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Category: CD・レコード > 民族音楽・ワールド   Tags: ---

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『ギリシア北部の音楽 Musica Popolare Della Grecia Del Nord』

Girisha hokubu no ongaku これまで取り上げたギリシャの民俗音楽もののCDとちがって、これはギリシャ北部に的を絞った録音です。これまでのCDを聴いていると、ギリシャの文化は3つの地域に分けて考えられているようで、ひとつは島嶼部、ひとつはコリント湾以南のペロポネソス半島、もうひとつはコリント湾以北です。このCDでいう北部ギリシャというのは3つ目の地域のさらに北半分の国境沿いの地域で、西からエピロス(アルバニア国境沿い)、マケドニア(マケドニア国境沿い)、トラキア(北はブルガリア、東はトルコ国境沿い)の3つに分けて捉えていました。

 まず、この国境沿いは多数派を占めるギリシャ人のほか、ワラキア人、ユダヤ人、アルバニア人、スラヴ人、トルコ人が少数民族集団を形成しているんだそうです。でもって、19世紀までギリシャはトルコに支配されていたそうですが、エピロスとマケドニアの山岳地帯はギリシャの愛国主義者の拠点になって、彼らはゲリラ戦を展開してトルコに抵抗したんです。で、彼らの事を「クレフト」と呼ぶんだそうです。このへんまでが、このCDを楽しむための予備知識(^^)。

 でもって、このCDには大きく分けて3種類の音楽が入っていました。ひとつは歌、ひとつは器楽、もうひとつは舞踊音楽です。まずは歌ですが、北部ギリシャの歌で重要なもののひとつが、クレフトの歌った「クレフティコ」という歌で、叙情詩や、トルコとの戦いをうたったバラッドが含まれています。クレフティコも多分そうですが、この地域の自由リズムは「トゥ・トラぺジウ」というそうで、これは直訳すると「テーブルの歌」という意味だそうで、要するに舞踊音楽ではなくテーブルの前に座って聴く音楽という事みたい。で、これらギリシャの歌はだいたい単旋律。M4「クレフトの歌」はまさにその典型のおじさんの無伴奏独唱でしたが、これがいかにも東欧の民謡という感じでよかったなあ。そうそう、東欧の民謡って、日本の民謡にけっこう似てるんですよ!でも例外があって、多声合唱の伝統を持ってるアルバニアと接しているエピロスには多声歌もある、みたいな。それがM5「ボゴニアニの歌」で、自由リズムで歌い始めて3/8に変化させていっていました。このスタイルは北部ギリシャだけでなく、ブルガリアやグルジア、それにワラキア人が似たスタイロ歌を持ってるんだそうです。へ~、勉強になった!

Greece Epiros つづいて器楽。エピロスとマケドニアで多用されている楽器はクラリネットで、ギリシャではこれを「クラリーノ」と呼ぶんだそうです。で、クラリネットはヴァイオリンやリュート(またはギター)を含むアンサンブルの中で演奏される、みたいな。ああ、このバンドの事はTopic盤で「クンパーニャ」と呼んでたなあ。で、この音楽を担当しているのはジプシーだそうです。やっぱりそうか、そうだと思ってたんですよね(^^)。これはM3「オ・スカロス」やM6,M7などで聴かれました。ほかのCDに比べると、ユダヤ色が薄くてジプシー色が強いと感じました。
 似たようなアンサンブル形式の音楽では、トルコ系の「ジイーア」というアンサンブルによるものがありました(M8)。これ、楽器編成的にはクンパーニャのクラリーノがオーボエに変わっただけに聴こえましたが、なるほど確かに曲想はトルコ系に感じました。
 羊飼いのフルートも有名で、これをワラキア人は「ツァマラ」、マケドニアの人は「カヴァリ」と呼ぶんだそうです。このCDではM2「ミロロイ(哀歌)」というのがそれで、ナーイの演奏とそっくりだったので、きっとトルコから入ってきたんじゃないかな、みたいな。
 フィドル系のリラという楽器もよく使われていて、その一番一般的なものは黒海南岸のポントス地方からギリシャ人によってもたらされたもので、マケドニアとトラキアに伝わったそうです。

 最後にダンス。エピロスとマケドニアの山岳地帯の村は孤立しているので、それぞれの村落が民俗舞踊を持っているんだそうです。ああ、この辺は東欧と似た状況なんですね(^^)。でもギリシャ北部特有のリズムや舞踊音楽というのはあまりないそうです。

 そして、上の3つを全部含んだものもあって、このCDだと1曲目の「私は葡萄畑へ行く」という曲が、単旋律の歌があり、クンパーニャが伴奏していて、そしてダンスであるという、まさに3つの融合。ちなみにこのダンスは「ベラトのダンス」と呼ばれるもので、エピロス全域で聴けるんだそうです。

 上のどれにも入っていない11曲目のバグパイプの演奏も面白かったです。スコットランドのバグパイプとは違って、ドローンは切れ目なく最後まで同じ音を出し続け、旋律パートはものすごくアラビア風。いやあ、これはカッコいい、バグパイプ版のマカームかドゥルパドのようでした。

 このCD、原盤はアルバトロスというイタリアの民俗音楽のレーベルなのですが、僕が持っているCDは日本のキングレコードが解説を日本語訳してディストリビュートしたもので、この解説が詳しくて素晴らしかったです!今回、解説を読みながら何回も繰り返し聞いてしまいましたが、 解説のほかにも、録音がいい、取り上げた音楽が偏ってないなど、実に素晴らしいCDでした。大推薦のCDですが解説がないと魅力半減だと思うので、できれば日本解説つきの日本盤がおすすめです(^^)。


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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
intoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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