
管弦楽曲以外はなかなか耳にする機会の少なかった
伊福部さんの室内楽作品集です!収録曲は、以下の通りでした。
・ヴァイオリン・ソナタ
・絃楽オーケストラのための「日本組曲」
・ピアノ組曲
「ヴァイオリン・ソナタ」の演奏は、木野雅之(vn)、木野真美(pf)。曲の前に、演奏がちょっと…。ピアノを待ってヴァイオリンのリズムがよれるなど、色々あります。ミスはともかく、音が全然躍動してなくってリハみたいなのがね(^^;)。まあそれはそうと、1楽章と3楽章は伊福部さんらしいオスティナートの連続、それを挟んで中間部2楽章が緩徐楽章になっていました。2楽章の美しさと、3楽章の祭り囃子の躍動感みたいのを演奏がグワッと演奏出来てたら、もうちょっといい感じに聴こえたのかも。
「日本組曲」は、名前だけは聴いたことがありましたが、実際の音楽を聴くのはこのCDが初めてでした。タイトルは「日本」ですが、なんか中国のオーケストラ音楽みたいに感じました。大河が雄大に流れる…みたいな。別の言い方をすると、西洋楽器の西洋的調性で日本的な風情を表現してるので、大河ドラマの劇音楽みたいでもありました。
「ピアノ組曲」、これもオスティナート全開の曲。これも演奏が(^^;)。2楽章も3楽章も、何のデュナーミクもアクセントもなくて演奏が棒のうえに止まっちゃいそう、音楽って、もっと歌わせないといけないんじゃないかなあ、そういうスコアだと思いますしね(^^;)。音色を弾き分けられないのも痛かったです。「偉そうに書くな」って言われちゃいそうですけど、この録音を聴いたら、ピアノやってた人はみんな同じように思うんじゃないかなあ。これはもしかすると、今はもう音楽をやめた伊福部さんの生徒さんら有志で作ったCDとか、そういうものなのでは?なんか、ジャケットのデザインもシロウトくさいしな(^^;)。。
なるほど、伊福部さんの作曲はデビュー時からほぼ一貫していて、ベースは国民楽派的で、技法はオスティナートを組み込んだロマン派的で、傾向はシンプルを至上としている印象でした。何枚もアルバムを聴いて、いろんな時代の色んな編成を聴いてそうという事は、きっとそうなのでしょう。伊福部さんは東京芸大の学長を務めていた事があるはずですが、そういう人が
西洋の作曲技法だけを伝えるのではなく、日本人が何をやるかという視点を持っていた事は、日本の作曲界にとって幸運な事だったのではないかと思います。明治維新後も太平洋戦争後も、欧米の文化に日本文化が塗り変えるられる過程で、美術でも音楽でも「東洋人が西洋を吸収するとはどういう事なのか」という問いが常にあったという印象を僕は持ってるんですが、そのひとつがここにある、みたいな。いまだって、そういう気持ちがないといけないのではないかと思ったりするんですよね。右とは保守という事ではなく、ただ外の文化を持ってくるんじゃなくて、内の文化と外の文化がどういう価値を持っているのかをきちんと把握する作業が必要、みたいな。
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