アルト・サックスのアーサー・ブライスも70年代後半のNYロフト・ジャズのサックス奏者で、彼もまたデヴィッド・マレイやハミエット・ブルイエットが参加したワールド・サクソフォン・カルテットに参加していたみたいです。ここしばらくワールド・サクソフォン・カルテット絡みのプレイヤーを紹介してますが、実はこのカルテットの演奏をよく聴いてませんで、大昔に1度聴いた時に「つまらねえな」と思った記憶がうっすらあるだけ(^^;)。まあでもそれって、このサックスQ以前に、サックス4本のアンサンブルというフォーマット自体に面白みを感じなかったという事なんでしょうね。そうそう、このアルバム、70年代後半のNYロフト・ジャズの名盤と言われているライブ盤です!メンバーは、Arthur Blythe (asax)、Ahmed Abdullah (tp)、Bob Stewart (tuba)、Abdul Wadud (cello)、Steve Reid (dr)、Muhamad Abdullah (per)。
おお、どう聴いてもデヴィッド・マレイよりうまい!やっぱり、有名無名や人気と実力は別物ですね。。 そして音楽が不穏な感じでいい!音楽は、初期のアンソニー・ブラクストン『3 Compositions of New Jazz』とかCCC とか、あるいはアーチー・シェップの『Fire Music』みたいな感じで、あやしい音がアンサンブルする所と集団即興の織り交じったような、あんな感じでした。いいですね~このヤバい感じ(^^)。また、作曲や編成にも工夫があって、常にセクステットの演奏となるわけでもなくて、曲によって出入りもあるし、曲中でも抜き差し自在。曲でいえば「Lower Nile」はコンディミっぽい音階がメインになっていて、なるほどタイトル通りエジプトの古典音楽っぽい雰囲気がありました。このへんは、アフリカ系アメリカ人のアフリカ志向と関係があるのかな?エンターテイメントなシャレオツなジャズじゃなくて、ただ即興してるだけというのでもなくて、主張する黒人音楽という感じがよかった、実に面白いレコードでした。アート・アンサンブル・オブ・シカゴやアンソニー・ブラクストンほどキレッキレのうまさはないけど、逆に泥臭い感じが雰囲気を出したとも言えそうです(^^)。聴きようによっては民族音楽的にも感じますしね。