
トリスターノ楽派のサックス奏者
リー・コニッツのリリースしたアルバムで、いちばん有名なものではないでしょうか?!1961年8月29日録音、ヴァーブからリリースされたジャズの名盤です。メンバーは、Lee Konitz (a.sax), Sonny Dallas (b), Elvin Jones (dr)。
ピアノレスのワンホーントリオでもあるし、リー・コニッツのアドリブを聴くならこれがベスト! 僕は、なかば伝説化されたサックス奏者としてリー・コニッツの名前を知りまして、このアルバムを手にした時はワクワクして家に持ち帰りました。でもいざ聴いてみると、「あれ、こんなものなのかな…」と思ったんですよね。ピアノレスという事もあって、音がスカスカ。そしてウエストコーストのサックス奏者のようなクールなサブトーンで、決してブローしたりしない控えめな音。ロックや現代音楽に慣れた耳からすれば、寂しく感じても仕方ない音だったのです。このレコードを買った時はまだ高校1年生、今から考えるとまだ雰囲気だけで音楽を聴いていたんだろうから、こういうミュージシャンのためのミュージシャンみたいな音楽の良さが分からなかったとしても不思議じゃなかったのかも。
ところが、もう少ししてからジャズの演奏の勉強を始めると、このアルバムに魅惑され始めました。このレコーディング・セッションはスタンダードばかりを演奏した明かなジャムで、アレンジは用意されてません。しかもピアノレスなので、
コード進行もメロディも音楽も全部リー・コニッツにかかってます。このコニッツの演奏は、ハードバップ時代のサックス奏者のアドリブというより、チャーリー・パーカーとかウエストコースト・ジャズのプレイヤーに近く感じました。
旋律でアドリブしても、ピアノやギターがいなくても和声進行を感じるソロなんですね。あとから知ったんですが、コニッツさんがウエストコーストのサウンドに似てるんじゃなくて、
アート・ペッパーやポール・デスモンドといったウエストコーストの名サクソフォニストがみんなしてリー・コニッツに憧れてコピーしまくったのが真相みたいです。でもパーカー級のチェンジをする人なので、ちゃんと真似できる人がそうそう登場するはずもなく、フォロワーの人はもう少しいい加減で、こうしてハードバップ系のアドリブが主流になっていった…みたいな。
というわけで、大ざっぱに
雰囲気だけを楽しもうとするとクールジャズみたいに感じましたが、自分がサックスを演奏している気分になって聴くとクールなんてもんじゃない、これはメッチャクチャ熱いアドリブの模範演奏集じゃないかと。
そうそう、このアルバムに限って言えば、ボーナストラックがテイク違いではなく他の曲なので、ボーナス曲入りのCDのほうがおすすめです。さらに、CD3枚組の超デラックス盤というのもあって、これは「Imagination」「Just Friends」「Alone Together」「I'm Gettin' Setimental Over You」などなど、本編に入ってないスタンダード曲がギッシリ。ジャズのサックスのアドリブの教科書として家宝にしてもいいレベルかも…これ、欲しかったんですけど、もうアルバムを買っていたから買わなかったんですよね。今では超プレミアだし、このアルバムは買い直しておけば良かったなあ。。
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