
義太夫節の人間国宝、
八代目竹本綱太夫につづいて、九代目です!三味線伴奏の語り物が浄瑠璃、それを人形芝居に用いると人形浄瑠璃、そして
人形浄瑠璃を代表する座と言えば文楽ですが、九世竹本綱太夫は人形浄瑠璃文楽の太夫として人間国宝に認定されたんだそうで。
このCDは、三味線の鶴澤浩二郎とのコンビによる素浄瑠璃。「木下蔭狭間合戦」(きのしたかげはざまがっせん)という太閤記物の演目の九段目(五段ものに換算すると四段目の切りに相当)「壬生村の段」(みぶむらのだん)が収録されていました。この演目は廃曲同然の状態だったものを、2005年に九代目が2公演でだけ素浄瑠璃で演じたことで伝承される事になったんだそうで。それがこの録音だそうです。
ストーリーはこんな感じ。壬生村の治左衛門は、泥棒をした息子・友市のために苦労を重ねて暮らしています。借金返済のために娘を遊郭に売ろうとしたところで、11年ぶりに友市が帰ってきて、金を払って妹を救います。なんで友市がそんな大金を持っているかというと、友市こそ天下の大泥棒・石川五右衛門だったのでした。驚いた治左衛門は五右衛門を諌めようとしますが、もみ合ううちに誤って娘を殺してしまいます。そして、自分の出生の秘密を知った五右衛門は…
謡い出しが、ホーミーのように低音を口の中で共鳴させる歌い方で驚きました!こういうのって浪曲の広沢虎造がやっているのを聴いたことがありましたが、義太夫節でも使うんですね。それにしても、今回聴いてみた義太夫節の太夫の謡いまわしは三者三様、伝統芸能なのである型を忠実に踏襲するのかと思ってましたが、プレイヤーの個性がけっこう前面に出るんですね。
ただ、三味線は音がちょっと乾いていて、僕的にはイマイチだったかな?これは鶴澤浩二郎さんがどうこうではなくて、太棹でも細棹でも三味線はこういう音になりがちで、音色がどうやっても琵琶には勝てないんだな、みたいに思っちゃいます。琵琶は江戸幕府が盲人のために演者の制限を加えたから、町人には演奏が許されなかった、みたいな事情があるのかも。それとも、小さな座の中で人を集めてやるので、楽器の完成度よりも携帯性が優先されたとか、あるのかも。
浄瑠璃や小唄端唄といった日本の「伝統芸能」って、古くさく堅苦しく退屈な気がして、食わず嫌いで最初は敬遠していました。でも、いざ聴き始めるとめっちゃくちゃ面白い。だってもともと大衆の娯楽、一大エンターテイメントですから!この演目だって、あらすじを見るだけでもめっちゃくちゃ面白くありませんか?しかも、これに音楽がついて、太夫の語りが見事で、実際に聞くとあっという間に引き込まれました。語りなんて、音楽的な節がついている所と、落語のようにひとり何役も演じるセリフ語りのところなどのメリハリが素晴らしかったです。ここ一番で三味線が「ハッ!」な~んて掛け声をかけたりしてね(^^)。
いや~浄瑠璃はたま~に思い出したように昔買ったCDを引っ張り出して聴くと、面白すぎて何枚も続けて聴いちゃいます。実に中毒性の高いジャンルだ (^^)。。
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