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心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

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『マージナル・ポリネシアの音楽』

MarginalPolynesia.jpg オセアニアの音楽、次はポリネシアです!ところで、このCDのタイトルになってる「マージナル・ポリネシア」というのは、「辺縁部ポリネシア」ということみたいです。ミクロネシアメラネシアより広い範囲に渡るポリネシアは、ニュージーランド、イースター島、ハワイ島を結んだ三角形の間にある島々。国としては、ニュージーランド、キリバス、ツバル、サモア、トンガなど。どこかの国の領では、クック諸島(ニュージーランド領)、ハワイ、ミッドウェー、ジョンストン(合衆国領)、イースター島(チリ領)など。このCDには、フィジー、ツバル、ウォリス・フツナの音楽が入ってました。う~ん、恥ずかしながらウォリス・フツナがどこにあるか分からん…うお~ちっちぇえ、フランス領で人口も1万人ぐらい、こりゃ島の人はみんな顔見知りだな(^^)。

 フィジーの音楽。辺縁部ポリネシアのCDに入ってるという事は、フィジーは辺縁部という事になるんでしょうが、かつてはフィジーこそがポリネシア民族の中心地だったらしいです。元々はポリネシア民族が住んでいたところにイギリスの植民地となり、イギリスは砂糖生産の労働力としてここにインド人を大量に連れてきたために、今ではフィジー人5割、インド人5割という人口比で、それぞれの文化は融合しないままはっきり区分されてるんだそうで。それにしても、大航海時代以降の白人がやってきた事はあまりにむごい。。このCDに入っていたのはフィジー人の音楽のみ7曲、うち6曲が舞踊音楽でした。リズムが強いものでも比較的穏やかなものが多かったかな?打楽器を叩きながら、みんなで2小節単位で循環する同じフレーズを何度も繰り返し歌いながらアッチェルしていくものが多かったです。ギターが入った長調のハワイアンみたいな歌もありましたが、これは白人音楽が入り込んだ結果なんでしょうね。

 ウォリス・フツナの音楽も、入っていた6曲すべてが舞踊音楽。フィジーよりもビート強調でアップテンポ、歌は入らずに途中に「ハッハッハッ」「イイ~ッ」みたいな絶叫系の合いの手がいっぱい入って、まるで人食い人種の儀式みたいでヤバカッコいい(^^)。いや~これは燃える、必聴ものです!!9曲目「TAKOFE」がやたらと攻撃的な音楽だと思ったら「槍踊り」、10曲目「TAOFAI」が異様にヤバそうと持ったら呪術系。音に意味がにじみ出るもんですね。。

Tsubaru.jpg ツバルの音楽は3曲、ぜんぶ手踊りの音楽でした。色んなものを叩きながら歌い、アッチェルしていっていきなりビタッと終わります。歌自体は、けっこう民謡チック。民謡って、日本でもヨーロッパでもこういうところでも似るもんなんですね。ところで、叩いているものの中に、どう聴いても石油の一斗缶としか思えないものも混じってるんですがそれは(^^;)。

 メラネシア、ミクロネシア、ポリネシアの音楽をまとめて聴きましたが、ネイティブな音楽は、差があっても誤差みたいなもんで、同じ音楽文化が共有されている印象でした。舞踊音楽が多いのがひとつの特徴で、オセアニアの舞踊というと、手をひらひらさせる女性中心の優雅な手踊り、腰を振りまくる激しいポリネシアン・ダンス、そして思いっきり男性的な呪術舞踊や戦闘舞踊の3つが代表的なものなのかな?舞踊音楽はボディパーカッションをふくむ打楽器を用いて、2小節とかのかなり短いものをくりかえすものが多くて、かなりプリミティブ。これが優雅なものになるとひたすら気持ちよく、戦闘舞踊あたりになるとかなり燃える!いずれもトランスしそうなところが最高によかったです。オセアニアの島々、昔は部族同士の争いがすごくて、その後は植民地にされて奴隷労働を強要されたんだろうけど、今は南の楽園になっててくれるといいな。。


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『ミクロネシアの音楽』

Microneaia no Ongaku メラネシアに続いて、ミクロネシアの音楽です!いや~ここも全然しらない地域、ミクロネシアの国家をあげろと訊かれてもまったく答えられましぇん。まして、どんな感じかと訊かれても、腰みのつけて踊ってるイメージしか思い浮かびましぇん(^^;)>。オセアニアの北西部分がミクロネシア、名前の通り小さな島々なのが特徴で、太平洋戦争を境にアジア的な生活様式から西洋的な生活様式に転換したそうです。国でいうと、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦、パラオ、キリバス、ナウル。アメリカ領では、グアム、北マリアナ諸島など

 グアムの音楽。4曲入ってましたが、うち3曲は思いっきりアメリカン・ソング形式。シンセとエレキベースで伴奏してるし(^^;)。なるほど、人はモンゴロイド系だけど、文化はもうアメリカに塗り替えられちゃってるんですね。1曲だけネイティブっぽい音楽が入ってましたが、イメージとしてはハワイのファイアーダンスの伴奏みたいな、太鼓の「ドンドコドンドコ…」みたいな音楽でした。これはカッコいい!

Saipan.jpg 北マリアナ諸島の音楽は、7曲入ってました。北マリアナ諸島と言っても僕はぜんぜんピンとこないんですが、サイパンは北マリアナ諸島の中のひとつだそうです。位置はオーストラリアと日本の中間ぐらい。ネイティブな音楽に聴こえたのは女性の斉唱3曲と、踊りの音楽。女性の斉唱はまるで小学校で習う歌みたいにゆったり素朴。CDには女性たちの写真が写ってましたが、腰みのつけて、花輪を頭につけて、いかにもオセアニアという感じ。踊りの音楽は、ボディーパーカッション含む打楽器がビシビシいう前で「ハッ」「ウーッ」みたいな掛け声が入ってました。これもいかにもオセアニアの音楽な感じでした。
 ネイティブな音楽に他の文化の音楽が入り込んだように越えたものもいくつかありました。北マリアナ諸島のものではない他の文化と感じたのは、日本とアメリカ。いちばん驚いたのは、なんと日本語で、エレキギターとベースの伴奏のフォークロックみたいなものが入っていたこと!いや~大東亜協和圏構想や、アメリカの文化侵略の両方の名残のようで、ちょっと複雑な気分でした。

Micronesia Renpou ミクロネシア連邦の音楽は、4曲入っていて、いずれも舞踊音楽でした。最初の2曲は女性の踊りのようで、音楽もソフト。ビートはそんなに強くなくて、日本の民謡を合唱で歌ったみたいな感じ。1曲は男性の戦闘訓練のための棒踊りで、リズムも強くて豪快!いや~これはカッコよかった!!打楽器に聴こえる音は、もしかすると戦闘棒同士がぶつかる音なのかも。最後の1曲は、音楽は民謡みたいな最初の2曲に似て優雅な雰囲気なんですが、詞の内容が、ここを植民地にして強制労働を強いていたドイツ人に反旗を翻し、ドイツ人行政官を射殺した1910年の事件を歌った歌。大航海時代の先進国がこの地域にしてきた仕打ちのひどさが胸に刺さります…。

 最後は、マーシャル諸島の音楽これも打楽器をドコドコ鳴らして、みんなで合唱。シュプレヒコールのようでした。コール&レスポンス的で、酋長が何か歌うと、「なんちゃらかんちゃら!」みたいな掛け声が続きます。内容は、戦闘歌だそうです。

 メラネシアもそうでしたが、オセアニアのネイティブな音楽には(ボディパーカッションを含む)打楽器と掛け声をつかっての戦闘舞踊みたいなものが絶対あるんですね。南国なので平和なイメージがあったんですが、ヨーロッパの植民地と化して奴隷労働を強制されるまでは、村同士が対立して戦争が続いていた地域なのかも。一方で、メラネシアよりも呪術的な要素が低くて、かわりに日本や西洋の文化侵略が進んでいる印象でした。そういう歴史が音にあらわれて肌で感じられるって、音楽ってすごいです。


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『Songs of Aboriginal Australia and Torres Strait』

Songs of Aboriginal Australia and Torres Strait オーストラリアの先住民族アボリジニの音楽です。アルバムタイトルにある「Torres Strait」というのは、オーストラリア大陸とニューギニア島の間にあるトレス海峡の島々の事らしいです。へえ~また一つ勉強になったぞ(^^)。。

 まず、アボリジニの音楽について。すごくプリミティブなほとんど無伴奏の民謡で、伴奏がついても木を打ち合わせた音か、ディジリドゥの伴奏ぐらい。こういう民謡は世界中のどこのものを聴いて似てるというのが個人的な感想。使われる音程が少ないのと、同じフレーズを繰り返すので、よほど変わったリズムや旋法でも使わない限りは似てしまうんでしょうね。独唱だったり斉唱だったりしますが、人数が増えても基本はユニゾンでした。
 でも、アボリジニの音楽といえばディジリドゥですよね!ディジリドゥは虫が食って中が空洞になった木を使った長い管楽器で、ストレート・ホルンみたいな感じ。でも、音程を変える穴があけてないので、音の操作は息の吹き込み方に掛かってます。これがなんというか…近い音がないので何とも説明しにくいんですが、しいて言えばモンゴルのホーミーみたいな音、と言えばいいのかな?独特なのです。

 というわけで、ほとんどが原始的な無伴奏民謡だったんですが、最後の方にギター弾き語りのハワイアンのような音楽が!いや~さすがにこれだけ長く他の文化を持つ人と近い地域に暮らしてたら、そりゃまったく影響を受けない方が不自然ですよね。これがなかなかホッコリする音楽で良かったです(^^)。

 いやあ、オセアニアの中でもオーストラリアは進んでる地域と思ってましたが、こと音楽に関してはアボリジニの音楽がオセアニアでいちばんプリミティブに感じました。アボリジニはたしか保護区に住んでいたと思うので、文化が今も受け継がれてるのかも。


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『SOLOMON ISLANDS | CRY OF THE ANCESTORS』

SOLOMON ISLANDS CRY OF THE ANCESTORS CD『メラネシアの音楽』の中で、ソロモン諸島のパンパイプの音楽だけは他と違って一種独特だなあ…と思って購入した1枚です。そして、速攻で売っ払ってしまった(^^;)。でも、僕がこのCDを速攻で売っ払ったからと言って、このCDが悪いものだという気はありません。ただ、僕には合わなかっただけなのさ。

 何が僕に合わなかったのか。僕はソロモン諸島にある土着の音楽を聴きたかったんです。ジャケットの写真も、現地の人がパンパイプを演奏してる写真だったし、アルバムのタイトルも「Solomon Islands」と書いてあったし。でも、CDを聴いたら、パンパイプとか現地の打楽器らしきものを使ってはいましたが、内容は西洋のポピュラー音楽そのものだったのです。曲だけでなく、ベースはウッドベースに聴こえるし、歌なんて英語だし。こういうの聴きたいなら西洋の大衆歌を聴くから余計な事はしてくれるな、ソロモン諸島の音楽と書いてあるから買ったんじゃねえか…とまあ、こんな感じ。ああ、曲ごとに作曲者の名前がクレジットされているのを見て、トラディショナルではないと気づくべきだったなあ。

 でも、これがいわゆる空港で売ってるようなご当地お土産用CDみたいなものなのかどうかは、よく分からず。オセアニアが隅々まで西洋に植民地化された地域である事は確かだし、その過程で西洋音楽と現地音楽が混ざってこういう音楽が本当に生まれてたのかも知れないですしね。


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『メラネシアの音楽』

Melanesia no ongaku 夏です。夏と言えば海、海と言えばオセアニア。という訳で、オセアニアの音楽でも聴いて海に言った気分に浸ろう、そうしよう。

 オセアニアは漠然と分かります。ただ、オセアニアのくくりって、太平洋の小さな島々の中で、インドネシアとフィリピンとオーストラリアは入れないもんだと思ってたんですが、オーストラリアは入れる事もあるらしいですね、知らなかったよ。ところが、オセアニアを3分割したポリネシアミクロネシアとメラネシアは、僕はまったく区別がついておりません。ハワイやクック諸島やイースター島がポリネシアである事は知ってるんですが、あとはどこがどこだか区別がつかず。なんだったら、名前しか知らない所の方が多いぐらいです(^^;)>。というわけで、僕にとっては異文化中の異文化、未知の世界と言ってもいいほどの地域、メラネシアの音楽を聴いてみよう!僕も無知ですが、知らない人はぜひ付き合ってね(^^)。

 メラネシアは、オーストラリアのすぐ北にある島々の事みたいです。それよりさらに北になるとミクロネシア、オーストラリアから東、アメリカ大陸にかけてのあたりがポリネシアメラネシアにある国や島は、パプアニューギニア、フィジー、ソロモン諸島、バヌアツ、ニューカレドニア(フランス領)、あとはインドネシア領のパプア州&西パプア州メラネシアを他のオセアニアと区分けしたポイントは、肌の黒い人が多い事だったそうです。ただ、肌が黒いと言ってもニグロイドではなく、オーストラロイドなのだそうで。ここから派生して、オーストラリアをオセアニアに含める時は、メラネシアとみなすみたい。へ~はじめて知った、そうなんだ!たしかに、このCDのジャケットに写ってる人も、肌がすごく黒いです。

Aboligini.jpg 1~5曲目は、オーストラリアのアボリジニの音楽でした。アボリジニ、僕はディジリドゥぐらいしか知らなかったんですが、打楽器や声と一緒に演奏するのが普通みたいでした。そして僕が打楽器だと思っていたものは、ブーメランを叩いて音を出してるのだそうで。たぶん狩猟にブーメランを使ってるんでしょうね。。5曲入っていたアボリジニの音楽のイメージを伝えると…子どもの頃、アニメや映画や探検番組なんかで出てきた人食い原住民の音楽みたい。打楽器がカンカン鳴って、ドローンでディジリドゥがウワ~ンと鳴り続けていて、呪文のような歌が延々と唱えられている感じ。解説を読むと、全身にペイントを施した猟師がワラビーを突き刺して帰っていく祭儀の音楽だったりするので、この想像は当たらずとも遠からずかも。だってそれって、要するに呪術ですよね。いやあ、こういう文化や儀式がリアルタイムで残っているのか、すげえ。そうそう、ディジリドゥは、空洞になった長い木を吹いて音を出す楽器で、管楽器でやるホーミーみたいです。

 6~8曲目は、かなり似た音楽でした。どれも、打楽器を叩いて、みんなで合唱しながら踊る、みたいな。でも地域が違って、6曲目はオーストラリアのトレス海峡諸島、7~8はヴァヌアツでした。国は違っても、文化的にはあんまり差がないのかも。

 9~14曲目は、ソロモン諸島の音楽でした。まず、9曲目にビックリ。ああこれは思いっきり西洋音楽とのシンクレティズムが起きてる。だって、ギターでメジャーコード押さえて弾き語ってるんだもの。西洋の侵略の歴史って罪ですよね、色々なものを滅ぼして自分を押しつけて…。一方、土着音楽として残っていたのは、パンパイプの演奏、打楽器、歌、などでした。パンパイプはソロモン諸島の音楽の特徴みたい、メラネシアの中では独特でした。

 15~16はパプア・ニューギニアの音楽、これがすごかった!どちらも舞踊音楽らしいんですが、M15はものすごい勢いの打楽器合奏に、忘我の境地で叫んでいるような声!踊り自体も、世界に類を見ないほど露骨なセックス描写だそうで、女性は〇〇丸出しでものすごい腰の振り方をするそうです。

NewKaredonia.png 17~20はニューカレドニア。ニューカレドニアって、あの「天国にいちばん近い島」じゃなかったでしたっけ?ここは、3曲の儀式音楽がすごかった!狩猟の踊り、戦闘舞踊、戦闘棒の演武音楽…って、これだと「天国にいちばん近い」の意味が変わってくるじゃん、殺る気満々だぞ。。ところで、僕が思っているオセアニアの音楽って、まさにこれでした。打楽器がドンドン鳴って「イヤホ~」「アイ~」という奇声が飛び交い、異様に高揚していく音楽。これは感情を高揚させながら意識はトランスしていく事を目的としてますよね。

 メラネシアは打楽器優勢の音楽が多かったです。打楽器優勢というとアフリカを思い浮かべますが、アフリカの打楽器が低音の効いたものが多いのに対して、低音がないものが多かったです。アフリカみたいな皮ものの打楽器が少なくて木を直接打つからかな、それとも植生の問題かな?そして、大人数で合唱するものが多いところを見ると、共同体が社会ですごく重要な働きをしてるのかも。ロシアの音楽を聴いてるとほとんど個人だし、地域性ってのは音楽に出るもんですね。最大の特徴は、音楽がシンプルなものの繰り返しであるものが多かった事です。これはトランスミュージック的というか、聴いているとトリップしそうになります(^^)。もしかしたら、この地域の音楽は儀礼で演奏されるものが多くて、その儀礼が呪術性を帯びているものが多いのかも。日本にいたらまず体験できないトランス系の呪術音楽、すごくプリミティブで面白かったです!


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バロック・チェロの名手アンナ―・ビルスマ逝去

Anner-Bylsma.jpg 7月25日(2019年)、オランダのチェロ奏者・アンナ―・ビルスマさんが逝去なさいました。享年85歳。

 僕がビルスマさんを聴いたのはバッハの無伴奏チェロ全曲をバロック・チェロで演奏した録音でした。それまで、僕にとっての無伴奏チェロと言えばやっぱりカザルス。あの重厚な無伴奏チェロに対してビルスマさんの演奏は踊るように軽やかで、驚いたのを覚えています。でもそのビルスマさん飛躍のきっかけとなったのは、カザルスの国際チェロコンペだったんですよね。自分とまったく違うチェロへのアプローチを評価するカザルスさんもすごかったと思います。

 ビルスマさんの演奏は、今年聴き直したばかりで、「あれ、こんなに軽やかだったのか」と、ちょっと心が動いた記憶があります。チェロ奏者と言って、僕がパッと思い出すのはカザルス、ジャクリーヌ・デュ・プレ、堤剛シュタルケル、そしてビルスマさん。だんだん軟弱になっていくクラシック界ですが、また硬派な巨星がひとり逝ってしまったという思いがします。合掌。


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『Charles Gayle / Repent』

CharlesGayle_Repent.jpg こちらはNYのアヴァンギャルド系のライブハウスのニッティング・ファクトリーからリリースされたチャールズ・ゲイルのアルバム、1992年発表です。これは『Precious Soul』とは対照的で音の暴力。2曲でCDの収録時間めいっぱい入ってます。ずっとハイテンションでフォルテをぶちかまし、疾走しつづけていました。チャールズ・ゲイルなんて、1曲目はずっとフラジオ吹きっぱなしです。

 凄いパワーとスピードです。テクニックもあります。ぜったいにデヴィッド・マレイよりチャールズ・ゲイルの方が凄いわ。。この過剰さこそフリージャズの魅力のひとつで、特に50分ノンストップの2曲目「Jesus Christ And Scripture」での演奏がすごい!!
 でも…聴いていて、どこか全面的に肯定できない自分がいるんです。こういう音楽を聴くと、いつも「すごいな」と思う自分と、「どうなんだろうな」と思う自分の両方が出てきちゃうんですよね。僕がいちばん音楽に夢中になっていた頃は、フリージャズと現代音楽を交互に聴いている感じでした。なんでそうなるかというと、フリージャズを聴くと興奮する半面「少しでもいいから作曲するところは作曲しておけばもっと良くなるのに」と思って現代音楽が聴きたくなるし、現代音楽を聴くと作曲面でのサウンドや構造にしびれる反面「こんなチマチマやってないでドカンと演奏したらもっとカッコよくなるのに」と思ってフリージャズを聴きたくなっていたわけです。このアルバムは前者の典型で、50分連続で突き抜ける集中力やスピードやパワーにしびれるんですが、その反面で構造やら何やらが単純すぎるので、どうしても飽きるんですよね。。

 たとえば、1曲目でのず~っとフラジオ吹きっぱなしのサックスってどうなんだろうかと思ってしまう冷静な僕がいます(^^;)。。だって、楽器って、良い音を出すように色々と設計されてるものじゃないですか。その良い音をぜんぜん使わず、飛び道具な部分ばかりを演奏してしまうと、音としてはどうしても不利ですよね。ましてフラジオとなるとピッチを示した音楽を作るのは難しくなるわけで、結果デュナーミクだけで「この情熱をきいてくれ!」というだけの音楽になっちゃうんじゃないかと。そういう意味でいうと50分ノンストップな2曲目の方がいい演奏ですが、「ずっとフラジオ吹きっぱなし」という音楽も、誰かが1度はやって結論を出さないといけないと思うので、そういう意味では意味ある仕事はしてるのかも知れませんが。

 ちょっとマイナス面の感想も書いてしまいましたが、実際には「すげえ」が65%ぐらいの感覚で、チャールズ・ゲイルの代表作のひとつと思います。ニッティング・ファクトリーはフリージャズというよりアヴァン・ロックとかノイズみたいなのも色々やってたところなので、こういう「過剰さ」だけをやるというコンセプトだったのかな?これだけ聴いてしまうと「パワーだけのデタラメフリージャズ」に感じてしまうかも知れませんが、実際には『Precious Soul』みたいな音楽をやるぐらいの音楽性がある人なんですよね。対照的な『Precious Soul』と『Repent』の両方でひとつのアルバムと思ってもいいかも。


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『Charles Gayle 3 / Precious Soul』

CharlesGayle_PreciousSoul.jpg 同じくドイツFMPから発表されたチャールズ・ゲイルのアルバム、今度はチャールズ・ゲイルのリーダーバンドで、ベースとドラムとのトリオです!録音は1997年、ライブ録音でした…が、これも音が良かった(^^)。FMPというレーベルはライブ録音ばかりだけど、とにかく録音が良いものが多いレーベルでした。ジャズって、スタジオ録音よりライブでしっかり録音した方が音が良かったりしますよね、変に楽器の音が分離しなくて済むというか。

 『Touchin' on Trane』がけっこうジャズ的なフリーだったのに対して、こっちはドラマーがインテンポでビートをキープしない事もあるのか、3者がインタープレイで音楽を進めていくからか、制約を離れて自由になった印象でした。力任せで情熱だけで進めていくアタマの悪そうなフリーじゃなくって(^^;)、かなり戦略的というか、頭脳的なグループ・インプロヴィゼーション。ああ、これは面白い。。
 そして、2曲目ではなんとチャールズ・ゲイルがテナーサックスではなくピアノを弾いてる!しかもそれがモンクっぽくて面白い(^^;)。フレーズの最後にスケールを駆け上がるフレーズを入れてくるところなんて、まんまモンクです。4曲目もピアノなんですが、これなんてテンションも綺麗に挟んでいて、見事なジャズです。ああやっぱりちゃんと音楽を学んだ人なんだな。下手すると、サックスの演奏よりピアノの方がいいかも。

 大音量でゴリゴリ押すのではなく、全体的に内省的なフリージャズでした…だから「プレシャス・ソウル」なのかな?曲によってキャラクターの違いがはっきりしていて、ゴリ押しに行かずにインタープレイがあって、すごく良かったです。このCD、今ではかなり入手困難みたい…というかFMPのCD全体がどれもプレミア化が進んでるみたいなので、聴きたい方は安いうちにゲットしておきましょう!


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『Charles Gayle, William Parker, Rashied Ali / Touchin' on Trane』

GayleParkerAli_TouchinOnTrane.jpg 80年代のドイツにFMPというフリージャズ専門のレーベルがありまして、日本にもCDがけっこう入ってきていました。ジャズ専門店だとFMP専門コーナーがあるところもあったぐらい。フリージャズが大好きだった僕は興味津々で眺めてたんですが、その中にこんなCDを発見。タイトルは「Touchin’ on Trane」。1991年の録音で、参加メンバーにはジョン・コルトレーンとのデュオ『Interstellar Space』でものすごい演奏をしていたラシッド・アリの名前が!おお~ラシッド・アリってまだ現役なのか、ついでにこのタイトルはコルトレーンを意識してるんだろうな…そんな具合で、僕はこのアルバムを手にしたのでした。

 音がすごくいい!そしてみんなうまい…。ラシッド・アリはコルトレーンと共演していた頃ほどの爆発力は感じませんでしたが、それでもやっぱりいいドラマーだなあ。しかしそれ以上に耳を奪われたのがサックスのチャールズ・ゲイル。ジャズ的なアプローチから入るんですが、まずはこれが素晴らしかった!そして、2度目に回ってきた自分のソロ回ではフラジオを多用してのフリーキーな演奏。

 全員で渾然一体となって進むのではなくて、フロントとバックに分かれて、テーマがあって、ソロオーダーも決まっていて…と、フリージャズとはいってもかなりジャズ的でした。和声/スケール的なキャラクターや変化に乏しいので、そこが飽きやすかったけど、でもチャールズ・ゲイルのプレイに集中して聴くとかなり良かった(^^)。このCDはフリーでしたが、フレージングやアドリブの技法や音楽の組み立てを聴くに、この人はちゃんとジャズの勉強してきた人だろうな…と思わされたレコードで、これで僕はチャールズ・ゲイルの名前を覚えたのでした(^^)。爆発力が今ひとつに感じましたが、なかなかいいフリージャズのアルバムじゃないかと。


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『山下和仁 / The Blue Guitar』

YamashitaKazuhito_BlueGuitar.jpg クラシック・ギターの山下和仁さんがカナダで録音したCDです。武満徹さんの「フォリオス」を除いて、ティペット、ウォルトン、ブリテンと、20世紀を生きたイギリス人作曲家の作品で固めてあります。…なんでカナダ録音なんだろう。

 20世紀の作品でも、イギリスの音楽ってドイツと違って全体的にあまり前衛じゃないです。ただ、ギター曲に限っては、ギターのメカニズムに合わせた作曲になって、ギター音楽ならではの現代性が出てくる感じ。ブリテンなんて、これが20世紀の西洋の作曲家かというほど保守中の保守な作曲家ですが、このCDに収録されたギター曲「ノクターナル」だけは、独特の響きを持っていて、かつ楽曲様式も独特。ブリテンでこの曲だけは好きなんですよね、僕(^^)。それはティペットも同じで、大体の曲はあんまり好きじゃないんだけど、このアルバムに入ってる「ザ・ブルー・ギター」は、かなり好き。ウォルトンは…実は、作曲家自体をよく知りません(^^;)>。。でもこれもブリテンやティペットのギター曲と同傾向と言えるかも。でも、3人の中ではいちばん面白くないかな?

 ギター曲に限っては、20世紀のヨーロッパ音楽で独特な道を歩んだように思います。ピアノ曲や管弦楽曲と全然違う道で、調を感じるけど独特の響き。これって、もしかするとギターの構造的に、無調的にしようとしても、どうしてもある程度調性感は出てしまうという事なのかも。また、制限の多い楽器なので作曲をするのがギタリスト自身である事も多く、そうなると作曲の最前線をベースにした曲じゃなくて、自分が学んできた曲の作曲技法から作曲しちゃう事が多いのかも。ヒナステラもディアンスもそうだし、ギター曲の中では比較的前衛寄りのブローウェルですらそんな感じだし。そして、ギター的なメカニカルな動きも、これは音楽よりも楽器を前提にこうなってくるのかも。20世紀のギター曲、僕は好きだなあ。


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『J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ(ギター版) 山下和仁(g)』

Bach_Sonata and Partita_YamashitaKazuhito 僕が最後に買った山下さんギターアレンジ版のバッハ組曲集は、無伴奏ヴァイオリン!いやあ、これを全曲ギターにアレンジしただけでもすごいのに、全曲演奏するなんて神です。一流の人って、一流だからこういう事が出来るんじゃなくて、こういう事に挑戦して成し遂げるから一流なんでしょうね。いくらすごくても、なみなみならない決意がないとこんなの取り組めないでしょう。

 すごい、スバラシイです。これは100万回言ってもいいぐらい。ソナタ2番の1楽章とか、超絶技巧と言っていいほどの妙技の連続でグイグイと進んで本当にすごいです。でも…僕は、バッハの無伴奏組曲では、無伴奏ヴァイオリンがいちばん凄いと思っているし、また一番好きで、それが問題でした。山下さんの無伴奏ヴァイオリンのギター編曲版は、パルティータ1番の2楽章ドゥーブルみたいにアルペジオで弾きまくるとか、きれいなカノンを描き出すとか、そういうところは本当にスバラシイと思うんです。ただ、「タ~ララ」みたいにメロディをつなげたい所をスラーやレガートでつながずに、「タンタタ」みたいに1音1音演奏してしまうのです。だからやけにメカニカルなバッハに聴こえてしまう所がありました。リズムもそうで、たとえばソナタ1番1楽章なんてもっとナチュラルにアゴーギクすればいいのに、なんか機械が演奏してるみたいにぎくしゃくしてました。超絶技巧バッハと言えばそう言えなくもないんですが、きれいに歌っている曲もあるので(パルティータ2番3楽章ドゥーブルとか)、これは単純に演奏プランの煮つめが足りないまま録音に入ってしまったんじゃないかと。無伴奏ヴァイオリン全曲の録音なんていう神をも恐れぬ作業に足を踏み込んだ以上は、何もかも完全に整ってから取り組むべきだたんじゃないかと。

 そんなわけで、これが現時点でのバッハ無伴奏ヴァイオリンの最高峰の演奏だとは思いません。たとえば大曲シャコンヌは山田唯雄さんの演奏の方がダイナミックですごかったし、なによりブリームの演奏で凄いのも聴いた事がありますしね。テクニカルなんだけど、ギターを「歌わせる」ことに関しては、他の山下さんのバッハ無伴奏集に比べるとちょっと意識が低いのかもな、みたいな。でも、アルペジオでバリバリ突き進む曲や、カノン的な曲の演奏はさすがにいま聴いても抜群。曲ごとに聴けばこれに優る演奏があったとしても、全曲をこうして演奏しつくしたこのCDの価値はやっぱり変わらないですよね。無伴奏ヴァイオリンのギター編曲を聴くなら、何はともあれこれから聴くしかなくて、他の演奏はすべてこの演奏との比較になってくるというぐらい重要な録音と思います。


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『J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲(ギター版) 山下和仁(g)』

Bach_CelloSuite_YamashitaKazuhito.jpg 続いて、山下和仁さんによるバッハの無伴奏チェロ組曲全曲の録音です。世界中のクラシック・ギタリストで山下さんが一番好きという人は多いと思いますが、それぐらい超絶的なテクニシャン。何を隠そう僕も、山下さんは私的クラシック・ギタリストベスト3には間違いなく入ってます。はじめてストラヴィンスキーの「火の鳥」のギターアレンジの演奏を聴いた時は、あまりにすごすぎて体が震えたよ…。

 美しいです。本来はせいぜいダブルストップ+ピチカートぐらいで表現するしかない無伴奏チェロ組曲が、ギターで6本の弦を響かせて演奏すると和声音楽として響いてしまうのです。超有名な組曲1番のプレリュードでも、同時に3つの音が重なって、響きがすごく美しい、ああ美しい。チェロ演奏での無伴奏チェロももちろん素晴らしいと思うんですが、部分的に「これは技巧練習曲だな」と思うところがあるのに、ギターだとそれですら優雅に聴こえてしまいました。途中、元々ギター曲だったと錯覚してしまうところがあるほどでした。そう思うのも、山下さん自身のギター編曲が素晴らしいんでしょうね。

 でも、本当にすごいと思うところは、演奏表現です。表現以前に、まずは随所に聴かれるテクニックがすごい。1番第3曲クーラントのトリルとか、どうやってるんだろうかという感じ。1音1音をアタッカで演奏しているように聴こえるんですが、これってハンマリングだけでこんな音に出来るんでしょうか、しかもバスを押さえながらだから、人差し指と何かみたいな簡単な指使いではなさそうだし。う~ん、さすがテクニックで世界の頂点に立つギタリストはすごかったです。そして、この技術があってはじめて可能になるのが表現なんでしょうね。感情的な演奏という感じではなく、バスとメロディの関係とか、全体のなかでの楽節の作り方とかが、ただやみくもに弾きまくっている人とはえらい違いだな、と感じました。ギター編曲の無伴奏チェロ組曲で、現時点で最初に聴くべきは、セゴビアではなくこれじゃないかと。


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『J.S.バッハ:リュート組曲 山下和仁(g)』

JSBach_LuteSuite_YamashitaKazuhito.jpg  超絶テクニックを誇るクラシック・ギターの山下和仁さんによるバッハ集、これはリュート組曲です。ただし、このCDはリュート組曲の全曲が入ってるわけじゃないので注意。バッハにはリュート曲が7曲あるらしいんですが、そのうち3曲は無伴奏ヴァイオリンまたはチェロの編曲もので、山下さんはこのCDを出すとき、すでに無伴奏ヴァイオリン全曲と、無伴奏チェロ全曲を録音していたもので、録音済みの曲を除外したらこうなったみたい。例えば、リュート組曲第3番は全曲が無伴奏チェロの第5番と同じなので、このCDには入ってません。かわりに、組曲以外のバッハのリュート曲すべてと、無伴奏フルートのためのパルティータ全曲(BWAV.1013)のギターアレンジ版が入ってます。まとめると…山下さんの無伴奏ヴァイオリン全曲入りCD、無伴奏チェロ全曲入りCD、そしてこのCDを買うと、バッハの無伴奏ヴァイオリン全曲、無伴奏チェロ全曲、リュート曲全曲、無伴奏フルートのためのパルティータ全曲、このギターアレンジをぜんぶ聴く事ができるわけです!う~んこれはすごい、アーティストにとって生涯一と言っていいほどの偉業じゃないでしょうか。

 山下さんのバッハ全集ものは大ベストセラーだったみたいで、昔は飾り程度にしかクラシックのCDを置いてない町のCD屋さんにすら置いてあるほどでした。若い頃、バッハがよく分からなかった僕が、バッハにぶっ飛ぶ事になったきっかけのひとつが、この山下さんのギター演奏でした。3コースも同時進行するような対位法音楽をギター1本で演奏してしまう、どういうことだこれは。。まだクラシックギターをよく知らなかった僕にはものすごいカルチャーショックでした。今回、久々に聴いてみたところ…若い頃は気づかなかったんですが、めっちゃうまい。若い頃はこれを弾けるというだけで驚いたんですが、流れるような演奏、それでいてセゴビアみたいに慎重ではなく、突進していきます。山下さんの演奏って、バキバキと前に進んでく感じが独特ですね。セゴビアは安定、ブリームは表現力の高さ、そして山下さんはグイグイと突き進んでく躍動感。いや~カッコいい。。

 僕がなんで無伴奏ヴァイオリンや無伴奏チェロのCDよりも、地味なリュート組曲に先に手を出したかというと…若い頃はバッハが苦手だったもんで、2枚組を買うのに躊躇したから(゚∀゚*)エヘヘ。でもこれで山下バッハにぶっ飛び、けっきょく他の山下編バッハにも手を伸ばしたのでした。ロックでもジャズでも、ギターを演奏する人なら山下さん演奏のバッハは絶対に聴くべき超絶演奏じゃないかと!いや~久々に聴いたけどやっぱり凄かった。。


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『Pablo Cruise / Lifeline』

Pablo Cruise Lifeline 70年代に活躍したAOR系のグループです。どういうわけかアメリカ西海岸のサーファーたちの間で爆発的な人気があったんだそうで。これは、76年発表のセカンド・アルバム。ジャケットひとつとっても、完全にサーファーをターゲットにしてるのが分かる(^^)。逆にいうと、サーフィンにまったく興味のない人はほとんど知らないんじゃないかと。

 マイケル・フランクスやクリストファー・クロスみたいに、曲書いたらあとはクロスオーバー系のミュージシャンに演奏してもらっちゃうというレコーディング業界的な作り方じゃなくて、自分たちでキッチリ演奏してます。しかもその演奏がなかなかアツい!その分だけ、典型的なAORというより、ウエストコースト・ロックに近く感じました。やっぱり、自分で出来るなら自分で演奏した方がいいよね(^^)。その演奏が爆発するのが、70年代の伝説的サーフィン映画「フリーライド」で使われたインスト曲「zero to sixty in five」。僕はこの曲目当てで買ったんですが、ゆったりとしたピアノのイントロから、徐々にリズムがはっきりしてきて、激しくなってきて、フュージョンギターが炸裂!いや~これは何回聴いてもいい!ピンク・フロイドの「one of these days」とか、リズムパターンだけで血沸き肉躍る曲ってありますが、これもそういう曲です。

 白状すると…僕はこの曲、映画「フリーライド」で好きになったのではなく、「気合いだ、気合いだ、気合いだああ!」で有名なアニマル浜口の入場曲として好きだったのでした(^^)。赤と青のターザンコスチュームで、長州力と放つツープラトンでのパイルドライバーはすごかった!あんなのマジでやったら死ぬだろ。。アニマル浜口はヒールのやられ役でしたが、実はアマレスの素養のある立派な格闘家なんですよね。アニマル浜口に限らず、維新軍は長州も谷津も全員ガチでアマレス強豪。素晴らしい集団だったなあ…って、また話がプロレスになってしまった。。というわけで、最高にノリのいい曲なので、「zero to sixty in five」をぜひ一度聴いてみてください、当時のウエストコースト・ロックの良さがギュッと詰まったような音楽です!


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『Randy Crawford / Raw Silk』

Randy Crawford _Raw Silk クルセイダースとの共演で名をあげたランディ・クロフォードが1979年に発表したソロ・デビュー作で、邦題は『絹の響き』です。歌は熱いソウル系なんですが、バンドがフュージョン~AOR風味。参加ミュージシャンを見ると、ドン・グルーシン、ジェームス・ギャッドソン、ウィル・リー、ジョン・トロペイ…まあ、そういう音です(^^)。

 オケはシャレていて気持ちいいし、歌は半端なくうまい。というわけで、いう事なし…のはずなんですが、しっくりきませんでした。なんでだろうとしばらく考えたんですが、歌とオケのバランスが悪いのかも。オケはすごくクールで、デュナーミクで言えばずっとメゾピアノぐらい。ところが歌は激アツでサビに入るとたいていメゾフォルテからフォルテ。そして、歌が熱を持ってきてもバンドは淡々と心地よいサウンドを出してます。こんな具合で、歌とオケがチグハグなんですよね。このヴォーカルを活かしたいならバンドはクールに決めてるだけじゃダメだし、この気持ちいいオケを活かしたいなら、ヴォーカルがもっと押えないと駄目なんじゃないかなあ。もしかすると、仮歌をガイドにオケを先に録音して…みたいなベルトコンベア式のスタジオ録音をやったもんだから、全体が合わなくなったんじゃないかなあ。歌を聴きながら演奏しているようには聴こえませんでした。それって音楽として…ねえ(^^;)。

 それにしても、歌がマジでうまいです。ちょっと真似して歌ってみたけど、凄すぎて全然真似できません(*´ω`)。AOR期の女性R&Bシンガーでは、マリーナ・ショウとランディ・クロフォードは抜群に歌がうまくてすばらしい。マリーナ・ショウは売れたけど、ランディ・クロフォードってどうだったんでしょうね。もう少し曲に恵まれて、バンドが真面目にオケを作って、A&Rが真剣に売り込んでたら、もっと名の通った存在になっていた気がします。


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『Crusaders / Street Life』

CRUSADERS STREET LIFE これぞAOR の快感というマイケル・フランクスのアルバム『Art of Tea』で、その快感を決定づけていたエレクトリック・ピアノを弾いていたジョー・サンプルがいたフュージョン・バンド、クルセイダースのアルバムです。どうせクルセイダースを聴くなら、見事なアンサンブルを書きあげていたジャズ・クルセイダース時代を聴いた方がいい…と若い頃は思っていたもんですが、ジャズ時代とフュージョン時代はほとんど別のバンドですよね、クルセイダースは(^^;)。そうそう、クルセイダースは、キーボードのジョー・サンプルだけでなく、ウィルトン・フェルダーというサックス奏者も有名です。これはクルセーダーズ時代の12枚目のアルバム、1979年発表です。

 僕がこういうポップなフュージョンで最初に経験したのは「ルパン三世第2シリーズ」の音楽でした。エレピが入って、心地よいエレキギターが入って、ドラムはジャズじゃなくてポップス系の8ビートで、都会的で気持ち良いサウンド。このアルバムはまさにそれで、テンションも緊張感や色を出すために使うんじゃなくって、音を滲ませて気持ち良くなるように使ってるように聴こえます。

 このアルバムでヒットしたのは、ランディ・クロフォードをヴォーカルに迎えたタイトル曲です。僕がランディ・クロフォードを聴いたのはこの曲が初めてでしたが、歌がうまいなあ…と思いつつも、こういうサラッとしたフュージョン・サウンドの前で聴くと、うまいのがありがたく聴こえなかったりして(^^;)。それでも、フュージョン・サウンドに乗って歌う女性ヴォーカルとしては、マリーナ・ショウとランディ・クロフォードと金子マリさんはすごく好きでした。

 この時代のクロスオーバー/フュージョンから入った人なら違和感なく聴けるのかも知れませんが、ジャズからの流れでこのアルバムを聴いた人にとっては「何だこの腑抜けな音楽は?!まったくけしからんぞ」となったかも…ならない方がおかしいよなあ(^^;)。僕は後追いながらジャズの文脈でこのアルバムを聴いちゃったもんで、そんな感じでした。でもこれ、ジャズ/フュージョンではなく、インストのAOR と思って聴けば悪くないアルバムなんじゃないかと。そんな演奏なので、クルセイダース以降のジョー・サンプルさんは、ポップスのアルバムで演奏してる時の方が僕は好きです。


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『Michael Franks / One Bad Habit』

MichaelFranks_One Bad Habit 邦題は「N.Y.ストーリー」、1980年にマイケル・フランクスが発表した6枚目のアルバムです。これも若いころにはピンとこなかったのに、大人になってからきくと最高に気持ちの良いAOR でした(^^)。

 『Art of Tea』に続いて、これもジャズ/フュージョン系のミュージシャンの名前がズラリ。エリック・ゲイルやデヴィッド・スピノザやラリー・ウイリアムスやジェリー・ヘイは分かるんですが、ビル・エバンス・トリオのエディ・ゴメスまで参加してる所がすごい。もしかすると、クロスオーバー大流行の波に乗ろうとしたわけじゃなくて、マイケル・フランクス自体がジャズ・ミュージシャンへのリスペクトがある人なんじゃないかなあ。

 中低域をガッツリ削ってエッジを立てたギターやピアノの音、70年代とは違って爽やかにすら聴こえるエレピ、ウィスパーヴォイスと言ってもいいほどのヴォーカル…音も曲も、心地よさを重要視して作り込んでいる音楽に聴こえました。バラードの「On My Way Home To You」なんて、一歩間違えるとイージーリスニングになってしまいそうなほど気持ちいい…そうか、この「心地よい」が、若い時は「たいくつ」とか「だるい」に感じてたんだな、きっと。

 若い頃にもうひとつのめり込めなかった理由って、このレコードのジャケットにあらわれてるかも。筋肉なんてゼロでガリガリヒョロヒョロ、ファッションが貧乏くさい、髭がカッコよくない…こういう美感が音楽にも出てるように感じてしまったんですよね。子どもの頃って、ミュージシャンは音楽をやる人というだけでなく、その人への憧れや期待があって、どうも色んなものが軟弱に見えたんです。ところが大人になったいま聴くと、音だけを心地よく楽しんでいる自分がいて、めっちゃ心地よいアダルトなAORで最高でした。でも、ここまで褒めておきながら、心地よさに振りすぎていて、どんな曲だったかほとんど覚えてないし、うたた寝しそうにもなりました(^^)。これって本当にBGM 目的に作ってあるんじゃないかなあ。


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『Michael Franks / Art of Tea』

MichaelFranks_Art of Tea  AOR を代表するシンガーソングライターのひとり、マイケル・フランクスが1975年に発表したセカンド・アルバムです。若いころ、どこが良いのかさっぱり分からないぬるい音楽にしか思えなかったAOR が、齢を重ねてから聴くとなんとも素晴らしく感じたりして。まったく自分の感性にも困ったもんです。後期ドゥービー・ブラザーズとマイケル・フランクスは、僕にとって「大人になるまで良さが分からなかったAOR」の代表格といってもいいかも。

 曲はミドルテンポで落ち着いたものが多く、演奏もハードに攻めるんじゃなくてメゾピで軽めにフュージョン的、ヴォーカルは中性的。夜に落ち着いた場所でリラックスしながら聴く音楽という感じで、ひたすら気持ちいい。超気持ちいい、ああ気持ちいい。中でも耳を奪われるのがフェンダー・ローズの心地よさで、これこそAOR という音楽を決定づけている楽器だと僕は思ってるんですが、この気持ち良さはやばい、こんな音、出すだけで気持ち良いじゃん、ずるいぜ。いったい誰が演奏してるんだ、とクレジットを見ると…うわあ、クルセイダーズのジョー・サンプルじゃねえか!やっぱりずるいぜ。なーんて言いつつ、ジョー・サンプルは、僕はクロスオーバー時代のクルセイダーズの演奏より、ポップスで演奏してるものの方が好きなんです(^^)。他にも、ベースがウィルトン・フェルダー、ギターがラリー・カールトン。曲によってはストリングスも入るんですが、これも前には来ないで後ろの方で微かになってるぐらい。

 僕がこのアルバムをはじめて聴いたのは高校生の時。何が駄目だったかというと、このヴォーカルの緩さと、曲がよく分からない所だったんじゃないかと。ヴォーカルはお世辞にもうまいとは言えないんですが、こうやって語るように歌うからこそ、この緩さが出てくるのかも。曲がはっきりしないのは、フュージョンやってる人がリードシート見て軽くセッションしたからじゃないかと。コードと歌メロしか形を認識できるものがなくて、印象的なオブリもカウンターラインも何もないもんで、曲の印象が残らなかったんじゃないかと。でも、この緩い雰囲気を楽しむ音楽なんだと思う事さえできていたら、若い頃でももう少し楽しめたんだろうな…いや、年齢的にも性格的にも、それを受け入れるのは無理だったかな。。

 僕、若いころにAOR の名盤に色々と挑戦したんですが、軟弱に思えるものが多くて、AOR のレコードをけっこう売っちゃったんです。中には大人になったら良さが理解できたものもあったんじゃないかなあ。でもこのレコードが残っていたのは、どこかにいいと思う所があったのかも。聴き方によっては茫洋として退屈に感じるかもしれませんが、「これは雰囲気を楽しむ音楽なんだ」と思う事さえできれば、意外とグッとくるかも。ああ、取っといてよかった(^^)。


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『João Gilberto / João Voz e Violão』

JoaoGilberto_JoaoVoz e Violao ジョアン・ジルベルトが2000年に発表したアルバムです。プロデューサーはカエターノ・ヴェローソ。僕はこのアルバムは完全にジャケ買い。このジャケット、素晴らしすぎると思いませんか?こんなの買ってしまうって。。このアルバムがリリースされるまで、ジョアン・ジルベルトは10年ぐらい新作を出していなかったので、「え?ジルベルトおじさんは現役だったのか?」と驚いたのを覚えています。感触で言えば、エルヴィス・プレスリーの新作が出た、ぐらいの驚きでした。

 このアルバム、ジャケットには「João Gilberto」としか書かれていません。たぶんそれが正式タイトルで、それだと紛らわしいので、あとから「João Voz e Violão」という通称がつけられたんじゃないかと。レッド・ツェッペリンの4枚目『Led Zeppelin』を、フォー・シンボルズと呼ぶようなもんですね…あくまで想像ですけど。そしてその通称の通り、完全にギター弾き語りのみで、他の楽器は一切入ってませんでした。スタン・ゲッツとの共演も、50年代の録音も、『イマージュの部屋』も、ジョアン・ジルベルトの弾き語りには、バンドやストリングスが加えられていました。でもこれは完全にジルベルトさん一人、リヴァーブなどの加工すら一切されてませんでした。ギターの音がこもってるんですが、これって歌とギターをマイク1本で録ったんじゃないかなあ。もう、何から何まで、完全にジョアン・ジルベルトだけだったんですよ。

 ここに、カエターノ・ヴェローソのジルベルトさんに対する畏敬の念があらわれていると感じました。10年近くもアルバムを出していなくて、お化粧されたアルバムばかりしかなかったボサノヴァの大偉人の等身大を捉えた記録を残そうとしたんじゃないかと。それだけに、美しく整えられた音楽ではなくて、プライヴェートな独白をそっと聴くような感覚でした。そんな作りなので、えらく渋いんですが、ボサノヴァが好きな方なら、むしろこういう作品の方が心に響くのかも知れませんね。好きなアルバムのひとつです。というか、やっぱりジャケットが素晴らしすぎるなあ。。


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『Joao Gilberto / Amoroso』

JoaoGilberto_Amoroso.jpg ボサノヴァの歴史で言えば『The Legendary Goao Gilberto』、ヒットなら『Getz/Gilberto』がジョアン・ジルベルトの代表作という事になりそうですが、僕が一番好きなアルバムはこれです。邦題は『イマージュの部屋』、1977年発表です。

 ジョビンの曲が半分を占めているとはいえ、ガーシュウィン作曲でジャズのスタンダードと化した「ス・ワンダフル」、メキシコの大名曲「べサメ・ムーチョ」、イタリアの曲「ESTATE」などなど、ボサノヴァ曲にこだわっているわけではないみたいです。というか、そういう世界のヴォーカル・ミュージックの名曲をボサノヴァ調のアダルト・コンテンポラリーに仕上げるのがこのアルバムの意図だったんじゃないかと。これがとんでもなく素晴らしいんですよ…。

 『The Legendary Goao Gilberto』とのいちばんの差は、録音。50年代のジョアン・ジルベルトのレコードだって、ストリングスアレンジは入ってるし、テンション入りまくりのギターのスタイルはもう確立してるし、このアルバムの音楽とさして遜色ないと思うんです。でも、違うのは録音。1曲目「ス・ワンダフル」の冒頭のストリングスが聴こえた瞬間に、「ああ、これはいい…」となってしまいました。音が綺麗に伸びて、ブワーッと広がって…これは録音としか言いようがないです。
 そして「ESTATE」に至っては、切ない和声進行とゆったりした曲調のミックスが、なんとも言い難い絶妙の雰囲気を醸し出しています。それを、ストリングス、フルート、そしてあのギターと囁くようなヴォーカルが奏でて…ジョアン・ジルベルトの録音で僕が人に1曲だけ推薦するとしたら、この「ESTATE」かも。アダルト・コンテンポラリーの素晴らしさが詰まった名演、名アレンジ、名録音だと思います。

 ブラジル曲に関しては、「Wave」も「Triste」も有名すぎて聴きなれてしまったのかも知れませんが、音楽にはそこまで心を動かされませんでした。でも、詞がヤバいんですよ。

孤独を生きるのは悲しい事、情熱の残酷な痛みを生きるのは悲しい事 (Trisete)

この道はよく知っている、どこにも行きつく事のない道だ (白と黒のポートレート)


 難解になり過ぎず、しかし精神年齢が子どものままではとても到達できない言葉だと思いませんか?これをアダルト・コンテンポラリーと言わずして何という、素晴らしすぎる。あ、そうそう、「白と黒のポートレート」は、チェット・ベイカーが自殺直前に残した録音でも取り上げていましたが、これはチェット・ベイカーのアレンジの方が好き。

 ジョアン・ジルベルトが聴かれるとき、どうしても後回しになってしまうアルバムだとは思いますが、『Getz/Gilberto』に感動した経験がある方は、あそこで止まらずにぜひこのアルバムも聴いて欲しいです。こういうアルバムを1枚でも残す事が出来たなら、ミュージシャンとして悔いのない人生だったんじゃないかなあ、きっと。


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『Joao Gilberto / The Legendary Joao Gilberto』

JoaoGilberto_Legendary.jpg 世界でもっとも売れたジョアン・ジルベルトのレコードなら『ゲッツ/ジルベルト』なんでしょうが、あれはジャズとのコラボレーション。純然たるボサノヴァでジョアン・ジルベルトのCDをひとつだけ選べと言われれば、このCDという事になるんじゃないかと。このCDは1958年から61年までのジョアン・ジルベルトのデビュー期の録音を集めたもので、日本盤タイトルは『ジョアン・ジルベルトの伝説』、全38曲入り。CD1枚に38曲入るのもすごいな。。デビュー曲「想いあふれて」以下、デサフィナード、ワン・ノート・サンバ、ビン・ボン、コルコヴァード、メディテーション、黒いオルフェ…今でもボサノヴァの大スタンダードとして歌われ続けている曲がぎっしり詰まってます。そういう意味でいうと、ジョアン・ジルベルトうんぬんを抜きにしても、ボサノヴァを聴くなら絶対にはずせない1枚かも。自作曲もありますが、ジョビンなど、他の人の曲もけっこうやってたんですね。

 すごいと思うのが、アレンジがすでに完成されてる事でした。ほら、ロックンロールでもジャズでもクラシックでも、最初はかなりやぼったかったりするじゃないですか。それが徐々に洗練されていって、長い年月かかってようやく洗練されたものに辿りついた、みたいな。ところがジョアン・ジルベルトの音楽は、デビュー当時でいきなり完成形なのがすごいです。基本はボサノヴァのあのギターとヴォーカルに、振りもの打楽器のリズム伴奏。その上にピアノやストリングスや管楽器が重なる形ですが、このアレンジがすでに完成形です。古く感じたとしたら、そのほとんどはアレンジではなく録音なんじゃないかというほど。これは本当にすごいです。

 また、和声も素晴らしいです。ボサノヴァで驚くのは和声で、いきなりナインスやサーティーンスが満載なところ。イギリスや合衆国のトラッドやロックやフォークの弾き語り音楽だと、時代が経過してもシンプルな4和音なものが多いじゃないですか。ところがボサノヴァはいきなりテンションだらけで、成立当初からいきなり7音音階の調和性のゴール。これはすごいとしか言いようがないです。ボサノヴァの心地よさの少なからずは、この滲むように響く和音の心地よさだと思うんですよね。

 とはいえ、録音が古いのは確かで、後のボサノヴァの素晴らしい録音のものと比べると、古いコロンビアやキューバの音楽の録音みたい。そこがまた古き良き南米音楽っぽくていい所でもあるんですけど、プレスリーや美空ひばりを古いと感じてしまう人は古いと思っちゃうかも…実際に古い録音なんですけどね(^^)。そこを差し引いても、ジョアン・ジルベルトで1枚だけ買うならこれじゃないかと。久々に聴きましたが、思いのほか音楽が最初から完成形でビックリしました。大洋のまぶしい国の海岸でこんな音楽を聴いていたら、この瞬間こそ天国だと感じるんじゃなかろうか。。出来れば梅雨があけてから海辺で聴きたかったなあ、ひと月後ぐらいにもう一回聴こう。。そうそう、日本盤は全曲訳詞がついていたので、ポルトガル語が分からない方は日本盤がオススメです(^^)。


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TVドラマ『魔女の条件』 松嶋菜々子、滝沢秀明出演

Majo no Jouken ジャニーズ事務所、今は滝沢秀明さんというタレントさんが運営側に回っているそうですが、その滝沢さんが主演したテレビドラマです。1999年制作。主題歌は宇多田ヒカルさんのファースト・ラブ。当時付き合っていた人がこのドラマに嵌まっていて、付きあいで一緒に見ていたら自分も引き込まれた感じでした。

 ドラマの内容は、女教師(松島菜々子)が男子生徒(滝沢秀明)と関係を持って、世間から迫害されていくというもの。女教師と生徒…大人が未成年の少年に手を出す…って、リアルジャニーズじゃねえか (^^;)。毎回「いけない一線を越えた」とか「先生がつかまった」とか「別れを決意した」とか、そういうところで終わるので、次が見たくなっちゃってね。完全に制作側の思うつぼでした(^^;)。

 そういう意味では、たしかに夢中で見てたんですが、じゃあ見た後に何かが自分の中に残ったかというと、何もなかった(^^;)。最終回まで観たけど、「探偵物語」「ゆうひが丘の総理大臣」「ウルトラセブン」みたいに、「これはよかった、またいつか観たい」とは、残念ながら思えなかったです。それは仕方ない所で、このドラマって、何か重要なテーマを扱っていたわけでも、笑いや感動を提供していたわけでも、「見せ物」として何か価値があるものを提供していたわけでもなかったと思うんですよね。すごく気になる出来事を最後に用意して「来週に続く」として、来週も観て結末を知りたいと思わせる、という手法だけがあったんじゃないか、みたいに、途中からは思うようになっていました。

 でもこういうテレビドラマって、仕事から帰ってきた若いOLさんが息抜きに垂れ流しで観るためのものなんだろうし、見る方だって何かを期待すらしていなくて、見てる間に飽きなければそれでいいのかも。逆に、仕事から帰ってきて深く考えさせられるドラマをやられても疲れるでしょうし。なんだかんだいいつつ、大人になってから観た数少ないテレビドラマのひとつでした。


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書籍『光GENJIへ・元フォーリーブス北公次の禁断の半生記』 北公次

HikaruGenji he_Kitakouji ジャニー喜多川さんやジャニーズ事務所と言って、僕が真っ先に思い出すのがこの本です。著者の北公次さんは、ジャニーさんの作ったフォーリーブスというアイドルグループの元メンバーで、これは自伝であると同時に暴露本でもありました。僕がこの本を読んだのは大学生の頃で、ツアーメンバーだった友人が駅の本屋で買ったものを借りて、移動の新幹線の中で読みました。そんなもんで、「読んだ」という印象は強く残ってるんですが、何十年も前に1度読んだだけなので内容は忘れてるところが多いです。ただ、忘れられない記述がいくつかありまして…

 北さんはこの本でフォーリーブスの事を「ステージでバク転もする初のグループだった」みたいに書いてました。僕は世代的にフォーリーブスを知らないもので、「それって衝撃だったんじゃないかな」なんて思ったり。あと、ジャニーズ事務所を離れて町で座っていたらジャニーさんが見つけてくれて助けてくれた、とか。なるほど、昔のグルーピーというヤツだな…みたいに、序盤は北さんの自伝風。でも途中で空気が怪しくなってきて…

 事務所の男子寮で、男色のジャニーさんが北さんの布団の中に入ってきた、とか書かれてるんですよ。しかも、その描写が細かくてねちっこい。しゃ○られたとか、必死に抵抗したのに指技が凄くてイ○されたとか。嫌悪感を持っていても〇っちゃうもんなのか、ジャニーやるな。また、実名はあげられてなかったと思いますが、他の寮生もジャニーさんの夜這いの被害にあった奴が…みたいな記述もあったような。なるほど、エロい目で少年を見てたから、中性的な男の子を見定める審美眼が確かだったという事なのかな?ところで、嫌がる未成年者に手を出しちゃまずいですよね、それは立派な犯罪だよ。
 もうひとつ覚えてるのは、事務所の斡旋で北さんがバーのママに夜の世話をしてもらってたという話。少年好きななママだったら趣味と実益を兼ねたいい仕事だったかもね( ´∀`)。

 まあ、こういう事自体はそこまで珍しい事じゃないので驚かないんですが、書いて出版しちゃう所が凄いなと思いました。日本人って報復を怖がって泣き寝入りしちゃう事が多いじゃないですか。そうしなかったのは立派かも。
 プロレスや芸能界関係のこういう暴露本って、どこまで真実か分からないですが、ジャニーさんの未成年者に対する男色は裁判でも認められた例があるらしいですし、ジャニー喜多川さんの男色を告発したジャニタレの暴露本は大量にあるそうなので、根も葉もない事じゃないんでしょうね。レズはいいけどゲイは生理的に受けつけない(あ、互いが合意ある場合にとやかく言う気はありません。当事者にはなりたくないという事です。)僕にはキツい本でした。以降、ジャニーズのタレントくんたちを見るたびに、「ああ、この僕ちゃんも掘られちゃったのかな」な~んて思うようになって、ジャニーズ恐怖症になってしまったんですよ…。


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ジャニー喜多川さん、逝去

JannyKitagawajpg.jpg 昨日(2019年7月9日)、ジャニーズ事務所代表取締役のジャニー喜多川さんが逝去したそうです。これだけ有名な人なのに、今回の訃報ではじめて顔を知りました。

 世代的にはジャニーズ事務所の全盛期ともろにかぶっているくせに、僕はジャニーズやフォーリーブスを知らないです。あとになって、「あしたのジョー」の声や映画「病院坂の首縊りの家」に出演していたあおい輝彦さんがジャニーズのメンバーだった事を知ったぐらい。ジャニーズのタレントさんをはじめて見たのは郷ひろみさんで、そこから田原俊彦さんや近藤真彦さんあたりまでがリアルタイムでした。

 ジャニーズ事務所の作った男性アイドルグループに夢をもらった女性は多かったでしょうね。僕は男なので、ジャニーズのアイドルグループに熱中した事はありませんでしたが、それでもマッチやトシちゃんの歌を何曲も口ずさめてしまいます。それに、直接の興味はなかったにせよ、僕が子どもの頃は、テレビをつけても、街でバーガーショップや本屋やゲーセンに行っても、とにかく音楽がいっぱい流れてました。その中心は歌謡曲で、歌謡曲の中心はアイドルタレントでした。だから、子供時代の空気感の背景として、ジャニーズを含むあの明るく楽しい感じがずっとあったんですよね。子どもの頃の記憶の一部なのです。

 短い期間でしたが、そっち系の仕事をしていたころに、業界人の一般教養として、レコード会社や芸能事務所の方々から、ジャニーさんのいろんな話を聞かされました。そういうお話から判断するだけでも、数奇な人生を送った方だったのだろうなと思います。ご冥福をお祈りします。


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『Stan Getz – Joao Gilberto / Getz/Gilberto #2』

GetzGilberto2.jpg 久しぶりに聴いたんですが、なんて気持ちの良い音楽なんだろう…。ジョアン・ジルベルトさんの訃報を聞いて、持っていたCDの中からなんとなく流したCDがこれだったのですが、こんなにいい音楽だったっけ?ジャズとボサノヴァのミクスチャーから生まれた大名盤『Getz/Gilberto』を受けて開催されたであろう、1964年カーネギーホールでのライブを収録したレコードです。

 このCDを買ったのは、もちろん大名盤『ゲッツ/ジルベルト』に感動したから。まだボサノヴァをよく知らなかった僕は、本物のボッサより、ゲッツが展開したジャズボッサを先に体験していました。ジャズも色々ですが、50年代後半からの西海岸ジャズはいい意味でも悪い意味でもリラクゼーションたっぷりのムードミュージックになっていて、それがボサノヴァと融合すると、レイドバックした雰囲気がさらに素晴らしい事になって、その脱力感たるや聴いてる方がぐでたまになってしまいそうなほど。このアルバムでのゲッツの演奏は、その極致といった感じです。

 このライブ、ゲッツとジルベルトの共演したジャズボッサというより、ゲッツのコーナーとジルベルトのコーナーがあるという作りでした。そんな中で耳を奪われたのは、ゲッツやジルベルトは勿論でしたが、ゲイリー・バートンのヴィブラフォン。これがむっちゃくちゃ気持ち良くてすばらしかったです。テクニックにしか興味がない人だと思ってましたが、こんなに心地よい音楽を演奏できるのか、さすがプロだなあ。

 なんといっていいやら…例えばですね、クラシックしか聴かないとか、ロックやポップスや演歌しか聴かないという人は、ぜったいにこのジョアン・ジルベルトやスタン・ゲッツの音楽にある悦楽を知らないはずですよね。だって、少なくとも僕は、クラシックやロックや演歌の中に、これと似たものを知らないですから。だとしたら、ひとつのジャンルしか聴かない人は本当にもったいないと思ってしまいます。こんなに心地いい音楽を聴いていたら、人類から争いなんてなくなりそう…もうそれぐらいに幸福感に満ちあふれた、力の抜けた素晴らしい音楽でした。


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ジョアン・ジルベルト逝去

JoaoGilberto.jpg うああああ、ボサノヴァの神様が逝った…7月6日、リオ・デ・ジャネイロの自宅で、ジョアン・ジルベルトが逝去したそうです。享年88歳。

 僕がボサノヴァを意識して聴いたのは、アントニオ・カルロス・ジョビンよりジョアン・ジルベルトが先でした。ボサノヴァというと、僕が真っ先にイメージするのは、23クラーベのリズムでガット・ギターを弾き語りして、フワーッと気持ちい音楽を演奏するスタイルなのですが、あれはジョアン・ジルベルトさんそのものです。最初に聴いたのは、ウエストコースト・ジャズのスタン・ゲッツのと共演した『ゲッツ/ジルベルト』。ジャズ・ボッサなんて言われる音楽ですが、あれでボサノヴァが一気に北米で、そしてヨーロッパで、さらに世界で知られるようになったのだと思います。

 音楽って、意図していなくても、人の感情や気質や国民性を表してししまうものだと思います。歌音楽は、特にそう。音楽が国民性を反映する事もあるでしょうし、反対に音楽で国民性が変わっていく事もあるでしょうけど、ジョアンさんやジョビンさんの作ったタイプの多幸感にあふれたボサノヴァは、ブラジルにあった平和や安らぎを強化したのではないかと思います。隣のアルゼンチンにあるタンゴが悲しみや情熱を強調して、ボリビアのフォルクローレが抑圧された民族感情を訴えたのに対して、ジョアンさんのボサノヴァは幸せや喜びを伝えたんじゃないかと。もしボサノヴァがバーデン・パウエルのようなアフロキューバン色を強めた方向に伸びていったら、ブラジルの世相はもう少し違うものになっていた気がするんですよね。植民地支配から始まって、今でもグローバリゼーションの風下に立って貧困、犯罪、政治腐敗にあえぐブラジルで、もしレゲエやカリプソやヒップホップ、そしてアフロキューバンのような戦闘的な音楽が主力音楽になっていたら、ブラジルの市民感情はまた違うものになっていたはず。そういうなかに安らぎを伝えたジョアンおじいさんは、間接的にブラジルを救ったひとりだったのではないかと。どうぞ安らかに、そしてやさしい音楽をありがとう!


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『Bill Evans Trio / Waltz for Debby』

BillEvansTrio _Waltz for Debby 高校生の頃、僕がはじめて買ったビル・エヴァンスのレコードです。今までに何回聴いただろう…耽美派としてのビル・エヴァンスを聴くならまずはこれ。生涯通じて最も美しく切ない音を出しただろう「My Foolish Heart」収録の大名盤です。

 これも前作『Sunday at the Village Vanguard』と同じ、ヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ録音です。でも、僕が持ってるのがCDだからなのか、『Sunday at ~』よりこっちの方が音がいい…と言ってもそこそこなんですけどね。リマスタリングの技術なのかなあ、すごい。

 そして、エヴァンスのピアノと、スコット・ラファロのベースのインタープレイが美しいです。ピアノ・トリオなので、ピアノだけがメロディを取ってしまうと、メロディを取るパターンがひとつしか存在しなくなってしまいます。そこで、スコット・ラファロが主になるパートを増やしてるんですが、ほとんどピチカートのラファロのプレイが熱い!ラストの「Milestones」なんて、ほとんどがラファロのブローインググコーラスです。よく聴くと、ビル・エヴァンスのソロアドリブはそんなに多くないです。

 そして、やっぱり「My Folish Heart」や「Detour Ahead」という、耽美的なバラッドに聞き惚れてしまいます。この沈み込むような美しさ、ジャズでは晩年のチェット・ベイカーやジミー・ジュフリー・トリオ参加以降のポール・ブレイぐらいしか対抗できる人はいないんじゃないでしょうか。この時代のジャズ・ピアニストたちのテンションや代理や展開の探求は、ジャズで表現できるサウンドの幅を大きく広げたんじゃないかと。印象派の和声アプローチをテンションという形にして持ち込んだピアニストたちの成果だと思います。そしてこの後、スコット・ラファロは交通事故で帰らぬ人に…。ジャズのピアノ・トリオといえば、これをベストにあげる人もいるほどの名盤。歴史に残る素晴らしい演奏と思います。


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『Bill Evans / Sunday at the Village Vanguard』

BillEvans_Sunday at the VillageVanguard 『Explorations』に続き、これも1961年発表のビル・エヴァンス・トリオのレコードで、モダン・ジャズの名盤としても知られてます。このアルバムも、スコット・ラファロ(b) にポール・モチアン(dr) という不動のトリオ。ライブ・アルバムですが、お客さんの拍手の数の少なさが…な~んて思っちゃったりして(^^)。ブルースマンやジャズマンは貧乏の代名詞みたいなもんだから仕方ないっすね。時代的にも、ジャズミュージシャンのレベルアップに反比例するように、アメリカ文化はどんどん大量生産大量消費のチープなものになっていった頃ですしね。。

 オールド・ジャズでコール・ポーターの曲「All of You」、ジャズとクラシックを股にかけたガーシュウィンの「My Man's Gone Now」、それに[不思議の国のアリス]、そしてラファロのオリジナル曲。選曲からして知的です。そしてプレイも、ベースとピアノの即興上でのアンサンブルが見事です。ビル・エヴァンス・トリオのこういうのはインタープレイなんて呼ばれてますが、共演者に反応しているという意味ではそうかも知れないけど、実際には共演者というよりも音楽全体を見てアンサンブルを作ってる、という方が近いんじゃないかと。互いのプレイの丁々発止じゃないんですよね。ですので、インタープレイというのとはちょこっと違う気もするんですが、素晴らしいには違いないので、どっちでもいいか(^^;)。

 また、ガーシュウィンの「My Man's Gone Now」あたりを聴くと、ジャズ和声の進化を思い知らされます。このへんのビル・エヴァンス和声が2000年代のモダン・ジャズにまで続いていて、逆にいうと今のオーセンティックなジャズは、このへんのジャズのエピゴーネン以上のものではない感じ。今と大体同じではあるんですけど、当時は模倣ではないので、意識はぜんぜん違うでしょう。やっぱり、ナイトクラブの軽音楽といっても、意識が高い音楽であった事はたしかだったと思います。僕には、なんとか自分の音楽を作ろうと喘いでいるクラシック方面の作曲家が、生活費を稼ぐためにナイトクラブでジャズを弾いて日銭を稼いでいる、みたいな音楽に聴こえました。それはそれで、お客さんのために作ったエンターテイメント性より、やっている人そのものが聴こえる音楽という意味で、嘘がなくて素晴らしいのかも。

 このレコード、残念なのは録音で、僕が持ってるのは国内盤のLPなんですが、ピアノがけっこう遠くて、かなり聴きにくいです。ピアノよりベースのスコット・ラファロの音の方がぜんぜんよく聴こえるぐらい。でも後日談がありまして…人のうちでヨーロッパ盤のLPとUS盤のCDを聴かせてもらった時がありまして、そしたら僕が持っている日本盤LPの方が全然音が良かった(^^;)。これってどういう事なんだろうか。きっと、ジャズマニアの人で「US盤が」とかいって、同じレコードを色々集める人って、そういう所を聴いてるのかな?貧乏人の僕にはとてもできない芸当です。金欲しい。


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『Bill Evans / Explorations』

BillEvans_Explorations.jpg ビル・エヴァンス、1961年のピアノ・トリオ・アルバムです。ここからのビル・エヴァンスはジャズの超ビッグネームになって、年に2枚も3枚もアルバムが出るほど。この61年に至っては、この年だけでリーダー作が5枚。しかもうち3枚は今もジャズの名盤扱いです。生涯でいちばん儲かった年なんじゃないか…と思いきや、ギャラはあんまりもらえてなかったみたいですね。ジャズマンが貧乏なのは、日本だけじゃなくってアメリカもなんですよね。僕なんて、店がハネた後にお客さんの残したサンドイッチとか食ってたもんなあ(^^;)。

 この時には、ビル・エヴァンス最強の布陣と言われているスコット・ラファロ(b) にポール・モチアン(dr) というピアノ・トリオ。もう、ビバップやハードバップのベースやドラムと全然違って、まるでクラシックの室内楽、ベースがリズムを「ボンボンボン…」なんて刻まず、常にピアノのカウンターやオブリのラインを作り出します。
 そして、スタンダード演奏のために、若い頃にこのアルバムで聴きまくった曲が、「Israel」「Nardis」「How Deep Is The Ocean」「I Wish I Knew」といった曲…って、ほとんどアルバム全部ですね(^^)。このアルバムで、僕が一番好きな演奏は、月並みですが「I Wish I Knew」。このタッチ、ビル・エヴァンス以前のジャズ・ピアニストで出来る人はいないんじゃないか…。

 MJQ の多くの作品と同じように、このへんのビル・エヴァンスのレコードも、聴いてため息をつくような大人の音楽で、芸術音楽じゃないです。本人が望めばそっち方面にも行けたでしょうけど、そのへんはナイトクラブで夜な夜な演奏するジャズ・ミュージシャンの道を選んだ…でもそれも人生というもんですよね。バド・パウエルモンクみたいな人ならその人生を「自分の望み通りの人生だ」なんて嬉々として受け入れたでしょうが、ビル・エヴァンスみたいな人にとって、その道は複雑な心境だった気がします。それが独特の哀愁になって音に出てるのかも…というのは考え過ぎですかね(^^;)。でも、こういうタッチをジャズ・ピアノに持ち込むって、少なからず「ピアニズムというのは、本当は…」という気持ちはあったと思うんですよね。
 でも、聴く側の立場で言えば、ナイトクラブでこのレベルのものを聴けるなんて、当時のアメリカの大都市の音楽文化もとうとうフランスに追いついたか…って感じだったのかも。ベル・エポック時代のパリの音楽レベルに追いついたかも、な~んて思いながら聴いてました。素晴らしい音楽でした。


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『Bill Evans / On Green Dolphin Street』

BillEvans_OnGreenDolphinStreet.jpg このアルバムを買ったのは音大生の頃。ビル・エヴァンスのアルバムは、中古屋で見つけると、CDだろうがLPだろうが区別せずに片っ端から買ってたんですが、このアルバムだけはLPを探してたんです。だって、この美しいジャケット、絶対に大きな写真で部屋に飾りたいじゃないですか(^^)。というわけで、1959年発表のビル・エヴァンスのリーダー作です。ピアノ・トリオで、ベースがポール・チェンバースにドラムがフィリー・ジョー・ジョーンズ。マイルス・デイヴィスのリズム・セクションです。

 「グリーン・ドルフィン・ストリート」は今やジャズの大スタンダードですが、僕がはじめて聴いたのはこのアルバムでのビル・エヴァンスの演奏でした。この曲のビル・エヴァンスの和声づけから、どれぐらい色んな事を学んだ事か。。やってる時は大変でしたが、いま振り返ると、なんと素晴らしい時間だったかと思います。

 でも、『New Jazz Conceptions』と比べると、かなり普通のジャズ・アルバムになった感じ。挑戦はあくまで普通の機能和声の中での和声づけやアドリブのメソッドの範囲内に留まっていて、以降のリバーサイドでのビル・エヴァンスのレコードは、大体この路線。結果、ちょっと知的なビジネスマンが聴くBGMみたいな音楽になってしまいました。おなじ1959年作だと、あの有名な『Portrait in Jazz』も、スタンダード集以上のものではないですしね。。それでも、ロックやポップスに比べるとぜんぜん大人の音楽で、知的プロレタリアートが夜にリラックスするために聴く音楽、みたいな。熱く燃えあがるのもジャズですが、これもまたジャズですよね(^^)。


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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
intoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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