
映画
『サウンド・オブ・ミュージック』で取りあげられたトラップ・ファミリーの本物の合唱がきけるCDです!トラップ・ファミリーの音源はいろいろ出てますが、一世を風靡したグループだし、とにかくアルバムで録音を残すのが一般的じゃなかった頃なので、ブート音源の宝庫みたいな状態で、ぜったいにひどい録音のものもあるはず。というわけで、色々考えたあげくに、僕はクラシックの名門グラモフォンが出したこの1枚を選んだのでした。
トラップ・ファミリーはオーストリアの大家族で、元々はプロではなく、当時のオーストリアに住んでいる人が普通に歌っていた教会音楽とかクリスマス・キャロルとかトラディショナルを家族で合唱して楽しんでいただけだったみたいです。それが2次大戦でドイツに占領され、一家はイギリスやアメリカに亡命。逃げたはいいけど仕事なんてそんなに簡単にありつけるもんじゃない、歌を聴かせて食いつないでいたら、いつの間にか合唱が本業になった、みたいな。
そしてこのCDです。お、映画の先入観があったものだから子供の声かと思っていたら、立派な大人の合唱じゃないか!
なるほど亡命している間にみんな大人になったんだな(^^)。歌は無伴奏の男女混声合唱がメイン、でも曲によっては女声合唱だったり、リコーダー合奏の伴奏がついているもの、リコーダーだけのインストゥルメンタルなどもありました。いやあ、こういうリコーダー音楽はバロック以前のアーリーミュージックの世界の楽器だと思っていたので、もしオーストリアの家庭では普通に演奏されていたのだとしたら驚き。
家では歌だけでなくリコーダーを演奏して楽しんでいたのかも知れませんね、なんと楽しそうな家族なんだ、あこがれるなあ。あと、
ヨーデルを歌っているものもあって、これも驚き!なるほど、オーストリア出身だからアルプス方面の音楽はお手の物なのかも。
曲のセレクトはトラディショナルが多かったですが、グリークなどのプロ作曲家の書いた曲も歌われていました。トラップ・ファミリーって教会合唱もやっている筈なので、
このCDはオーストリア方面のトラディショナルを集めた企画盤という事なんでしょう。
とにかく、
合唱が見事!日本だと伝統音楽と今の音楽が断絶しているので分かりにくいですが、
ドイツ~オーストリア文化は、教会音楽、トラディショナル、クラシックが地続きで別物じゃないんだな、と感じました。また、ドイツ~オーストリアの合唱の伝統が北米に渡って、北米音楽のルーツのひとつになっていったんだろうなと思うと、世界史を音で聴いているようで、なんとも感慨深いものがありました。これは素晴らしい1枚、ゲルマンの見事な合唱音楽でした!
スポンサーサイト