
ジャズ/フュージョン系ギタリストの
パット・マルティーノが1970年発表に発表した5枚目のアルバムで、プレスティッジ最終作です。なんとここでマルティーノさんは12弦ギターを弾いているのですが、これは
イーグルスやスティーブン・スティルスが弾いていたアコギの12弦じゃなくて、ジャズ・トーンにした思いっきりエレクトリック。というわけで、ずっとオクターバーが入っているような独特なサウンドでした。
ウェス・モンゴメリみたいなオクターブ奏法を多用する人なので、「だったら最初からオクターブ奏法みたいな厚みある音が出るギターを弾いちゃえばいいんじゃね?」ってなったのかも。
1曲目にゲストでソプラノ・サックスのエリック・クロスが入ってますが、そんなに演奏してません(^^)。それ以外は、カルテットの演奏でした。編成はギター、エレピ(Eddie Green)、エレベ(Tyron Brown)、ドラム(Sherman Ferguson)。というわけで、エレクトリック・バンド、やっぱりエレピって気持ちいいなあ。パット・マルティーノがアメリカン・ソングフォームな曲で単旋律のアドリブをしまくる内容なので、電気楽器のサウンドで雰囲気を作るムードミュージック的なフュージョンじゃなくって、
ジャズ・ロックみたいでした。バラード1曲以外はすべて押しの一手で、とにかくマルティーノさんのアドリブに聞き惚れるばかり。音楽的には、
途中でテンポが変わって圧していく「Express」が、ニュージャズ的な頃のエレクトリック・マイルスみたいで、いちばん硬派に感じました。うーんこれはカッコいい。。
音楽の熱気を感じさせるのがドラムでした。Sherman Fergusonさんというドラマー、僕は知らなかったのですが、かなりタイトでしかも熱い演奏をしているのですごい熱気!その上でパット・マルティーノがメラメラと弾きまくるので、「おおーこれはロックだ!」って感じで、聴いて興奮!いやー、決してディープな音楽をやっているわけじゃないと思うんですが、このロックな熱はカッコいいなあ。
内容がアコースティックな純ジャズじゃないし、表現なんて関係なしにひたすら押しの一手のアルバムなので、表現力ある音楽的なジャズを好きな人からは好かれないアルバムかもしれません。でもジャズロックと思って聴けばこれはカッコいい!特に、ギターで単旋律のアドリブを取りたいと思っているロックやフュージョン寄りの方には、最高にエキサイティングなアルバムじゃないかと。
プレスティッジ時代のパット・マルティーノさんのアルバムは、僕的にはマカロニ・ウエスタン映画みたいな印象です。歴史に残る大傑作はないけど、でもいざ触れてみるとどれもこれもそれなりにみんな面白い、みたいな。いや~、マルティーノさんのレコードを大量に持っているので、整理しようと思って今回聴き始めたんですが、みんな面白くてどれも手放せないぞ(^^;)。。
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