
このCDに入っている
「ミサ・アヴェ・レジーナ・チェロールム」は、デュファイ最高傑作の呼び声高いミサ曲です。そして…
なんだこの素晴らしさは?!鳥肌が立ってしまったよ…。ミサ曲ってどこか形式的なものを感じる事が多いんですが、このミサ曲はあまりの素晴らしさにそんな事を感じる間もないまま一気に聴いてしまいました(^^)。僕が聴いたものは、ミサ曲の5つの楽章の間に、イントロとかアレルヤとかが挟まれていて、全9章になっていました。そして、間に挟まれるものはすべてグレゴリオ聖歌からの引用。
デュファイのミサ曲は7~10曲ほどあると言われていて、僕はその中の3曲を聴いた事がありますが、どれも甲乙つけがたい素晴らしさ。そんな中で、この「アヴェ・レジーナ・チェロールム」の特徴をひとつ挙げるとすると、和声のサクセションのカッコよさです。ミサ曲って、「キリエ」「グロリア」「クレド」…と5つの章から出来ていますが、
この曲の「グロリア」は、なんと曲中で現代でいう短調に一瞬転調します。いやあ、こんなミサ曲きいた事ないよ…。そして、ここのよじれる感じがゾクゾクでした(^^)。そして長調に戻って、最後が「アーメン」。いやあ、これはしびれた。。
同じような長→短→長というよじれは「クレド」にも出てきます。う~んなるほど、この和声的な色彩感覚がブルゴーニュ楽派の特徴なのかも。同じブルゴーニュ楽派のダンスタブルも思いっきり3度や6度を使ってましたし。ただ、ルネサンス末期の
モンテヴェルディあたりになると、同じような和声的な色彩を鮮やかに感じつつ、今の音楽みたいなドミナントも感じますが、この音楽はあんまりドミナントは感じません。そういうわけで、今の調組織とはちょっと違う考えなのかも知れません。今の時代の僕的は、逆に「おおお、なんだこれカッコいい!!新しい!」って思ってしまいました。
ちなみに、
「アヴェ・レジーナ・チェロールム」は、ローマ・カトリック教会の聖務日課に入っています。聖務日課というのは、カトリックの聖職者に日課として定められている神への祈りで、朝から寝るまでの決められた時間に祈りが決まってるみたいです。ある時間は朗読、ある時間は詩篇唱和、ある時間は賛歌だったりするらしいんですが、1日の最後に「結び」というのがあって、そこで歌われるのが「聖母賛歌」。これは4曲が指定されていてどれを歌っても良いらしいのですが、そのうちのひとつに「アヴェ・レジーナ・チェロールム」というのがあります。とはいえ、「アヴェ・レジーナ・チェロールム」って、デュファイだけじゃなくて、トマス・ヴィクトリアとか他の作曲家も書いてるし、あくまでこの詩歌を使ってれば何でもいいんですかね?それとも、誰の曲とか関係なしに「アヴェ・レジーナ・チェロールム」という詩句が聖書かグレゴリオ聖歌の中にあるんでしょうか。聖務日課でミサを歌うとも、ミサ曲全曲を歌うとも思えませんし…この疑問はいまだに分からないままです。こんなの、聖職についている方に訊けば一瞬で分かる事なんでしょうね(^^;)。。
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