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Category: CD・レコード > クラシック   Tags: ---

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『伊福部昭:ギター・リュート作品集』

IfukubeAkira_Guitar.jpg 日本のクラシック作曲界の大巨匠・伊福部さんの管弦楽を7~8曲聴いて、心から感動したのは「日本狂詩曲」だけだったので、伊福部さんは卒業かな、と思いかけた僕でした。でも、1曲だって素晴らしい大曲があるんだったらそれでお釣りがくるというものだし、ポップスならともかく芸術音楽の大楽式でいい曲を書くなんて偶然では無理。考えてみたら僕は室内楽が好きなのに伊福部先生の室内楽曲をひとつも聴かないままなんてどうかと思い、こんなCDに手を出したのでした。伊福部さんのギター・リュート作品、これがすばらしかった!!収録曲は以下の通りでした。

・古代日本旋法による踏歌
・ギターのためのトッカータ
・箜篌歌(くごか)
・バロック・リュートのためのファンタジア

 このCDを手にしたきっかけになったのが、「古代日本旋法による踏歌」で、これが素晴らしかったです。古代日本旋法って何だ?って思うじゃないですか。僕らがよく知ってる純邦楽って、ほとんど江戸時代の音楽だし、雅楽は日本じゃなくて中国の音楽だし。踏歌(とうか)とは天武天皇や持統天皇の時代にあった、踊りと器楽を伴う歌だったそうです。この曲はそれをモチーフにしたものだそうで(何を参考にしたんだろう、正倉院か何かに楽譜が残ってるのかな…)、なんか古風で妙に哀愁ある音楽だったのです。基本はフリジアンのような響き、でも長調系に移行する中間部があって…なんというんでしょうかね、哀愁あるといっても抒情というより叙景な感じで、特に意味もない古い風景写真を何枚も見ているみたい。部分的に「さくら」のメロディに近いものも聴かれましたが、これはそういうモンタージュとして使ったわけではなくて旋法がそうだから似るんでしょうね。

 他の曲も、「古代日本旋法による踏歌」と同じようなニュアンスを感じました。「ギターのためのトッカータ」は、アルペジオ主体のクラシック・ギターにありがちな曲…かと思いきや、雰囲気が「古代日本旋法による踏歌」に似て感じました。アンチクライマックスで叙景的に感じるからなのかな?そしてものすごく不思議だったのが…なんだこのチューニングは?!変わった音階とかそういう事ではなくて、そもそも平均律に含まれてない音がちょくちょく混じり込んできます!いや~これがメッチャクチャ面白かったんですが、これって狙ってやったのか、それともギターのチューニングが狂っていただけなのか。。ちなみにギタリストは西村洋さんという方でした。
 「箜篌歌」も、「踏歌」に似た印象の音楽でした。箜篌(くご)というのは正倉院に断片が残っている竪琴の一種だそうで、この曲はその楽器をイメージしているのではないかとの事。たしかに、滅び去った古代の音楽というような、なんとも独特な雰囲気を感じました。もしこの音楽を元に映画を作るとしたら、僕なら森の奥底に大昔に滅び去った文明の残骸が見つかったシーンで使いたい、そんなムードの曲。いやあ、これはいい…。
 「バロック・リュートのためのファンタジア」も、リュート音楽だから西洋音楽の模倣を行なうかというとそんな事は全然なくて、「箜篌歌」や「踏歌」みたいに、なんだか日本の古代の音楽のような印象を覚えました。独特の哀愁があるんだけど、盛り上がったりクライマックスをむかえたりせず、ただ波が寄せては返すのを永遠に繰り返している感じ。いやあ、伊福部さんって、実はリュート属の楽曲を書くのに向いていた人なんじゃないのかなあ。ギター曲って演奏上の制約が多いから、ギター演奏できない人が書くとかなり難しいんですよね。僕も、ギター曲を書いてくれと言われて、そのためにギターを買ったのがきっかけで趣味でギターを始めましたが、脳がピアノ脳なのか、ギター曲を書くとなんか変なんですよ(^^)。ぜったいに、ギター曲に向いている作曲家っていると思います。

 伊福部さんのギター&リュート曲は、どれも同じ匂いの独特の哀愁があって、4曲すべてで1ひとつの音楽と思ってしまうほどの統一感。そして、どれもどこか古代の日本の音楽をほんの少しだけモダン化したような感じで、精神は古代、技巧とサウンドは近代のよう、本当に素晴らしく感じました。伊福部さんの音楽って、伊福部さんの中にあるドメスティックな音的印象をそのまま出したものが素晴らしいのかも。西洋音楽の技法を持ちこむ場合、西洋音楽の書法の中に日本とかアイヌとか(伊福部さんは北海道出身)を組み込もうとすると、どうしても大元がクラシックに聴こえてしまって、それが借り物の音楽に聴こえてしまいました。でも、「日本狂詩曲」や「古代日本旋法による踏歌」みたいに、伊福部さんの音楽を彩るものとしてそれを使うと、感動するほど素晴らしい音楽に聴こえました。伊福部さんの音楽って管弦楽曲以外は演奏される機会も少なく感じるのですが、ギター曲とリュート曲は、すべてが見事でした!大推薦!


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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
intoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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