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心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

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『RACER X / Technical Difficulties』

RACER X Technical Difficulties ポール・ギルバート擁するレーサーXが復活した時のアルバム、1999年リリースです。ポール・ギルバートは馬鹿テクベーシストのビリー・シーンも参加していたMR.BIG という普通っぽいロックバンドも作ってましたが、僕はギター弾きまくりのRACER X の方が好きでした(^^)。

 おお~これはMR.BIG と違ってタッピングしまくり、ザクザクとカッティングしまくり、弾きまくり、やっぱりメッチャうまい!ギターだけでなく、ツーバスのドコドコいうドラムもいい!80年代がロックのリアルタイムだった僕には、やっぱりイングウェイ・マルムスティーンやポール・ギルバートは無条件に燃えてしまいます(^^)。イングウェイにはモードを使ったスケールの曲がいくつかあって、メタルでそれをやるとポール・ギルバートが弾いてもイングウェイに聴こえるという新たな発見も(^^)。ホールトーンでインプロヴィゼーションすると色が強すぎて誰がやってもキング・クリムゾンになっちゃうのと似てるのかな…似てないな。。そして、さすが90年代、80年代のひどい録音だったレーサーX のデビュー作と違って、録音がめっちゃくちゃいいです(^^)。

 ただ、解散前のレーサーXに比べると曲調がかなりポップになっていて、それが僕の趣味と少しずれてました。もっとハードにザクザク行ってほしかったという事なのか、やっぱり卒業した音楽という事なのか…。何で僕はこういうポップさにもの足りなさを覚えてしまうのかを考えてみたんですが、こういうポップさって娯楽以上の所に行けないからかも。パッと聴いてどう感じるかだけでやった音楽に聴こえてしまうんですよね。なんで「パッと聴いてよければいい」になるかというと、この疑問自体が「なんでそんなこと考えるの?」と言われてもおかしくないぐらい自明な事になっているのかも。アメリカ社会が持っている享楽志向というか、内容より費用対効果を優先するファーストフード文化というか、15秒のCMや偏向したTVニュースの印象だけでものを判断しちゃうような、自分で考える事すら放棄するようになったアメリカのマインドが現代の資本主義陣営の市民の思考様式に食い込みすぎてしまっていて、それが音楽にまで形となっていて…もうこれはレーサーXの感想じゃないな(^^;)。。あ、最後に書いた事は「だからダメ」というんじゃなくて、ポップを志向するマインドがどこにあるのかを想像してみただけです。ほら、ロシアの文学とか映画とか音楽って対照的で、パッと見はかなり退屈に感じるけど、問い続けてるものが内容そのものみたいな所あるじゃないですか。その逆の価値観なんだな、みたいな。

 技術的にすごくよく出来ているので、このアルバムを若い時に体験できていたら相当に感動出来たんじゃないかと。ロックもここまで来たのかというぐらい、演奏がうまかったっす!


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『RACER X / STREET LETHAL』

RACER X STREET LETHAL これもLAメタルに入るのかな?でも、あんまりLAメタルっぽくなくて、ライトハンドのギターを始め超絶プレイが売りのバンドでした。ドッケンがジョージ・リンチのギター速弾きに痺れたバンドなら、レーサーXはポール・ギルバートの速弾きに痺れた!レーサーXでいちばん好きなアルバムはライブ盤「LIVE EXTREME VOLUME 」なんですが、あれにシビれて買ったスタジオ盤がこのデビュー作でした。買う時は躊躇したんです。HR/HM系にありがちな幼稚なジャケット絵が嫌でね(^^;)。そして、まるでマッハGo!Go!Go! みたいなバンド名だなと思ってたんですが…本当にそこからバンド名をつけたらしいです。ああ、調べなきゃよかったよ。。

 1曲目は、ポール・ギルバートのギターの速弾きだけを聴かせる曲!う~ん、セールスポイント分かってるな(^^)。2曲目はレーサーX の代表曲のひとつ「Street Rethal」、ザクザクいうイントロが始まっただけでカッコよかった!これぞ80年代のメタル、ギターを聴くためにすべてがある音楽なので、ヴォーカルのピッチがフラフラなのなんて聴かなければ良いのです(^^)。。

 このアルバム、音はリヴァーブがワンワンして冴えなくってあんまり好きじゃなかったけど、それ以外はカッコよかったです。80年代のメタルの様式をすべて守った上でいい物作れと言われたら、こんな感じになるのかも。いま聴いたら、曲はみんなそっくりだし、和声なんてないに等しいので飽きが来るのが早かったですが、メタルの良さってそこじゃない。ドラムとギターだけ聴いてぶっ飛ぶのだ!そういうい聞き方をすると、今でも幸せになれました(^^)。


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『Dokken / Under Lock And Key』

Dokken Under Lock And Key 高校時代、LAメタルのドッケンの「Back for the attack」というアルバムのA面がカッコいいとはしゃいだ僕をみて、友人が貸してくれたのがこのアルバムでした。1985年発表、相変わらずジャケットがダセえ(^^;)。ファッションも恥かしく見えて、ロック好きの友人関係の中で「メタルって音楽はいいけどジャケットやファッションのセンスはガキくせえよな」な~んてよく話してました。「周りにメタル好きとか知られないようにしないとな」、みたいな(゚∀゚*)。

 曲がちょっと残念で、これはロックに見えて実はポップスな方面のLAメタルでした。次の「Back for the attack」みたいな工夫はなく、どれも歌謡形式なもんで退屈…ところがギターがうまい!ギターが出てくるのは間奏部分とそれ以降のオブリ部分なので、どの曲も最初の1分ぐらい飛ばしてギターソロから聴いてました(^^;)、だって退屈なんだもん。

 70年代後半からのメタルって、ジャズでいうハードバップみたいなもんで、かなりプレイヤー目線な音楽だったと感じます。いい曲を書こうと思ってないわけじゃないんでしょうが、そこから発展する努力は作曲じゃなくてプレイに充てられるんでしょうね。だから、ものすごい月並みな曲を書いても、本人たちは一向に気にしていない、月並みとすら思っていない、みたいな。そのへんがいかにも現代アメリカ的で、食べ物も着る服もみんな大量生産品で、ほとんど同じものの中でのちょっとの違いを楽しむ、みたいな感じ。作曲やアレンジに神経使えたら、もう少しいい音楽になったと思うんだけどな。既製品の枠の中でプロフェッショナルな仕事を目指している所は、いかにも80年代以降のアメリカ的なメンタリティだと思いました。でも…ギターすげえ!


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『Dokken / Back for the attack』

Dokken Back for the attack 大流行した時期が青春時代とかぶるもんで、メタルが好きでした、そんなに詳しくないし、けっこう短期間で通り過ぎちゃったけど、今でもメタル聴きたい病になる時があります(^^)。中学高校時代の仲間うちで80年代のメタルは、ギターのための音楽という事になってました。速弾きが売りのギタリストを抱えているメタルのバンドは、友人の誰かが絶対にアルバムを買っているので、いずれ自分にも回ってくるシステムになってまして、このアルバムもそうして回ってきた1枚でした。ドッケンは、ドン・ドッケンというヴォーカリストの名前を冠したバンドだったのに、僕たちのお目当てはライトハンドで弾きまくるギターヒーローのジョージ・リンチだったのです。ごめんねドン・ドッケン(^^)。

 LAのバンドらしく曲もアレンジもポップですが、転調の挟み方がいいです。作曲家じゃなくていかにもプレイヤーが作ったような曲で、こういう演奏本意な曲作りって、「演奏がすべて、あとは大体でいい」みたいな主張に思えて、僕は好き(^^)。ジャズでいうと、ジャイアント・ステップス前後のジョン・コルトレーンの曲とかがそうじゃないですか、きれいな和声進行とか巧みなカウンターラインとか一切なくて、ひたすら熱い演奏のためだけにある、みたいな。聴きどころはこうやって作った曲の上でどこまでギターをカッコよく弾けるか、ここに尽きます(^^)。そのギターがめっちゃうまい、うまいぞ。メタル好きな友人が僕に教えてくれたメタルのギタリストは、イングウェイ・マルムスティーンもジョージ・リンチもポール・ギルバートも、みんなうまかったなあ。ギターのためだけにあるようなインスト曲「Mr Scary」が、途中でスーパーマリオのタイムアップ間際のBGMみたいになるのは狙ってますよね(^^;)。

 アレンジやサウンドメイクは、アレンジャーやエンジニアに丸投げして仕上げてもらってるんでしょうね。そういう意味でいうと、80年代のメタルって、半分はプレイヤーで半分はアレンジャーとエンジニアが作ったものなんじゃないかと。そういう意味で、産業音楽だと思います。速弾き系のメタルのアルバムの中で、イングウェイ・マルムスティーンの「トリロジー」、レーサーXの「Live Extreme Volume」に並んで好きな1枚です。しかしメタルのガキくさいジャケットデザインってどうにかならないもんだろうか…まあ作ってる方も聴く方も若かったんだから仕方ないのかな、若い頃を懐かしく思い出した音楽でした!


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『齋藤徹 / Tetsu Plays Piazzolla』

SaitoTetsu_Tetsu plays Piazzolla 齋藤徹さんの作ったタンゴ・ユニット、90年の録音です。90年という時代が実に象徴的で、日本はピアソラ・ブーム真っただ中でした。僕もそのころにピアソラに嵌まりしまして、その流れで手を出した1枚でした。小松亮太さんがソニーからデビューする8年前です。

 メンバーが齋藤徹(b)、廣木光一(eg)、吉野弘志(b)、田辺義博(bn)、古澤良治郎(perc)。廣木さんにしろ吉野さんにしろ、タンゴ本職のミュージシャンじゃないですよね?齋藤さんなんて、当時はどちらかというジャズ~フリージャズ系の人という印象でしたし。要するに、この時代にピアソラに食いついていたのは、ミュージシャンにせよファンにせよ、ラテン音楽界隈の人よりジャズとか、そっち系の人だったという事かも。最初に聴いた時の印象は、ジャズやボッサなんかのポピュラー音楽のうまい人たちがタンゴ研究をしている、みたいな感じでした。形式はタンゴっぽいんですが、リズムがぜんぜんタンゴじゃねえ、みたいな。でもそれが悪いかというと、確かに「乗らねえな」みたいなマイナス方面の作用もあったかも知れないけど、えらくアングラで怪しいムード満載で妙な魅力があって、またピアソラがやたらと知的な音楽に聴こえもしました。ピアソラ自体が、フーガとかコラールとか、かなりクラシックを意識した音楽家でしたしね。そうそう、ピアソラはいつか紹介したナディア・ブーランジェに音楽を習ったひとりです。

 90年代後半、日本のタンゴは小松亮太さんとか北村聡さんみたいな、タンゴを専門とした超絶なプレイヤーが続々と出てきて大きく変わっていった印象。これはその誕生前夜にあった妖しい地下音楽の実験、みたいな風に聴こえていました。のちの活動を見ると、齋藤さんはジャズとかタンゴというある特定のジャンルの音楽にこだわるというより、色々な音楽を渡り歩きながららせん状にのぼって行くようなミュージシャンと思うので、これはそのなかの青春の1ページという感じだったんじゃないかと。小松さんやモサリーニやアグリがピアソラを演奏すると、ピアソラと同じ方向を向いているように感じるんですが、これはピアソラをやってはいるんだけどピアソラじゃないみたいな、妖しい魅力のある音楽でした。


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『齋藤徹 / TRAVESSIA』

SaitoTetsu_Travessia.jpg 実は齋藤徹さんの音楽は、2000年ごろを最後にしばらく離れていました。別に嫌いになったわけじゃないけど手に入りにくいし、離れている間にいつしか疎遠になっていた、みたいな感覚。それが最近になってまた聴くようになったのは、JazzTokyo というジャズのネットマガジンですごいライブがあったという記事を読み、後にその時の演奏がCD化されたと知ったから。それがこのCDで、2016年のコントラバス・ソロです。

 タンゴのピアソラ、ショーロのピシンギーニャ、ジャズのミンガス、バロックのバッハ、そしてオリジナル。ついでにコントラバス独奏というわけで、むかし聴いた『コントラバヘアンド』とほとんど同じコンセプト。ところがこれがすごかった!15年の間にここまで遠くまで来てしまったのか、驚きました。齋藤さんは、若いころの演奏でも表現力はものすごいと思っていたんですが、リズムやピッチやアクセントといった基礎的なところがアレだな、と思ってたんです。それだって、リズムやらなにやらがしっかりしていてクソ面白くない演奏や選曲をしているクラシックの人なんかより全然素晴らしいと思ってたんですけど、でもこれは…いやあ、背筋が凍りつく感触、神がかった演奏に震えてしまいました楽器演奏というのはこうやって一生をかけて磨き上げていくものなんだな、と思わされました。本当にすごかった。

 リズムやピッチがアレだけど、表現力や超絶技巧が爆発的にすごい人だから、齋藤さんはフリージャズみたいなのが合うんだろうな、なんて思ってた時期があります。でも、そのフリージャズだってこういうバッハとか他の音楽なんかを丹念に探求しつづけたからインチキくさいデタラメなフリージャズにならなかったわけですよね。コントラバス奏者なら、コントラバスに物を挟んでのプリペアド・ベースとか、弓を2本同時に使っての演奏とか、いろんな超絶技巧の教科書にもなりそう。でもそんな事は僕にはどうでも良くて、演奏者が楽器と一体化したようなこの演奏はすごかった。でも、このCDの内側に集合写真がレイアウトされてたんですが、あのどっしりした体格だった齋藤さんの顔がげっそりやせ細っている…この時にはもうガンだったんじゃないでしょうか。もしかすると、音楽家としての自分の人生を総括するつもりで、このCDを作ったんじゃないかという気すらしました。これは、楽器の演奏表現というものがどれほどのものなのかをガツンと教えてくれたような、すごい演奏でした。とにかく入手しにくい1枚ですが、こういう演奏を聴いたことのない人だったら吹っ飛ばされること間違いなし、大推薦です。

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『齋藤徹 / コントラバヘアンド』

SaitoTetsu_Contrabajeando.jpg うちにあるコントラバスの齋藤徹さんのCDのひとつです。ソロ・コントラバスの演奏、2001年にギャラリーで演奏したもの、色々とすごいものが詰まっている演奏だと思います。

 演奏している曲が、タンゴのピアソラ、バロックのバッハ、ブラジルのナザレにバーデン・パウエル、そしてオリジナルと、ボーダーレス。それが、「どんな音楽も出来ますヨ」というテクニック自慢ではなく、えらく表現重視な演奏に聴こえて、なんというんでしょうか…当時はまだ音楽で食べてたもので、ものすごく憧れるものがありました。クラシックを演奏するとかジャズを演奏するとか、そういう事じゃなく、あらゆる音楽を統合して究極の音楽を作る、みたいな。出来るならそういう音楽をしたいと思っていたんですが、良くも悪くも僕は職業演奏家だったもんで、求められる音楽を演奏して日銭を稼ぐので精いっぱい。でもそれはミュージシャンではあってもアーティストじゃない。本当はアートな音楽をやりたいわけで、こういう活動を出来る技術も覚悟もすごいな…と、心から憧れました。当時、東京やパリやベルリンみたいな世界の大きな都市ではそういうミュージシャンがそれなりにいたように見えたんですが、関西ではぜんぜん。やる人も聴く人もいないし、やろうにも場所すらない…みたいな感じで、なんだかんだ言ってもやっぱり東京は関西と比較していいレベルじゃないほど進んでるな、と思ったものでした。

 このCD、ガリアーノというコントラバスの名器を使っての演奏らしく、それも売りのひとつみたい。でも、正直いって僕にはこの楽器のどの辺がすごいのかよく分かりませんでした。録音が長野のギャラリーで、エコーがいつまでも消えてくれないでボワンボワン、それで分かりにくいという事もあったかも。あと、ビートの強いタンゴやショーロを演奏するには、齋藤さんはリズムがちょっと…みたいに感じてしまったんですよね。というわけで、素晴らしいけどこれが齋藤さんのベストパフォーマンスではない、みたいな。でも、ジャケットに写っているように弓の二本使いとか、弓で演奏しつつ左手のピチカートを演奏するとか、超絶と言っていい演奏が随所に出てきて、きっとこの人は音楽ジャンルではなく、コントラバス特有の演奏技法からコントラバス音楽を再構築しようとしてるのかも、なんて思いました。それにしても、齋藤さんの死はかなりのショックです。日本で本当の音楽をやっている数少ないプレイヤーのひとりと思っていました。どうぞ、安らかに。


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齋藤徹さん、逝去

tetsuSaito.jpg うわああああマジか、コントラバスの齋藤徹さんが逝ってしまいました。逝ったのは5月18日、ガンだったそうです。今までいろんな人の訃報を書いてきましたが、その中で一番ショックかも知れない…。

 齋藤徹さんの初体験は、『ストーンアウト』という箏やジャズピアノとのアンサンブルのCD。最近だと、ジャズ東京で大きく取りあげられていた『TRAVESSIA』というコントラバスのソロアルバムあたりを聴いてぶっ飛んでました。なんだこれ、バッハもミンガスもピシンギーニャもオリジナルも演奏しちゃう、しかも形だけさらって「やりました」みたいなのじゃなくてとんでもない迫力。すげえ…みたいな。高柳昌行さんのグループに参加していた事もあるらしく、録音があるならいつか聴いてみたいと思っていたところでの訃報でした。

 ジャズ、クラシック、フリーインプロヴィゼーション、タンゴ、オリジナルなどなど、コントラバス音楽ならなんでも演奏してしまうコントラバス道をひた走る超硬派な知られざる超実力者、みたいな印象。まだ死ぬような歳じゃないと思うんですが…。とにもかくにも、お悔やみ申し上げます。

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『イラクの音楽 (世界民族音楽大集成31)』

Iraq no Ongaku 31 キングレコードが出した「世界民族音楽大集成」は、32巻が「イラクの古典音楽」で、31巻は「イラクの音楽」。というわけで、これも「砂漠のアラベスク アラビアの音楽」と同じように、イラクにある色んな音楽を集めてありました。色んな音楽とはいっても、ベドウィンの音楽は入っていなかったので、すべてがアラビア音楽で、めっちゃエキゾチック!!ほかのCDにもそういうのがありましたが、すっごくエコーが大量なトラックがあるんですが、これってイラクの建物が石の壁だたりするのかな?

 全12曲中、前半6曲はイラク国立伝統音楽合奏団のメンバーの演奏でした。1曲はマカームの一部、3曲は器楽独奏のタクシーム、1曲は打楽器合奏、そして残りがイラキ・マカーム。1曲目のヒジャーズ旋法を使ったマカームの合奏がメッチャかっこいい!!サントゥール(ツィター属の楽器)の金属の響きがカッコいい、擦弦楽器ジョーザがエキゾチック!いや~これはアラビアン・ナイトの世界だよ。

 アルバム後半は、日本の録音チームがイラク各地で録音した音楽の詰め合わせでした。子どもの遊び唄、ウードのタクシーム、カーヌーンの演奏、アザーン(礼拝の呼びかけ)などなど。これらもメッチャ面白かったんですが、まあこれは他のCDでも聴けなくはないかな?このCDではじめて知ったイラクの音楽は、ムハンマダーウィーとアブーディーヤでした。ムハンマダーウィーは、農民の悲哀をテーマにした民謡のジャンルなんだそうです。これ、もしエキゾティカかなんかだったら、ジャングルの奥に生息している先住民の音楽と言って通っちゃいそう、あやしさ満点でした(^^)。いや~これはロックなんかより全然ヤバいわ、農民恐るべし。でも、歌唱がタハリール満載でメッチャうまい。アブーディーヤは、イラクで最も人気がある民謡のジャンルだそうで、4行詩節で出来ているそうです。そういえば、有名なるバイヤートも4行詩だったし、ペルシャ周辺は4行詩の伝統があるのかも。これもすごくエキゾチックで、民謡なんてレベルのもんじゃないレベルの高い音楽と演奏でした!

 いや~、イランに負けず劣らず、イラクの音楽もレベルが高い!!マカームやタクシームは音楽の専門家が演奏しているだろうからレベルが高くても分かるんですが、よもや民謡にしてこのレベルとはすごい。ヨーロッパもアメリカ大陸も東南アジアも、民謡って音楽は簡素だし演奏は下手なのに、西アジアはアマチュアですら西洋のロックやポップスに入ったら達人レベルというほどのうまさです。科学レベルは西洋を尊敬してる僕ですが、文化のレベルは西アジアが圧倒的にすごいと思わされたここ数日間でした(^^)。。


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『砂漠のアラベスク アラビアの音楽』

Sabaku no Arabesque_Arabia no Ongaku タイトルからはいまいちピンとこなかったんですが、今でいうイラクにある音楽です。イラクの首都バグダッドは、アッバース朝ペルシャ帝国の時代に豪華絢爛なアラビア文化が大爆発、千一夜物語に書かれたアラビアンナイトもバグダッドを中心とした話なぐらいなので、こういうタイトルなんですね(^^)。日本のキングレコード制作ですがすべて現地録音!そしてこれが素晴らしかった!!

 このCD、最初の2曲が芸術音楽、1曲が流行歌、残りが民俗音楽です。というわけで、3曲目以降がこのCDじゃないとなかなか聴けない音楽という感じ。ですが、最初のタクシームとパスタという芸術音楽が素晴らしい!!タクシームはカーヌーン(箏のような楽器)の独奏だったんですが、これがバカテク。パスタは、ここ数日取りあげてきたイラクのCDでは全部男性ヴォーカルだったんですが、これは女性ヴォーカル。どこか切なげで、エキゾチックでした。伴奏のウードの演奏がまた素晴らしい…。どちらもエコーがすごいんですが、イラクは灼熱の地で、電線に止まってるすずめが熱すぎて片足ずつ上げるなんて事もあるらしいので、きっと石造りの狭い室内での録音なんでしょうね。そのムードが伝わってきてメッチャよかった!!

 3曲目はイラキ・マカームという都会の流行歌(でも、ほかのCDだと伝承歌謡と説明されてました。昔の流行歌という事かな?)。流行歌とはいえ完成度の高さが半端じゃなくって、解説の小泉文夫さんは「芸術音楽と流行歌の中間」なんて書いてます。このCDだと、最初にサントゥール(ツィター属の楽器)から始めるんですが、このキラキラした分散和音が美しくもエキゾチック!!この音だけで僕はやられちゃいました。イラキ・マカームを聴いたのは、僕はこのCDのこの曲と、次に紹介するキング盤『世界民族音楽大集成31 イラクの音楽』の中の1曲だけなんですが、流行歌のレベルがこれだけ高いって、やっぱり人類最初の文明の発祥地で、アラビアの中心地でもあったバグダッドの文化レベルは半端なかった。。そうそう、イラキ・マカームはプロの演奏者による演奏で、カフェなどで演奏して人気の音楽なんだそうです。

 そして、残りの8曲入っていた民俗音楽。最初に入ってた2曲は、ベドウィン(イラクに限らずアラビアのどこにでもいる遊牧民)によるラバーブ(1弦の胡弓)伴奏の歌。歌唱にちょっとホーミーが入っていて、なるほどモンゴルの遊牧民と文化がつながってるのかも、と思わされました。あとは、ズルナ(ダブルリードの民族楽器で、インドだとシャナイ、日本だとチャルメラが近い?)やマトブッチ(双管のクラリネットみたいな楽器)の独奏などなど。演奏しているのが漁民や農民だったりするんですが、これしか演奏してないからなのか、みんなうまい。。マトブッチの演奏なんて、循環呼吸のノンブレス奏法に聴こえるんですが、この曲だけ演奏させたらプロだってかなわないんじゃなかろうか。民俗音楽の恐ろしさって、極端に熟練してるところですよね。。
 さらに、最後にスーフィー(密教系のイスラム教のひとつ)のジクルが入ってました。スーフィーの旋回舞踊って、トルコのメヴレヴィー教団のものしか知らず、そんなわけでスーフィーもてっきりトルコだけにあるのかと思ってましたが、イラクにもあるんですね。

 純邦楽というと三味線と尺八と箏だけを想像してしまいがちなように、イラクの音楽というとマカームとパスタだけを想像してしまう僕でしたが、実際には色んな音楽があるんですね。イラクの音楽と言って最初にこのCDを聴くと、あまりに多様で逆に分からなくなっちゃうかもしれませんが、でもマカームやパスタ、あるいはカーヌーンやウードやナイの演奏に慣れた人には、次に聴くのはこういうCDがいいのかも。だいたい、ワールドミュージックを聴くという時点で、色んなものに触れたい、みたいな欲求は聴く人みんなが持っているでしょうからね(^^)。芸術音楽以外のアラビアの音楽を知ることが出来た、実にいいCDでした!


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『イラクの古典音楽 (世界民族音楽大集成32)』

Iraq no KotenOngaku32 キングレコードが出した世界民族音楽大集成のうちの1枚です。このCD、録音データが何も書いてないんですが、曲が終わるごとに拍手が起きるし、その拍手の仕方が日本っぽいし、解説を書いてるのが小泉文夫さんなので、日本のどこかのホールでのコンサート録音な気がします。

 このCDに入っていたのは、タクシームと、パスタ(またはぺステ)チャルギー・アル・バグダードなどでした。タクシームは、このCDにはカーヌーン(箏のような楽器)独奏のタクシームと、ウード独奏のタクシームが入ってましたが、いずれもお見事でした!とくにカーヌーン独奏のタクシームはものすごいテクニカルですごかった。

 パスタは、このCDにはパスタ4曲と、マカームからパスタに繋がる曲が入ってました。インド古典音楽みたいに最初に旋法が決まっていって、そこからインテンポのリズムが入っていよいよ始まるというものもあれば、いきなりリズムが提示されるもののあるので、一口にパスタと言ってもスタイルは色々なのかも。詞は、「君を思い眠れないので星を数えた」みたいな感じ。宗教曲でないのは歴然としてますが、芸術音楽に数えられてますけど内容自体は俗楽っぽかったです。それにしても、伴奏の打楽器(ハッシャビーヤという細長い片面鼓)やカーヌーンやウードの演奏が見事で、曲想も実に情感たっぷりで、聴き入ってしまいました。歌って、表現力のあるプレイヤーがアコースティック楽器で、2~3人で演奏するのが、いちばん表現力があると感じます。これこそ歌だ、すばらしい!!そうそう、このCDのヴォーカルは男性だったんですが、発声がインドのヴォーカルに似て感じました。国はそれほど遠くないし、文化的には近いものもあるのかも。

 チャルギー・アル・バグダードというのは、声楽家を中心に数人の伴奏者がグループで歌うバグダッド独特の民謡だそうです。という事は、「チャルギー」って民謡という意味なのかな?このCDだと、ハッシャビーヤ、ナイ、ウード、カーヌーンでの伴奏がついてましたが、疾走する感じで、カッコいい!民謡という感じじゃなかったです。しかし、この編成で音が綺麗にアンサンブルするんだから、プレイヤーのアンサンブル能力の高さには舌を巻きました。

 アラビアの音楽は、民族音楽と定義されてるものの、楽理がムッチャ高度だし、プレイヤーの演奏技術はどれを聴いても恐ろしく高いし、今の西洋や日本のロックやポップスじゃ足元にも及ばないほど高度です。この地域のプレイヤーはイラン最強と僕は思ってますが、いやいやイラクもなかなかでした。昔は雰囲気だけで聴いていて「いや~すごいなあ」なんて言ってるだけだったアラビアの音楽でしたが、理論書を読んでマカームのシステムがちょっと分かったもんで、聴こえ方がかなり違って分かるようになってきました。さすがはヨーロッパやアジアの音楽の震源地、歴史の重みが違う!


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『琥珀色の夜 ~バグダッドのウード』

Kohakuiro no Yoru_Bagdad no Oud イラクの首都バグダッドの音楽で、このCDはウード(ギターのように横に構えるリュート属の楽器で、アラビア音楽の微分音程に対応するためにフレットがない)の独奏です。パスタという歌音楽では、これに歌がついていました。ウードの演奏は、サフワット・ムハンマド・アリー。イラク音楽を聴く人だったら知らぬ者がいないほどのウードの達人だそうです。

 このCDには、タクシーム3曲とパスタ4曲が入ってました。タクシームはCDごとにちょっとずつ説明が違っていて混乱しますが(^^;)、要約するとこんな感じなのかな?タクシームとは、マカームで規定された旋法のいずれかを用いた即興演奏。それだけが演奏される事もあれば、以降に本格的なマカームが続いて、イントロのように使われる事もある…みたいな。そして、このタクシームが素晴らしい!調とリズムのはっきりしたインプロヴィゼーションで、しかも楽式が綺麗なので、即興演奏という感じがしません。しかもバカテク、これが器楽が好きな人なら絶対に一発で虜になってしまうやつです(^^)。

 パスタは、簡単に言うと歌曲の事で、もう少し厳密にいうとマカーム(アラビアの音楽組織の中の旋法)とイーカー(リズム形)に基づくものだそうです。ペルシャ王国全盛の時代には、宮廷音楽家が無数にこういう歌曲を作ったそうで、現在イラクに残った歌曲がパスタ、エジプトに残ったものがモアシャハートというそうです。詞の内容はけっこう官能的。「お前の肌は琥珀色、瞳は夜の闇のように黒く濡れている」みたいな。今だとアラビア世界ってイスラム教のイメージが強いですが、昔はアランビアンナイトな世界で悪漢やエッチな感じもある土地だったんでしょうね。パスタは、灼熱の砂漠で官能も感じる、昔のアラビア世界を感じる音楽でした。う~んこれも良かった!そうそう、歌曲とはいうもののウードの伴奏が伴奏なんてものじゃなくってものすごいテクニカル。アゴーギクやアッチェルやリタルダンドも自由自在、バス声部と旋律の同時演奏なんて朝飯前。今の西洋のポップスとはレベルが違う…。

Bagdad.jpg 西アジアの撥弦楽器だと、僕は細い竿の方が好きだと思ってたんですが、ずんぐりむっくりのウードって低音が豊かでなんといい音なんでしょうか、聞き惚れてしまいました。そして、ずんぐりむっくりな楽器のルックスの印象と裏腹に、演奏がものすごいスピーディー!イラクを代表するウード奏者の演奏だからというのもあるんでしょうが、アコースティック楽器の達人の演奏って、ちょっと異次元ですよね、これはすごい。。僕は、西アジア音楽の最強はイランだと思ってます。でもイランはちょっとお高くとまってる所があって、近隣諸国からは煙たがられてるそうです。このへんの地域の音楽はマカームというんですが、イランだけ同じもの(?)をダストガーと名乗ってますしね(^^;)。というわけで、イランを除いた場合、マカームの中心都市はイラクのバグダッドなんだそうです。アッバース朝ペルシャ王国の首都ですもんね。サフワット・ムハンマド・アリーさんいよるウード演奏は、超絶的にテクニカルでありつつ情緒たっぷり。ものすごかった、文句なしで大推薦です!!


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『Art Blakey & The Jazz Messengers / Live at Sweet Basil』

ArtBlakey Jazz Messengers _Live at Sweet Basil』 ジャズ・メッセンジャーズ、1985年のライブ録音です。僕がジャズ・メッセンジャーズのレコードを聴いたのは、『Moanin’』の次がこれでした。発売当時、このレコードは「ス〇ング・ジャー○ル」というジャズ雑誌でやたらと褒めちぎられてたんです。あの頃は若すぎて、あの雑誌がレコード会社の広告料の見返りにゴール○ディ○クをあげているような太鼓持ち雑誌だなんて知る由もありませんでしたので、信じてしまったんですよ(^^;)。。メンバーは、Terence Blanchard (tp), Jean Toussaint (ts), Donald Harrison (as), Mulgrew Miller (p), Lonnie Plaxico (b) , Art Blakey (ds) です。

 とはいえ、『Moanin’』よりぜんぜんカッコよかった!まず、御大ブレイキーのドラムがすごかった!当時まだロック狂いだった僕は、ジャズドラムの凄さをまったく知りませんでした。ところがこのライブ・アルバムの1曲目「Jodi」の頭と最後に入っていたブレイキーのドラム・ソロを聴いてぶっ飛びました!ついでに、「Jodi」は、曲も疾走感たっぷりでカッコよく、ソロイストのアドリブも決まってた!!
 でも、大きなステージでのライブなのか、ウッドベースはアンプリファイしてエレベみたいな音だし、ピアノもシンセピアノみたいな音で、どちらもは低音が全然なくって、メッセンジャーズですら80年代の軽い音になっているのでした(^^;)。

 けっきょく僕は、80年代が青春ど真ん中だったくせに、テレンス・ブランチャード、マルグリュー・ミラー、ロニー・プラキシコという名プレイヤーとして80年代を駆け抜けたリアルタイムのアコースティックなジャズ・ミュージシャンには心がまったく動かず。例えば、演歌でテクニカルな歌手が出てきたとしても、演歌そのものが同じでは保守過ぎてつまらない…こんな感じ。これって『モーニン』でも感じた感覚だったんですよね。

 今回、メッセンジャーズにとっていちばん大事な時期だろうショーター在籍時は聴きませんでしたが、もし『Moanin’』やこのアルバムだけを聴いていたら、僕のメッセンジャーズはここで終わっていたかも。ドラムやプレイヤーのテクはすごいんだけど、ドルフィー黄金期マイルス・クインテットミンガスをすでに聴いていた少年にとっては、音楽があまりに保守。良くも悪くもエンターテイメントなジャズなんじゃないかと思いました。やっぱりメッセンジャーズを聴くなら、名盤扱いの『モーニン』や80年代より、ショーターやリー・モーガン在籍時を聴いた方が無難…かな?まあこれは今となっては定説ですね(^^)。


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『Art Blakey and the Jazz Messengers / Moanin'』

Art Blakey Jazz Messengers_Moanin このレコードを最初に聴いたのは高校生の時。アホだったもんで、「朝」だと思ってたんです。でもそれにしちゃジャケットが爽やかな顔してないな、むしろ怒ってるぞ…「うめき」でした(゚∀゚*)エヘヘ。というわけで、ハードバップの代表的名盤のひとつとして知られている1枚、1958年発表です!お、このアルバムではアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズになってますね。僕が聴いたジャズ・メッセンジャーズのアルバムは、これが最初でした。バンドは2管で、リー・モーガン(tp)、ベニー・ゴルソン(tsax)、ボビー・ティモンズ(p)、ジミー・メリット(b)。

 このアルバムの第1印象、あんまり良いものじゃなかったんです。まず、超有名曲「moanin'」のテーマがひたすらダサいと思った(^^;)。次に、ジャズドラマーのリーダーバンドなのに、「moanin'」のドラムは「ズン・ダッ・ズン・ダッ…」誰でも叩けそうなほど単純。しかも、ドラムソロすらなし。叩いてないもんだから、「アート・ブレイキーって、本当にドラムうまいのか?」とすら思ってしまったのでした。あと、僕、クラシックの世界で生きていけないと思ってジャズバンドに参加して生計を立てていた頃があるんですが、その時にモーニンのテーマをひかされるのがめっちゃ嫌でした。いなたいし、ものすごくダサい気がしてね(^^;)。でも、CDに入っていた別テイクのほうの「moanin'」のベニー・ゴルソンのソロは良かった…つまり、レーベル側が「各自のアドリブなんてそんな聴かせなくていい、分かりやすくテーマを聴かせればいい」って思ってたって事でしょうか。そんなわけで、僕が人に薦めるならオリジナルのLPじゃなくてCDの方かも。

 このレコードより先に、コルトレーンの『至上の愛』もマイルスの『プラグド・ニッケル』も体験していたのがまずかったんでしょうね、それじゃこれをぬるく感じても仕方ない(^^;)。また、僕が苛烈なソロや破壊寸前の爆発力みたいなものをジャズに求めていたのも悪かった、これはドラマーの超絶アルバムでもフリージャズでもなく、ハードバップなジャズ・コンボのスタジオ録音作、僕が求めているものとは条件が最初から違うのでした。それにしても、ライブ録音だったカフェ・ボヘミアやバードランドよりあまりに大人しすぎるし、曲もソロオーダーも無難すぎ、演奏も合わせる事に神経質すぎて躍動してない…ここが、ハードバップとスタジオ録音の相性の悪さでもあり、50年代ブルーノートの商売至上な保守主義でもあるのかも。アート・ブレイキーもバド・パウエルマイルス・デイビスも、ブルーノートのおかげで全国区になったようなもんですが、名作はことごとくブルーノートじゃないんですよね(^^;)。


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『The Jazz Messengers / At the Cafe Bohemia Vol. 1』

The Jazz Messengers At the Cafe Bohemia Vol1 『A Night at Birdland』の2作はアート・ブレイキー名義でしたが、こちらはジャズ・メッセンジャーズ名義。なかなかアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズにたどり着きません(^^;)。これもブルーノートが出した1枚で、バードランドの翌1955年発表です。この連発は、きっとバードランドがヒットしたんでしょうね。でもメンバーはけっこう変わっていて、ピアノのホレス・シルヴァー以外は総入れ替え。フロント2管はケニー・ドーハム(tp) にハンク・モブレー(ts)です。まあ、クリフォード・ブラウンはビッグネームになっちゃったし、仕方がないね。ソウルのコーラスグループとジャズのコンボは、売れるとメンバーが出てっちゃうのが辛いですね(^^;)。

 おお~急にセッションじゃなくてコンボっぽくなった!ケニー・ドーハムとハンク・モブレーのフロントのシンクロ具合が見事、これが鍵ですね(^^)。クリフォード・ブラウンはメッチャカッコよかったけどスタンドプレイに走りまくりで全然合わせる気なかったしな。。音も、バードランドより全然いいです!ケニー・ドーハムのトランペットはクリフォードほど突き抜けてはいないけれど、ピッチはいいしリズムはいいし、コンボに起用するならこういうペッターの方がありがたいんじゃないかと。そして僕のお気に入りテナーサックス奏者のハンク・モブレーは、泥くせええ!!いやーこの感じ、何なんでしょうか、いいなあ。。

 アート・ブレイキーの見せ場は多くないですが、それでもソロを貰った時はキッチリと持っていきます(^^)。このいなたいジャズ・コンボこそ初期メッセンジャーズ、すでに出来上がってました(^^)。。


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『Art Blakey / A Night at Birdland vol.2』

ArtBlakey_ANight at Birdland vol2 続いて、アート・ブレイキーのバードランド・セッションの第2集です!メンバーは第1集と同じで、やっぱりクリフォード・ブラウンが熱い!

 おお~1曲目、ドあたまがドラムソロ、やっとアート・ブレイキーのリーダーセッションっぽくなってきました。そしてアップテンポで全員にソロを回して突撃!いや~これは楽しい、気分がいいっす(^^)。50年代のハードバップって、レコードの前で音楽を観賞しようと思うとみんなキンタロー飴に思えてしまってダメになったりしますが、ジャズクラブで酒を飲みながらエンターテイメントな音楽を聴かせてもらってると思うと、途端に楽しくなります。「イエ~イ!」みたいな感じ(^^)。このアメリカ的な楽観主義でハイテンションなノリは、アルバム全般に貫かれてました。
 そして、2曲目「If I Had You」のバラードでのルー・ドナルドソンのサックスがエロい、エロいぞ。。女の子を口説くにしては下心が見えすぎてる感じのエロさです(^^;)。
 そして、アルバム最後は、「Now’s the time」に「Confirmation」。クリフォード・ブラウンもルー・ドナルドソンもそうなのですが、チャーリー・パーカーの影響が、この時代のジャズにどれほど大きいものだったのかを思い知らされる感じがしました。お客さんを楽しませるエンターテイメントである一方、パーカーの技法を身につけようと、ソロアドリブのメソッドを開拓し、身につけ、また工夫をして…というある種プレイヤーの求道的な側面が、モダンジャズの芸術的な側面となっていったんだなあと感じました。とか言って、最後にチョロッと「バードランドの子守歌」を演奏するエンターテイメントぶりなんですけどね(^^)。

 第1集と2集はどちらもいい内容、どちらかを楽しめたらどっちも楽しめるだろうし、どちらかがダメだったらもう一方もダメ、みたいな感じ。でもこの2枚、どちらも40分いかないので、曲紹介なんかのアナウンスをカットしたら、CD1枚に入りそうな気がするんですがそれは…(^^;)。


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『Art Blakey / A Night at Birdland vol.1』

ArtBlakey _ANight at Birdland1 モダンジャズのドラマーでもっとも有名な人のひとりアート・ブレイキー、初のリーダーアルバムです。1954年のライブ録音、レーベルは天下のブルーノート!おお~ブルーノートからデビューするなんて、ブレイキーさんは最初から時代に乗りましたね(^^)。メンバーも素晴らしくて、クリフォード・ブラウン(tp)、ルー・ドナルドソン(sax)、ホレス・シルヴァー(p)、カーリー・ラッセル(b)。特にクリフォード・ブラウンがいい!

 ライブだったのが良かった!この頃って、ジャズはレコードになるとライブよりもブローイングコーラスを短くしたり、売れそうな曲をずらりと並べて普段と違う音楽をやらせたりと、思いっきりビジネスな感じになる事も少なくないんですが、これはたっぷりと各自のソロが聴けます(^^)。
 その恩恵にいちばんあずかったのがクリフォード・ブラウン。「Once in A While」なんて、3コーラスまるまる貰ってます。アドリブはいいし、他の誰にもソロを渡さないし、リーダーのブレイキーは完全に伴奏に徹してるし、完全にクリフォード・ブラウンの独壇場でした(^^)。他では「Mayleh」のペットソロも絶品!僕的にはクリフォード・ブラウンを楽しむのがこのアルバムの半分でした(^^)。

アート・ブレイキー名義とはいえ、ブレイキーのバンドという感じはあまりしませんでした。ソロもあんまりもらえないし、貰ってもそんなに長くないですしね。この頃のブレイキーはすごいコンビネーションを持っているわけじゃなくて、ロールがうまいな、というぐらいの感じでした。うまいパーカッショニストって、間違いなくロールが綺麗なんですよね、それだけで飯が食えちゃいそう(^^)。ご機嫌なハードバップ・セッション、楽しかったです(^^)。


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『西村朗:光の波 アルディッティQ、高橋アキ(p)、NHK電子音楽スタジオ』

NishumuraAkira_HikarinoNami.jpg 西村朗先生の管弦楽曲を聴いて、「刺激的な響きを鳴らしてるだけのロックな作品なんじゃないか」と疑問に思った僕は、室内楽曲を聴いてみようと思いました。これなら、音の印象だけでごまかすなんて出来そうにないですし(^^)。というわけで、これは西村朗さんの室内楽曲集。収録曲は以下の通りでした。

・弦楽四重奏曲第2番「光の波」(1992)
・三つの幻影 (1994)
・星の鏡 (1992)
・エクスタシスへの雅歌 (1984)

 「光の波」、このCDで僕がいいと思ったのはこの曲だけでした。カザルスホールとアルディッティQからの委嘱作だそうで、つまりこれがオリジナルの演奏という事ですね。この曲は録音の勝利でもある気がします。というのは、この曲、4者がそれぞれパルス状の短いフレーズを演奏して、それが全体でひとつのメロディになったり、ガムランやケチャみたいに全体でテクスチュアを作り出してる、みたいな書法がけっこう目だつんですが、このCDは定位がものすごくしっかりしていて、音が右から左にびゅんびゅん飛ぶんです!これ、コンサートよりCDで聴いた方が狙いが分かりやすいんじゃないかと。そして、この手法は特に第2楽章がすごいです。

 「3つの幻影」は、高橋アキさんに献呈されたピアノ独奏曲。というわけで、これもこの演奏がオリジナル。3楽章で、それぞれ「水」「炎」「祈祷」という標題がついていました。でも、西村さんの自筆解説を読むに、標題と音楽は関係がない印象で意味はなさそうでした(^^;)。曲は恐らく完全な自由作曲。響きにしても何にしても、西村さんはショッキングな音が好きなようで、2楽章は「ガシャーン」「ドカーン」「グワ~ン」って感じ。1と3は…まあ普通に感じました。

 「星の鏡」も、高橋アキさんに献呈されたピアノ独奏曲。ちゃんと分析してませんが、一聴したところロ短調のバラードに聴こえます。いい曲ですが、これはほとんどポップス。作曲の動機が「綺麗な曲を書く」ぐらいの所にしかない気がしました。

 「エクスタシスへの雅歌」は、81年作曲という所に意味があるのだと思うのですが、いま聴くと、アマチュアがMAXか何かでチョロチョロっと作る電子音楽とあんまり変わらない気が(゚ω゚*)。テクノロジー系の音楽って、こういう所が恐いです。電子音を使っていても、それを元に生演奏では難しい作曲をするとか、音色合成でもそれが作曲と関連付けられていればいいんですが、単に電子音が使われているだけだと、マジでアマチュアがシンセやソフトでやってる音遊びと変わらないと感じてしまいます。

 あれ?おかしいな、若い頃は好きだった西村先生の音楽が、刺激的な音を出すだけのハッタリ満載のロックに聴こえて面白くないぞ。。同じように刺激的な音でも、ノーノ武満徹さんは音の奥に何かあると感じるのに、西村さんは音の遊び以上のものではない気がしてきました。芸術音楽って、その音楽を通して何をしたいのかが重要で、好きな響きを作るというだけだったら本当にただの好事家になってしまうのかも。ポストモダンの難しさって、音楽を作るための色んな素材がいっぱいある中で、「何をするか」という部分なのかも。それが「面白い音」「感性に任せていい曲を」という程度だったら、それをあえて「芸術」なんて呼ぶ必要はないというか、ポップスと何が違うんだと思ってしまいます。西村さんって、けっきょくモダンの響きを使える職業作曲家以上のものではないんじゃなかろうか、もう卒業でいいや(^^;)。


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『西村朗:光の鳥 小泉和裕指揮、東京都交響楽団』

nishimuraAkira_HikarinoTori.jpg このCD、聴いていたら怖くなりました。僕の部屋の中で咳をしてる人がいるんです。あれ?スマホがつながったままなのかな?いや、正面からかすかに聴こえたぞ…CDの中に咳の音が入っていただけでした(^^;)。録音がいいもんだから、ものすごくリアルでビックリしたよ。というわけでこのCD、ライブ録音なのかどうかも分かりませんが、ひとり正面で咳こんでいる人がいます。たぶん女性。でも、そんなに大きな音じゃないから、CDを買うのをやめるほどのものじゃないですが。。そんなわけで、収録曲を。

・光の鳥 (1994)
・黄昏の幻影 (1995)
・交響曲第2番 「三つのオード」(1979)

 20代のころ、僕が一番好きだった西村朗さんのCDは、これでした。単一楽章の「光の鳥」も「黄昏の幻影」も素晴らしく感じられました。でも、何に感銘を受けたのか、よく覚えてなかったのです。久々に聴いたら、一気に思い出しました、音です。フワーッと混ざった和音です。今回、西村さんの曲を室内楽も管弦楽曲も含めてまとめて10曲聴いたんですが、僕の中での西村さんのベストCDはこれ。それぐらい、響きが素晴らしかったです。
 いま聴くと「三つのオード」が良かったです。他の2曲よりこちらの方が完成度が高いと感じます。これは交響曲というもののピアノ入り、東京芸大大学院の修士課程修了作品だそうです。響きの素晴らしさがすでに完成しているだけでなく、テクスチュアがしっかりしている所が他よりいいなあ、と。

 ところが意外だったのは、20代の時と違って、これらの曲をすんなりとは受け入れがたかった事でした。何がダメだったかというと、楽式。ダメとかそれ以前に、楽式がないに等しい、もしくは単純すぎるのです。「三つのオード」だけはまだ良かったですが、他はサウンド面のイメージだけで曲を書いたんじゃないかというほど。また、響きだけでクライマックスを作りに行くので、これらの曲のクライマックスって、極端に言えば音がでかくなるだけで、作曲としては幼稚なんじゃないかと思いました。音楽って時間芸術という側面があるので、次第に変化していくとか、あるいはひたすら同じ音を繰り返してトランス状態に導くとか、時間軸に明確な意図がないと、ただ漠然と音が鳴ってるだけみたいになっちゃうんだなあ、と。


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『西村朗:永遠なる混沌の光の中へ ノータス(cello)、エッシャー指揮、リンツ・ブルックナー管弦楽団』

NishimuraAkira_EiennaruKontonNoHikariNoNakade.jpg ポスト・モダンの日本人作曲家の中で好きな人のひとりです。響きはモダン、構造は伝統という人。いま日本で芸術音楽の作曲をしようと思ったら、自然にこうなる気がするんですよね(^^)。このCDは、以下の2曲の管弦楽曲が入っていました。

・チェロ協奏曲(1990)
・永遠なる混沌の光の中へ(1990)

 このCDに入ってる2曲と、「太陽の臍」「光の環」の4曲で、西村さんのオーケストラ4部作というのだそうです。誰がそう言っているかというと、本人だそうで(゚∀゚*)。

 「チェロ協奏曲」は、現代音楽通過後に新しい響きを獲得したロマン派協奏曲のようでした。だから、新しい響きなのに、コダーイとかバルトークの時代の音楽を聴いているような気分。そんなわけで、ロマン派の響きではもう退屈で耐えきれない、でもセリー音楽とか前衛方面だとテクスチュアが難しすぎて面白く感じない、という人には絶好の音楽かも。構造としてはチェロとオケが対立したり協調したりする構造ではなくて、調性音楽なメインのチェロに、それ以外の音が色んな響きでつきまとう感じ。だから響きはあくまで印象のブースト効果で、メインのチェロの動きにどれだけドラマを感じられるか、という音楽なんだろうなあと感じました。

 「永遠なる混沌の光の中へ」は、響きだけに特化したような作品で、最初の和音からしてめっちゃくちゃ刺激的!それでいて通奏低音が入ってるので調を感じます。音楽の核になってるものはシンプルなんだけど(静かに始まって、徐々にストリンジェンドしてクライマックスに達し、直後に静かな所に戻る、みたいな^^)、それに重なる弦の響きがなんとも独特。1カ所だけ和声がプログレションするところがありましたが、あとはほぼ変化なし、ほとんど音響作曲でした。こういう微細音程の積み重なりみたいな音をどうやってスコア化してるのか、ちょっと見てみたいなあ。

 西村朗先生は、和声面のあの響きが特徴の作曲家と感じます。「永遠なる混沌の光の中へ」のサウンドを聴いただけで、「ああ、西村先生だ」ってかんじ(^^)。実際、西村さんはヘテロフォニーの作曲家なんて言われていますヘテロフォニーというのは、サウンドはホモフォニーっぽいんですが、モノフォニーで各奏者が微妙に違う音程を奏でる事で独特の和声感を作り出すもの。お経とかって、同じメロディだけど各自高さがバラバラだったりするじゃないですか、あれです。アジアの音楽のそういう特徴から、和声音楽に取り組んだのかも。そういう視点自体が、なるほどポストモダン的と言えるかも知れません。


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源泉徴収されたお金が戻ってきた!その仕訳の方法

 僕はピアノ弾いてお金を貰う事があって、こういう仕事の時は源泉徴収といって、先に税金を納める制度になっています。でもって、源泉徴収されたお金のうち払い過ぎた分は、青色申告の時に「返せコラあ!」と申告すれば還ってくるのです(^^)。というわけで、2月にやった青色申告で申請しておいた、源泉所得税の過払い分が返ってきました!ここまでは出来るんです、ここまでは…。

 ところが、戻ってきたこれをどうやって会計ソフトに入力すればいいのか、毎度毎度ネットで調べる始末なんですよねえ(^^;)。というわけで、備忘録的に仕訳方法を書いておこうかと!

■例:所得税の還付金として¥15,800が還付されて銀行口座に振り込まれた!

■書き方:仕訳日記帳に、以下のように記載!
借方勘定科目 |借方金額 | 貸方勘定科目| 貸方金額 | 摘要 |
普通預金 | 15800 | 事業主借| 15800 | 所得税還付金 |

 これでオッケー!仕訳方法が分からない方は、どうぞ参考にしてくださいね(^^)。。


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『The Beatles / Abbey Road』

The Beatles Abbey Road 解散が迫った1969年に発表された、ビートルズ12枚目のアルバムです。このアルバムには懐かしい思い出がありまして、僕にロックやポップスの洋楽をたくさん教えてくれた中学生の頃の友人が貸してくれたんです。僕がはじめてビートルズのアルバムを聴いて、「曲が2分で終わった」とか「古くさい」みたいに、ちょっと馬鹿にするような口調で話したんです。するとその友人が「ビートルズを語るならアビイロードを聴いてからにしな」と言って、このレコードを貸してくれたんです。

 最初聴いた時の観想は、正直言って「?」。いいと思ったのは、「Oh!Darling」ぐらいでした。アルバム『Let It Be』もそうでしたが、アビイロードも、1曲目「Come Together」からして、どの辺がいいのかよく分からなかったのです。同じ事が、のほほんとした「Maxwell’s Silver Hammer」や「Octopus’s Garden」、その他「I want you」などなど、他の多くの曲も実にピンとこなかった。どう考えてもレインボーピンク・フロイドの方がいいだろ、これはそういうバンドが出る前の古い音楽なんじゃないか、みたいに考えてみたり。

 ただ、僕の音楽のお師匠さんがいう事ですから、分かってないのは僕のほうであって、いい所に気づけてないんだろうなと思って何回か聴いているうちに、ようやくいいと思うところを発見。皆さんそうでしょうが、B面の「Because」からの一連のメドレー曲のアレンジが凄まじかった!「Sun King」と「Golden Slumbers」のアレンジはヤバいぐらいの完成度で、ストリングスとホーンの割り込み方がすごい…これ、なんで最初に聴いた時はまったく琴線に触れなかったんだろう。きっと、もっとシンプルなものじゃないと理解できなかったのかも。これで音楽の扉のひとつが開かれた事は間違いなく、それから僕は、アビイ・ロードのB面ばかりを偏愛するようになったのでした(^^)。

 ライブでは演奏出来ないような音楽をスタジオで作るようになったビートルズ以降のポップスって、こういう「スタジオでしかありえないポップス」をたくさん作るようになりましたが、そのルーツってビートルズなのかも知れません。スティーリー・ダンも、ゴドレイ&クレームとか、ああいうもののルーツがアビイ・ロードにある気がします。う~んこれはビートルズというより、影武者となったアレンジャーやエンジニアがすごかったんだろうな。。ビートルズが作り上げた、歴史に残る大傑作ポップス・アルバムだと思います。


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『The Beatles』

The Beatles_WhiteAlbum 通称「ホワイト・アルバム」、ビートルズが1968年に発表したアルバムです。アルバムとしては『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』の翌年で、『マジカル・ミステリー・ツアーズ』とだいたい同じころかな?2枚組です。

 『マジカル・ミステリー・ツアーズ』のところで、「このへんからビートルズはバンドサウンドではなくて、スタジオでしか作れないようなダビングやエフェクト前提のアルバムを作るようになった」なんて書きました。でもホワイトアルバムは、サージェントとマジカルミステリーみたいな超スタジオ作品というだけでなくて、半分は『リボルバー』ぐらいの頃のビートルズのバンドサウンドが聴ける感じ。1曲目のロックな「Back in th U.S.S.R」なんて、リボルバーに入っていてもまったく違和感ないんじゃないかなあ。リボルバーが大好きな僕としては、最高です。

 でもそれだけじゃなくって、A面後半の「Wild Honey Pie」あたりからコラージュやサイケサウンドが出てきて、曲もカットアップでつないだりして、だんだんサージェントやマジカルミステリーみたいな怪しくスタジオ作品っぽい感じに。ライブをやめてレコード制作に徹したもんだから、「ヒットチャート用の2~3分の曲の寄せ集めじゃなくて、アルバムという作品を作るぞ!」って気合いがあったんでしょうね。そうそう、このアルバムから、ビートルズが作ったアップル・レコードの作品なので、よけいに気合いが入ってたのかも。あと、よく物議を呼ぶコラージュ曲「Revolution no.9」ですが、僕は意外と好き(^^)。まあ、現音やシュールレアリスムやフルクサス系と比べてしまうと、さすがにアレですけどね。。そうそう、そういう系の話でいうと、カルト宗教の教祖で大量殺人をしてしまったチャールズ・マンソンが啓示を受けてしまったという「へルター・スケルター」が入ってるのもこのアルバム。そしてビートルズに憧れたチャールズ・マンソンが、ビートルズより数段レベルの高いミュージシャン(と僕は思ってます)な所がまた面白い。

 悪い点を挙げるとすれば、アレンジを完成させられないまま発表しちゃった、みたいな曲が多い事でしょうか。弦とかのオーバーダビングで何とか体裁を整えようとしてるものが多いので、楽式とかアンサンブルをポストプロで何とかしようとしたのがバレバレ。しかもこの悪しき風習はのちのポップスに思いっきり影響を与えます。そんなわけで、短い曲がメドレーのように次々に続く中盤は、そうしたくてそうしたんではなく、1曲1曲の完成度を高めることが出来なくてそうなってしまったように聴こえてしまいました(^^;)。

 というわけで、60年代前半のバンドサウンド期と、後半のスタジオ音楽制作期の両方のビートルが混ざったようなアルバムです。なんだかんだ書きましたが、もしかすると後期のビートルズではこのアルバムが一番好きかも


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『The Beatles / Magical Mystery Tour』

The Beatles Magical Mystery Tour ビートルズの曲の中でも、個人的に好きな曲のかなり上位に入るのが「マジカル・ミステリー・ツアー」です!爆発的に売れたビートルズはビート・バンド時代だろうけど、ポップスの歴史にしっかりと名を残したのって、スタジオで作りあげたこういう曲があったからだと思うんですよね(^^)。というわけで、すごく好きなビートルズのアルバムです!

 「マジカル・ミステリー・ツアー」はビートルズが作った映画で、これはそのサウンドトラック・アルバム。「ラバー・ソウル」や「リボルバー」までのビートルズとは明らかに違います。もうバンドサウンドじゃないんですね。ピアノが入ったりブラスが入ったり。そしてそれが、バンドを先に録音して後からストリングスやブラスをオーバーダビングするという、生演奏も出来るけど制作の都合上そうしたというんじゃなくって、コラージュみたいなオーバーダビングやエフェクトの仕方。アナログディレイのフィードバックみたいなエフェクトが入ったり、スタジオでしか作れないようなレコード大前提のアルバムです。センスも、思いっきりサイケデリック。そのサイケぶりといったら、LPについているカラーブックレットを見るだけでも良く分かる不気味さ(^^)。

 いや~、あのアメリカのチャートミュージックのコピーバンドだったビートルズですら、サイケの波にのまれたのか、すごい時代だったんですね。でも、いま聴くと、「サージェント・ペパーズ」やこのアルバムがなかったら、ビートルズって2~3分のラジオ放送用の使い捨て音楽を次々に作る商業バンドで終わってた気がします。スタジオをフル活用してのポップスの作り方は、以降のポップスの大本流となるので、英米系のポップスに思いっきり影響を与えたビートルズのすごさって、このへんから始まったのかも。ここからサイケデリックっぽさを抜いたら、以降の英米ポップスそのものですもんね。というわけで、これはポップスの歴史にとって超重要な一枚だったんじゃないかと。いま聴いてもかなり楽しかった…やっぱりちょっと気持ち悪かったけど(^^;)。すごくいいアルバムだと思います!そうそう、ジャケットのアートワークが素晴らしいので、『マジカル・ミステリー・ツアー』とホワイト・アルバムは、LPで買った方がいいですよ(^^)。


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『The Beatles / Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』

The Beatles Sgt Peppers Lonely Hearts Club Band サイケ全盛の1967年にビートルズが作ったコンセプト・アルバムです。ものの本にはよく「ロック史に残る名盤」みたいな書かれ方がされてるけど、あの見事なポップロックアルバム『リボルバー』の翌年にこれを聴かされて、当時の人は本当に良いと思ったんでしょうか。からかわれてる気分になった人も多かったんじゃないかなあ(^^;)。

 管弦セクションを折りまぜたアレンジ、SEのダビング、切れ目なくつながっていく曲…この時代って米サイケの勢いがすごくて、イギリスのアイドルバンドですら、みんなこういうサイケなコンセプト・アルバムを作ってました。スモールフェイセズの『Ogdens´ Nut Gone Flake』やストーンズの『Their Satanic Majesties Request』あたりもこういう方向。でも僕は、こういうアイドルバンドが作ったコンセプト・アルバムで面白いと思ったものがほとんどないのでした(^^;)。あ、ビートルズの『アビイ・ロード』のB面だけはものすごいと思います。
 このアルバムで面白かったのって、そういうサイケとかコンセプトな所じゃなくって、ライブで演奏できない音楽になってもいいから、スタジオで面白い音楽を作ろうとしたところじゃないかと。ビートルズはライブをやらなくなりますが、SEやクラシカルな管弦が入りまくりのこんなの出来ないですよね(^^)。好きかどうかはさておいて、これがなかったら以降のビートルズの傑作『マジカル・ミステリー・ツアー』や『アビイ・ロード』もなかっただろうし、それどころか、以降に続くゴドレイ&クレームやクイーンや10cc やスティーリー・ダンが作ったようなアルバムは生まれなかったんじゃないかと。

 でもやっぱり僕はこのアルバムがあんまり好きじゃないのでした。だって、いい曲がないんですもの。いちばん好きな曲が「Within you without you」というインド音楽調の曲だったりするし(*゚∀゚*)。そういえば、タブラやタンブーラ―の音を聴いたのって、このCDは初だったかも。あ、でも、「A day in the life」は、後にウェス・モンゴメリーの演奏を聴いてムチャクチャ好きになりました。あれは素晴らしいアレンジと演奏だったなあ。。


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『フランク:交響詩プシュケ ポール・シュトラウス指揮、リエージュ管弦楽団』

Franck_Psyche_PStrauss.jpg フランクといえばヴァイオリン・ソナタ弦楽四重奏、交響曲ニ短調の3曲が今もよく演奏される曲です。でも、僕的には交響曲ニ短調より圧倒的に素晴らしく、ヴァイオリンソナタをも凌ぐほどのフランクの大名曲と思っているのが、交響詩≪プシュケ≫です。マジで素晴らしいですこの曲。この素晴らしさは形容しがたいほど。もし天国があるなら、ずっとこういう音楽が流れてるんじゃないかというほど美しく、そして官能的。僕はこの曲の素晴らしさを汚されたくない、だから人に教えたくない…というぐらい好きなんです。

 ところがこの曲、どういうわけかあんまり人気がありません。そして、ちょっと不幸な曲でもあるのです。まず第1に、コンサートでこの曲が演奏される時に、交響曲ニ短調を演奏した後でこの曲の「プシュケとエロス」という楽章だけが演奏される事がけっこう多い事。なんでそうするかというと…これは僕の勝手な憶測ですが、フランクの交響曲ニ短調って、名作と言われてるけど、実はそんなにいい曲と思えないんですよね。ところが、プシュケの中に入ってる楽章「プシュケとエロス」は、それはそれはとんでもなく美しい曲なんです。美しいだけじゃなくって、なんとドビュッシー以前に思いっきり4度堆積和音を使ってる驚異の音楽。ラヴェル「ダフニスとクロエ」冒頭の美しすぎるあのサウンドでさえ、この楽章を参考にして書いたんじゃないかと思うほど。最後にこんな曲が来たら、いまいちパッとしない交響曲ニ短調が5割増しぐらいでスバラシイ曲に聴こえちゃうってもんじゃないですか。というわけで、こうやって演奏するコンサートがけっこうあるくせに、プシュケ全曲はなかなか演奏されないという(T_T)。
 第2の不幸。僕は、プシュケを4曲から構成された交響詩だと思ってたんです。実際、CDでもそうなってるものがほとんど。僕はこの曲が好き過ぎてスコアも持ってるんですが、そのスコアですらそうなってます。ところが実際の「プシュケ」はそうじゃなかった!!それがこのCDで、他のCDや楽譜だと「プシュケとエロス」で終わってるのに、このCDだとそのあとも音楽が続く!あと、3曲目「エロスの花園」も、他のCDや楽譜だと管弦パートが終わったらそこでおしまいなのに、このCDだとその後に管弦伴奏の合唱する部分があったのです。しかも、それらがどれもとんでもなく美しい…。思うにですね…もしこの曲を演奏するとなったら、オーケストラだけでなくて男女混成合唱が必要。でもそんなに人気がある曲じゃないから、お金がかけられない。…そうだ、合唱パートはざっくりカットしたろ!でもそうすると最後の「Souffrances et plaints de Psyche」で終わっちゃっておさまりが悪いなあ…そうだ、ここもざっくりカットして、美しい「プシュケとエロス」で終わるようにしたろ!…まあこんな感じで、いつの間にやら4曲版が定着しちゃったんじゃないかと。

 さて、このCDです。世に出てるCDを全部知ってるわけではないので間違っていたら申し訳ないんですが、グラモフォンとかフィリップスとかデッカとかEMIみたいな名の通ったクラシックのレーベルから出てる録音に限定していえば、プシュケ全曲が入っているのは、ポール・シュトラウス指揮・リエージュ管弦楽団が演奏したこの録音か、同じくEMIからリリースされた尾高忠明指揮・ウェールズBBC国際管弦楽団のどちらかしか僕は知りません。 というわけで、プシュケを聴くならこのどちらかしか考えられない!このCDでの不満点といえば、最後の曲であからさまに編集が分かる事、ブチッと切れてます(^^;)。でもそれ以外は、僕としては文句なし。曲が素晴らしすぎて、演奏をどうこうを言う気にならないんですよね。

 さて、他の「プシュケ」購入も考えている方のために、プシュケ全曲と抜粋版の見分け方を記しておきます。いちばん簡単な見分け方は、全部で45分ぐらいあったら全曲入り、全部で30分ぐらいだったら抜粋です。あと、このCDに入っていて他のものにはたいがい入ってないものを表にしておきます。

第1パート
・Le sommeil de Psyche
・Psyche enlevee par les Zephirs
第2パート
・Les Jardins d’Eros
・Dieu jeune et fort (合唱つき)
*これがスコアにも4曲形式のCDにも入ってない
・Psyche et Eros

第3パート *以降は4曲形式のCDには入ってない
・Amour, elle a connu ton nom (合唱つき)
・Souffrances et plaintes de Psyche
・Eros a pardonne(合唱つき)

 フランクは、後期ロマン派の中では、ワーグナーやマーラーR.シュトラウスに比べると知名度の落ちる作曲家ですが、交響詩プシュケか弦楽四重奏曲を聴いたら、彼らより劣る作曲家だなんて口が裂けても言えないでしょう。個人的には、少なくともこの2曲に関しては、ワーグナーやマーラーより格上の作曲家だと思ってます(^^)。。


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『フランク:弦楽四重奏曲 ラヴェル:弦楽四重奏曲 フィッツウィリアム弦Q、カルミレッリ弦Q』

franck ravel string quartets fitzwilliam Carmirelli フランクの弦楽四重奏曲で、もうひとつ聴いたことのあるのが、フィッツウイリアム弦楽四重奏団が演奏したこのCDです。このCD、ちょっとおもしろいです。だって、同じ作曲家の曲をあつめて違う演奏家の演奏をカップリングするとか、ある楽団の演奏を収めて違う作曲家の曲が入ってるとかならよくありますが、ちがう作曲家の曲のカップリングで、それぞれ違う楽団が演奏してるんですから。何を基準にカップリングしたんだろう、19世紀末のフランスの弦楽四重奏曲とか、そんな感じかなあ。

 フィッツウィリアム弦楽四重奏団のフランク。弦楽四重奏団って世界にいくつあるのか知りませんが、前のプラハ四重奏団みたいに自分が知らない楽団でもメッチャすごい演奏をしたりして、奥の深い世界だと感じます。フィッツウィリアム弦Qといえば、ショスタコーヴィチ本人が称賛して、ショスタコの弦楽四重奏曲の全曲録音を行った楽団として有名ですが、このCDの演奏ばかりはちょっとピッチが…(^^;)。フレットレス楽器での和弦って人数が少なければ少ないほど綺麗に鳴らすのが大変だとは思いますが、僕ぐらいいい加減な耳にとっても、これはきわどいかな?有名な楽団がこんなレベルとは思えないので、録音の時にお互いの音が聴こえづらい配置だったとか、なんか事情があったのかなあ。あ、でも、ピッチ以外は優しげでいい演奏の気がします。ただ、僕はプラハ四重奏団のコントラストのはっきりしたガッツある演奏の方が趣味なので、こっちの演奏はもう聴かないかもm(_ _)mゴメンナサイ。

 次に、カルミレッリ弦楽四重奏団のラヴェル。う~んピアノ曲やバレエ音楽が多いラヴェルの貴重な室内楽曲のひとつなのに、ラヴェルっぽいサウンドにならなくて音に色気がない(T_T)。でもこれって演奏以上に録音のせいの気がします。だって、楽器の音だけで、ホールの残響が聴こえないんですのよオホホ。室内楽って演奏だけじゃなくて録音もメッチャ重要なんですね、ホールの音も楽器の音として一緒に鳴らせないといい音楽にならないし、仮に楽団がそれを出来ても録音がそこからかけ離れてるとなかなか伝わらない…ですよね。

 というわけで、久々に聴いたこのCDですが、僕とは相性が悪かったみたいです(^^;)。


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『フランク:ヴァイオリンソナタ、弦楽四重奏曲 クレーメル(vn)、プラハ四重奏団』

Franck_ViolinSonata_Kremer_PrahaQ.jpg 諏訪内さんの演奏したフランクのヴァイオリン・ソナタを聴いていたら、やっぱりいい曲だったので、昔買ったCDを聴きたくなってしまいました。ええっと、たしかこのへんに(ゴソゴソ)…あったあった、これです、クレーメル(vn)&マイセンベルク(p) の演奏!オレグ・マイセンベルクって、ソロイストとしての演奏は聴いた記憶がないですけど、クレーメルとかホリガーとか、超一流の器楽奏者の相方をよくつとめてます。超一流のソロイストの厳しい要求にこたえられるプレイヤーだとか、なにかの才能がある人なんでしょうね。興味があります。

 聴きはじめて3分…諏訪内さんのフランクだっていい演奏だと思ったんですが、クレーメルは次元が違いました。これ、ライブ録音だから一発録音ですよね、それでこの演奏は凄すぎるわ…超一流はやっぱり特別だわ、すげえ。録音もこっちの方がぜんぜん良い!諏訪内さんの録音は、ヴァイオリンの音に「リヴァーブでお化粧してキレイにして!」みたいなガキくさい残響がついていてボワ~ンとしてペラッペラの薄い音になってるのに、こっちはホールの音が入っていながら楽器は近くにいて、音もすごく明瞭、しかも太い。う~んこれはいい、申し訳ないけど比較になりません。。

 フランクについて。フランクという作曲家はクラシックの世界に何人かいますが、いちばん有名なのはこのセザール・フランクで、ルパン三世よりすごいもみあげしてます。作曲家としては大器晩成型で、オルガン奏者を生涯つとめ、作曲に力を入れたのは年配になってから。ようやく世間が「すげえいい曲なんだけど」と騒ぎはじめたのは、彼が60歳を過ぎてから。このヴァイオリン・ソナタも64歳の時の作品(1886年作曲)です。フランクの代表作はけっこう少なくて、コンサートでよく耳にするのはこのヴァイオリン・ソナタのほか、弦楽四重奏、交響曲ニ短調ぐらい。それぞれ「第〇番」とついていないのは、どれも1曲しか書いてないからで、寡作でもあったんですね。代表作のひとつであるこのヴァイオリン・ソナタなんですが、めっちゃいい曲!出だしのピアノの和音ひとつで「これはやばい、気持ちよすぎる…」って快感に浸らされてしまいますが、これをジャズ風にコードネームでいうと、E79 omit5。僕は音楽史をあんまりマジメに勉強してないのでよく分かりませんが、この時代に機能和声の中に上部和声を入れてくるって、けっこう早くないですか?フランスだからドビュッシーとかあのへんの和声系の進化が速かったのかなあ。フランクは音楽教師でもあったみたいですが、彼の下からフランス音楽のいい作曲家がずいぶん育ったそうなので、フランス音楽独特のあの豊かな和声の源流のひとつは、フランクにあったのかも知れませんね。そして、曲の構造も素晴らしすぎ。後期ロマン派なのにワーグナーやマーラーみたいな無駄な寄り道がないというか、入念に推敲を重ねて無駄をそぎ落としていった感じ。サウンドも構造も非の打ちどころのない完璧な曲じゃないでしょうか。これは大名曲、クラシックを聴かない人も、ぜひ一度聴いてみて欲しいです。

 そして、フランクに焦点をあてたこのCDにもうひとつは入ってたのが、フランクのもうひとつの代表作弦楽四重奏ニ長調、演奏はプラハ四重奏団。この曲も出だしからヤバい、最初の1分で「ああ、大名曲だわ」と分かる素晴らしさ。和声なんて神秘的といっていいほど。ただ、曲のフィナーレだけは「ジャジャ~ン」でダサいですけどね( ̄ー ̄)。4楽章に分かれていてしかも弦カルにしては長い曲なので散漫になりそうなもんですが、同じ主題が再帰して出て来たりして、ずっと統一感が失われないのが見事。この曲、フランク最晩年の67歳の時に書かれたそうですが、人生の最後にこれだけの曲を世界に残して去るというのは、なんという素晴らしい遺産を残してくれたんだろうと感動してしまいます。そしてこれも録音がメッチャいいです。ホールの音を含んですごく豊かな音なのに、遠く聴こえないし、しかもすごく楽器それぞれの音が明瞭。ステレオ感がかなり強くて、面白い弦カルの並びもよく分かります。

 とんでもなく素晴らしいCD。聴かれる事の少ないフランクという作曲家の代表作ふたつを、最高の演奏と最高の音で聴く事が出来ます。こんなにすごいのを聴いてしまうと、なかなか他のフランク録音には浮気しづらいなあ(^^;)。


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『諏訪内晶子 / R.シュトラウス《ヴァイオンリンソナタ》、武満徹《悲歌》 フランク《ヴァイオリン・ソナタ》』

SuwanaiAkiko_RStrauss_VlnSonata_Takemitsu_Hika.jpg 諏訪内晶子さんは桐朋学園大卒。そして桐朋在学時に、チャイコフスキー国際コンクールのヴァイオリン部門で史上最年少の1位を取りました。クラシックの演奏家って箔をつけるために、世界中にある小さなコンクールに出て優勝して、プロフィールに「○○コンクール1位」って書くんです。でもチャイコフスキー国際コンクールはビッグなコンクールで、そんなセコい話じゃない、ここで1位を取ったら胸張ってプロ演奏家としての道を選択していい…そんな感じ。諏訪内さんって美人なので、最近の大手レコード会社がよくやるビジュアル系クラシックかと思われがちですがそれだけではないなかなかの本格派なのです(^^)。まあ、今はムターでもクレーメルでもCDで簡単に聴けてしまう時代なので、そういう人たちと比べられると誰だってキツいですけど(^^;)。

 このCDは、けっこう最近に出た(2016年録音)諏訪内さんの新作。ヴァイオリニストって、ほぼ間違いなくピアニストとのデュオCDを作りますが、この編成になると選曲ってだいたい決まってきますが、そんな中でこのCDは曲の組み合わせがメッチャいい!R.シュトラウスとフランクのヴァイオリン・ソナタ、その間に武満さんの「悲歌」。選曲だけでも手抜きの許されない真っ向勝負であると感じます。ジャケットは思いっきりビジュアル系ですが(^^;)。

 演奏は…ヴァイオリンの演奏はどこを切っても完璧、うまい!ただ…木を見て森を見ずというか、どの部分でも同じテンションで全力で歌い上げてしまうソウル・シンガーみたいで、常に音色が似ていて、押し引きのグラデーションが淡く感じます。シュトラウスのヴァイオリン・ソナタなんて、もっとシンフォニックに派手に抑揚つけて、シーンによって色を変えないとマズいんじゃないかな、な~んて思ったりして(^^;)。日本の女流プレイヤーって演奏だけに専念していて、プレイがムッチャうまい反面、ただ演奏することしか考えてない人が多い印象があるんですよね。演奏プランは何から何まで師匠頼りで、師匠から離れるとただ演奏してるだけになっちゃう、みたいな…。

 録音は、音像がはっきりしないのと、ヴァイオリンよりピアノの方が常に少し大きい気がします。この編成で、音量を同じにしてはいけないと思うんですよね。少なくとも、ピアニストはそう思って演奏するはず。これはプレイヤーが悪いのか、ディレクターが悪いのか、エンジニアが悪いのか…最近のクラシックの新録って、機材は良くなってるんだろうけどこういう音楽的な所がダメになったと思うものが多いです。昔は、「うわ~グラモフォンってやっぱりすごいな~」とか思ったんだけどな。。

 でもやっぱりメッチャいい音楽。武満さんの「悲歌」は有名な曲なので説明不要と思いますが、シュトラウスのヴァイオリン・ソナタもフランクのヴァイオリン・ソナタもメッチャいい曲で、とても楽しめました。


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『Easy Baby and his houserockers / Sweet Home Chicago Blues』

EasyBaby_SweetHomeChicagoBlues.jpg エディ・テイラーのギターを聴けるレコードでは、こんなものも持っています。イージー・ベイビーというヴォーカル/ハーモニカ奏者をフロントにしたバンド・ブルースです。録音は50年代からずいぶん離れて1977年、Barrelhouse Records というレーベルからリリースされた1枚です。というか、ジミー・リードのレコードを聴いていたら、いつの間にかエディ・テイラーのレコードを漁りはじめていました(^^;)。

 ところで、「イージー・ベイビーって誰だよ」って話ですよね(^^)。リーダーアルバムはこれしかないみたいですが、リトル・ウォルターに取りあげられ、ジミー・リードとも長年連れ添って活躍したシカゴのブルースマンだそうです。そして、このCDを聴けば分かるんですが、ハープがめっちゃくちゃうまい!!カッコいい!!僕はブルースハープのマニアでして(聴く専ですが^^;)、好きなだけに好みにうるさくて、伝説のソニーボーイⅡですら「まだまだ甘い」なんて感じちゃうんです。自分じゃまるで吹けないくせに、聴く専だと何が大変かもわからないので言うだけ番長になってやっかいですね(^^)。そんなわがままな僕が「うおおカッコいい!!」となったイージー・ベイビーのハープはヤバいほどカッコよかった(^^)。ブルースハープのレコード・コレクターなら、買って間違いない名人級ハーピストと思います!

 ただ、このアルバム、録音がちょっとショボイ(^^;)。グランドファンクのデビュー盤とか、それぞれの楽器にマイク立ててバランスとっただけみたいなレコードってあるじゃないですか。あんな感じで、音がそっけないです。ドラムとエレキベースの音が味気ない、ギターもいい演奏してるんだけど…こんなペラッペラな音になるなら、エディ・テイラーはアコギを演奏した方がカッコよくなったかも。というか、エレキ・ギターって、音がいいもんじゃないですね。コイルで音を拾ってる時点でもうダメなんでしょうね、タッチもデュナーミクも減ったくれもないです。ブルースって表現が命だと思うので、エレキギターを使った段階で音楽の価値が半減して感じます…あ、だから僕は戦前のアコースティック・ブルースが好きなのか、今気づきました(^^)。

 というわけで、まったく有名じゃないけど、ハープの演奏は間違いなく一流の隠れ名作じゃないかと。録音がショボくなかったら、かなり評価される1枚になってたんじゃないかなあ。


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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
intoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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