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Category: CD・レコード > ジャズ   Tags: ---

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『インスピレーション&パワー14』

Inspiration and power 14 1973年、東京アート・シアター(昔の新宿ピット・インの上層階?それともアート・シアター・ギルドの上映館?)で14日間にわたって開催された日本フリー・ジャズ・フェスティバルのドキュメント、アルバム2枚組です。イベントの主催者は副島輝人さんで、アルバムに収録されたのは8グループで、各10分ほどの演奏が収録されていました。収録グループは、宮間利之とニュー・ハード・オーケストラ、吉沢元治、沖至クインテット、ナウ・ミュージック・アンサンブル、富樫雅彦+佐藤允彦高柳昌行ニュー・ディレクション・フォー・ジ・アーツ、がらん堂、山下洋輔トリオ

 このレコードで最初の驚きは、音がムチャクチャいい!!73年の日本のフリージャズでここまで音が良いレコードは珍しいです。70年代日本のフリージャズのレコードって、モービル録音どころかポータブルでの録音がほとんどだったと思うんですが、これは素晴らしいです。ニューハードの演奏なんて見事なアンサンブルでとてもモダンな音を出してるんですが、こういうのって響き自体に感動する側面も強いと思うので、録音の良さってすごく大事だと思います。

 そして、音楽や演奏が素晴らしいものが多くて驚きました。ジャズに限らず映画や文学もそうですが、80年代以降って専門馬鹿が多いというか、それしか知らない人が作り手になっているものが多いと感じます。だから、狭い世界しか知らず、そこからはみ出たものを理解できないで排除したり、そもそも外を知らないので狭い世界以上のものを表現するなんて無理になってしまったと感じます。ところが、60~70年代の日本のジャズマンって、世間が広い人が多いと感じます。宮間利之さんにしても高柳さんにしても吉沢さんにしても、話を音楽に限ったとしても、明らかにクラシックをはじめ他の音楽にも触れてきた人が作った音楽だなと感じます。だからニッチなものにならず、普遍的なものを作れるんじゃないかと。
以下、僕が心を動かされた音楽だけを抜粋してご紹介!

宮間利之とニュー・ハード・オーケストラ:これがアルバム冒頭なんですが、ものすごいモダン・サウンドのビッグバンドで驚きました!ギル・エバンスジョージ・ラッセル級と言っていいほどの斬新なサウンド、なんとポルタメントをアンサンブルに組み込むという新しさもありながら、わずかに日本的なものも感じたりして、すばらしかったです。このアルバム、他は高柳昌行さんや山下洋輔さんといった日本のフリージャズのビッグネームがずらりと並んでるんですが、ニューハードが入っていた事で僕は購入をためらっていたんです。ところが、ふたを開けてみたらこれが一番すごかった。

吉沢元治:コントラバスの独奏、これはジャズだけやっていた人の音楽でも演奏でもなかったです。クラシック的な意味ではなく、表現とかやろうとしている事という意味で素晴らしかったです。クラシックを踏まえてニュージャズ方面に活路を見出した人のアルコって、強烈な説得力があって心を持っていかれちゃいます。。

沖至クインテット:CDにクレジットが書いてなかったものでメンバーが分からないんですが、沖さんはエレクトリック・トランペットを吹いていました。これはバップの延長線上に展開した正統派フリージャズといった感じで熱い!メッチャカッコよかった。。

山下洋輔トリオ:このグループの演奏はあんまり音楽的な構成や表現を考えているようには思えなくて、昔は嫌いでした。指を速く動かす事しか考えてないように思えたんですよね。でも久々に聴いたら、たしかにそれはそうなんですが、でも技術はピカ一、カッコよかった!

 若い頃このCDを購入しようと思ったのは、高柳昌行さん、富樫さん、佐藤允彦さんの参加でした。ところがふたを開けてみると、違うグループの演奏ばかりに感激させられちゃったんだから、分からないものです。自分が知らないものに触れたり、自分が知らないものの良さを理解しようとする姿勢って大事なのかも。このCDがなかったら、僕は宮間利之ニューハードや沖至さんを良いと思う事もないまま終わっていたかも。日本のフリージャズが一番熱かった70年代の雰囲気を見事に伝える名盤だと思います。


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Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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