チベットの仏教音楽は、前に色々と日記を書いた事があるぐらいに好きで、中古盤屋で見かけると間違いなく買ってしまうのです(^^;)。これは最近ゲットしたチベット仏教のCD。日本のキングレコードが1990年に制作したもので、日本のキングレコード第1スタジオでの録音。あ、そうそう、チベット仏教って
ブータンや
ネパールにもあったかと思うんですが、このCDに入っていたのは中国のチベット自治区にあるナムギュル学堂という寺院の僧侶によるものでした。
それがいい事なのかどうかは聴き方次第でしょうが、
さすがにスタジオ録音だと音が良いです!楽器ひとつひとつの音が明瞭だし、また低音の鳴りぐらいが現地録音とは比較になりません。チベット仏教の音楽って、トゥン・チェン dung chen という長低音の出るムチャクチャ大きい長官ラッパを吹くんですが、これが「ブオオオオオオ~ン!!」って感じの超重低音で強烈なんです。それだけに、重低音を見事に録音したこのCDの価値は大きいぞ!僕がいままで聴いたチベット仏教の読経の録音では、間違いなくナンバーワンのハイファイ録音です。
そしてこのCD、「ヴァジュラバハイラヴァ成就降魔」という読経を収録してるんですが、CD1枚で1トラック、45分ノンストップです。もしかすると、この儀礼をフル収録したのかな…。でもって、これが今までに聴いてきたチベット仏教のちょっと違って感じました。
最初は僧侶みんなで読経。それがある程度続いたところで、銅鑼やトゥン・チェンが一斉に鳴り響いて突然の爆裂音!これが消えたと思ったら、余韻のうしろではさっきの読経が続いてた!こういうのを繰り返しているうちに、いつの間にか読経のうしろで低音の聴いた太鼓の伴奏がついていて、まるで魔を払うように鈴(金剛鈴ティルブ)がかすかに鳴り、そしてまた銅鑼やらトゥン・チェンの波状攻撃が!!つまりですね…こういう言い方が正しいかどうか分かりませんが、
まるでバリのケチャやガムランみたいなコロトミー構造なんですよ。日本の読経だと、最初から最後までモニョモニョと詠まれて終わり、みたいな感じがあるじゃないですか。でも
これは緩急自在、静かに読まれたと思ったらドッカーン、波状攻撃が来たと思ったら一斉に引いてメゾピアノ…みたいな感じで、意識を反らしてるなんて暇がありませんでした。そしてこれをえんえん繰り返されると、意識がはっきりしたままトランス状態に入ってしまうぞ…。
音や音楽の事ばかり書いてしまいましたが、「ヴァジュラバハイラヴァ成就降魔」というのは、徳の高いラマに従って曼荼羅世界を瞑想して、ヴァジュラバハイラヴァに生まれ変わっていくという儀式みたいです。ヴァジュラバハイラヴァが何かはよく分かりませんが、解脱の境地の擬人化みたいなものなのかな?チベット仏教のCDって当たりはずれが結構ありますが、これは大当たり。
個人的にはチベット仏教レコードの1位です。いやあ、すごかった。。
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