FC2ブログ

心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

Category: CD・レコード > ブルース・ソウル   Tags: ---

Response: Comment: 0  Trackback: 0  

『Mahalia Jackson / The Essential』

Mahalia Jackson_The Essential ゴスペル・シンガーと言ったらこの人でしょう、マヘリア・ジャクソン!僕がこの人にたどり着いたのはふたつのルートがあって、ひとつは映画「真夏の夜のジャズ」、もうひとつは、オーティス・レディングとかアレサ・フランクリンとかのソウル・ミュージックから遡ってゴスペルにたどり着いた事でした。

 マヘリア・ジャクソン初体験は、若い頃に観た「真夏の夜のジャズ」。なんせエリック・ドルフィーやチコ・ハミルトンやジミー・ジュフリーが出てくるフェスティバルなので、「なんだ、歌がうまいって言われるけど、声張って叫んでるばっかりでテクニックはないし、音楽もスリーコードで死ぬほど単純だし、気合いばかりで大したもんじゃないな」なんて思ったんですよね。これって、マヘリアおばさんに限らず、多くのソウル系シンガーにも感じていたことでした。若いころに僕が歌がうまいと思っていたソウル系のシンガーは、ウイルソン・ピケットとかダニー・ハサウェイとかで、オーティス・レディングもアレサ・フランクリンもピンとこなかったんです。この認識はすぐに変わったんですけど…まあともかく、ジャクソンおばさんは、アレサ・フランクリンあたりのルーツぐらいに感じてました。

 時は流れ、友人に、ブラック・ミュージック系のバーに連れていかれました。その時、僕はもう40歳を過ぎていて、マヘリア・ジャクソンなんて名前も忘れかけていました。そこで流れてきたのが彼女が歌う「主はいずこに」。これはゴスペルというのかスピリチャルというのか…「真夏の夜のジャズ」で聴いたノリノリで絶叫するエンターテイメントなシンガーではなく、心の底から絞り出すかのような歌でした。それを聴いて、僕はあろう事かバーで泣いてしまったんです。胸に刺さった…酒が入ってたというのもあったんでしょうけど(^^;)。いつか、ニーナ・シモンの歌に心を震わせた経験を日記に書いた事がありましたが、ソウル系のアメリカ黒人ヴォーカル・ミュージックって、ツボに入ると本当に泣けてしまう。。

 スピリチャルやゴスペル以外の曲では、このCDのディスク2の9曲目「Part Ⅳ(Come Sunday)」の歌唱とアレンジが落涙もの。他の収録曲とは段違いの作曲技術、あまりに美しいアレンジと演奏、これは一体どういう楽団なんだ…と思ってクレジットを見たら、デューク・エリントン楽団でした。エンターテイメント楽団であろうとも、一流はやっぱり違いますね、ハートのあるアマチュアよりも技術力の高い流れ仕事のプロの方が見事な音楽を作ってしまう。。ジャズ、ゴスペル、ルーツミュージック、コープランド以降のアメリカ管弦楽などなど、古きよき合衆国音楽の集大成のような、素晴らしい1曲でした。ちなみに、エリントンとスピリチャルの関係はアメリカの音楽史にも大きな影響を与えていて、1965年にニューヨーク5番街でエリントンがジャズで礼拝をおこなった事があったそうです。これが大反響を呼んで、アメリカの黒人教会の礼拝の形式がどんどん自由になっていったそうです。

 ゴスペルやスピリチャルは合衆国の黒人の歌で、ちょっとブルースも混じってる感じです。ただ、より生活に密着していて、黒人専用のバーで聴くブルースと違って、詩がかなり教会音楽的。「死んだらエルサレムで祈る」とか、「主はいずこに」とか、そういう詞がズラッと並びます。「あの女、銃で撃ち殺してやる」とか「俺の視力は奪われた」なんて言うブルースとは、同じ文化にあるけど根っこにあるものが違う感じ。伴奏もオルガンだったりピアノだったり、合唱もいかにも黒人教会的だったり。人種差別からキング牧師やマルコムXへと続く合衆国の公民権運動や、小説やブルースあたりを通して知っているアメリカのアフリカン・アメリカンの歴史を少しだけ知っている僕にとって、この歌は生活に密着した彼らの祈りそのものに聴こえました。抑圧され、貧しく、信仰を革命や暴動を抑え込む道具として利用されて抑え込まれ、それでも生きていく彼らの唯一の救い、それが音楽に凝縮されているかのようでした。ソウルやゴスペルでいう所の「歌がうまい」というのは、技術だけの問題じゃなくて、心の中から絞り出す言葉が声を密着できているか、という所にあるんじゃないかと思いました。よく聴くと、後年のソウル・シンガーみたいに詞が終わった後にプラルトリラーやターンなどの装飾音を駆使する事はないんですが、そういう耳で聞くと、深いヴィブラートを、たしかにうまいと感じるようになるから不思議。技術は必要ですが、やっぱり最後はハートなんですね、歌は(^^)。

 マヘリア・ジャクソンの録音と言ったら、コロムビア(現ソニー)に残したアルバムの数々が有名だと思います。特に有名なのは「Live at Newport 1958」ですが、彼女のアルバムを全部集めようというのでないなら、コロムビア時代の名曲・名唱をCD2枚にまとめたこのオムニバスは最善の選択かも。僕はそのクチで、昔「Gospels, Spirituals & Hymns」を持ってたんですが、このCDを買った時にそれは売ってしまいました。ライブでの歌唱が秀逸ですが、それだけでなく、ゴスペルも黒人霊歌もギッチリ詰まっていて、全曲に日本語訳がついていて、文句なしのベスト盤でした(^^)。


スポンサーサイト



09 2019 « »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -
プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
intoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
検索フォーム
これまでの訪問者数
アド
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

Archive

RSS