
イギリスがEUを離脱したタイミングでこんな本を読みはじめ、ようやく先ほど読み終わりました。イギリスのみならず、欧米も日本も思いっきり右傾化、今の日本なんて極右と言ってもいいほどの状態。テレビや新聞のニュースを見てもそれらの理由なんてろくに話されませんし、話されてもその説明が色んな事実と食い違って感じるので、「本当にそうなのか?」と信用できなくなってる自分がいます。というわけで、「テロ」「右傾化」というキーワードを検索したらヒットしたこんな本を読んでみました。書かれたのは2016年、著者の広岡さんはフランス在住のフリージャーナリストだそうです。
簡単な感想は、フランスの視点から見たEU騒乱の解説で、日本の新聞やテレビニュースが伝えてる事とはニュアンスがまるで違いました。日本の大手マスコミとこういうフリージャーナリストの見解のどっちが実態に近いのかは分かりませんが、実際に起きてる事の説明は、こっちの本の方が矛盾なく感じました。たとえば、パリ同時多発テロ。フランス在住の移民たちの子孫がISに入信してのテロ…なんてところで新聞やテレビの報道はは止まっていましたが、この本ではその背景を、
巨大化したファンドに呑みこまれたフランス国家が、生産性の低いものを郊外に捨てる事でグローバリズムについていった代償として、社会に持つ者と持たざる者がはっきり分かれ、郊外では「フランスを憎む」と言ってはばからない若者であふれるようになり、彼らがフランスの変革を目指してテロを起こす…みたいな説明。もちろん、新潮社が出すような本ですから、いい加減な推測ではなく、いろんなデータを示したちゃんと根拠を説明していました。なるほど…。
戦後のヨーロッパ史からECやEUの成立、その中での画国間の経済差などから生じた問題、そこに絡む移民問題、「社会的亀裂」とまで言われるようになった持つ者と持たざる者の格差拡大、そして持たざる者が支持する極右政党の台頭…こんな感じ。ものすごく詳細に述べられていて、学生の時に倣った世界史と
ゴルゴ13ぐらいでしか世界情勢を知らない僕には、「そうなの?!」という事が多くて、情報量がものすごく多く、そこが素晴らしかったです。実にいい本でした!
ただ…2回読みなおさないと、僕はこの本を理解出来たと思えませんでした。まとめるのがうまくなくて、分かりづらかったのです。たとえば、EU騒乱の理由のひとつに移民問題をあげていましたが、その移民問題の章を読んでも、細かく色んな事が書かれてるんですが、読み終わっても「え?で、移民問題って何が原因で何が問題となって生じてるの?」とピンと来なかったり。そして読み返して、「つまり○○が問題なんだな」と自分で言葉で補わないといけない、みたいな(^^;)。
まとめ方はうまくないにしても、詳細なデータや書かれてる内容は本当に素晴らしい!実にいい本でした。思うんですが、情報ってタダで人が与えてくれるものだけを信用していてはダメなんですね。国際NGO団体「国境なき記者団」の調査では、日本の報道の自由度は2017年で世界72位、G7では最下位です。こういう本を読むたびに、本当に「日本の社会の教科書や新聞やテレビニュースは信用できないな」と思ってしまいます。事実を知らずに正しい判断をするなんて絶対に無理。年に数冊でもいいから、こういう本は読むようにしよう…。
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