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『ラヴェル:《ボレロ》 《スペイン狂詩曲》 《マ・メール・ロワ》 《亡き王女のためのパヴァーヌ》 アバド指揮、ロンドン響』

Ravel_Bolero Abbado LondonSymphony 前回と前々回で、クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団の「ボレロ」や「スペイン狂詩曲」「マ・メール・ロワ」あたりの録音について書きましたが、こちらはアバド指揮ロンドン交響楽団による、似たような選曲のラヴェル管弦楽集。うわああああこれは素晴らしい、どっちもいいですが、演奏の精度や表現力で言えばこちらが圧勝。音楽って、それだけじゃないと思いますが、やっぱり地力の差って無視できないぐらい大きいでものだと痛感。

 有名な「ボレロ」ですが、僕はこの曲自体が単調すぎて好きじゃないので割愛( ̄ー ̄)。というわけで、比較しやいのは「スペイン狂詩曲」や「マ・メール・ロワ」ですが…クリュイタンス&パリ管弦楽団の方がふわっとした感じ、アバド&ロンドン響の方はメリハリがついて躍動してました。アバドはイタリア人だし、情熱的に躍動する方向に行く傾向があったりするのかな?とはいえ、弱音の部分のきめ細やかさが死ぬほど美しくて、単に「ラテン系」とか要約したくないです。そして…オケのシンクロ具合は、ロンドン交響楽団の方が圧倒的に上。「スペイン狂詩曲」も「マ・メール・ロワ」も、単純にこっちの方が胸ときめいてしまいました。オーケストラ自体の実力差ですね(^^;)。
 ついでに、いつぞや紹介した「亡き王女のためのパヴァーヌ」も比較して聴いてみました。テンポはアバド&ロンドン響の方がはやめでメリハリ聴いていて、クリュイタンス&パリ管弦の方がゆったりと和弦の美しさを聴かせる感じ。そして木管楽器隊、特にオーボエがロンドン響の方が上。「亡き王女の~」は、個人的にはこの世のものじゃないような、遠くでこだましてる感じにしてほしいので、テンポ設定を含めた指揮者の意図はクリュイタンスの方が好きなんですが、オケのうまさと録音の良さで、こっちの方がよく聴こえてしまいました。

 解釈やスコアの読み込みよりも、演奏のうまさの方が音楽を素晴らしいものにするのか…と考えさせられました。アバド&ロンドン響、これは素晴らしいラヴェルの管弦楽作品の演奏でした!でもそれは比較すればの話で、クリュイタンス&パリ音楽院管弦楽団のラヴェルも好きです(^^)。



(2023年11月追記:「ボレロ」の簡単な楽曲説明)
 ちょっと別件で、ラヴェルのボレロについて、すご~~~~く簡単なアナリーゼをしたもので、簡単に記載しておきます。

 ラヴェルのボレロは、西洋の20世紀初頭の音楽の中でも大メジャーと言ってよいほどよく知られた曲です。僕も、そんなにクラシックを聴いていなかった頃から、あのリズムとメロディに馴染みがありました。ただ、「ひとつのメロディしかない」とか、「退屈に思わせないために」とか、クラシックの批評家さんたちから、けっこう舐めた口を叩かれることの多い曲でもあります。分かりやすいハ長調から始まるという意味で、気持ちは分からなくもないのですが、でも果たしてそうなんですかね?僕の印象はちょっと違います。それって僕がフランス音楽やジャズが大好きだったからかも知れませんが…

 これってモード的な視点で書かれた曲であって、そこに注目させるために、同じメロディーを使う必要があったんだろうな、と思っています。「同じものを飽きさせないために…」なんて、そんなわけないじゃないですか。飽きさせないんだったら、メロでも何でも変えればいいんですし、それでは大体なぜ変えなかったのかの説明になってませんし。

 和声。もしこれを機能和声法で書かれた曲という意味で言うと(まあそうなんですが)、ボレロはシンプルなハ長調、Cメジャーです。曲は前半と後半に分ける事が出来て、前半はC、Dm7、G7、みたいな極めてシンプルなプログレッションで、トニックのスケールで言うとCイオニアンです。後半はこれが変化して、同じCのメジャー系を引き継ぎつつ、CイオニアンではなくCミクソリディアンに変化。その後のB♭は、ジャズ的に言えばロクリアン♭5、みたいな。
 でもこの曲って、ハ長調の機能和声に聴こえるかというと、変奏の連続にも聴こえたりしませんか?前半はまあともかく、だんだん「あれ?」ってなっていくというか。この曲って、たしかにCイオニアンスタートの機能和声ではあるものの、そこから変化した別モードで演奏される「インターバルの違う同種のメロディー」が長く続くので、そのダイアトニックのあるモードのあるコード/スケールが、転調というか変奏というか、そんな風に感じるんだと思います。ほら、Cメジャーが、ジャズやポップスのように「C/A7/Dm7/G7+5/C」みたいにすぐ帰ってくれば、Dm7を弾かれてもハ長調でのⅡm7に聴こえますけど、Cを8小節の後にDm7を8小節とか弾かれると、その瞬間は「あれ?Dドリアンに移った?」みたいに思ってしまうというか。江戸から京都への旅で、途中で尾張に1泊するだけなら「旅の途中経過だ」って感じますけど、もし尾張に8日間もいたら「あれ?尾張への旅だっけ?」みたいに感じちゃう、みたいな。で、そう感じさせること自体がラヴェルの狙いに思えます。

 ラヴェルのすべての曲がそうというわけではないんですが、ラヴェルは「印象派」と呼ばれる音楽の中心的な作曲家でもあります。機能和声の長調か短調という、ドミソ和音にドレミ配置であまりにワンパターンに固定された響きの問題に取り組んだ時代の作曲家です。その突破口のひとつは、三角貿易を通じてヨーロッパに入ってきたスペイン系の音楽。その特徴の最たるものは、モードです。「ボレロ」がバレエ音楽だった事もあるのでしょうが、モードの違いでどれだけサウンドが変わっていくのかを見せたかったのではないかと。前半が分かりやすい進行なのは、後半での変化を分かりやすくするため。ちなみに後半の音の変化は、ジャズ屋的な言い方をすると前半のオルタレーションとも言えます。1928年にそういう組織化された捉え方があったのかどうかは僕には分かりませんが、まあ4和音以上の声部の変化を構想すればいつか出てくることになる音でしょうし。

 というわけで、この曲はモードではないんですが、モード的な所を意識させたというか、イオニアンから始めたモードの展示会。さらにそこからオルタレーションというサウンドパレットまで暗示していて、西洋音楽の色彩の拡張の過渡期に生まれた挑戦という面があったのだと思います。


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Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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