河の匂いがする(1994-6)
・ストラータⅣ
・クァトルバランス
・ストラータⅤ

 「クレパ」は、池辺先生の出世作で、室内協奏曲。東京芸大在学中、三善晃先生のクラスでの試験提出作品だったそうです。メシアンの「わが音楽語法」から影響を受けて、セリーが流動的に変化する「流動セリー論」という論文を書いて、これはその実践作だったそうです。たしかに面もちが現代音楽的で、でも12音セリーではなく、調をしっかり感じました。ただ、技法だけの作品に聴こえてしまったんですが、そう聴こえさせないためにはどうしたらいいんだろう、分からない。演奏の問題なんだろうか…ひとつ言えるのは、構造の堅牢さとか、書式のプロっぽさは、東京芸大在学中から若手のホープと言われていただけのことはあると思いました。バレンボイム演奏のメシアン「世の終わり」とかと比べちゃうからあれなんであって、20歳そこそこでこれはやっぱりすごいわ。

 「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」、これはすごい!バルトークの無伴奏ヴァイオリン・ソナタに影響されて書いたそうです。ソナタという名前から古典的な作風を想像してしまいそうですが、あくまでそれは構造だけの話であって、和声やら何やらはかなり近現代。古典と現代の均衡が美しいです。本当は第4楽章もあったそうですが、それも聴いてみたいなあ。

 「君は土と河の匂いがする」と「クァトルバランス」は、いずれも室内楽アンサンブルで、雰囲気が武満徹さんの音楽みたい。現代的でありつつも幽玄。ああ、この2曲もすばらしい。

 「ストラータⅣ」「ストラータⅤ」は、94-5年の作品という事で、けっこう作風が変わった感じです。なんというか…2重奏なんて、いかにもプレイヤーの表現を前面に出せそうなんですが、妙にデジタルな感じで、プログレっぽかったです。Ⅳはオーボエとコントラバスのため2重奏曲。Ⅴはミニマルっぽいというか、同じ音型をインテンポで平たくガシガシ演奏し続ける感じ。こういう、頭の中だけで考えたような、鳴らない音楽って、僕はあんまり好きじゃないのでパスかな…。

 というわけで、池辺先生の室内楽曲、作品によってけっこう作風も技法も変わっていて、なるほどポストモダン期の作曲家なんだなあと感じました。僕的には、「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」「君は土と河の匂いがする」「クァトルバランス」の3曲が素晴らしいと感じました!


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内田裕也さん、逝去

UchidaYuya.jpg 日本のロックといえば第一人者として名前のあがる人、内田裕也さんが他界してしまいました。享年79歳。

 世代が違うからなのか、ロックうんぬん言われてるけど、僕は裕也さん本人のパフォーマンスを観た事も聴いた事もないのです。ただ、扱いが常に「あの内田裕也が…」という感じで、だから神話の中の人という感じでした。最初に裕也さんを知ったのは、矢沢永吉やジョニー大倉のいたロックンロールバンド・キャロルのラスト・ライヴのCDで、ゲストとしてMCを喋っていた時。この時も、武勇伝の多い矢沢さんが恐縮して紹介していたのが印象的でした。名前を見かけただけなら、フラワー・トラべリン・バンドのレコードでのプロデューサーであったり、ニューイヤーロックの主宰者として。そんな折、やっと動いて喋る生きた内田さんを見る事が出来たのは、松田優作さんと高倉健さんの共演映画『ブラック・レイン』での、ニセ刑事役。優作さんと共演したヨコハマBJブルースあたりの映画を見たのは後の事でした。

 樹木希林さんが先に逝って、精神的にガックリ来てしまったんでしょうか。政見放送に出てきて歌を歌っていた事や、反社会勢力のタブーを扱った映画「コミック雑誌なんかいらない」(これは残念ながらちゃんと見れてないです)の出演など、とにかく破天荒な生き方をした人。それだけにビジーフォーさんにコミカルに裕也さんの物まねをされるなど、ネタとして扱われる事も多かったし、個人的にはあまり同調できない人でしたが、自分を貫いた人生のように見えますし、悔いのない生き方だったんじゃないかと。後悔のない生き方をしたというだけでも立派のひと言、尊敬に値しますよね。どうぞ天国で希林さんと仲良く生きて下さいね。


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『Merzbow / pulse demon』

Merzbow pulse demon メルツバウ、1996年の作品です。90年代中ごろのメルツバウではこれがいちばん面白いと思った若いころでしたが、果たして久々に聴いたらどうでしょうか。。

 うおおお、カッコいい!!最初の3秒の爆発力がすごい!アドレナリン出まくり、その後のノイズの轟音に痺れまくり!1曲目、リズムを取るように「チッチッチッチ…」という音が入ってますが、これが軟弱と感じる半面、これがいないと、本当に刺激音だけになってしまって面白くないのかも。そして、一応トラックは切れてるけど、連続してアルバム最後まで一気に駆け抜けます!最後まで集中力が切れない、この爆発力は素晴らしいなあ。あ、あと、デジタルのリヴァーブみたいなのとか、そういうのを使ってないのがいいですね。

 こういう音楽を良くするには色んなことは言えるんだろうけど、でも色々やってみて、枠を飛び越えて暴力的に行くってのがいちばん手っ取り早い気がします。ノイズミュージックは音楽より美術に近いセンスのものだと僕は思ってるんですが、そういう美術寄りの人が音響を構造面から追ってしまうと、やっぱり音楽家には勝てないんですよね。だったら、音楽家が当たり前と思っているものにとらわれない外からの視点で、「あ、こんな方法があるのか」と解体していった方がノイズに向いている気がします。他の3枚が、音は刺激的なんだけど構造が単純すぎてつまらなかったのは、構造面をあれこれ考えてしまって、感覚的にぶっ飛ぶのを忘れてた気がします。ノイズが守りに入ってるようでは駄目、既成概念はぶっ壊すもの、みたいな態度がシンプルかつ正攻法だと思いました。そんなわけで、90年代なかばのメルツバウは、僕が聴いたアルバムではこれがいちばん好きです(^^)。そうそう、このCD、特殊ジャケットなんですが、このデザインがまた見事でした。


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『Merzbow / tauromachine』

Merzbow tauromachine メルツバウ、1998年のアルバムです。それにしてもメルツバウのCDって大量にありますね。90~00年代だけでも50枚ぐらい出てるんじゃないでしょうか。

 お、これはけっこう面白かったです。理由は単純で、低音がいっぱい入っていて、頭で考えるより先に体に来るから(゚∀゚*)エヘヘ。でもこれ、間違いなくスピーカーにダメージを与えます。高級スピーカーを使ってる人は聴かない方が良いかも。あと、電子音をそのまま突っ込んでいて、アタックもなければデュナーミクも恐ろしく狭い音楽なので、普通の状態で音量のレベルが大きいです。最初のアンプのボリュームに気をつけましょう(^^)。
 中でも好きだったのは3曲目の「soft water rhinoceros」で、バッソ・オスティナートの上でフィルター変化するノイズがかなり高速でグシャグシャいう感じ。これはノイズというより、インプロヴィゼーションの面白さかも。まあでも、つまみをクイクイひねってるだけなので、これだとインプロヴィゼーションといっても音の遊び以上の所に踏み込むのはどこまでやっても難しいのかなあ、なんて思ったり。

 問題は、ループではなく動くものが、すべからく即興である事でした。要するに、刺激は大元のノイズが持っているか、つまみをクイクイひねる操作によるもの。これはストーリーやそれが示すものが何であるかを掘り下げていないスプラッター映画の恐怖に似ていて、血のりに慣れてしまうと何でもなくなってしまう感じ。構造も同じところに弱点があって、音の要素を聴くと実は恐ろしくシンプルで、いくつか重ねている音のレイヤーの組み合わせ以上の構造がないのです。即興でピロピロやるだけなのでね…。せっかく色んな事ができる電子音なのだから、もっとコンポジションに踏み込んでも良かったんじゃないかと。そうでないなら、それらをぜんぶ吹き飛ばすぐらいの過激さで行かないと駄目かも…それだって、いずれは慣れちゃうんでしょうけどね(^^)。

 あんなに好きだったメルツバウが、いま聴くと「あれ?こんなもんだったっけ?」と感じてしまったのは悲しい。。もうこういうものは卒業しないといけない年齢なんだな…。とはいっても、たしかに若い頃もメルツバウの作品の中では、このへんのCDは地味な印象だったので、もっと初期とか、逆にこの後の方が面白いのかも。ノイズ・ミュージックは音楽的に色んな可能性を持っている音楽だと思うので、クラシックの人も普通のロックやポップスしか聴かない人もジャズな人も、毛嫌いせずにみんな一度は通っていい音楽じゃないかと思います。色んな可能性を感じるんですよね(^^)。


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『Merzbow / Hybrid Noise Bloom』

Merzbow Hybrid Noise Bloom 日本のノイズ・ミュージックを代表するメルツバウ、1997年のアルバムです。マスコミや政府はAKBやジャパニメーションなんかを「クール・ジャパン」なんて言って海外に売り出しましたが、それは経済的な意味。でも実際に「これはクールだ!」と海外に受け入れられたのって、戦後すぐだと鈴木大拙の禅思想、80年代がアニメ、90年代後半はアングラロックやノイズあたりの音楽だった気がします。実際、メルツバウは海外のレーベルがこぞってリリースしましたし、日本より西洋で受けた感じ。メルツバウに限らず、このへんの音楽は、海外のクラブでもガンガン流れたり、日本のミュージシャンがバンバン海外に行ったりしてました。

 あ、あれ?昔はすっごい好きだったのに、いま聴くとやけに単純だな…。ホラー映画なんかもそうですが、子どもの頃は恐怖におののきながら観てたのに、大人になって観るとまったく大丈夫だったりします。メルツバウの場合、もう少し複雑な音の絡み方していた印象だったんですが、意外とフィルター頼りで、やっぱり音の刺激に頼りすぎな感じがしました。初期のメルツバウの方が良かったとか、そういう感じなのかな?
 音の刺激って、変化に対するものならいいんですが、音色や単純なパターンそのものだとすぐに慣れちゃうんですよね。ホラー映画で言えば、変化は「こういう伏線があって、それがいかにも来そう、そして来た!」みたいなかんじ。音色や単純なパターンは「血のりをずっと見てる」みたいな感じで、後者は飽きる。前者をもっと取り入れないと…みたいな。

 メルツバウは90年代に海外でえらい人気で、個人運営のマイナーレーベルから要請があるとバンバンCDをリリースしてた感じなのかも。おかげでリリース枚数が偉い数で、1枚あたりの密度が落ちたのかも知れませんね(^^)。


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『Merzbow / Pinkream』

Merzbow Pinkream いろんなノイズ・ミュージックを聴いてきましたが、一番好きなのは日本のメルツバウです(^^)。日本のノイズ・ミュージックはジャパノイズなんて呼ばれますが、音楽的にはAという音が出て、飽きたら次にB、次にC…みたいなのが多くて、刺激音を出してるだけで音楽的にはつまらないものが多かったです。でも、メルツバウは構造がしっかりしてるんですよね。そんなわけで、晩年の高柳昌行さんとメルツバウだけが音楽的なノイズだと思ってます。これは1996年発表の1枚。

 ノイズ・ミュージックの面白さは、僕にとっては「爆音だ!」「刺激的な音だ!」「過激だ!」というところ以上に、音の面白さと構造の面白さです。どんな音だって、人間はその音をいくつもの要素に分けて捉えて、その要素自体がどういう有機的関係にあるかを認識しようとすると思うんです。フーガだってソナタの主題だって、「ああ、この主題がこの対メロにからんでるんだな」みたいに感じるから面白いじゃないですか。特にノイズ・ミュージックはちょっと混沌としていて、聴く側が分化さしきっていないものを捉えに行くので、聴く側の創造力が湧きたてられる感じで面白いんです。メルツバウがノイズの中で音楽的だというのは、そういう構造面の意識をかなり感じるからです。

 でもそういう意味でうと、これはメルツバウのCDとしては、つまらない方だったかな?1曲目がノイズ・ミュージックの音の刺激に頼りすぎちゃって構造が単純すぎたから、印象がいまいちだったのかも(^^;)。でも、2曲目の「ブシュッ、グギイイイイイ!!」みたいな音はやっぱりカッコよくて、充分好きなんですけどね(^^)。あと、ワンパターンと言われようが、4曲目冒頭に出てくるフィルターを開いての音色変化でバーッと開ける感じは、ノイズミュージックだけが出来る音楽効果だと思います。


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『Bob Marley & The Wailers / Uprising』

Bob Marley_ Uprising ボブ・マーリーが生前に残した最後のアルバム、1980年発表です。マーリーの死後、もう1枚アルバムが出ましたが、僕的にはやっぱりこれが最後という気持ちが強いです。

 このアルバムを出したころのボブ・マーリーは、すでに文化人というか、宗教家のような尋常でないカリスマになっていて、アフリカやカンボジアの大統領の誕生パーティーに呼ばれて演奏したり、ジャマイカの政争に関わって狙撃されたりと、日本や欧米のポップミュージックのミュージシャンとはぜんぜん違うレベルの人になってました。このアルバム、オリジナル・ウェイラーズの「Burnin’」と比べると、音がおだやかでマッタリした感じがします。でも詞はやっぱりすごくて、音とのギャップに戸惑うばかり。その詞ですが、なんといっても「redemption song」に尽きるでしょう!

Emancipate yourselves from mental slavery
None but ourselves can free our minds
精神的隷属から自分自身を解放しろ
俺たちの精神を解き放てるのは他人ではなく自分自身なのだ


 なんで政争に巻き込まれて撃たれたり、36歳で死んでいったかが分かる気がする…。スパルタクスでもキリストでも、権力に真っ向から抵抗する政治家以外の人って、まっ先に死んでしまうんですよね。ボブ・マーリーは、「黒いボブ・ディラン」なんて呼ばれる事がありますが、80年代が青春だった僕にとっては、ボブ・マーリーの方が近い存在に感じます。こういうプロテスト・ソングを歌うカリスマって、ソビエト連邦時代のロシアのヴラジミール・ヴィソツキーとか、抑圧された国や社会にはそれなりにいますが、現代で一番のビッグネームはボブ・マーリーだったんじゃないかと。レゲエが南国の楽園音楽だと思っていた僕は、ボブ・マーリーの詞に注目してレゲエを聴き直して、まったく考えが変わりました。そして、聴いた人がその言葉の重さを軽く流さないで受け止めたら、世界はもうちょっといい方向に行くかも(^^)。ミュージシャンというより、民衆の支持を集めた現代の思想家だと思います。


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『Bob Marley & The Wailers / Survival』

Bob Marley_ Survival レゲエのカリスマのボブ・マーリーが1979年に発表したアルバムです。12枚目ぐらいになるのかな?悲しい事に、ボブ・マーレイの最後はもうすぐそこに迫っている頃です…。

 僕はこのアルバムをLPで持ってるんですが、LPの裏ジャケットには「BABYLON SYSTEM」なんて大きく書いてあります。マーリーの造語でしょうが、だいたいの意味は分かるような…。ラスタの思想の伝達者でもあったボブ・マーリーの宗教思想と政治思想のふたつが、まとまってきた時期なのかも。このアルバムに入ってる曲の歌詞って、ぜんぶ政治革命を扇動するような詩です。「ジンバブエに理想の国をうちたてる」(ジンバブエ)、「政府のお偉いさんたち、まだお互いにだまし合ってるのか」(トップランキング)、「アフリカは統一される」(アフリカ・ユナイト)、みたいな感じです。これって、中米の歴史や、世界トップクラスの政治腐敗地域の中南米の現状を知らないと、世迷いごとに聞こえちゃうんでしょうが、汚職に次ぐ汚職のラテンアメリカ世界で、なんでボブ・マーリーが神のように崇められて、また政争にも巻き込まれたのか、そこにはそれなりの理由があったんだろうなあ。

 このアルバム、マーレーのアルバムの中であんまり注目されていませんが、ブラス・セクションが入ったり、デジタルのシンセっぽい音が入ったり、なんと転調を含んでいる曲まであったりして(レゲエでは珍しい気がします)、音楽的にはマーリー&ウェイラーズのレコードの中でトップレベルの1枚じゃないかと。詞とは別に、僕がボブ・マーリーの曲でいちばん好きなのって、このアルバムの1曲目「So Much Trouble In The World」なんです。日本人にとってはピンとこない詞かも知れませんが、日本も実は似たようなバビロン・システムの上に成り立っている事を考えると、要は危機感の違い程度であって、馬鹿なままで搾取され続ける市民をアジテートする人がいてくれた方が、実は有り難いのかも知れませんね(^^)。


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『Bob Marley & The Wailers / Natty Dread』

Bob Marley_Natty Dread ウェイラーズが「ボブ・マーレイ&ザ・ウェイラーズ」になってから2枚目のアルバム、1974年発表です。ジャケットはダサいですが、「Lively up yourself」とか「No woman, no cry」といった有名曲がめじろ押しの、超名作だと思います。

 音楽は、そこまでオリジナル・ウェイラーズと変わった感じはしませんが、いちばん違うのは、オリジナル・ウェイラーズの分厚い男性コーラスが、リタ・マーリーを含んだ女性コーラスになった事かな?あと、『Burnin’』ではブンブンうなってたエレキ・ベースが、けっこう大人しくなってました。あと、このアルバムはオルガンが目立つかな?まあでも、僕程度のレゲエのニワカには、アルバムの個体差程度の感じでした。
 やっぱり聴いちゃうのは、曲じゃなくて詞。僕はボブ・マーリーをフォークロアかプロテスト・ソングとして聴いてるみたいです。

Natto dreadlock in a babylon
A dreadlock congo bongo I
Childeren get your culture and don’t stay there and gesture
俺はバビロンに生きるナッティ・ドレッド、ドレッド・ロックを振りかざす自由の戦士
子供達よ、自分の文化を学ぶんだ、とどまらず、真似るのではなく

(「Natty dread」)

 レゲエの背景にはラスタ思想があるなんて言われますが、僕はそれがどういうものかよく分かりません。でも、ボブ・マーリーの詞から感じるのは、搾取する権力体制や、文化的な侵略をするイギリスやアメリカという支配的な国に対する反抗心と現状の自覚でした。これって、ジャマイカだけの状態じゃないと思うんですよね。これが偏った言葉だと思ってる人は、歴史の勉強を自分でした事がない人でしょう。そして、そういう人が多数となっている限りは、普通選挙制度では状況は変えられないんですよね。現代史を自分で学んだことのある人や、「文化侵略」や「グローバリゼーション」が本当はどういう意味を持つ言葉なのかが分かってる人なら、ボブ・マーリーの言葉は笑えない政治的発言だと思います。レゲエだけでなく、カリプソなどなど、奴隷たちの土地だった中米には、こうした戦闘的なプロテスト・ソングが今でも息づいてるんですよね。素晴らしい文化だと思います。


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『The Wailers / Burnin’』

The Wailers Burnin’ ジャマイカの音楽レゲエ、僕は残念ながらなかなか触れる機会があまりないまま通り過ぎてしまって、あんまり聴いてません。ただ、ボブ・マーリーだけはすごく好きなんです。アホな理由なんですが、漫画『迷走王ボーダー』に影響されたもんでね(^^;)。これは1973年発表のウェイラーズの7枚目のアルバムで、ボブ・マーリー、ピーター・トッシュ、バニー・ウェイラーという、レゲエの偉い人3人が参加した「オリジナル・ウェイラーズ」なんて言われる編成の最後のアルバムです。

 ジャマイカなのに歌詞が英語なんだな、アイランドというレーベルに移籍して世界マーケットを狙ったからなのかな…な~んて思ってたんですが、ジャマイカは旧イギリス植民地なので、公用語が英語なんですね。そして、若い時は「ほんわかした音楽だな」と思ってたのに、齢を取ってから聴くほたびに、骨太なフォークロアだな、と思うようになっていったのでした。僕のレゲエ…というか、ボブ・マーリーのイメージというと、音楽は、エレキ・ベースがブンブンいってて、打楽器にティンバレスやラテン・パーッションの音が混じってて、コーラスが大事、みたいな。そして、詩が相当にプロテスト・ソングっぽいのも、すごく印象的でした。この詞を聴かないと、レゲエのイメージって180度変わっちゃう気がしてます。たとえば、このアルバムには、こんな詞が出てきます。

Most people think Great God will come from the skies
Take away everything, and make everybody feel high
But if you know what life is worth, You will look for yours on earth
And now you see the light
You stand up for your rights, Jah
ほとんどの人は、偉大な神が空から来て、すべての障害を取り除き、全員を幸福にしてくれると考えている
でももし、人生の価値が何であるかに気づいたら、この地上に自分を探そうとするだろう
いま、この光をお前は見た、お前の権利のために立ち上がれ

(「Get up, stand up」)

How many rivers do we have to cross,
Before we can talk to the boss? eh!
All that we got, it seems we have lost
We must have really paid the cost.
Burnin’ and a-lootin’ tonight
そのボスと話す為に、俺たちはどれぐらいの川を渡らなければならなかったろう
そのために俺たちはすべて失い、ものすごい支払いをしてきた
だから今夜、焼いて盗むのだ

(「Burnin’ and lootin’」)

 教会を作って反乱を統治するイギリスや白人のやり方にだまされないで、現実の権利を主張しろとか、搾取る為政者を燃やして奪えとか言ってます。これは、産業ロックとはまったく違う地平にあるプロテスト・ソングであって、ボブ・マーリーはこういう詞が多かったです。若い頃は、レゲエのほんわかした南国風のサウンドの印象だけで、お気楽極楽な音楽かと思ってたんです、僕。もしかすると他のレゲエはそうなのかも知れませんが、少なくともボブ・マーリーはまったく違う事に気づいたのは、20歳も過ぎた頃でした。

 このアルバムの後、バンドは「ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ」へと変わりますが、僕がいちばん好きなボブ・マーリー関係のアルバムは、これです。「Get Up, Stand Up」のほか、「I shot the sheriff」と、「Hallelujah time」「Burnin’ and lootin’」などなど、名曲ぞろい。僕は、オリジナル・ウェイラーズのアルバムはこれしか聴いてませんが、「オリジナル・ウェイラーズがいい!」という人の言葉は本当かも。いつか機会があったら、遡って聴いてみたいと思ってるんですが、そう思ったままもう何十年も経ってしまったなあ(^^;)。


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映画『ビバリーヒルズ・コップ』 エディ・マーフィー主演

Beverly Hills Cop エディ・マーフィー主演の刑事ものアクション・コメディ映画、僕的にはこれがエディ・マーフィー最高傑作です!!1984年制作、僕はリアルタイムでこの映画を観たんですが、最初に見た時に感じた面白さったらなかった!映画を観終わった後にマクドナルドに入って、一緒に観た友人たちと、ずっと面白かった所を語って笑い転げてました(^^)。まだレンタルビデオ屋すらあんまりない頃で、映画は映画館に行くか、金曜ロードショーなんかのテレビ放映に頼っている頃。観たい時に観たいものを観れるものじゃなかったんです。それだけに、この映画や「ランボー」など、小学校高学年から中学にかけて観た映画は、思い出に残ってるものが多いです。

 素行の悪いデトロイトのアフリカンアメリカンの刑事アクセル(エディ・マーフィー)は、かつての悪友の来訪に喜びますが、彼が殺されてしまいます。アクセルは真相を探るべく、セレブで品のいい白人ばかりのビバリーヒルズに潜入!事件解明に取り組みます。

 ストーリーは面白くって先が見たくなるし、かといって数分おきに笑いが挟まれるので、疲れないしテンポが良くっていいです!エディ・マーフィーってもともとトーク番組でマシンガントークをするコメディアンだったそうですが、この映画でもその実力はいかんなく発揮されていて、ある事ない事ごっちゃにしてものスゴいスピードで話して相手を言いくるめるその様は、一度は観ておきたい名人芸(^^)。話術だけで高級ホテルにまんまと泊まってしまうそのテクニックもスゴイ。あと、要所に挟まれるコメディなエピソードも楽しいです。自分を監視してる刑事をユーモラスに巻くところや、弱気で消極的だったビバリーヒルズの若手刑事が、黒幕のいる大豪邸に入った途端いきなりやる気満々になっちゃうところとか、最高でした。

 僕にとっての楽しい80年代は、音楽より映画の感慨の方が大きいかも。エディ・マーフィー最高傑作のコメディアクション映画は、80年代のハリウッド娯楽映画の大傑作でもあります。これは超がつくほどおすすめ!


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映画『大逆転』 エディ・マーフィー出演

Daigyakuten.jpg 1983年制作のアメリカ映画で、「48時間」に次ぐエディ・マーフィー映画出演第2作です!とはいえ、エディ・マーフィーは48時間と同じように準主役です。アメリカの映画産業でアフリカンアメリカンが主役を張るのは、昔になればなるほど、やっぱり大変だったんでしょうね。。

 先物取引を手掛ける資産家の兄弟が賭けをして、エリート白人ビジネスマン(ダン・エイクロイド)と、頭はいいけど黒人のルンペン(エディ・マーフィー)を入れ替えます。エリート・ビジネスマンはあっという間に転落の人生、一方でルンペンはものすごい相場感を発揮して会社に莫大な利益をもたらします。この結果を確認して賭けが終わった資産家兄弟は、ふたりを元の立場に戻そうとしますが、その事を知ったビジネスマンとルンペンは資産家に一杯喰わせようとたくらみ…

 金にものを言わせて自分たちをおもちゃのように扱った資産家に、知恵を絞ってひとあわ吹かせる痛快さ、最高でした!また、その大逆転のトリックの見事さは、映画「スティング」に次ぐといってもいいほどの出来栄え(いや、それは言いすぎか^^;)で、子どものころの僕は「おおおお~っ!!!」と思って超興奮(^^)。娯楽映画として超おすすめ!

 個人的な話なんですが、洋画と言ったって「スーパーマン」とか「燃えよドラゴン」みたいな映画しか見てなかった子供の頃の僕は、この映画を観たあたりから、ちょっと大人の映画を好むようになってきました。大人の文化に魅せられたんですよね。大人な映画と言ったって、名画やアートフィルムやヨーロッパ映画なんてまだまだ先の話、せいぜいハリウッド娯楽映画どまりだったんですが、今思い返すと、80年代の娯楽系のハリウッド映画を観ていた頃が、映画を一番楽しく見ていた頃なのかも。音楽を聴いていて一番楽しかったのが、ハードロックやプログレやサイケなどなど、自分が知らない音楽で、しかも分かりやすいものに次から次に触れていた時期が一番楽しかった事に似ています。娯楽映画と言ってしまえばそれまでですが、「面白いな」と胸をときめかせた映画って、小学校高学年から中学生のころに観た、70年代後半から80年代中ごろのハリウッド映画に集中しています。自分が子どもから大人になっていく時期だった事が大きいのでしょうが、今見ても楽しい映画でした!80年代のエディ・マーフィー最高です!


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映画『48時間Part2 帰ってきたふたり』 エディ・マーフィー、ニック・ノルティ主演

48hrs2.jpg エディ・マーフィーの映画デビュー作となった「48時間」の続編です!続編と言いつつ制作は1990年、なんと前作から8年も後に作られてます。

 前作で、犯罪の捜査協力をした囚人(エディ・マーフィー)が、犯罪組織のボスであるスノーマンが雇った暴走族の殺し屋たちから命を狙われます。暴走族の殺し屋のひとりは、前作で主人公の刑事(ニック・ノルティ)に兄を殺された男で、復讐のために彼は刑事も標的にします。刑事はスノーマンのグループの取引現場を押さえ、そこで正当防衛で銃を撃ち返して犯人を射殺したものの、その後の現場検証で相手の銃が出て来ず、停職処分の判決待ちに追い込まれます。判決が下りるまで48時間。刑事と囚人はまたしても協力して、殺し屋たちと謎のボス・スノーマンの逮捕に全力を尽くします。

 前作より面白かった!!前作と同じように、心にグッとくる義侠心あふれるシーンも有り、前作ではあまりひねりがなかったストーリーにひねりが加わり、スノーマンの正体がまったく意外な人物。二転三転する終盤は目が離せませんでした(^^)。

 エディ・マーフィーは『大逆転』に『ビバリーヒルズ・コップ』とヒット作を連発して超人気映画スターになっていましたが、この48時間の続編がつくられるあたりになると、人気にも陰りが見え始めていました。僕自身も、エディ・マーフィーの映画に飽きが来ていて、あんまり期待してなかったんです。1作目がなかなか良かったから、惰性で観た感じだったんです。ところが面白かった!!エディ・マーフィー主演映画にしてはめずらしくコメディ色が薄いですが、1作目が楽しめた方なら、こちらも間違いなく楽しめると思います!


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映画『48時間』 ニック・ノルティ、エディ・マーフィー主演

48hrs.jpg 1982年制作の刑事ものアメリカ映画、エディ・マーフィーの映画デビュー作です!僕にとってのエディ・マーフィー最高傑作は「ビバリーヒルズ・コップ」ですが、この映画もなかなか面白かった!!

 話は単純。凶悪な囚人が仲間の協力を得て脱獄。この囚人、逃亡中に刑事二人を射殺します。仲間を殺された刑事(ニック・ノルティ)は、この凶悪犯を逮捕する為、かつてこの凶悪犯の仲間で、今は刑務所に入っている男(エディ・マーフィー)を48時間だけ保釈し、情報を得ながら逮捕を目指します。

 エディ・マーフィーの映画なのでコメディタッチかと思いきや、基本は硬派な刑事ものでした。ストーリーもかなりシンプルで、どんでん返しもありません。それなのに面白いと思った一番の原因は、最後の最後でニック・ノルティがエディ・マーフィーと交わす会話が良かったからなんじゃないかと。これがめっちゃくちゃハードボイルド、心に刺さりました。貧乏で汗臭い刑事なのに、義侠心と正義感に溢れたセリフ…これがギャップ萌えというやつか、グッと来てしまいました(^^)。また、そのセリフを聞いたエディ・マーフィーの表情も良かったです。心を動かされたって感じで、これはいい芝居でした。

 70年代の刑事もの映画って、テレビドラマみたいなものも多かったです。この映画は80年代の映画でしたが、匂いは70年代のアメリカの刑事ドラマみたい、テレビ番組を見ているようでした。大作ではないし、シンプルなので何度も見るような映画ではないかも知れませんが、見終わった後に、なんともいい感慨が残った良質な小品でした!


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『ストラヴィンスキー:ディヴェルティメント プロコフィエフ:ヴァイオリンソナタ第2番 ラヴェル:ヴァイオリンソナタ ムローヴァ(vln)、カニーノ(p)』

Stravinsky Divertimento_Prokofiev Sonata2_Mullova Canino プロコフィエフのヴァイオリンソナタの伴奏をするため、もうひとつ参考にしたCDがありまして、それがこれ。ロシア出身の女流ヴァイオリニストのムローヴァさんは、僕の好きなヴァイオリニストのひとりです。このCDなら、ピアニストはムローヴァさんの伴奏みたいに演奏するんじゃないかと思ったのです。アルゲリッチのピアノは伴奏なんてものじゃなかったのでね(゚∀゚*)エヘヘ。。そして、このプロコフィエフがめっちゃくちゃ良かった!!

 ストラヴィンスキーのディヴェルティメント。もともとはバレエ音楽「妖精の口づけ」を管弦楽組曲化したもので、これはさらにヴァイオリン&ピアノ編成に直したもの。ストラヴィンスキーって、どの曲も色んな編成にアレンジし直します。ストラヴィンスキーの曲を演奏した時に権利の処理がちょっと面倒になった事がありまして、その時に「他の人のアレンジは絶対に許されなくて、権利を持ってる財団がまためんどくさくて…」な~んて話をきいた事があります。この曲は「春の祭典」みたいにドカ~ンと来る曲じゃなくって、軽めでルンルンな雰囲気の曲。

 ラヴェルのヴァイオリンソナタ。これはいい!!ラヴェルは室内楽ソナタを何曲か書いてますが、ヴァイオリンとピアノ編成のものは意外にもこの1曲しか書いてないみたい。これがラヴェルらしい響きを持ったメッチャいい曲。ある意味でラヴェルよりもう少し後のプーランクあたりが書いていてもおかしくなさそうな、軽くて都会的な感じがいいです(^^)。

 プロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ第2番。これが驚きで、クレーメル&アルゲリッチの演奏だと激情のロマン派音楽のようだったのに、こっちの演奏だとまるでフランスのサロン音楽みたい。いや~プレイや録音が違うとこうも変わるものなんですね。僕は演奏というものは基本的にエスプレシーヴォであればあるほど好きだし、クレーメル&アルゲリッチの演奏はすべてと言ってもいいほど好きなんですが、プロコのヴァイオリンソナタ2番に関しては、ムローヴァ&カニーノの小粋に歌うぐらいの演奏の方が合ってる気がします。う~んいい曲いい演奏だ。。

 ムローヴァさん、旧ソ連から亡命するために、外国を演奏旅行中にタクシーで国境を越えて共産圏を脱出、さらにそこで政治的庇護を受けるために何日も潜んだという、ゴルゴ13の話にありそうなほどのドラマチックな亡命をした人です。そんな命がけの事を決行した人なのに、ここでの演奏は節度を保った知的な感じ。人間性と演奏ってのは、別物なのかも知れません。別の言い方をすると、曲によって自分を変えられるほどプロフェッショナルなのかも。これはおすすめの1枚!


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『プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第1~2番、ヴァイオリンとピアノのための5つのメロディ クレーメル(vln)、アルゲリッチ(p)』

Prokofiev_ViolinSonata_Kremer Arerich なんだかんだ言いつつ、プロコフィエフの作品で僕が人生で一番たくさん聴いたのって、2曲のヴァイオリンソナタかも知れません。聴いたどころか、ヴァイオリニストに付き合わされて演奏したこともありますしね(^^;)。これがプロコフィエフの作品の中ではかなり魂の入った熱い曲でして、20世紀初頭のロシアとかプロコフィエフとか考えずにロマン派ど真ん中の曲を演奏する心づもりでメッチャ情感こめて演奏するとカッコよくなるのです。この曲を練習する時に手本にした演奏のひとつがこれ、クレーメルとアルゲリッチによる、言わずと知れた大名盤です。クレーメルも凄いですが、アルゲリッチがすげえ!

 冒頭の「ヴァイオリン・ソナタ1番」が強烈!曲も素晴らしいですが、アルゲリッチの演奏がすごい!ヴァイオリンソナタなのに、僕はクレーメルじゃなくてピアノのアルゲリッチばかり聴いてしまいました。特に最後の4楽章のアルゲリッチのピアノ、聴いていて震えてしまった。。世間的には2番の評価が高いようですが、僕的には技法も煮えたぎるような抒情も1番の方が好きです。

 「ヴァイオリンとピアノのための5つのメロディ」、これは曲が面白いです。第2曲と第4曲に舞曲風の曲が入ってますが、ストラヴィンスキーにもこんな感じの曲があったな…ロシアにはこういう舞曲があるんでしょうか。そして第5曲は思いっきりドビュッシー。というわけで、ストラヴィンスキーとドビュッシーと後期ロマン派が混じったような色彩感豊かな音楽、これはいい!そしてこれも演奏がすごい。いやあ、クレーメルとアルゲリッチのデュオは凄すぎるわ。。

 ヴァイオリンソナタ第2番ニ長調、これも「ロマン派音楽」としていい作品。3楽章のアンダンテは情熱的でゾクッと来ます…が、2楽章のスケルツォはちょっと冗長に感じるし、1楽章のモチーフも普通かな(^^;)。2番が劇的でいいなんて言う人もいますが、実は2番はかわいらしくまとめた方がぜんぜんよくなるというのを、僕はムローヴァさんの演奏で知る事になったんですが、それはそのうちにまた書きます(^^)。

 音楽って、曲も大事ですが演奏がどれだけ重要かということを思い知らされます。背筋がゾクッとして、鳥肌立ってしまいました。あまりに凄すぎて僕的なプロコのヴァイオリンソナタ1番はクレーメル&アルゲリッチということになってしまっています。これは声を大にして人に薦めたい1枚!


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『プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ラヴェル:ピアノ協奏曲ト短調 アルゲリッチ(p)、アバド指揮、ベルリンフィル』

Prokofiev_PianoCon3_Ravel PianoCon_argerich abbado berlinPhil プロコフィエフのピアノ協奏曲でいちばん有名と思われるのがこの3番です。中でも、この曲を弾き倒してるのがアルゲリッチ一気に駆け抜ける感じ、全盛期のアルゲリッチはマジでカッコいい!

 とはいうものの…20世紀の音楽家らしい音をプロコフィエフに求めてしまう僕は、やっぱりこのピアノ協奏曲3番も思いっきり保守でダメでした(^^;)。全音階的なものを使おうが何しようが、機能和声で統制した音楽の一部としての使用だし、なによりエスプレッシーヴォに音楽をまとめるところが古典~ロマン~新古典というクラシック王道の範囲なのでね。
 もう1曲入っているラヴェル「ピアノ協奏曲ト短調」ですが…これはいつぞや紹介したCDとまったく同じ録音。ピアノ協奏曲のLPって、違う作曲家のものをAB面にカップリングする習慣がありますが、これってなんでなんでしょうかね?それにしてもクラシックのレーベルの、こういう同じ録音を曲の組み合わせを変えて売る商売、やめて欲しい。うちに帰って聴いて、「あ、この演奏きいた事あるな」と初めて気づきました。自分が持ってるCDの録音が何年の録音なのかなんて、いちいち覚えていられないよ(´_`。) 。。

 というわけで、評論家さんがプロコフィエフの代表作として紹介されているような曲は、僕はみんな駄目。まあこれはクラシックあるあるで、ハイドンやベートーヴェンが神様でクラシックの王道だと思ってる評論家さんは、20世紀初頭に色んな様式の曲を書いた作曲家の作品は、保守的な曲を書いたら傑作で、先鋭的な事をやったらイマイチにされちゃうんですよね。バルトークの代表作に「管弦楽のための協奏曲」を挙げたり、メシアンの代表作に「トゥーランガリラ交響曲」を挙げる評論家が今もいるんですからね。というわけで、僕がプロコフィエフの作品で素晴らしいと思ったものに出会うのは、もう少し先なのでした(^^;)。。


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『プロコフィエフ:交響曲 第1番《古典》、第5番 レヴァイン指揮、シカゴ響』

Prokofiev_Symphony1 5_Levine ロシアの作曲家プロコフィエフの交響曲を収めたCDです。演奏はレヴァイン指揮のシカゴ交響楽団。レヴァインさんはウィーン・フィルと組んで演奏したブラームスの交響曲第1番の演奏が素晴らしくて、それ以来ファンなのです…が、2018年にセクハラで訴えられてしまいましたね(^^;)。まあどう見ても精力的な人ですしね。。

 プロコフィエフは、私の中では好きになるのに時間がかかった人でした。というのは、僕がプロコフィエフに興味を持ったのは、「難解」「急進的」な~んて言われてたから。しかも20世紀の作曲家だし、新古典以降の人は、ザ・現代音楽あたりの音楽を期待してたんです。ところが聴いてみると、思いっきり保守。このCDに入っている2曲の交響曲はその典型でした。

 交響曲第1番は、作曲家自身がタイトルにつけたように、古典派を意識したような音楽。なにも第3楽章を舞曲にするところまで模倣しなくてもいいのにね、しかも曲想までウィーン古典派っぽいし(^^;)。この曲、第4楽章が追いかけっこみたいで面白いです。このへんはハイドンを意識してるのかも。一方、1944年に書かれた交響曲5番は、プロコフィエフの人気作のひとつです。これも1番同様にちょっと保守的な作品で、こちらはロマン派を意識したような音楽。

 判断が難しいのは、プロコフィエフがロシアの作曲家だという点です。ソ連時代のロシアの作曲家って、先鋭的になると政治的に抹殺されるので(実際、留学した後にソ連にのこのこ帰って来たプロコさんは、かなり痛い目を見てしまった)、こういう曲がプロコフィエフが書きたかった音楽なのかどうか、判断がつきません。プロコフィエフって、ロシアから離れた途端に先鋭的な曲を書いたりしますし。ただ、この2曲がプロコフィエフの本意であったかどうかに関係なく、シンフォニー作家としての技術はメッチャ高く感じました。和声の処理とかすごくすっきりしていて、不要な音がまるでない、みたいな。これはコントラストが強くてチャキチャキ進むレヴァインの棒&オケの切れ味の良さも、そう聴こえる要因になったかも。ただ、「新古典でもロマンでも現代曲でもなんでも書けるよ」みたいなのって、じゃあお前は何がやりたいんだという気がしなくもないです(*゚∀゚*)アハハ。


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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
intoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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