
キングレコードが出した世界民族音楽大集成のうちの1枚です。このCD、録音データが何も書いてないんですが、曲が終わるごとに拍手が起きるし、その拍手の仕方が日本っぽいし、解説を書いてるのが小泉文夫さんなので、日本のどこかのホールでのコンサート録音な気がします。
このCDに入っていたのは、
タクシームと、
パスタ(またはぺステ)、
チャルギー・アル・バグダードなどでした。タクシームは、このCDには
カーヌーン(箏のような楽器)独奏のタクシームと、ウード独奏のタクシームが入ってましたが、いずれもお見事でした!とくにカーヌーン独奏のタクシームはものすごいテクニカルですごかった。
パスタは、このCDにはパスタ4曲と、マカームからパスタに繋がる曲が入ってました。
インド古典音楽みたいに最初に旋法が決まっていって、そこからインテンポのリズムが入っていよいよ始まるというものもあれば、いきなりリズムが提示されるもののあるので、一口にパスタと言ってもスタイルは色々なのかも。詞は、「君を思い眠れないので星を数えた」みたいな感じ。宗教曲でないのは歴然としてますが、芸術音楽に数えられてますけど内容自体は俗楽っぽかったです。それにしても、伴奏の打楽器(
ハッシャビーヤという細長い片面鼓)やカーヌーンやウードの演奏が見事で、曲想も実に情感たっぷりで、聴き入ってしまいました。歌って、表現力のあるプレイヤーがアコースティック楽器で、2~3人で演奏するのが、いちばん表現力があると感じます。これこそ歌だ、すばらしい!!そうそう、このCDのヴォーカルは男性だったんですが、発声がインドのヴォーカルに似て感じました。国はそれほど遠くないし、文化的には近いものもあるのかも。
チャルギー・アル・バグダードというのは、声楽家を中心に数人の伴奏者がグループで歌うバグダッド独特の民謡だそうです。という事は、「チャルギー」って民謡という意味なのかな?このCDだと、ハッシャビーヤ、ナイ、ウード、カーヌーンでの伴奏がついてましたが、疾走する感じで、カッコいい!民謡という感じじゃなかったです。しかし、この編成で音が綺麗にアンサンブルするんだから、プレイヤーのアンサンブル能力の高さには舌を巻きました。
アラビアの音楽は、民族音楽と定義されてるものの、楽理がムッチャ高度だし、プレイヤーの演奏技術はどれを聴いても恐ろしく高いし、今の西洋や日本のロックやポップスじゃ足元にも及ばないほど高度です。この地域のプレイヤーはイラン最強と僕は思ってますが、いやいや
イラクもなかなかでした。昔は雰囲気だけで聴いていて「いや~すごいなあ」なんて言ってるだけだったアラビアの音楽でしたが、
理論書を読んでマカームのシステムがちょっと分かったもんで、聴こえ方がかなり違って分かるようになってきました。さすがはヨーロッパやアジアの音楽の震源地、歴史の重みが違う!
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