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心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

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TV番組『8時だョ!全員集合』

8jidayoZeninshuugou.jpg 志村さんの他界、本当にショックです…。僕にとっての志村さんといえば、なによりまずこのコント番組、「8時だョ!全員集合」です!ある世代の人なら見たことがない人はほとんどいないだろうモンスター番組、もともとコミック・バンドだったいかりや長介率いるザ・ドリフターズが、コントと歌番組を合わせて毎週生放送(!)してました。あまりに好きすぎて、物心ついてから小学校2~3年生ぐらいまで、毎週欠かさず見ていました。

 「全員集合」はコントと歌手の歌のコーナーを組み合わせた構成になっていて、前半がドリフ全員での長めのコント。その後、歌が何度か挟まりながら、ドリフのメンバーのだれかとゲスト歌手が絡んでのコント、ドリフとゲストたち皆で合唱をするバラエティなどで構成されていました。

■前半の長いコントは名作揃い!


8jidayoZeninshuugou_miira.gif 番組冒頭のドリフ全員でやるコント、いま見ても名作揃いと思います。覚えているものだけ書いても、いかりや母さんと子供たちのコント、ミイラの出る遺跡での宝探し、商社のダメ社員たち、ゲストも加えての学校コント、ジャングル探検、大工の棟梁と見習い、監獄…どれも面白かったなあ(^^)。
 家族コントでは、学校から帰ってくる子供たちが母さんにする挨拶が4段落ちになっていたと思うのですが、他の子どもたちが「母ちゃん、ただいま」という中、カトちゃんが「母ちゃん、一本つけろや」…こんなの笑うだろ(≧▽≦)。あと、仲本工事さんが、母ちゃんが竹ぼうきで叩こうとするのをジャンプして避けたのも楽しかったなあ(^^)。
 遺跡の探索コントでは、鏡の前を通ると、志村さんの時だけ鏡にミイラが映るコントが爆笑でした。志村さんがフェイントかけると、ミイラがフェイントに引っかかって動きがずれるんですよね('∀`*)。幼少時、コメディの楽しさを強烈に心に刻んだコントでした。このコントで僕があまりに楽しそうにしていたから、母はこのコントを覚えているんだそうです。それぐらい大笑いしていたんでしょうね。
 学校コントでは、ことわざを皆で読むときに、志村けんだけ間違えて読むのを覚えています。「光陰矢の如し」を「肛門屁の出口」とかね(^^)。
 刑務所コントで覚えているのは、うそ発見器にかけられること。うそをつくと小さな電球が光るんですが、志村がうそをつくとものすごい電飾がビカビカ光る(^^)。

■後半のショートコントはクラスで流行ったギャグ満載


Katou Cha (1) 番組後半のコントコーナーも、印象に残っているものがいっぱい。まずは、ひげダンス。水の入ったバケツを回して水をこぼさないとか、そのバケツを空中で一回止めるとか、ちょっとしたお座敷芸をやるんですが、学校でよく真似したなあ。
 元ミュージシャンのキャリアをいかした「少年少女合唱団」のコーナーは、大人になってから観ると、子供の時以上に楽しめました。見終わった後に、早口言葉の音楽と笑いで心が晴れやかになっている自分がいるんです!このコーナー一番のヒットは早口言葉でしょうが、見せるための作られたコントではなく、実際にうまくいかないからリアルで笑えるんでしょうね(^^)。やってる方も心から笑っていて、本当に楽しかった。志村けんが白鳥型のチ〇コをつけての「いっちょめいっちょね、ワーオ!」も楽しかったなあ。
 他にも、浮気現場を見つからないように二人羽織りで乗り切るコント、加藤茶がハゲづらつけてストリップショーの真似をやる「ちょっとだけよ」、あれ、クラスでみんな真似してたなあ(^^)。 

■裏番組争い、土曜8時は観る方も悩ましかった


 70年代前半生まれの僕ですが、ヒーロー番組とコント番組に夢中になった幼少時の僕にとって、土曜の夜8時は悩ましい時間帯でした。ドリフのコント番組「8時だョ!全員集合」と戦隊ヒーロー番組「秘密戦隊ゴレンジャー」が裏番組の関係だったんです。ビデオなんてまだない頃、兄弟でチャンネルの取り合いになるんですが、ゴレンジャーが見たい僕は年のはなれた兄に「晴れたらドリフ、雨ならゴレンジャーにしよう。それなら公平だろ?」と簡単に騙されたわけです(^^;)。とうぜん晴れの方が圧倒的に多く、仕方なくドリフのコントを見る機会が多くなったんですが、すぐにその面白さの虜になりました。ゴレンジャーを観るのは、番組の歌コーナーの時間やCMの合間ぐらいになり、そのうちにゴレンジャーの放送が終了、土曜の夜は完全にドリフの時間となりました。父がプロ野球中継を見る人だったんですが、僕があまりにゲラゲラ笑って楽しんでいるもので、「土曜の夜だけは子供たちにテレビを見せてやろう」と思ったのだそうです。そうそう、それでしばらくは全員集合の天下だったんですが、フジテレビが「オレたちひょうきん族」の放送を始めると、またしても土曜の夜は何を見るか悩ましかったです。

 番組の最後に、出演者が全員並んで「ババンババンバンバン」と歌い始めると、笑い転げた1時間もおしまいかと、少し寂しく感じたものでした。終わった後に、ライオンのホワイト・アンド・ホワイトという歯磨き粉のCMが流れていた記憶が。そのまま余韻にひたっていると「Gメン’75」の音楽が流れはじめ、母親から「もう遅いから寝なさい」といわれたなあ。そうそう、9時に寝る約束だったから、歌手が歌を歌っているタイミングでいそいでお風呂に入ったことも。幼少期の土曜の夜は、人生で最高に楽しかった最高の時間だったと思っています。ドリフ、楽しい時間をありがとう!


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志村けん、逝去

ShimuraKen.jpg 世界中でコロナ・ウィルスの犠牲者が増え続ける中、なんとコメディアンの志村けんさんが逝ってしまいました。数日前、合併症でコロナに感染して重篤というニュースを聞いた時には、もしかしたらと心配していたのですが…。

 70年代初頭の生まれの僕にとってのドリフターズは、コミックバンドではなく完全にコントグループになっていました。荒井注さんはもういなくて、志村けんさんがドリフターズのコントのエースでした。物心ついてから小学3年ぐらいまでは、ドリフのコント番組「8時だョ!全員集合」が放送される土曜の夜は至福の時間。面白くて楽しくて、最高に幸せでした。番組前半のドリフ全員でやるコントコーナー、少年少女合唱団のコーナーでの早口言葉、もう少し後になるとひげダンス…楽しい思い出ばかり。ファンク調の音楽に合わせてみなで挑戦する早口言葉のコーナーなんて、今見ても体が乗ってきて楽しくなってしまいます。お客さんを楽しませるだけじゃなく、やっている人みんなが和気あいあいと心の底から楽しんでいる笑顔のなんと楽しそうなことか…。そして、これらすべての笑いの中心に志村さんがいました。

ShimuraKen_2.jpg小学校高学年になると裏番組で「オレたちひょうきん族」が始まり、全員集合はあまり観なくなりました。でも今度は特番枠で放送される、全員集合より少し対象年齢をあげたコント番組「ドリフの大爆笑」で大笑い。そして「ドリフの大爆笑」をみて、ドリフはもともとコミックバンドだったと知り、みんな楽器がうまいなあと感心しました。しかしドリフの活動が終わり、志村さんとカトちゃんだけのコント番組になるとぜんぜん面白くなくなり、「あ、志村さんが面白いと思っていたけど、実はいかりやさんあっての笑いだったのかも」と思ったり。

最近では、志村さんが三味線を演奏しているCMが流れていましたが、これはサイレントベースを弾くいかりやさんのCMと並んで良いCMだと思いました。ジャ〇ーズやらオ〇カーやら、今のテレビ芸能界は芸も能もない芸能人ばかりになってしまいましたが、志村さんはしっかり芸を持ったりっぱなコメディアンだったと思います。

自分にとっての幼少時のヒーローはウルトラセブンのモロボシ・ダンとドリフターズの志村けん。それより少し後になると、矢吹丈アントニオ猪木松田優作佐山聡、ビートたけし、矢沢永吉ジミヘンマルタ・アルゲリッチ、詩人ランボー、キース・ティペット、マルタン、シオラン、ホーキング…成長に合わせてあこがれの対象を少しずつ変えながら大人になっていきましたが、その原点のひとりに志村さんがいたのは間違いありません。それはあこがれだけでなく、「ねえ、昨日のドリフ見た?」とか言って友達と笑いあっていた幼少時の楽しい思い出のひとつでもあります。志村さん、天国でいやりやさんとまた楽しく過ごしてくださいね。ドリフを見て、やさしい母の前で兄弟なかよく笑い転げていた子供の頃の思い出は、死ぬまで僕の大事な宝物です。そして、コロナ騒動が早く鎮静化してくれることを願います。


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『佐藤通弘 / 津軽三味線ソロ 月も凍る夜に』


SatouMichihiro_TsukimoKooruYoruni.jpg 山田千里さんの弟子で、たしか山田さんが開いていた全国津軽三味線競技会で2年連続優勝をした佐藤通弘さんが2000年に発表したCDです。これがまた師匠の山田さんの演奏を凌ぐほどの素晴らしさでした!!60年代から2000年まで、津軽三味線は世代交代しつつ進化してきたという事なのかも。同時に、津軽三味線も「伝統芸能」ではなく、ミュージシャン個々の表現や作品や考えをぶつけてくるという、現代の西洋の演奏家的なあり方になってきたのかな、とも思いました。

 このCD、解説も何もついてないのでぜんぜんわからないんですが(三味線が2本に聴こえる曲もあるんですが、共演者の名前すら書いてない^^;)、1曲目の「荷方節」からしてものすごい技巧。これって津軽三味線の曲なんでしょうか。秋田に同名の曲があるみたいだけど、それを津軽三味線用に佐藤さんがアレンジしたとか、そういう事なのかな?2曲目の「小原節」と合わせて、最初の2曲の超絶的な演奏で魂を全部持ってかれました(^^)。
 そして3曲目の「十三の砂山」。これは津軽三味線というより、河東節とかみたいな風流の三味線といった感じ。、このCD、メチャクチャ素晴らしい…。

 というわけで、これは津軽三味線というより、歌なしの器楽としての三味線音楽を統合したものすごい音楽と感じました。豪壮というより風流を感じる曲が多いもので、津軽三味線ではないんじゃないかと思うほど(いい意味で、です)。僕自身が津軽三味線はおろか三味線音楽全般にわたってあまり詳しくないもんで、どれが伝統曲でどれがオリジナルかも分かりませんが、無知な人間が痺れまくった事だけは確か!カッコよかった。。


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『山田千里 / 津軽三味線』

YamadaChisato_TsugaruJamisen.jpg これはメッチャクチャうまい津軽三味線だ、もう高橋竹山の頃から時代は移って、津軽三味線はどんどん進化しているんだな…90年代前半にはじめてこのCDを聴いた時、そんな感想を覚えました。80年代の津軽三味線ではトップのひとりだったのではないかという山田千里(やまだちさと)さんのCDです!

 10曲が収録されていましたが、すべて歌なしのインストで独奏!主に津軽三味線の有名曲で、「津軽じょんがら」は、旧節、中節、新節のすべてを収録。即興演奏も2曲入っていましたが(「津軽恋情曲」と「津軽響奏曲」)、これがCのマイナーペンタで調もリズムもしっかりしていて、手も津軽三味線の技巧のままに聴こえたもんで、立派な曲に聴こえました。というわけで、まずはCDを通して曲がムチャクチャいい!!
 さらに、津軽三味線独特の豪壮さもありつつ、ものすごいテクニカル!最近、テレビで何となく耳にした若手の津軽三味線の人は(名前を忘れた^^;)、これよりさらにうまかったんですが、豪壮さがなくて、手先だけで演奏してるみたいでなんとも軽かった(^^;)。山田千里さんは津軽三味線を革新していった人として知られていますが、ああいう軽い演奏を見てしまうと、あくまで津軽三味線にあるあの重さや激しさを踏まえたうえで進化させていこうと思った人だったんじゃないかなあ、な~んて感じたり。

 昔、東京に「モダーンミュージック」という超マニアックなレコードショップがありまして、そこが『G-Modern』という同人音楽誌(?)を発行していたんです。で、その第10号に、なんと山田千里さんのインタビューが載ってたんです。僕が山田千里さんを知ったのはその時が初で、その記事で、山田さんが地元の青森で津軽三味線を聞かせる店を経営してること、奥さんが超有名な民謡歌手の福士りつさんである事などを知りました。そこには山田さんの津軽三味線に対する考えや思いが外連味なくいっぱい書かれていたんですが、この音はもうインタビューのままという感じ。久々に聴いた今も、すっごくよかった!
 中古屋さんで投げ売り同然の値段で売られていたこのCDは、純邦楽のCDによくあるジャンル名と演奏者名が列記してあるだけのぞんざいさ。80~90年代というと、日本のレコード会社は「しかたなく」純邦楽のCDを作っている感じで、マジで愛を感じませんでした。でもやっているミュージシャンは、今みたいにあるスタイルをアスリートのようにコピーしまくる状況ではなく、すごい熱量で音楽に取り組んでいた人がまだまだいたんですよね、まだ60年代や70年代の熱が残っているというか。ジャケットの安っぽさに騙されちゃいけない、これは津軽三味線の歴史に名を残した一流ミュージシャンの一流の演奏を記録した、素晴らしいCDと思います!


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『木田林松栄 / 叩胴 津軽叩三味線 木田林松栄・津軽の唄』

KidaRinshoue_Tatakidou.jpg ある時代、高橋竹山と双璧の津軽三味線の名人と言ったら、木田林松栄(きだりんしょうえ)だったそうです。で、津軽三味線の右も左も分からない僕は、中古屋で捨て値同然で売られている木田林松栄さんのこんなCDを発見、お宝ものを見つけたとばかりに飛びついたのでした(^^)。そうしたら、これは三代目の木田林松栄さんだった(^^;)。有名なのは初代なんですよね。

 このCD、最初は3人での合奏、次は尺八(山本邦山!)とのデュオ、その次に3代目の独奏が8曲続き、次に歌伴奏が8曲、最後に木田静栄の独奏で締める(なんで最後に違う人?)、という構成でした。面白いのは、解説書に振り付け(振付師は津軽手踊藤田流の家元・藤田澄江)が図解で示されてる事。へえ、津軽の唄って振り付けが入るものもあるのか…でもそりゃそうか、遊芸民のお座敷芸がルーツですもんね。

 僕的な注目はやっぱり津軽三味線の独奏。なんでクレジットに津軽叩三味線と「叩」の文字が入ってるのかと思っていたんですが、どうも「高橋竹山は弾く、木田林松栄は叩く」と言われているんだそうです。なるほど…。3代目が初代と同じような表現を取っているのかどうか僕なんぞには分かりませんが、たしかに「津軽じょんがら新節」の前奏部などを聴くと、琵琶じゃないかと思うほどにバシバシ叩いていました。

 歌ものは、僕は民謡の歌唱法がどうも苦手なもんで、歌唱にはあまり興味を惹かれなかったんですが、詞が面白い!江戸時代からつづく純邦楽の歌ものや語りものは、小唄でも端唄でも、とにかく詞が面白いです(^^)。「津軽じょんがら旧節」には、こんな一節が。

梅にうぐいす仲良いけれど、何故に昼来て夜また帰る
せめて一夜もお泊りなされ


 これは鶯のことじゃなくて、男女のことを歌ってますよね。しかも、エロい上に道ならぬ恋じゃないでしょうか。いまの子供向けなJポップや英米ポップで、こういう艶っぽい歌を聴くのは難しいので、やっぱり江戸時代以降の町人文化の歌ものはエロくていいな、みたいな(^^)。それから、大名盤『高橋竹山 津軽三味線』でも聴く事の出来た「弥三郎節」は、こっちのCDの方が長めに歌われていました。実際には、もっともっと長い歌なんでしょうね。

 三味線音楽は、器楽は最初はどれも同じと思っていたものが、何回も聴いているうちに違いが分かってくると楽しい、歌ものや語りものは最初は言葉が捉まえきれずによく分からないのが、何度も聴いて詞の内容が分かってくると面白くなってきました。このCDは、歌ものはたぶん抜粋が多いんでしょうが、このへんの気に入った曲を深く掘り下げていくと、三味線音楽を持って楽しめるようになるのかも。嫁いびりの唄があったりして、青森名だけにちょっとおどろおどろしい気もしますけどね(^^;)。


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『高橋竹山 / 津軽三味線』

TakahasiChikuzan_TsugaruJamisen.jpg 津軽三味線の名盤中の名盤です!アメリカの同化政策に巻き込まれたように何にも考えずに洋楽ばかり聴いているのは悔しい、英米の大衆音楽なんて足元にも及ばない歴史を持っている純邦楽をちゃんと聴いておきたいな…な~んて思った若い頃に聴いたレコードで、これが運命の出会い!はじめて聴いた時、一瞬で夢中になったのが昨日のことのよう(^^)。1973年録音のクラウン盤です。僕が今持っているCDは、それに歌伴奏を7曲追加したものです。

 高橋竹山さんは、僕が子供の頃、すでに伝説の人でした。津軽三味線のルーツは新潟にいた瞽女(ごぜ)がやっていた三味線音楽らしいですが、それが津軽にわたり、江戸時代後期に定着したそうで、始祖は仁太坊(にたぼう)。その後、梅田豊月という名人を生み、その梅田豊月に師事した2人がいずれも素晴らしい腕前で、高橋竹山はその2人の中のひとりです(もうひとりは木田林松栄)。僕は高橋竹山以前の津軽三味線を聴いたことがないんですが、高橋竹山あたりになると、器楽として成立してしまうほどの演奏に技巧が施されていました。ちなみに、戦後の民謡ブームに乗って津軽三味線が全国に広まった時の第一人者が高橋竹山だったんだそうです。

 このCDは、器楽独奏11曲、民謡の伴奏が7曲入っていました。伴奏の7曲はCD化の際に追加収録されたみたい。でもやっぱり日本の遊芸民の音楽として素晴らしかったのは独奏、これが凄かった!三味線音楽ではあるんですが、軽妙なお座敷小唄や浪曲の伴奏で聴かれるような鯔背な三味線と違って、薩摩琵琶のような迫力がヤバい。それでいて手(部分的な手筋)が多く、ついでに途中でアッチェルしたりする!これ、むちゃくちゃかっこいいだろ…。今でも津軽三味線のテクニックに優れる若者はいっぱいいますが、このずしんと来る太さがないんですよね、それって指先の問題じゃなくて、呼吸とか一撃の破壊力とか表現とか、そういう所なんでしょうね。でも、竹山さんは、津軽三味線にしてはバシンというたたきが少なくて、当時にしては相当にエレガントな演奏をする人かも。

 すごいと思ったのは、1曲目の「津軽三味線組曲」(「津軽じょんがら節」の伴奏を元に走者がいろいろと手を入れて捜索で演奏するもの)が、技巧のオンパレードの上に途中でっちゃるしてかっこいい!!3曲入っていた「津軽じょんがら節」(普通のモノ、「中節」というもの、歌入り)のうち、「中節」というヤツもカッコよかった!ちなみに、「津軽じょんがら節」は、演奏者によって手がまちまちなんだそうですが、大きく分けると「旧節」「中節」「新節」の3つに分かれるんだそうです。詩の内容は、ぜんぶやるとけっこう長い物語で、もともとは新潟の広大寺が信濃川ぞいの耕作権争いになった時に、時の広大寺の住職を追い出すために作られた悪口歌なんだそうです(^^;)。で、それを瞽女が広めたんだそうです。ちなみに、このCDに入っていた歌入りの歌詞だと、悪口は言ってませんでした。ああ、もう書き始めたらきりがない、他の曲も器楽独奏は曲によってキャラクターがはっきり違っていて、どれも面白かった!

 このレコードをはじめて聴いたのは大学生の頃で、大学の図書館のLPで聴きました。CDを買ったのはずいぶん後でしたが(LPが入手困難だった!)、常磐津でも清元でもない青森の津軽三味線は、伴奏ばかりが強い田舎の(よく言えば豪壮な)流派だと思っていたんですがとんでもなかった、豪壮だけどむちゃくちゃ洗練されてるじゃん、みたいな(^^)。「純邦楽、すげえわ」と思わされたきっかけとなった思い出の1枚でもあります。これは超おすすめ、演奏よし、音よし、内容よし、純邦楽の大名盤です!


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『Herbie Hancock / Speak Like a Child』

HerbieHancock_Speak Like a Child お金もなかった若い頃は、ひとつのアルバムを舐めるように聴いていました。幸運なことに僕は音楽を勉強させてもらえたので、好きな曲があるとアナリーゼしたり、素晴らしい演奏があると真似して弾いてみたり。少なくとも、ジャズならコードぐらいは攫わないと聴いたとは言えないと思ってました。でも、大人になって昔よりは経済的に余裕が出来て、ネットの聴き放題サービスなんかで音楽がいくらでも聴けるようになった今、ミュージシャンが渾身の思いで作っただろう素晴らしい音楽でさえ、上澄みだけ掬うようにサラッと聴いてしまって、その素晴らしさに触れる前に通り過ぎてる気がする事もチラホラ。物があふれて過剰消費を強要される時代が果たして幸福かというと、決してそんな事ないんじゃないかと思うわけです。でもって、このアルバムは、もし「上澄みだけ掬う」ような聴き方をしてたら、僕はその素晴らしさに最後まで気がつかなかったアルバムです。久々に聴いた今も、朝から何回リピートして聴いているでしょうか。しまいには、仕事を中断してピアノの前に座って音を拾い始めちゃったし(^^;)。。

 1965年に傑作アルバム『処女航海』を作っておきながら、ハンコックさんはその後にしばらくリーダー・アルバムを作りませんでした。マイルス・デイヴィスのバンドでの活動が忙しすぎたのかな?で、満を持して発表された次なるリーダー作が1968年発表の6作目『スピーク・ライク・ア・チャイルド』です。メンバーは、Herbie Hancock (p), Jerry Dodgion (alto fl), Thad Jones (flugelhorn) , Peter Phillips (bass trb), Ron Carter (b), Mickey Roker (dr)、というわけで3管セクステット。間違いなくハービー・ハンコック傑作アルバムのひとつです!

 このアルバム、A面とB面の最後がどちらもご陽気で軽妙なナンバーなので、最初に聴いた時はあまりその印象がなかったんですが、実は曲も演奏も実に耽美的で得も言われぬ美しさのアルバムでした。試しにこの2曲を抜いてこのアルバムを聴くと…うわあなんだこの耽美さは?!マイルスのバンドで突っ走りまくって鍵盤を叩いていたピアニストは思えません。

 それでいて、新主流派的というか、モード通過後のモダンジャズのカッコよさ満載の「Riot」がアルバムの冒頭なんです。つまり、ムードと表現だけのジャズじゃなくて、芸術性も失ってない所がマジでかっこいい。この曲、特に3管のアレンジが見事です。ハンコックのピアノって、モード的な曲が多い割にはアプローチがスケールじゃなくて和音寄りなんですよね。だから、それでも組み立てが意外と和声アドリブ的で、これが崩れていったところでいきなりホーンセクションがカウンターラインをアンサンブルで決めてきます。いやあ、60年代ジャズの大傑作じゃないか、これは!そして、2曲目「Speak like a child」になだれ込んだ込んだ時のため息と言ったらもう…。

 このアルバム、『Takin' Off』から『Maiden Voyage』まででは感じられなかったタッチを含めた演奏表現の素晴らしさを感じました。「Goobye to childhood」の演奏なんて、ビル・エヴァンスじゃないかというほどの耽美性と表現力で、マジで素晴らしい。成熟とはこのこと、演奏家としてのハービー・ハンコックのキャリアハイってこの時だったんじゃないかと思います。「Riot」、「Speak like a child」、「Goodbye to childhood」の3曲は、マジで多くの人に聴いて欲しいです。背筋のゾクゾクが止まりません。これだけの境地にたどり着いておきながら、なんでハンコックさんは「ヘッドハンターズ」なんていうガキくさい事をやっちゃったんだろう…。


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『Herbie Hancock / Maiden Voyage』

HerbieHancock_Maiden Voyage 真正面からモダン・ジャズをやっていた頃のハービー・ハンコックの代表作と言えば、やっぱりこれでしょう、1965年発表『処女航海』!メンバーは、Herbie Hancock (p)、Freddie Hubbard (tp)、George Coleman (ts)、Ron Carter (b)、Tony Williams (dr)。というわけで、マイルスのバンドで、トランペットだけフレディ・ハバードに差し替え。マイルス怒りそうです。
 このアルバムは、処女航海がテーマとなった一種の交響詩になっていて、曲タイトルで言うと、「Maiden Vovage(処女航海)」→「The Eye Of The Hurricane(台風の目)」→「Little One」→「Survival Of The Fittest(適者生存)」→「Dolphine Dance(イルカの踊り)」みたいにアルバムは進んでいきます。…「Little One」ってなんだ?(^^;)

 まずはアルバムタイトルにもなっている「Maiden Voyage」が、印象派というかモードというか、50年代のジャズではまず聴けない響き!最初のコードをD7sus9みたいに取るかAm7/Dみたいに解釈するかはプレイヤー次第でしょうが、要はバスDに対して、4度のG、9度のE、そして潜在的に長6度のHが入っている所が大事。これが短6だったらただの短調のバス音の入れ替えなんですが、長6だからドリアンっぽく響くんですよね。だから、フランス音楽専攻だった僕ならこれはD Doriann として、3度を省略して4度6度強調で弾くな(^^)。そう演奏すべきとも思いますしね。はじめてこのアルバムを聴いた高校生の頃は、この曲がなんだか茫洋として面白くないと思ったんですが、これが聴くたびにその面白さが分かるようになってきて、自分でジャズを演奏するようになってからはこれをどう解釈して演奏するかにむっちゃハマった!この曲の面白さを一番わかるのって、ピアニストかギタリストだと思うんですよ。

 続く「The Eye Of The Hurricane」は、タイトルほど激しい曲ではなくて、あくまで軽快なジャズ。この時点で、標題音楽とは言えゴリゴリに標題を音で表現しているわけじゃなく、小粋なジャズとして処理してるんだな、みたいな。最後の穏やかな「Dolphine Dance」で、やっぱりハンコックさんは50年代にいたとしてもジャズ・ピアニストとして一線級で活躍できただろうと確信。それにしても、「Dolphine dance」というタイトルだけで、この曲の価値が3割増しになっている気がします。ハンコックさんて、曲のタイトルをつけるセンスがあるんですよね。「Speak like a child」とかもそうですが、メッチャいいタイトルだと思います。

 イメージとしては、ジャズ版のドビュッシー「海」みたいでした。海がテーマですし、冒頭から4度和声ですしね(^^)。で、R.シュトラウスの「アルプス交響曲」みたいに、もろに標題音楽というわけでなく、あくまでジャズの小粋さを残したところがシャレオツだな、みたいな(^^)。ハンコックさんって、この後にフュージョン方面にも流れていく時がありましたが、それって50年代ジャズのゴリゴリしたソロ・アドリブの追求じゃなくて、このアルバムに表れている印象派和声的な4や6の和音のムーディーな響きや、それを使った和声進行をやって見たかった時がある、という事なんじゃないかと。ホラーフュージョン時代に、11thや13thを使った並行和音やらモード的でシンプルな曲っていっぱい生まれたじゃないですか。それがドビュッシーやプーランクのような驚異の和声術の方に走らず、シンプルな和音進行の方に走った先駆的な音楽、みたいな。モードもあるとはいえ、『Empyrean Isles』みたいな難しい音楽ではなく、軽妙さを味わうアルバムと感じます。脱力して聴ける、いいアルバムだなあ( ˘͈ ᵕ ˘͈ )。


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『Herbie Hancock / Inventions and Dimensions』

HerbieHancock_Inventions and Dimensions 1963年にジャズ・ピアニストのハービー・ハンコックが発表した3作目のリーダー作です。63年というと、この年にハンコックはエリック・ドルフィーと共演し、マイルス・デイヴィスのグループにも大抜擢されたわけで、この年からモダン・ジャズのメインストリームに躍り出たことになります。しかし、若い新人ピアニストのリーダー作を2年で3作もリリースしたブルーノートはすごい。ブルーノートって50年代が有名ですが、音楽的に素晴らしい仕事をしたのは60年代だったと僕は思っています。

 このアルバム、ピアノ、ベース、ドラム、ラテンパーカッションという、管楽器がいなくて、打楽器がふたりという特殊な編成です。そして、マイルスのバンドに繋がるメインストリーム・ジャズの方向、エリック・ドルフィーに繋がるニュー・ジャズの方向、そして後年のハンコックが入れあげたリズム強調の方向がブレンドされていて、すごく面白かったです!
 なかでもとんでもなく面白かったのは、3拍子でポリリズミックなリズム型を使った1曲目「Scotash」でした。もう、アルバムが始まった途端に「おっ、これは?!」って感じで、一気に持ってかれました(^^)。最初にドラムがリズムを提示した時、ベースがリフを重ねた時、最後にピアノがリズム型を提示した時で、拍子が違って聴こえるんです。さらに曲は、B♭ミクソリディアンの4度7度を強調したフォースビルドがメインで、展開部は同じ調の第2モードであるGドリアンに移行、どちらもフォースビルドのサウンドを活かすために3度の響きは控える感じ。つまり、スケールも和音も普通のドミソやドレミファソラシドにならず、リズムもポリリズムの面白さがあり、それでいて調は明確でトライトーンも発生してないから難解な響きにはならないという、実にモダンでありつつ聞きやすく面白い音楽なのでした(^^)。いやあ、この1曲をアナリーゼするだけでもこのアルバムは聴く価値があると思います!

 メンバーが地味だし、ジャケットもダサいと思っていたので、このアルバムを聴いたのはけっこう後になってからでした。でも、62年から68年までのハンコックさんのアルバムは、リーダー作も、トニー・ウィリアムスのアルバムへの参加作も、ドルフィーとの絡みも、アコースティックのマイルス・バンドへの参加作も、すべて外れナシです。


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『Herbie Hancock / Takin’ Off!』

Herbie Hancock Takin Off レッド・ガーラントやビル・エバンスの後釜ピアニストとしてマイルス・デイビスのバンドに参加し、一躍ジャズ・ピアノの中心人物となったハービー・ハンコックの初リーダー作、1962年録音です!メンバーは、Herbie Hancock (p), Freddie Hubbard (tp), Dexter Gordon (ts), Butch Warren (b), Billy Higgins (dr)。2管ですが、サックスにデクスター・ゴードンを使うところに、レーベルの意向が見えますね(^^;)。

 基本的にはジャム・セッション・アルバムでした。このアルバムで有名なのは「ウォーターメロン・マン」で、ジャズ1001にも載っているような超有名曲ですが、ハードバップ時代に大量に作られた変則ブルースと何が違うのかちょっと分かりませんでした。トニック・セブンスのスリーコードしか使ってない曲が何で名曲なんて言われるんだ?みたいな。音楽もソロ・オーダー通りに順番にアドリブしてるだけですし、そのアドリブもそんなに冴えてるとは思えませんでしたし(^^;)。このアルバムで「ウォーターメロン・マンが~」とか言っちゃうのはシロウ(以下略)。。

 ところが、このアルバムがそれで終わらないのは、モーダルなアプローチがちらほら出てくるところです!その典型は「Three Bags Full」で、これが個人的には大好きです(^^)。マイナー系のモード曲で、プログレッションはDm7とBb13#11を繰り返して、曲の最後で半音上への転調を2回して、最後にオリジナルキーのツーファイブをやって戻すものです。チョロッっと短2度を使うとか、モーダルなアプローチをできるようにするだけでこれだけ独特なムードが出せちゃうんだから、この作曲センスは秀逸というか、こういうアイデアだけでここまで新鮮になってしまうんだから、音楽って面白い。それも、ちゃんとモーダルにアプローチした演奏をしているからこそなんでしょうけどね。というわけで、この曲があるだけでもう 新主流派の匂いがすでにあるところがいいです!

 このアルバム、全曲ハンコックさん作曲なんですが、少ない小節数のメロディと和声進行を作ってあるだけの曲がほとんどで、要するにモードなアプローチでアドリブする枠だけ作ったセッションなんだと思います。だから、ボッとして聴いてるとなんてことないハードバップのジャムセッションのように聞こえるんですが、よく聴くと「あ、なるほどね」みたいな。といっても、ミの旋法やロクリアンみたいな極端に印象的な音階は使われておらず、ハードバップとの違いはほんのちょっとなので、プレイヤーじゃないと聴いていてもそんなに面白く感じないかも。62年というと、マイルスのバンドに参加する前年になりますが、もしかしてこのアルバムが招集のきっかけになったのでしょうか。モードをきれいに演奏するピアニストって、当時はそんなに多くなかったですもんね。それにしてもデビュー作がいきなりブルーノートとは、デビュー以前から実力の認められていたピアニストだったんですね、ハンコックさんは(^^)。


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『シューベルト:弦楽四重奏曲第13番《ロザムンデ》、第14番《死と乙女》 ハーゲン弦楽四重奏団』

Schubert StringQ13 14_HagenQ シューベルトのピアノ曲はピアノ教室の練習曲みたいでイマイチ、歌曲も今のポップスみたいに単純で、ちょっともの足りない…そんなふうにして、僕はシューベルトから一時離れてしまったのでした。ところが、歌曲の詩だけは幻想的で、心に残ってたんですよね。その後、ヘルダーリンあたりのドイツ・ロマン派文学にのめり込んだ時に、シューベルトの音楽って、もしかしてロマン派文学のあの死と幻想の世界を音にしたんじゃないか…と思いはじめたのでした。絶対音楽ではなく標題音楽的なものだったんじゃないか、みたいな。そこで見直したのがピアノ曲でも歌曲でもないシューベルトの音楽で、これもそうした中で手にした1枚でした。

 シューベルトは弦楽四重奏曲を15番まで書いています。というわけで、この13~14番はかなり最後の方の作品。ベートーヴェンやモーツァルトやハイドンで、弦カルは晩年になるほど完成度の高い作品になると学習していたのです( ̄ー ̄)。聴いて驚いたのは、意外にも楽式がしっかりしていた事。というのは、僕が聴いてきたシューベルトの器楽曲はムード一発みたいなものが多かったので、ソナタやロンドといったしっかりした形式がここまではっきり聴こえる曲だったことにビックリ。いくらロマン派とはいえリアルタイムで古典派も体験していた初期の人だし、ドイツ=オーストリアのど真ん中で活動していた人だから、古典派からの影響はやっぱり大きかったのかも。
 あと、この弦カル「死と乙女」にしてもピアノ曲「さすらい人」にしても、シューベルトって同じタイトルの歌曲がありますよね。もしかするとシューベルトって、歌曲を書いて生活費を稼ぎながら、そのメロディを使って壮大な芸術作品を作るのが夢だったんじゃなかろうか。ただ、そういう作品を完成させる前に死んでしまった、みたいな。交響曲なんて、代表作が「未完成」ですからね(^^;)。ロマン派にしては匂いたつような色彩感がまだ薄く、かといって弦楽四重奏としてはその前のベートーヴェンやハイドンの緻密な構造には届かない感じ。ロマン派音楽の大輪が大きく花開く前の過渡期的な作品かも。

 ハーゲン弦楽四重奏団の演奏ですが、僕はこの弦カルの見事な演奏をヤナーチェクの弦楽四重奏曲で聴いた事があったんですが、これはあさっての方向を向いちゃった感じかな?曲自体がけっこうムーディーなものと思うので、4コースの絡みを聴かせる演奏より、和弦を美しくハーモニーさせるようにしたらもっと曲が生きたのかな…な~んてことを想像して聴いてしまいましたが、聴く方は無責任に好き勝手言いたい放題で楽ですよね、決してぬるい演奏じゃないです。14番の最終楽章のストレッタなんて、なかなかすごい演奏…でもやっぱりムーディーに演奏してみて欲しかったかも(^^)。


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『シューベルト:《野ばら》歌曲集 第2集 バーバラ・ヘンドリックス(sop)』

Schubert_Kakyokushuu2_BarbaraHendriicks  シューベルトの歌曲はあんまり聴いてないと言いつつ、部屋を探るとそれなりに出てくるもんですね(^^)。これはアメリカ人ソプラノのバーバラ・ヘンドリックスによるシューベルト歌曲録音の第2弾。第2弾と言いつつ、「セレナーデ」「アヴェ・マリア」「野ばら」などなど、有名曲がいっぱい入ってました。ピアノはラドゥ・ルプー、ルーマニアのピアニストで、色々なピアノの国際コンクールを総なめにして「千人に一人のリリシスト」なんて言われた人なんだそうです。

 このCDで一番心が動いたのは、シューベルトが生涯に一度だけ開いた自作歌曲のコンサートのために書いたという「流れの上で Auf dem strom」D943でした。このCDだと、ホ長調で演奏しているように聴こえるんですが、イントロ展開部でEコードを展開してGルートの6の和音としているところがいかにもドイツロマン派風というか、しびれました。ああ、冬木透さんがウルトラセブンの劇伴で折に触れて参考にしたロマン派風音楽はこれなんだな、みたいな(^^)。この曲にホルンの助奏がついてるのも、まさにそんな感じ。

 ドイツ歌曲かどうかはさておき、やっぱり歌曲はソプラノかメゾ・ソプラノだな、なんて思ってしまいました。そんなわけで、僕的にはバーバラ・ヘンドリックスさんの歌うシューベルト歌曲は最高だったんですが、なんでも聴く人が聴くと、アメリカ人なのでドイツ語がちょっと下手なんだそうで。ああ、日本人だからそういうのが分からなくて良かった。でもやっぱり、ドビュッシー以降のフランス歌曲に比べると和声も構造も貧弱だな…な~んて思っちゃうのは、古い曲なんだから仕方ないっすよね(^^;)。


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『シューベルト:歌曲集《白鳥の歌》& 5つの歌曲 ボイエ・スコウフス(bari)、ドイチュ(p)』

Schubert_Schwanengesang_Bo Skovhus な~んて言いつつ、シューベルトの歌曲は、他にも手にしたものがいくつかあります。デンマークのバリトン歌手ボイエ・スコウフスによる「白鳥の歌」全曲プラスαです!このCDは1994年録音で、ボイエ・スコウフスのソニー・クラシカルのデビュー盤。歌もうまいルックスもいいので、ソニーが力を入れていて、発売当時はけっこう記事になってました。今では「ボー・スコウフス」と表記することが多いみたいです。

 このCDを覚えていた理由は、シューベルトじゃなくってスコウフスさんでした。同じぐらいの時期にアバド&ウィーンフィルがモーツァルト「フィガロの結婚」のCDを出していて、そこでスコウフスさんの素晴らしいバリトンを聴いていて、名前を覚えていたんです。そこに、ジャパンマネーの力でソニーが強力な宣伝をして(^^)、スコウフスさんのこのソロデビューCDが登場したのでした。それで買った…かというとそうでもなくて、後になってブックオフで数百円たたき売りされていて、「マジか?」と思って救ってあげたのでした(^^;)。

 これはたたき売りされるような内容のCDじゃない…まあ、買った僕としては安く手に入るので有り難いんですが。歌曲もシューベルトもあんまり聴かない僕なので、このジャンルの音楽の良し悪しを偉そうに言えないのですが、それでも「あ~これはうまいな、メチャメチャうまい」と思いました。録音も透明感あって良かったし、声楽の演奏ってピアノが妙に小さいものも少なくないんですが、これはバランスも良くって聴きやすかったです。
 企画も良かったです。「白鳥の歌」って、シューベルトが死んだ後に、遺族が未発表の歌曲を集めて出版したので、決してシューベルト自身の意図通りになってないんですよね。ハイネ、ザイドル、レルシュターブの詩がチャンポンですが、シューベルト自身は、詩人ごとに分けた歌曲集を出版するつもりだったみたいです。というわけで、このCDでは、シューベルトの意向に近づけて、詩人ごとに曲をまとめ、また最初に出版された「白鳥の歌」に含まれていない曲も入れて演奏しています。こういう丁寧な仕事って素晴らしいと思います。ソニーえらい。

 というわけで、透明感のある綺麗な「白鳥の歌」と感じました。でも僕は「白鳥の歌」を全曲通して聴いたのはこれ1枚だけなので、僕の意見はあんまり参考にならないかも(^^;)。
 

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『シューベルト:歌曲集 野ばら~魔王 オッター(m-sop)、バトル(sop)、シュミット(bari) etc.』

Shubert_Kakyokushuu Nobara Maou_Otter Battle ピアノ曲はシューベルトの後にショパンリストというとんでもないピアニスト作曲家が出てきてしまったもんで、今となってはシューベルトはちょいと影が薄かったりして(^^;)。というわけで、シューベルトはやっぱり歌曲だな…な~んてのが今の一般論な気がしますが、僕は膨大なシューベルトの歌曲をぜんぶ聴く気力がありませんで、こういうオムニバスCDで間に合わせていたりして(*^-^*)>。

 とはいえ、このCDはなかなかの優れもので、「野ばら」「アヴェ・マリア」「魔王」「死と乙女」という有名曲を見事に押さえてあります。歌詞カードも丁寧で、原詞と日本語訳の両方を完全掲載!歌手もソプラノ、メゾソプラノ、テノール、バリトンと各種取り揃えていて、深入りしないなら本当にこれ1枚でいいほどの優れものです。ちなみに歌手は、歌にあんまり興味がない僕ですら知っている有名どころがズラリ。さすがにみんなうまいっすねえ(^^)。一応歌手を書いておくと…
・アンネ・ソフィー・フォン・オッター(メゾソプラノ)
・キャスリーン・バトル(ソプラノ)
・ブリン・ターフェル(バリトン)
・アンドレアス・シュミット(バリトン)
・ハンス・ペーター・ブロホヴィツ(テノール)

 曲は、壮大でドラマチックな大曲ではなく、1曲3分ほどと軽いです。まあ、歌曲ってそういうもんですよね。音楽もそんなに凝ってなくて、簡単なピアノ伴奏の前でサクッと歌う感じ。極端に言ってしまえば、ピアノ伴奏だという事以外は、今のポップスと似たような感覚です。それにしても歌曲王シューベルトの書いた歌曲は、実際にロマン派歌曲のルーツだなと感じました。でもロマン派以降のプーランクあたりの歌曲に比べると、まだ和声も何も熟練しきってない感じがあって、今の耳で聴くとやっぱりシンプル。
 そんなわけで、あんまり深く聴かず、「あ、この曲知ってる」「この曲のメロディ綺麗だな」みたいな流し聴きをしてしまいましたが、ハナマルキのおみおつけのCMで幼少時に覚えてしまった「野ばら」、どう聴いても見事な永遠の名バラード「アヴェ・マリア」、シューベルトが死んだ後に遺作14曲をまとめて出版された「白鳥の歌」の中の1曲「セレナード」あたりはやっぱり名曲だと感じました。そしてシューベルトの歌曲、詩が実に幻想的で、薔薇が人に話しかけたり、死を望んでるんじゃないかという内容のものがあったりと、ドイツ・ロマン派文学っぽくて、音楽以上に詞に感じいりました。
 歌曲王シューベルトを1枚で済ませたい人にはおススメ!ドイツ語が分かる人以外は、全曲の日本語訳がついてる日本盤がおすすめです良いかと思います。個人的には、ロマン派って音楽よりも詩がいいと思ったりしているので(^^)。


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コミック『柔道部物語』 小林まこと

JyuudoubuMonogatari.jpg 70年代に小林まことさんが書いた漫画「1・2の三四郎」は、ずっと僕の中で小林さん最高傑作でした。以降の小林さんの作品は「I am マッコイ」も「ホワッツ・マイケル」も面白かったものの、三四郎のあの夢中になる面白さには届かず。あれがキャリアハイだったのかな…な~んて思っていたところで登場したのがこの漫画、『柔道部物語』でした。今では、小林さんの最高傑作はこれだと思っています!

 主人公は高校に入ったばかりの三五くん。中学の時は吹奏楽部だったのですが、部活を決める時に、柔道部の先輩から「この高校の吹奏楽部はつぶれた」とだまされ、その気にさせられて柔道部に入ってしまいます。楽しいと思っていたのは最初の数日だけで、ある日を境にいきなり先輩たちから地獄のようなしごきを受け、頭も強制的に丸刈りにされてしまいます。大勢入った新入部員も、あまりの厳しさにあっという間に数名にまで減り、三五も筋肉痛で家に帰りつけないほど。でもある日、街で喧嘩に巻き込まれると、怖いと思っていた不良のパンチがよく見え、相手を投げ飛ばしている自分がいました。毎日の厳しい練習を受けている間に強くなっていたのです。そして、ある日の道場での練習で、先輩の相手をすることになった三五は…

 ストーリーは単純、柔道の初心者が強くなっていくというものです。ただ、これがかなりリアルで、筋トレの仕方、技をかけるタイミングの指導などなど、柔道って本当にこうやって練習するんだろうなと思えるものでした。小林さんは実際に柔道部だったらしいですが、その経験が漫画に行かされてるんですね(^^)。

JyuuDoubuMonogatari_sample.jpg 成長物語も良く練られていて、1巻では先輩にケチョンケチョンに負けていた自分が、街で喧嘩になると相手が隙だらけに見えるようになっていたところで終わり。2巻では柔道強豪校との共同合宿で柔道の厳しさを知りつつ、柔道に惹かれて終わり。3巻では指導者の先生との練習の末、共同合宿でコテンパンに負けていた強豪校に勝ち…と、成長が分かりやすく描かれていきます。これがのめり込む!この漫画、読んでいて爆笑してしまうんですが、よく読むとそこまでギャクをいっぱい詰め込んでるわけじゃないんですよね。面白いと思っていたのが、ギャグ以上にこのストーリーだったことは、今回読み直して気づいた新たな発見でした。

 そして、少しだけ挟まれるギャグがやっぱり面白いです。さすが僕が日本一のギャグ漫画家だと思ってるだけのことはあります(^^)。でもそのちょっとがスパイスとしてすごく効いていて、ともすれば厳しいスポ根ものになってしまいそうなドラマを、ユーモアのある作品にかえているように感じました。

 僕的には、小林まこと最高傑作!日本のオリンピック代表になった柔道の選手の中にも、「この漫画で柔道にのめり込んだ」と言っている人がいました。それぐらい、柔道マンガとして面白いのです。同時に、日本のギャグ漫画の上位作品であるとも思ってます。個人的なお気に入りは名古屋くんと鷲尾先輩です。このふたりが絡むギャグは、今でも腹を抱えて笑ってしまいますね(^^)。


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コミック『What's Michael?』 小林まこと

WhatsMichael.jpg 「1・2の三四郎」を大ヒットさせた小林まことさんでしたが、次回作の「I am マッコイ」は、おそらくヒットまでは行きませんでした。あれだけタブーなネタが多かったら、マジョリティーになれるはずもないか(^^;)。その黒さを反省したのか、小林まことさんが得意のブラック・ジョークを封印して、女性でも楽しめそうなギャグ漫画を描いたのが、猫を題材にした「ホワッツ・マイケル」でした。これが、「1・2の三四郎」以上のヒット!これも面白かったなあ。

 ホワッツ・マイケルは、ネコの生態をデフォルメして面白おかしく描写した、1話完結のギャグ漫画です。「美女と猫」を題材にしたヌード写真の撮影で、ネコが女の乳首に猫パンチしたりね…気になったんだろうな(^^;)。他にも、殺人現場で、死体を覆っているブルーシートをめくるとそこに猫がいて刑事と目があったり(^^;)。

WhatsMichael_sample.jpg こういうネコ独特の生態って、飼っている人ならきっとわかるはず。寝ようと思ってベッドに入ろうとすると、先に毛布に入ってくつろいでいたりするんですよね、ネコって(^^;)。僕の家にいるネコもちょっとマイケル君に似ている所があって、けっこうマイペースで、しかもかなり愛想がいいです。で、人間の目線で見ると笑ってしまう事を色々やったり。足を滑らせた後に、なかったことにしてすっとぼけたりね(^^;)。文字にすると何でもない事なんですが、これをマンガで読むと笑ってしまいました。ネコを飼ってる人なら、面白さ倍増なんじゃないかと。

 読み手を選ばないという意味では、これが小林さんの作品でいちばん有名かも知れません。でも、この漫画もストーリーがあるわけじゃないので、だんだん読まなくなってしまいました。面白くなくなったわけじゃないんだけど、「次はどうなるんだろう」というのがないので、ちょっと読みそびれてる間にいつの間にか読まなくなっていた、みたいな。というわけで、僕的には、小林さんの最高傑作はストーリーものギャグ漫画だった「1・2の三四郎」かな…と思っていたところで、ついに三四郎を超える作品が登場したのでした!その話は、また次回(^^)。


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コミック『I am マッコイ』 小林まこと

IamMaCcoy.jpg 「1・2の三四郎」にハマりまくった子どもの頃の僕は、首を長くして次なる小林まこと作品を待っていました。ところがなかなか出なかったのです。そして1983年、満を持して登場したのが、少年マガジン増刊号に連載されたこの漫画『I am マッコイ』でした!

 これもギャグ漫画で、暴走族のリーダー松恋(通称マッコイ)が主人公。喧嘩がムチャクチャ強いマッコイですが、別に喧嘩が好きなわけでも、硬派な不良でもなく、どスケベなひょうきんもの。ストーリーなんてあってないようなもので、暴走族のリーダーのマッコイのムチャクチャさを笑い飛ばす感じ。

 ギャグはかなりきわどいものが多くて、立ちションしている所を婦人警〇に注意されたマッコイが、そのままパトカーに婦〇を押し込んで〇っちゃって、そのまま連行されるとか。性交すると皮膚にハート型の斑点が出る性病を持った女子〇生が転校してきたら、翌日には教師も生徒もみんな斑点が出来てたとか(^^;)。そうそう、この漫画のギャグと言えば、バットを持って喧嘩をしに行った時に、途中でスナックに立ち寄りしたらなんでバットを持っているのかを訊かれ、プロ野球選手だと嘘をついたら所属チームを問われ、「阪神ブレーブスだ」と答えたのは笑ったなあ。

I am McCoy_1-111 今だったらうるさい人がギャアギャアとクレーム入れまくりそうなブラックジョークですが、80年代までは「元気が出るテレビ」にしても何にしても、こういうブラックなユーモアを笑い飛ばす大らかさがありました。ビートたけしの漫才なんて、ブスをネタにした漫才をやってるところで、最前列で笑っている女性に向かって「お前、人のこと笑えるのか?」とか言ってましたしね。それがまかり通る(というか、まかり通す)最後の時代でした。

 ただ、僕はこの漫画、三四郎ほどには夢中になれませんでした。この漫画を読んで気づいたんですが、小林まことさんはたしかにギャグ漫画家ではあるんだけど、メインになってるストーリーが面白いんだな、みたいな。それがあってこそのギャグだったのかも。三四郎のギャグも爆笑でしたが、読み続けられたのはストーリーがしっかりしてたから。マッコイは面白いんですが、幹になるストーリーがないも同然なので、次を読む必然性がなくて、次第に読まなくなっちゃったのでした。

 小林まことさんの佳作ぐらいの位置のマンガでしょうか。いま読むと、ギャグの面白さだけでなく、80年代ってたしかにこういう空気感だったなあ、と懐かしくもなりました(^^)。


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コミック『1・2の三四郎』 小林まこと

12noSanshirou.jpg 少年マガジンに連載されていた「翔んだカップル」について書いた事がありましたが、同じころにマガジンに連載されていたギャグ漫画が「1・2の三四郎」でした。ある意味で「翔んだカップル」以上に夢中になっていまして、毎号ごとに腹を抱えて大爆笑、僕的には日本のギャグ漫画ベスト3に入れたい作品です!

 ギャグマンガといっても、「天才バカボン」みたいにギャグだけがドカンとあるんじゃなくって、青春スポーツドラマがベースにあります。このマンガは、ラグビー編、柔道編、プロレス編に分かれますが、とくにラグビー編と柔道編が最高!ラグビー編は、とある事故がもとでラグビー部を追われた天才ラガーマンの主人公が、ふとしたきっかけから自分を追い出したラグビー部と対決する事になる、という話。ストーリー自体が面白いので、シリアスな展開にしても面白かった思うんですが、そこにギャクを織り込みまくるセンスが最高でした。笑いといっても馬鹿にするんじゃなくって、つらいことでも笑うかんじなので、不快になる事がなくていい!

1 2 no sanshiro_04_082 個人的に大好きだったのが、この漫画に登場する石清水くん。このキャラ、同じく少年マガジンに連載された梶原一騎原作の『愛と誠』に出てくるキャラのパロディなんですが、すっとぼけていていいんですよ。サンドウィッチマンの富澤さんみたいと言ったらいいんでしょうか、面白いんだけど飄々としている所が最高(^^)。このキャラ、人気があったのか、スピンオフして石清水くんが主役のマンガが書かれたこともあるほどです(^^)。

 このマンガが書かれたのは70年代末から80年代アタマ。まだバブル期は来てなくって、新冷戦の真っただ中、日本も世界もまだまだ暗いニュースだらけの頃、学生は受験戦争の詰め込み主義や自殺が問題になり、そこから派生して暴走族や不良が社会問題化していた時代でした。こういう世相だっただけに、笑いが社会の救いというか、いいガス抜きになっていたんだと思います。笑いがないと本当に救われない、みたいなね。熱血ではあるんだけど絶対に笑いを忘れず、すっとぼけている主人公他のキャラクターたちは、『あしたのジョー』あたりの梶原一騎の漫画の主人公とはまた違った形でのヒーロー像だったのだと思います。

 もちろん、こんな事を思ったのはずっと後になってからの事で、僕がこのマンガを読んでいた子どものころは、ただただ爆笑していました。子供の頃に親友だったH君は、僕に影響されてこの漫画を全巻買い揃えていたっけ。このマンガ、大人になってから読んでも十分笑えます。少なくとも昔読んだ事のある人なら、大人になってから読んでも「あれ?当時は面白かったのに」みたいには感じないはず。日本のギャグ漫画の大名作だと思います!


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『Beverly Kenney / Born to be Blue』

Beverly Kenney Born to be Blue 1959年、ビヴァリー・ケニーが残した最後のアルバムです。バックはジャズのピアノトリオにポピュラーオケの管弦が入った感じ。ストリングスのアレンジが相当に美しいです。

 声質の関係なんでしょうが、ジャズのビッグ・バンドよりウィズ・ストリングスの方がケニーさんには合いますね。それにしても、この可愛らしくて誠実な歌い方、やばいです。人柄があらわれているというか、こういう人と出会いたかったと思ってしまう…。声を聴いて恋してしまった事って、ありますか?僕はヴォーカル・ミュージックって基本的に女性ヴォーカルだと思ってるんですが、でも声を聴いただけで恋しちゃうなんて体験をしたのはビヴァリー・ケニーさんぐらいかも。これはいい…。

 ここまで来ると、ジャズとかポピュラーとかいうより、完全にムードミュージックです。でもそれがいい。考えてみれば、古いアメリカの音楽って、どのジャンルにもレイドバックしたムーディーな音楽が入ってますしね。実際にどういう人だったのかは知りませんが、この歌でイメージするような、どこまでも優しくてかわいらしいビヴァリー・ケニーさんみたいな人が奥さんだったらな…なんて男ならだれもが思ってしまうんじゃないかと。こういう奥さんがいて、仕事をがんばって、週末にはペントハウスの家に帰って…みたいな生活が人生の夢だった時代がアメリカにもあったんじゃないかと。そしてこのアルバム発表の翌年、ビヴァリー・ケニーは28歳にして帰らぬ人となったのでした(・_・、)。寝たばこしちゃダメですね。


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『Beverly Kenney ‎/ Snuggled On Your Shoulder』

Beverly Kenney Snuggled On Your Shoulder 1954年、ビヴァリー・ケニーがデビュー前に吹き込んだデモ音源です。という訳で、ピアノとヴォーカルのみ、歌を聴かせるための音源なので、ピアノも大したソロを取る事もなく、10曲ほどダダッと録音したものでした。

 そういうレコーディングなので1発録りと思うんですが、やっぱり歌がうまいです!うまいといってもテクニックをひけらかす感じじゃなくて、すごく丁寧、ヴィブラートもアーティキュレーションも綺麗でピッチもいいです。そして声が美声…というか、可愛らしい。曲は「Tea for two」とか「There Will Never Be Another You」とか有名な曲だらけだし、伴奏は最小限というわけで、歌の良し悪しが丸裸で分かるんですが、これは心がこもっていて良い歌だ、聞き惚れてしまいました。ビッグバンドとかやっつけ仕事みたいなカルテットと一緒にやるより、こっちの方がぜんぜん良いじゃん。

 プロのプレイヤーは大体そういうと思うんですが、楽器って少なければ少ないほど表現が前に来て良いんですよね。テクニックをひけらかすでもなく、けっこうスコア通りに唄ってるのに、本当にちょっとした表現と繊細に丁寧に歌いこむ事でここまで心に響いてしまう…。デモ音源とはいえ、ビヴァリー・ケニーが残した6枚のリーダー・アルバムと比べてもそん色ないどころか、本当の肉声といった感じで、商業作品以上と言ってもいいアルバムじゃないかと思います。これ、マジで素晴らしいです!


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『Beverly Kenney / Sings For Playboys』

Beverly Kenney Sings For Playboys ビヴァリー・ケニーは、短い生涯のうちにルーレット(Roost)とデッカというふたつのレーベルに所属していましたが、これはデッカ移籍第1弾、1958年発表です!僕はビヴァリー・ケニーの6枚のアルバムのうち4枚(+デモ音源1枚)を持ってるんですが、その中でベストを選べと言われたらこれかも。

 部分的にはグロッケンが入ったりしてましたが、基本的にオケはピアノとウッドベースだけ。そのピアノも思いっきり主張するわけでなく、あくまでヴォーカルをそっと支える感じで、ペアスケートのようにヴォーカルと一緒に音楽を織り込んでいきます。ああ、ザックリしたバンドの演奏の上に乗るんじゃなくて、こういう方が語るようにうたうケニーさんのヴォーカルが活きるわ、これは素晴らしい。。

 ヴォーカルを楽器のように使うヴォーカルも好きですが、やっぱり話すように生きた言葉として伝えられるヴォーカルが「うた」というもんだと思うんですよね。このしっとりとしたジャズとポップスの間ぐらいのヴォーカル、これは古き良きアメリカ最高のムードミュージックと思います。ビヴァリー・ケニーさんはジャズを聴かない人にはマイナーな存在かもしれませんが、むしろポップスを聴く人にこそ聞いて欲しいヴォーカルと思ってしまいます。大推薦!


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『Beverly Kenney / Come Swing With Me』

Beverly Kenney Come Swing With Me ジョニー・スミスとのレコードはジャケットがものすごくぞんざいだったけど、こっちはジャケ買いしてしまうほどいい写真(^^)。ビヴァリー・ケニーが1956年に発表したアルバムです。これはウディ・ハーマン楽団で活躍したらしいラルフ・バーンズという人のアレンジ&指揮のビッグバンドをバックに歌ったアルバムです。

 ビヴァリー・ケニーさんはあいかわらず歌はうまいし声はかわいいけど、声を張れないんですね。バンドやスモールコンボ相手だったらなんてことないんでしょうが、ビッグバンドのフロントで歌うには声が負けちゃって、オケに対抗できません。オケのダイナミックレンジについていけないんですね。まあそのへんはオケもレコード会社も分かってるみたいで、ジャズ一色じゃなくて、アメリカのポピュラーオーケストラみたいな事をやってました。ディズニー映画の音楽みたいなアレンジまであったりして。ビヴァリー・ケニーさんの声が甘いので、レコード会社もポピュラー寄りの方面で考えてたのかも。

 悪くはないんだけど、残りの人生でこのレコードをもう一度聴くだけの時間があるかというとなさそうなので手放すのも致し方ないか…と思いつつ、LPで持ってるとジャケットがめっちゃいいんですよ。『sings for Johnny Smith』並みのそっけないジャケットだったら確実に手放してるんでしょうけど、う~んどうしよう。。


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『Beverly Kenney / Sings for Johnny Smith』

Beverly Kenney Sings for Johnny Smith 大好きで、ぜひ紹介したいジャズ・ヴォーカリストがいます。ビヴァリー・ケニーです!これはギターのジョニー・スミスのカルテットがバックを務めた1955年録音です。ビヴァリー・ケニーさんはアルバムを6枚残してるんですが、これが1枚目です。

 歌がうまい!そして、ジャズヴォーカル的なヴィブラートやフェイクを使うんですが、もろにジャズ・ヴォーカルというんじゃなくてどこかにポップスっぽさがあって、声が可愛らしい!音楽もそれに合わせてか、ジャズという以上に50年代のアメリカのヴォーカル・ミュージックという感じでした。まあでも50年代のジャズ・ヴォーカルって、もろジャズじゃない半分ポピュラーみたいなアルバムって、けっこうありますよね。声が可愛くて歌がうまいもんで、良く出来たフィフティーズみたいな感じでした。
 でも、オケが普通のカルテットの歌伴なもんで、音楽はあんまり面白くない(^^;)。ああ勿体ない、オケがもっと気合い入れてたら名盤になってただろうに。。

 これは難しい事を考えずに聴けるいいポピュラー・ヴォーカルです。なんでこんなにいい人があんまり知られてないのかというと、寝タバコで若くして死んでしまったから。28歳で死んじゃうなんて、なんともったいない…みなさん、寝タバコはやめましょう(^^)。


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『ハット・チェオ ヴェトナムの民衆オペラ』

Hat Cheo_Vietnam no Minshuu Opera 旧フランス植民地だったりベトナム戦争があったり、ベトナムは辛く独特な歴史を歩んだ地域ですが、文化的には僕は中国の漢人文化に近いものを感じます。漢字を使ってるし、何より音楽が中国の漢人音楽にすごく似てましたし。といっても、僕がイメージする漢人音楽って、ブルース・リーやジャッキー・チェンの時代劇カンフー映画のうしろで流れてる音楽だったりする程度なんですけど(^^;)。これはベトナム音楽の中でも、あまり取り上げられる事のないものを集めたCDだそうです。収録されていたのはふたつ。ひとつは、ベトナム全土で行われている祭礼チャウ・ヴァンで演奏されるハット・チャウ・ヴァン。もうひとつは、民衆劇ハット・チェオの音楽の抜粋でした。どちらも、月琴(ダン・グエット)と二胡(ダン・ニー)と拍子木(ファイック)が印象的で、やっぱり漢人音楽調な音楽でした。

 ハット・チャウ・ヴァンは呪術音楽ですが、アフリカのグナワとか韓国のクッみたいなトランスしていくようなヤバい感じじゃなくて、あくまで儀礼的な感じに聴こえました。台本に沿ってつつがなく進行してる、みたいな。そして、歌い方がやっぱりブルース・リーとかジャッキー・チェンの時代劇っぽい喋り方に聴こえるんですよね。言葉はベトナム語だと思うんですが、中国語に似て聴こえるなあ。

 このCDに入っていた民衆劇ハット・チェオの演目はクアン・アム・ティ・キンというもので、人情劇的。誤解を受けて夫から絶縁された女が男と偽って出家。また、あらぬ疑いを受けてある子供の親だと偽られて寺まで追われ、今度は物乞いになって自分の子でもないその子を育てる。しかしそのまま死んでしまい、その時に実は女だったという事が分かり…みたいな。なんか、ヴェルディの『リゴレット』『椿姫』あたりのオペラに似てますね(^^)。音楽はやっぱり漢人音楽的で、拍子木を伴奏に不死のついたセリフを歌い、そのうしろで即興っぽい二胡と月琴がずっと旋律を演奏してる感じでした。そうそう、ベトナムの音楽劇は3種類あって、ハット・チェオは民衆劇。他に、ハット・トゥオン(宮廷劇)、ハット・カイ・ルオン(改良劇)なんてものがあるそうです。

 このCDに入っていたベトナムの音楽も、中国の漢人音楽を感じるものでした。実際に中国に面した場所にある国ですし、音楽に限らず文化もつながった国なんでしょうね。


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『絲・南哀 ヴェトナムの弦楽器』

Vietnam no gengakki 同じくベトナムの伝統音楽のCDで、こちらは日本のキングレコード録音。1991年、ハノイ録音でした。このCD、音楽も素晴らしければ解説も素晴らしかった!日本のキングやビクターの民族音楽のCDは、音が入ってるだけでなくちゃんとその音楽を調べて、丁寧な解説がしてあるのがいいです(^^)。

 まず、解説で勉強になった事。ベトナム民衆の芸術的娯楽音楽は3つに分かれるんだそうです。ひとつは、OcoraのCDに入っていたドン・タイ・トゥ。アマチュアの音楽という意味だったな、確か。ふたつめは、ハット・ア・ダオ。北ベトナムの女性歌唱音楽で、ダン・ダイという3弦リュートが伴奏。日本でいう芸者音楽に相当するんだそうです。3つめが、カ・フエ(フエの歌)とダン・フエ(フエの音楽)に分かれるフエの音楽。これは独奏、2重奏、3重奏、アンサンブルなど様々で、レパートリーは伝承されてるんだそうです。で、このCDに入っていたのはフエの音楽とドン・タイ・トゥ、あとは新曲で、最大で2重奏まででした。

 聴いて感じたのは、中国音楽の影響が強い事でした。ヤンチンみたいな打弦楽器、中国琵琶のようなフレットの多い琵琶、月琴みたいな弦楽器など。そんでもって、胡弓みたいな楽器の人は微妙でしたけど(^^;)、他の楽器はみんな演奏がうまい!特に琵琶系の楽器ダン・ティバと楊琴系の楽器ダン・タム・タップ・ルックの2重奏、そのダン・タム・タップ・ルックと箏のような楽器ダン・チャインの2重奏が素晴らしかった!起承転結の少ない音楽が多いので、即興っぽいものよりも作ってありそうな曲の方がいいし、ソロよりも構造がしっかり見える二重奏の方が楽しめました。音楽はどれもゆったりとしたレイドバック音楽で、すごく涼しげで気持ちよかったです!あと、室内楽だからか、録音がすこぶる良かったのも印象的でした。

 東南アジア音楽って、西寄りになるとインド系仏教音楽系、東寄りになるとインドネシア系の竹や青銅を使ったガムランのような音楽、中国寄りの地域になると漢人音楽の影響が強くなって、これらのチャンポンという印象を持ってるんですが、ベトナム音楽は中国色が強いんですね。ベトナム戦争のときも共産主義を持ったホー・チ・ミンが指導者になったし、昔から文化がそっち寄りだったのかも。それにしてもいい音楽でした!音楽って素晴らしいなあ。。


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『南ヴェトナム・絲の饗宴 ~巨匠トラン・ヴァン・ケー~ Vietnam: Tradition du Sud』

Vietnam_Tradition du Sud ベトナム音楽のCDです。このCDには、ドン・タイ・トゥという南ベトナムの伝統音楽が入っていました。ヴォーカルなしで、使われる楽器は月琴、二胡、箏、ヴァイオリン。フランスのOCORA原盤で、1992年の録音でした。

 おお、これは美しい室内楽アンサンブルだ!「ドン・タイ・トゥ」って、アマチュアの音楽という意味だそうですが、それって雅楽や宗教音楽でないという意味であって、演奏や音楽内容が低いわけではまったくありませんでした。むしろ、演奏なんて間違いなくプロ級でムッチャうまかったです。それにしても箏の音が西洋のハープみたいで綺麗。そして、イン・テンポの音楽もあるんですが、ものすごくゆったりとしたテンポで、ルバート…というより、自分の呼吸で演奏する曲がいくつか入ってたんですが、これがとんでもなく美しい。。口で説明するのは難しいんですが…ライ・クーダーの『パリ・テキサス』をもっと幽玄にした感じと言ったら伝わるかな?4曲目「Phu Luc」や5曲目「Rao Buon」の美しさはヤバい。うまいんですが、全体的に技巧を聴かせるというのではなくて、レイドバックした心おちつく音楽という感じ。これはいい、いいですよ!

 あと、このCDはライナーがものすごい詳しくて素晴らしかった!南ヴェトナムの音楽理論がビッシリ解説してあって、読んでいてのめり込んでしまいました。例えば、音階。実際には今の西洋音楽のような固定ピッチではないそうなんですが、あえて西洋音階に合わせて表現すると音階は5音音階がふたつで、ディエウ・パク(C,D,F,G,A)と、ディエウ・ナム(C,D,F,G,Bb、またはC,Eb,F,G,Bb)。実際にこのCDをきいた感じだと、ディエウ・パクの方が多く使われているのかな?そのあたりは西洋の長調と短調の関係に似てるかも。それぞれ補助音がふたつ入って、ついでに変化する音がここにいくつか挟まれ、装飾技法やグリッサンドなんかが加わっていって…みたいな。これはきっと「なんとなく」ではなく、音階もリズムも楽式も体系化された音楽なんじゃないかと。

 これは見事な芸術音楽、ベトナムの音楽って中国音楽っぽいものが多い印象でしたが、これは中国音楽の影響を受けつつも独特の芸術的進化をした音楽って感じ。いやあ、これは何度も繰り返して聴いて、深く理解したい音楽です。でも、ベトナムの音楽のCDって、僕はあんまり聴いた事がないんですよね。もっといろいろ聴いてみたいなあ。


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『ワーグナー:《ニーベルングの指輪》管弦楽名演集 ショルティ指揮、ウィーン・フィル』

Wagner_Nibelungen_Solti_ViennaPhil.jpg 数日前、ショルティ&ウィーンフィルのワーグナー『トリスタンとイゾルデ』の録音の感想を書きましたが、ショルティ&ウィーンフィルのワーグナーでは、こんなものも持っています。世間的なワーグナーの代表作と言えば、4作で完結となっている「ニーベルングの指輪」でしょうが、何日もかけて観る「ニーベルングの指輪」を最初から最後まで楽しむのは、現代人にはやっぱり大変。僕は音大出身ですが、同級生の中でも全部観たという人は多くなかったです。ドイツで上演される時も、観客の疲労を気遣って6日ぐらいかけて上演するらしいですしね(^^;)。日本だと、上演されたとしても年1作を4年かけて上演するのが普通なのかな?というわけで、指輪の音楽部分のハイライトだけをあつめたのがこのCDです。

 ワーグナーはマーラーと並んで後期ロマン派を代表する大作曲家なのに、代表作が楽劇に集中しているので、オペラが苦手な僕はなかなか手を出せませんでした。というわけで、作曲の勉強では避けて通れない「トリスタンとイゾルデ」に次いで手にしたのは、ワーグナーの曲の中でいちばん有名な「ヴァルキューレの騎行」も入ってるあの超大作「指輪」の音楽を抜粋したこのCDを手にしたのでした。映画『地獄の黙示録』や、プロレスラー藤原喜明の入場曲としてなじみがありましたしね(^^)。藤原は、ようやくメインイベンターになった長州力を血祭りにしたテロリスト時代も、関節技の鬼として一世を風靡した時も、通好みで好きだったなあ。

 ショルティ&ウィーンフィルの指輪の演奏は、かなりクールというか、スッキリした演奏でした。スコアがよく見える演奏、響きもいいし、さすがは指輪の模範演奏に数えられるもののひとつだけあるとしみじみ聴き入ってしまいました(ベーム&バイロイト以前はやっぱりショルティ&ウィーンフィルが本家だったのかな?)。で爆発力はそこまでない感じ。

 ショルティ&ウィーンフィルの「指輪」全曲録音は伝説的なセットで、持っていたら家宝物だと思うんですが、「16時間も聴いてられない」「音楽だけサクっと楽しみたい」という方には、これはうってつけの1枚ではないかと思います。僕も若い頃に「指輪全集を買った時にお役御免で手放そう」と思っていたのに、30年近くたってもいまだにこの1枚にお世話になり続けてますし(^^)。。


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『ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》全曲 ベーム指揮、バイロイト祝祭劇場管弦楽団・合唱団』

Wagner_Tristan_Bohm_Bayreuther.png ワーグナーといえば「ワルキューレ」をはじめとした指輪4部作が有名ですが、個人的には『トリスタンとイゾルデ』と『パルジファル』が傑作なのだと思ってます。そんなわけで、トリスタンは「クラシックは同じ曲の録音をあれこれ聴かない」という自分に課した禁忌を破って、色々と買ってしまった若い頃でした(^^)。これは、1966年ベーム&バイロイト祝祭管弦楽団による『トリスタンとイゾルデ』で、ライブ録音。僕が持っているCDは日本盤の1998年にリリースされたもので、なんと解説書が全訳を含む156ページ!しかも、動機まで楽譜付きで解説されてます。買うなら絶対に廉価版じゃない日本盤だー!!

 この録音は、1960年のショルティ&ウィーンフィル、1971~2年録音のカラヤン&ベルリンフィルのちょうど中間。ベーム&バイロイトによるバイロイト音楽祭でのトリスタン上演は1962年から始まってまして、伝説的公演といわれてます。たぶん、ヴィーラント・ワーグナー(リヒャルト・ワーグナーの孫)の演出が斬新だったことが一番の理由で、超時代的にするためにセットを簡素化、歌手の身振りも減らしました。こういう演出をしたトリスタンは「新バイロイト様式」と呼ばれています。で、1966年のパフォーマンスは、62年から始まったベームのトリスタン演奏の頂点ではないかと言われている、みたいな。ちなみに、この演奏でワーグナー指揮者として名声を得たベームは、以降「ニーベルンクの指輪」をはじめとしたワーグナーの楽劇をバイロイト音楽祭で指揮していく事になったそうな。

 驚くのは、グラモフォンの録音の見事さ。音が太くて、それでいて音は明瞭。はじめて聴いた時、僕は「マジでこれが66年のライブ録音か?66年と言ったら、フランク・ザッパのデビュー作ごろでしょ?信じられない」みたいに思ったのでした。なるほど、この録音をされたから、後発のEMI録音のカラヤン&ベルリンフィルはあそこまで頑張ったんだな。

 でもって、演奏が凄まじかった!まず、主役のふたりが凄くて、トリスタン役のヴォルフガング・ヴィントガッセンの感情爆発な熱気に引きずり込まれました。ヴィントガッセンは2次大戦後最高のワーグナー・テノールと言われてますが、その理由がまさにここにありました。僕はクラシックの声楽は、合唱以外ではあまり感動した経験がないんですが、テノールでこんなに心を持っていかれたのははじめてかも。

 そして、第2部のクライマックスでのベーム&バイロイト響の劇的な演奏が凄かった!ものすごい迫力で、崩壊寸前じゃないかという突っ走り方。これ、無難なところで演奏を止めてしまう80年代以降のこぎれいで指先ばかりが目立つクラシック界のプレイヤーにこそ聴いて欲しいです。そして、その後の第3部の前奏曲の演奏の深みと言ったら…。ロマン派音楽に求めているものって、こういう演奏なんじゃないかと。ベームもバイロイト響も主役ふたりもおそるべしです。

 この演奏をした時、ベームさんはもう70歳を越えていたはずですが、それでこの激烈な表現は何なのでしょうか。身も焦がれるほどのトリスタンとイゾルデに自分を反映させたのか、それとも見事なテノールやソプラノに引きずられたのか、残り僅かの人生の決算として、この楽劇と心中するつもりだったのか…。たしかに、これを名盤と呼ばずに何が名盤かというほどの、曲よし、物語のテーマよし、演奏よし、録音よし、試みたことはなお良しという、傑作中の傑作じゃないかと。大推薦です!


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『ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》全曲 カラヤン指揮、ベルリンフィル』

Wagner_Tristan_Karajan_BerlinPhil.jpg こちらはカラヤン&ベルリンフィルによるワーグナー「トリスタンとイゾルデ」です。1971~2年録音で、ショルティ&ウィーンフィルより10年以上後の録音です。カラヤンって、たしかほかのオケでも「トリスタンとイゾルデ」を録音してましたよね。

 ショルティ&ウィーンフィルは存在感があって太い音でしたが、こちらは音に透明感があってきれい、これは全く別物としてゾクッと来ました。レーベルがEMIなのでちょっと怖かったんですが(EMI のクラシックはひどい音のものをつかまされたことがけっこうある^^;)、S/Nはいまいちだったけど、それ以外は音がむっちゃくちゃクリア!これはすごい。何となくですが、これは録音じゃなくて、CD化の時のマスタリングの技なんでしょうね。中域がものすごくすっきりしている感じ(^^)。
 物語の内容はショルティ盤で書いたので割愛。演奏は、すごくうまく、そしてきめ細かく感じました。前奏曲なんて、オケの音色表現が凄いんですよ!でもこれって録音のおかげというのもあるのかな。。しかし…音は良いし演奏はうまいのに、ショルティ盤ほどには心に入ってきませんでした。なんでだろう、こんなに良いのに、後に聴いたから新鮮味が薄れちゃったのかな…。あるいは、うまいけど抑揚がついてないとか、何か原因があるのかな…。これは、次に聴くときはカラヤン&ベルリンフィルを先に聴かないと分からないですね。。

 音楽の内容に関しては、ショルティ盤の時に書かなかったことをちょこっと書くと…この楽劇はライトモチーフが多用されてました。けっこうくどいので、ほかのCDと並べて聞いているうちに、なんとなく「あ、これはきっと愛のテーマなんだな」とかわかってきたりして(^^)。後期ロマン派の語法って、今の劇伴に直結してますよね。

 僕はこのCDを日本盤で持ってるんですが、仕様としてはLONDONのショルティ&ウィーンフィルが詳細の解説&ドイツ語のオリジナル詞&全訳つきの110ページ超のブックレットがついていたのに対して、EMIのこちらはあらすじとミュージシャン紹介程度の13ページほどの解説だけ(^^;)。ついでに、このCDのあらすじを読んでも、僕にはトリスタンとイゾルデの物語の良さがまったく伝わってきませんでした。。CD4枚組の長大な楽劇なので、セリフが何を言っているのかが分からないと楽しさ半減だと思うので、音楽の内容はさておき、CDボックスすという「物」としてはショルティ&ウィーンフィルの日本盤の勝ちかも。でも音はどちらも別の方向性でそれぞれ良いので、しっかりした日本語訳や解説の入ったものを先に聴いた後で、次の1枚として手を出すにはすごくいいCDかも知れません。マジで音がきれいでいいんですよ!


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『ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》全曲 ショルティ指揮、ウィーンフィル』

Wagner_Tristan_Solti.jpg 音楽をやっている人には「トリスタン和音」で有名な、ワーグナーの楽劇です。このCDは全曲入りで、全4枚、メッチャ長い(^^;)。1960年録音、演奏はショルティ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。お姫様のイゾルデ役はビルギット・ニルソン(sop)、英雄トリスタン役はフリッツ・ウール(tenor)、侍女ブランゲーネはレジーナ・レズニック(mezzo-sop)、従者クルヴェナールはトムクラウゼ(bari)。

 この物語は、ケルト起源のトリスタン伝説というものがベースにあって、それをゴットフリート・フォン・シュトラスブルクという人が叙事詩として残し、それをワーグナー本人がこの楽劇用に台本化してました。で、この話が面白い!

(第1幕)
 落ちぶれた国アイルランドのお姫様が、コーンウォールの老いた王様のもとに嫁に向かいます。迎えの船には、王の使者である英雄トリスタンが。ちなみにトリスタンはイゾルデの婚約者を討った敵でもあります。イゾルデは愛されぬ王のもとに行くなら死んだほうがましと、トリスタンに毒を飲ませ、ふたりして自害しようとします。トリスタンも毒を飲まされると承知で、王女の思いを汲んでその薬の入った酒を飲みます。しかし、王女の自害を避けたかった侍女ブランゲーネが死の薬を愛の薬と入れ替え、これでトリスタンとイゾルデは激しい恋に落ち、コーンウォールに向かう船の中でセックスに入り浸り(^^;)。
(第2幕)
 媚薬がキマって、不倫しまくるトリスタンとイゾルデ。ある夜、またしてもキマりまくってセックスに入り浸るふたりでしたが、現場を王様に見つかります。矢〇真里状態ですね(^^;)。トリスタンは王国を出る事を決意、イゾルデもついていく事を決意。しかしトリスタンは王の腹心に切られて重傷。
(第3幕)
 昔の居城に運ばれたトリスタンだが、重体。イゾルデの到着を待つものの、イゾルデはなかなか現れず、ようやくイゾルデが来て抱き合った時にトリスタンは絶命、イゾルデも…。遅れて、ふたりを許そうとやってきた王の前には二人の死体が。

 とにかく、この話が面白くて引き込まれてしまいました。ヤクを決めちゃってるとか不倫とか、芸能人がちょっとでも不倫すると寄ってたかって袋叩きする今の日本では上演できそうにない話ですけどね(^^;)。ロマン派って、セックスを含む愛と、死と、死後の浄化みたいなものがテーマになった話が多いです。不倫どうこうより、命をかけても良いと思うほどの愛が人生のテーマになっているところや、死による浄化というところが、ロマン派全体の共通認識なのかも。ちなみに「トリスタンとイゾルデ」を書いている時、ワーグナー本人も激しい不倫の最中だったらしいです(^^;)。

 音楽的には、冒頭の「トリスタン和音」の登場が有名。要するに短調曲のダブルドミナントに現れる減5短7の和音の事で、この楽劇では前奏曲に出てきます。今ではジャズでもタンゴでも、ちょっと気の利いた音楽だと普通に使われるので、若い頃に聴いた時は「え?これのどこが斬新なの?」と思ったもんでした。でもいま聴くと、ワーグナーの場合はここに半音階進行が絡んでいるので面白い事になってるんだな、な~んて改めて思ったりして。そういう理論以上に、今回聴いて、人生ではじめてこの楽劇の前奏曲を素晴らしいと感じました。これ、めっちゃくちゃ素晴らしいじゃないか。。

 でも、それ以上に感動したのが、第2幕の愛しあいまくっているシーンの音楽の数々。このセックスシーンは、途中で見張っている侍女がハラハラするとか、「このままふたりで死んでもいい」という境地に達するとか、セックス中だけでも色々とドラマがあるんですが、エクスタシーを迎えるシーンと、その後に来る穏やかな曲が本当に感動的です。茶化すわけでなく、なんでロマン派の一部が愛とセックスを切り離さず重要視したのかが何となくわかる感じすらしました。個人的には、二重唱となる「おお、降り来よ」、「聴いてください、恋人よ」、美しくも官能的な「こうして私たちは死ねばよい」あたりは、激しく胸を打たれました…。

 ほかには、第3幕の前奏曲も見事で、ものの数分で音楽のファンタジーの中に引き込まれてしまう素晴らしさ。ロマン派が苦手でないなら、あるいは今の洋楽の管弦楽曲が好きなようなら、絶対に心に響くと思うので、ぜひ聴いて欲しいです。ただ、こと音楽だけで言えば、第3幕は要らなかったかも…2幕のエクスタシー感が凄すぎるんでしょうね(^^)。

 若いときはあんまり分かりませんでしたが、年取って人生にちょっと疲れてきたせいなのか、この生命力あふれる音楽や物語に魅了されてしまいました。聴いていて、この躍動感に尋常でない活力を与えてもらったというか。
 このCD、1960年にしては録音がかなり良い…というか、この時代の録音の方が、今より音が太くて僕は好き!そして、演奏は…これが録音以上に素晴らしくて、猛烈に感動。若い頃、ほかのオケの演奏を聴いたことがあるんですが、「トリスタンとイゾルデって、こんなに素晴らしい音楽だったのか」と思わされたのは、僕にとってはこの演奏あってのものでした。
 もし、ワーグナーの楽劇をひとつだけ人に薦めるとしたら、僕ならこれです。間違いなくおすすめ…なんですが、実は『トリスタンとイゾルデ』は素晴らしい演奏に恵まれた演目でして、他にもおすすめがあったりして(^^)。


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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
intoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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