オーティス・レディングのアルバムで僕が最初に聴いたのは、死ぬ3日前に録音したという「ドック・オブ・ザ・ベイ」の入ったこのアルバムでした。なんでこの曲を知ったかというと、矢沢永吉さんの名バラード「チャイナタウン」の中に、「チャイナタウン、横浜トワイライトタイム、流れてる俺たちの好きだった”the dock of the bay”」という詞があったから。この詞ですから、きっとものすごくいいバラードなんだろうな、どんな曲なのかな…な~んて思っていたのです。そしてある時、このアルバムが再発されまして、「あ、これの事だったのか」と、迷わずレンタル!買ってないのか(^^;)。だってまだ小学生でしたからね、金なんてなかった。。
ところが、みなさんご存知の通り「ドック・オブ・ザ・ベイ」は、泣けるスローバラードなんかじゃなくて、マッタリしたミドルナンバー。ついでに、他の曲もみんな古くさく感じました。まあ、小学生や中学生にこれを理解しろと言ったって無理な話ですよね。泥にまみれて働いても家賃程度しか稼げないとか、失恋で死ぬ所まで行ったとか、そういう人生の苦節や理不尽を味わった後じゃないと、ソウルミュージックなんて分かるはずがないのです。そしていま聴けば、「オーティス・ブルー」や「ソウル・アルバム」に比べると、曲によっては、頼みの綱のヴォーカルのクオリティも落ちて感じました。ハイトーンになると嫌なかすれ方をしちゃったりね。オーティスさんは病死ではないので、晩年に体調を崩したとかそういう事はないんでしょうが、何かしら死の影が近づいていたのかな…。でも、アルバムラストの「Ole Man Trouble」の歌は本当に素晴らしい、僕がオーティス・レディングの歌唱で一番好きなのはこれです。