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『豊竹山城少掾 / 義太夫名演集』

ToyotakeYamasironoShoujou_GidayuuMeienshuu.jpg 義太夫節の伝説的な太夫・豊竹山城少掾(とよたけやましろのしょうじょう)のCD『人間国宝 義太夫 豊竹山城少掾』に入っていた「蘆屋道満大内鑑」(あしやどうまんおおうちかがみ)の4段目「葛の葉子別れの段」を聴いて、すっかりハマってしまい、中古屋でこの5枚組CDを見つけた時は、安くないのに誘惑に勝てずに買ってしまいました。でもめっちゃくちゃ面白かった、買ってよかった!
 収録されていた演目は、以下の通りでした。

 ・菅原伝授手習鑑|道明寺の段
 ・伽羅先代萩|御殿の段
 ・芦屋道満大内鑑|葛の葉子別れの段
 ・平家女護島|鬼界が島の段
 ・一谷嫩軍記|林住家の段 流しの枝

 うち、「芦屋道満大内鑑|葛の葉子別れの段」が『人間国宝 義太夫 豊竹山城少掾』と完全にダブりなので、1枚物の方は手放しました(^^;)。というわけで、他の曲の感想を。

■菅原伝授手習鑑|道明寺の段

 三味線は四世鶴澤清六、1947年録音。作者は竹田出雲(初代)・並木千柳・三好松洛ら。「道明寺の段」は二段目の切。「菅原伝授手習鑑」は浄瑠璃に疎い僕ですら知っているので、もしかしたら浄瑠璃でいちばん有名な演目じゃないかなあ。

 あらすじはこんな感じ。菅原道真と皇族の苅屋姫が密会していたが、それが菅原道真の左遷の原因になり、姫は実家に戻される。菅原道真は姫に別れを告げる事を許されるが、政敵が暗殺を謀り、姫の姉の元夫とその父が刺客として迫る。計画を聞いてしまった姫の姉は二人に殺される。それを知った姫の母は復讐を果たして出家する。菅原道真は木像の替え玉を使って危機を逃れる。姫の母が尼になった館がのちに道成寺となり、道真を救った木像は宝とされる。夜明けに道真が出立するが、姫と会う事を避け、別れ歌を一首残す。道真は姫の泣き顔をひと目だけ見て旅立つ。

 いや~面白い!江戸時代最高のエンターテイメントの最高傑作だけあるなあ。時代劇、渡り鳥系のドラマ、男はつらいよ…こういう日本のドラマのルーツがみんなここにあるように感じます(^^)。それにしても、四世鶴澤清六の三味線と豊竹山城少掾は、それぞれのパフォーマンスも素晴らしいし、コンビネーションも見事です(^^)。

■伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)|御殿の段

 これも三味は四世鶴澤清六、1947年録音。「伽羅先代萩」は1785年に初演された全9段の時代物で、「御殿の段」はその6段目。そうそう、浄瑠璃の「時代物」というのは武士や朝廷の話で、「世話物」は町人の話みたい。

 お家乗っ取りに巻き込まれた幼い男の子を乳母が守る。食事も毒味をさせるが、いつも犬が先に食べるので「犬になりたい」という男子の言葉を聞いてあわれに思うほど。お家乗っ取りに加担した女が男子に毒入りの菓子を与えるが、それを乳母の実の子が奪って口に入れてしまい…

 最初の三味線のイントロとそれに続くホーミーのような唸り声から始まる謡いの部分が素晴らしかったです!いや~これはいいわ、昔の芸能は芸も能もあったんだなあ。。ただ、語り部分は子供のセリフ部分で声を裏返して語るんですが、そこがちょっと笑ってしまった(^^;)。。これ、映像と一緒に観てみたらけっこう感情移入できるかもしれないけど、終戦直後の47年じゃ映像なんてとうてい残ってないですね…。

■平家女護島(へいけにょごのしま)|鬼界が島の段

 三味は四世鶴澤清六、1949年録音。初演は1719年に大坂の竹本座にて。作者は近松門左衛門、全5段の時代物で、「鬼界が島」は2段目の切。そうそう、「切(きり)」というのは、物語のクライマックスの事です。ちなみに、導入部分は「口」、真ん中は「中」というみたい。

 平家全盛の時代に、平家討伐の謀議(鹿ケ谷の陰謀)を企てたとして、俊寛僧都、判官の康頼、小将の成経の3人が島流しになる。平清盛は俊寛の妻あづまやに横恋慕する。俊寛はあづまやが殺されたと聞いて嘆く。成経は島で女と結ばれる。そこで3人に恩赦が出るが、通行手形には3人とあるので、使者から「女は島から出せない」と言われる。妻を殺された俊寛は都に帰っても喜びがないと言って、代わりに女を都に連れて行ってやれというが、使者それを許さない。そこで俊寛は使者切り殺し、「自分は使者を殺した罪で島に残るから、女を乗せてくれ」と頼み、島にひとり残る。

 最初が無伴奏で、唸るような声から始まるんですが、これがカッコよかった!今って、男が女性化しているというか、声の高い男が多いじゃないですか。あれって相手に威圧感を与えないようそうなるらしいですが、強さや男らしさや迫力を出すなら絶対に低音の方がカッコいいですよね。これは他に比べてSP盤の走行ノイズがうるさかったですが、それを差し引いて余りある名演じゃないかと!なんといっても話が面白かいですし。そうそう、このCDについていた解説を読む限り、これは素浄瑠璃ではなくて人形浄瑠璃(文楽座)でのパフォーマンスみたいです。

■一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)|林住家の段(流しの枝)

 これだけ三味線が違って初代鶴澤藤蔵、1952年録音。初演は1751年に大坂の豊竹座にて、全5段の時代物で、「林住家の段」は2段目の切で、薩摩守忠度(さつまのかみただのり)の話でした。薩摩守忠度は平忠度のことで、歌人としても有名で、千載和歌集にも1首が載っているそうです。

 忠度が林という老婆の家に一夜の宿を乞うが、この老婆は忠度の恋人・菊の前の乳母だった。そこに菊の前がやってきてふたりは対面。菊の前はどこまでもついていくと懇願するが、源平合戦で命を落とす覚悟をしている忠度はこれを聞き入れない。そこに岡部六弥太(岡部忠澄:源義朝配下の武人で、平家物語の中で平忠度を討った人として語られている)が訪れ、敵対関係にあるので「読み人知らず」ではあるが、源義朝が忠度の歌を千載和歌集に選んだことを伝える。義朝の漢気に感銘を受けた忠度はその場で縄にかかろうとするが、岡部は「今日の役目はお前を捉える事ではない」と伝え、戦場での再会を約束する。

 この話は、平忠度の歌がなぜ千載和歌集で「詠み人知らず」として載ったのかを説明しているんでしょうね。ちなみに、平忠度は文武に優れ、漢気もある人間だったため、一ノ谷の戦いで岡部忠澄に討たれた後、敵からも惜しまれたんだそうです。
 源平合戦や幕末の日本の政治史って、命がけで男を通す人がいるんですよね。安〇晋〇とかいう戦後最低の総〇大臣みたいに、卑怯なことをやりまくっておきながら責任をみんな人に押しつけ、嘘ばかりついて逃げまくる卑怯者とぜんぜん違う。源義朝も平忠度も岡部忠澄も男らしくてカッコいい、人の上に立つ人はこうあって欲しいなあ。
 そうそう、このCDの解説は義朝を義経と誤記していて、それだと敵味方の関係がまったくわけわからなくなるので注意です(^^;)。あと、この演目だけ、拍子木の「チョン、チョン、チョンチョン…」という音から、演者紹介も入っていて、臨場感があって良かったです(^^)。

* * * * * *
 いや~浄瑠璃はまずドラマチックな話が面白いし、それが素晴らしい三味線と歌いまわしで語られるので最高です。落語、浪曲、浄瑠璃は日本産エンターテイメントの最高峰だと思うなあ、今のバラエティ番組やお笑いより数段面白い、これを毎日きいて人生を終えても悔いなしと思えてしまうほどに面白い!
 ところで、この5枚組CDに入ってる録音って、1947年から52年の録音でしたが、50年まではGHQが日本に駐留して日本がアメリカに支配されていた頃ですよね。そんな時代に浄瑠璃をパフォーマンスしたのって、何とか日本人に息抜きを、って思ったんじゃないかなあ。そう考えると、ちょっと泣けてきます。これは超おすすめ、ぜったいにプレミア化してしまうので、聴きたい方はもし安く売っているようならはやめにゲットしておいた方がいいかも。


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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
intoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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