
プロ野球の頭脳・
野村克也さんは、とんでもない量の本を出してるんですが、ほとんどは似た内容だったりします(^^;)。
選手としては数々のタイトルを取り、監督としてはID野球と言われるほど野球術の革命を起こしたのに、技術書や戦術書をほとんど書いてないんですよね。そんな中、2017年という晩年のノムさんがついに上梓した野球の技術・戦術書がこの本です! 読む前は、バントシフトやピックオフプレイなどの戦術指南書かと思っていたんですが、実際に読んでみると戦術面だけでなく、どうやって人を育てるかとか、打撃や送球や走塁の基礎など、野球に関することすべてが網羅されている本でした。これはすごい。子供の頃にちょっとやっていた程度の僕にとっては、目からウロコの話の連続。読み返すたびに「なるほど」と思わされて、
この本を読んだ状態で少年野球時代からやり直したい、な~んて思ってしまいました(^^)。それぐらい、「これを読んでから野球やったらできるようになれそう」と感じたのです。
中でも素人の僕にとって白眉だったのが、カウント論。カウントによって攻めや守りが変わるのはアマチュアの僕でも何となく知っていますが、でもそれでどう狙い球を絞り、どう目付けをして、どう待って…と具体的に実践できるほどには全く知らず。だいたい、カウントには12種類あるというのですら、いわれて「なるほど」と思ったほどでしたし。
走塁論も、ものすごく勉強になりました。例えば、奏者2・3塁の2塁ランナー。これはアウトカウントや3塁走者がゴロ・ゴーかどうかなどによって変わって、その為には…みたいな。なるほど、巨人や横浜みたいなこういう面で雑な球団って、2走がアホなミスする事を、たまに見ますよね。こういうところがチームとしてケアできてないんでしょうね。
守備のバントシフトも、すごく勉強になりました。走者1塁だけでも、これだけバリエーションがあるんですね。僕は、球場に野球を見に行くと、バントシフトを観るのが一番楽しいです。チームによって様々ですし、テレビ中継だと映らないんですよね、野球という戦術ゲームの中でも、一番戦術性の出るところなのに。
上の例はあくまで一例で、こういう野球の基礎的な知識が満載。ノムさんのテレビ野球解説の行間とか、92年の日本シリーズ7戦での広沢の本塁突入などから判断するに、本当はもっともっと深い戦術や戦略、技術的なポイントなどを持っていらっしゃったのだと思いますが、それでも400ページ超の本ですから、
野村さんにとっての「プロですら守られていない本当の野球の基礎」は、このへんからなのでしょう。野球でも音楽でも、プロの一流はまったくレベルが違う、アマでもプロでも、結果を残せない人がどれだけ隙だらけでぬるいのかと痛感させられる本でした。
野球をやっている人なら、これを読んでいるかどうかで雲泥の差が出る本ではないかと思いました。見るだけの人でも、これを読んでいたら野球の見え方がまったく変わるんじゃないかと。超がつく良書、野球好きなら必読!!
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