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Category: アート・本・映画 etc. > 本(文芸・科学・哲学)   Tags: ---

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小説『華麗なるギャツビー』 フィッツジェラルド著、大貫三郎訳

KareinaruGatsby_book.jpg ロバート・レッドフォード主演の映画「華麗なるギャツビー」を面白くないと感じた僕でしたが、アメリカ文学で傑作と言われているものがこんな程度の訳がないと、原作を読んでみたのでした。僕が読んだのは角川文庫版で、翻訳者は大貫三郎さんという方。

 ギャツビーは、映画より小説の方が圧倒的に良かった!小説は、いかにもアメリカ文学という感じでした。僕の中のアメリカ文学というと、ヘミングウェイ「兵士の故郷」とか、ヘンリー・ミラー「南回帰線」、ケルアック「路上」、エリス「レス・ザン・ゼロ」みたいなイメージです。これらの文学に共通するのは、主人公は楽観主義なアメリカ合衆国の中にあって虚無感を覚えていて…みたいな。そして、この虚無感のうしろにあるものの核心をつかれてグサッと来たりして。ストーリーを追っただけの映画では語られていない、この小説の核心たるモノローグ部分は、たとえばこんな感じです。

 「汽車が駅を出て、冬の夜のなかへ向かって進み、雪らしい雪、僕たちの雪が身近にずうっと拡がり、窓にキラキラし始めて、ウィスコンシンの小さい駅々のぼんやりした灯が、汽車の傍をすれ違うころともなると、鋭く荒々しく緊張したものが、さっと空気の中に入ってくる。夕食を済ませて、寒いデッキを戻ってきながら、その空気を深く吸い込み、この地方でこそ僕たちも水をえた魚のようになるのだという、なんともいえない意識が生まれるのだが、その不思議な一時間がすぎると、また今度はその空気のなかに、見分けがつかないぐらいに溶け込んでしまうのだ。
 それが僕の中西部なのだ―小麦でもなければ大草原でもなく、滅び去ったスウェーデン人の町々でもなく、青春時代の、胸もわくわくするような帰省の汽車であり、霜の降りた夜の街頭や橇の鈴であり、灯のついた窓から雪の上に投げ出された西洋柊の花輪の影がそうなのだ。(中略)いまになってわかるのだが、これは結局西部の物語だった―トムやギャツビー、デイジーやジョーダンや僕は、みんな西部の人間だ。そのためだろう、みんな申しあわせたように欠陥があって、不思議と東部の生活になじめないのだ。」
(P.232)

 「太陽の灰色の強い光線を避けるうちに癖になったやぶにらみの目を、真直ぐ前方に注いだままだったが、彼女は僕たちの関係をわざと変えたのだ。で、束の間彼女を愛しているような気がした。だが、僕は頭脳の回転が鈍くて、内心の規則がいっぱいあって、それがブレーキとなって僕の欲望を抑えつけてしまうのだ。まず第一にその縺れからきっぱりと脱け出して、本塁に還らなければいけない事は、僕も知っていた。」(P.79)

 いやあ、名文ではないですか。この物語で何を言いたいのかがズバリ書いてある。。なるほど、映画の失敗がどこにあるのかが分かった気がします。フィッツジェラルドはヘミングウェイと並ぶアメリカの「ロスト・ジェネレーション」の代表的な作家ですが、ロスト・ジェネレーション世代が抱えていた「もの」を小説はずばり言い当てていたのに、映画はストーリーを追うばかりで核心がぼやけたんじゃないかと。「華麗なるギャツビー」の場合、舞台は1次大戦後でジャズエイジとして湧きかえる合衆国社会で、まわりは金の事ばかり考えて浮かれていますが、主人公のギャツビーは大事なものを失っていて、それを取り返す為に金持ちになり、そしてそれを手に入れかけたところで死んでいきます。そして小説では、合衆国にあった良心や美徳の部分と、金ばかりに振り回されて大事なものを見失っていく負の部分を、合衆国の西部と東部という形で描き分けていたのではないかと。これが、ストーリーではなくモノローグの部分で語られて…。浮かれて誤った方向に進んでいるアメリカ文化の闇、それが原因で倦怠感から抜け出せない人の根源である、ロスト・ジェネレーションが失っているものを描いた作品だと思いました。…なんか、子どもの読書感想文みたいだぞ(^^;)>。。


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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
intoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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