リー・モーガンが1966年に発表したアルバムです(録音は64年)。僕が聴いたリー・モーガンのリーダー作は8割がたハードバップでした。『サイドワインダー』だって、エイトビートであること以外はハードバップまんまだと思っちゃいましたし。そんな中、もっともニュージャズな事をやっていたのがこのアルバムでした。それもそのはず、メンバーが思いっきり60年代のジャズをけん引した人だらけ。Lee Morgan (tp), Wayne Shorter (t.sax), Herbie Hancock (p), Grant Green (g), Reggie Workman (b), Billy Higgins (dr)。つまり、このメンバーだとむしろモーガンさんとグラント・グリーンだけが50年代型のミュージシャンなんだな、みたいな(^^;)。
1曲目「Serch for the New Land」は、オープンパートはフリジアンを基調としたモード曲。でも、印象だけで言うならモードというよりブルースに近いでしょうか。これがこのアルバムの特徴をよくあらわしていて、要するに50年代ジャズと60年代ジャズが混ざってるのでした。グラント・グリーンのアドリブはスケール一発という感じなのに、ハンコックはフォースインターヴァルな和音を含めて相当にモーダルなソロ。 こういう傾向は1曲目だけでなく、他の曲も色々と60年代です。3曲目の「Mr. Kenyatta」なんて、ピアノとサックスがソニー・クラークとベニー・ゴルソンあたりだったらハードバップに聴こえたかもしれない所が、まるでプラグドニッケルのマイルス・デイヴィスみたいな音楽になってました。う~んこれはカッコいい。。でも、ハードバップ愛好家からすると、こういうジャズあたりから、ジャズについていけなくなった人も多いかも。仕事帰りによるナイトクラブでレイドバックしたり陽気でアップテンポな音楽を聴いたりして、お酒を飲んで日中の緊張感を解く、みたいに楽しめる音楽ではないですもんね。。