楽器がなかなかうまくならない人必読、これは救いの1冊になるかも?!あの有名な
アレクサンダー・テクニークを楽器演奏者むけに分かりやすく書いた本です。ただし、「わかりやすく」といったって400ページ超の本格的な本ですし、身体性を伴うものですので読解力や物を把握する能力がけっこう要求されると思いますが、難しい言葉は出てこないので、気合いがあれば読めます!
F.M.アレクサンダーという舞台俳優が作ったアレクサンダー・テクニークは、演奏家にとっては、正しい運動の仕方に関する技術という所じゃないかと思います。僕はAテクニークの講師からレッスンを受けた事はないのですが、この本を読んだ僕の解釈としては、こんな感じのソマティクスじゃないかと思いました。
まず、
運動の基本は、運動以前の運動指令などを含む自己の使い方にあって、特にプライマリー・コントロールが重要。プライマリー・コントロールを中心として運動を起こすのがもっとも理想的な運動となるが、エンド・ゲイニング(結果を気にする事)によって体の使い方や運動にミスユースが起きる。これがいつまでたっても運動がうまくいかない原因。これを
修正するには、ミーンズ・ウェアバイ(最良の方法を発見して用いる事)をしなければならないが、その為にはまずは誤って身についてしまった運動や体の使い方をインヒビション(抑制)しなければならない。その上で、まずはプライマリー・コントロールの仕方を身につけ、次に個々の運動の正しい方法へのアプローチをしていく。これは僕の要約なので、誤解している所があるかも知れませんので、興味を持った方がいたら、ご自身でこの本を読んでみてくださいね(^^)。
ところで
プライマリー・コントロールとは何かというと、頭・首・肩あたりの中枢神経系が集まっているあたりによる姿勢や運動のコントロールすることだそうです。この本の説明では、
運動には①中枢で重心の移動を起こす全体的な運動パターン(トータル・パターン)と、②その体勢を具体的な運動にする部分パターン(反射)の2つがあるんだそうです。というわけで、運動はトータル・パターンが先行しているもので、これをコントロールするのがプライマリー・コントロール…と僕は解釈しましたが、読解力に自信がないので、興味があったら直接読んでみてください(^^)。
まあこんな感じで、第1部はAテクニークによる運動の基本原則の説明、第2部は抑制や呼吸や腕の使い方などのレッスン、第3部はAテクニークの演奏への応用、という形で書かれていました。
でもこういうものって、ヨガなんかもそうですが、時として怪しいスピリチャル方面に行ってしまうというか、エセ科学的な方向に行ってしまいがちになるじゃないですか。証明するのが難しい所を扱うから、そうなるのかも知れません。この本、本当に素晴らしいと思ってるんですが、運動指令に関するところは経験主義というか推測に基づいてしまってるというか、けっこう危ういなと思いました。運動指令の解剖学的な裏付けは、僕が読んだ音楽系の本だと
『音楽の原理』にかなり詳しい図解が出ていたので、そっちも併せて読んだ方がいいかも。
アレクサンダー・テクニーク、僕が音大生だった頃には既に名を知られていました。僕は実際のレッスンに接した事はありませんでしたが、「あれはいい」なんて話をチラホラ耳にしてました。これは良書!楽器の練習を5年も10年もちゃんと続けているのに、上達が出来ない人には救いの一冊になるかもしれません。超オススメです!!
スポンサーサイト