fc2ブログ

心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

Category: CD・レコード > ジャズ   Tags: ---

Response: Comment: 0  Trackback: 0  

『Benjamin Duboc, Itar Oki / Nobusiko』

ItaruOki Benjamin Duboc_Nobusiko 2010年にフランスのImprovising Beings というレーベルからリリースされた、トランぺッター沖至さんとコントラバスのBenjamin Duboc(発音は「ドゥボ」で良いのかな?)のデュオです。このCD、ケースを開くと漢字で「野武士考」って書いてるんですよ(^^)。なるほど、そういう意味か…。

 音楽は全般にわたって即興演奏でした。でもって、これはコンバスのベンジャミンさんが明らかにうまくて感激!ジャズだけやっていた人ではないな。。視野が広くて、アルコを弾かせれば特殊奏法もメロディも見事。現代曲もクラシックも通過してきたんだと思います。そしてピチカートを演奏すれば、ジャズ的なビートが素晴らしくて、付け焼刃じゃなくてフォービートを見事に掴まえてる感じ。僕はジャズのバンドに参加して生活させてもらった事があるんですが、最後までジャズのあのビート感が出せませんでした。何年やってもクラシックのレガート感が抜けなくて「なんちゃって」なんですよ、悲しかった。。あれだけはひたすらやって体に叩き込まないと出せないものだと思うんですよね。ポリリズムの強烈なアフリカのシンガーがどうやったってレガートを美しく歌えないとか、3拍子の音楽が多い韓国の伝統音楽の歌手が4ビートを歌えないとか、そういうのに似てるかも。
 楽器って、ある音楽ジャンルのスペシャリストになるほかに、スペシャリストではなくてその楽器自体を極めるというスタイルもあります。こうやらないと音楽をアウフヘーベンできないから、すごい人はいずれこの道を行くことになるわけですが、コントラバスの場合はたぶん、バッハとかのカノン、現代音楽の特殊奏法、ジャズをはじめとした西洋ポピュラー音楽での機能和声上でのアドリブ、タンゴなどコントラバスを使う主要な音楽のビートの練習…みたいに、コントラバスを一巡する事をやるんじゃないかと。バリー・ガイとか齋藤徹さんまでは届かないまでも、ベンジャミンさんもそういう人となんじゃないかと思いました。

 沖さんも、カッコよかったです。フラジオでもなんでも駆使して演奏するんですが、こういうのは即興じゃないとなかなかできない表現かも知れません。でも、自分から投げ込むシーンが少なくて、コンバスに反応する受けのシーンが多いかな?でももう、この時の沖さんって70歳近かっただろうから、ペットなんていう難しい楽器をこれだけ演奏できるというだけでもすごいのかも。

 このCDもインディーズレーベルの作品ですが、No Business Records の『Kami Fusen』と同じで、インディーズ特有のダメさを感じてしまいました。音が録りっぱなしで、楽器のおいしいところを録音できてないです。CDにする前にEQぐらいすればいいのに。残響もまったくな感じられなくて、リヴァーブをかけたくないという気持ちも分かるけど、せっかくいい演奏してるのに楽器が響きません。役にたたないこだわりなんて捨てて、少しで良いからリヴァーブぐらいかければいいのにと思ってしまうなあ。こういう無頓着さはジャケットにあらわれている通りです(^^;)。これ、いいエンジニアに任せたら、何倍もいい音楽に聴こえた気がします。
 かなり面白い即興演奏だったので、頭の中で音質を向上させて聴くか、実際に自分でEQやリヴァーブをかけて聴くと「おお!」ってなるんじゃないかと(^^)。


スポンサーサイト



Category: CD・レコード > ジャズ   Tags: ---

Response: Comment: 0  Trackback: 0  

『沖至、井野信義、崔善培 Itaru Oki, Nobuyoshi Ino, Choi Sun Bae / KAMI FUSEN』

ItaruOki_KamiFusen.jpg 10年か20年ぐらい前にリトアニアに出来た「No Business Records」というレーベルから出たフリージャズのCDです。21世紀のフリージャズ界隈ではまあまあ有名なレーベルで、日本のフリージャズも積極的に紹介しています…No Business というわりに、昔の有名なプレイヤーしか出さないんですけどね(^^;)。。録音は1996年で、発表は2017年。トリオの連名になってますが、実際には沖至さんが久々に日本に帰ってきたときに組まれたツアーだったみたいです。崔善培(チェ・ソンベー)さんだけは知りませんでしたが、韓国のトランぺッターとの事でした。

 ベースが高速のピチカートやアルコでリズムやバスやオスティナートを作り、トランペットは作られたテーマを2管アンサンブル、ブローイングコーラスに入ったらそれぞれのぺッターがインプロヴィゼーション。というわけで、ゴリゴリなフリージャズとか、イギリスのフリーインプロヴィゼーションと違って、オーネット・コールマンぐらいのフリーさの音楽に感じました。自由度が高く、ツーファイブに縛られないバップともいえそう。実際、「I remember Clifford」や「Tea for two」といったジャズ・チューンも演奏してました。

 良かったのは、沖さん作曲の「Ikiru」。中国音楽のようにゆったりしたマイナーペンタで、ジャズにはないメンタリティを感じました。韓国人が参加して、フランスに渡った日本人がいて…というわけで、欧米のミュージシャンでは作れない音楽だと思いました。
 それから、井野信義さんのピチカートがすごい!フレットレスのコントラバスなのにピッチはいいし、リズムもデュナーミクの安定度も抜群、しかもむっちゃ速い!!はっきりいって、ロン・カーター当たりより数段上のプレイヤーと感じてしまいました。そういえば、高柳昌行さんのグループでの演奏もすさまじかったなあ。。

 残念だったのは、トランペットのおふたりのコンディションがイマイチに感じられたこと。ジャズ系のトランペットって、ブッカー・リトルフレディ・ハバードやクリフォード・ブラウンみたいに、ピッチやデュナーミクを安定させて思い切りよくパーンと演奏しないと、フラフラしちゃうじゃないですか。そんな感じなんですよね。特にふたりでアンサンブルするところのピッチは合わないし、アドリブもけっこうフラフラで…みたいな (^^;)。

 ツアーに合わせた即席のグループで出来る限界がこれぐらいなのかも知れません。それだけに、もっとリハや追い込みをやったら、何倍もよく出来そうな音楽と感じました。そして、録音も良くないです。残念に思うのは、ミックスなりマスタリングなりすれば何倍もよく出来そうなのに、それもしないんですよね。ジャケットデザインも同じことが言えて…インディーズレーベルのダメなところって、ハートはいいけど技術がアマチュアな所と感じます。
 ジャズを含めた即興系の音楽を聴いてたまに感じる事ですが、音楽にしても演奏にしても録音にしても、音楽ってもっと手間をかけて作り上げないと、手を抜いた部分が全部音に出てしまうんだよな、みたいな。「ジャズだから」「即興だから」は音の言い訳にならないんじゃないかなあ、みたいな。東アジアならではの音楽とか、井野さんの凄いプレイとか、いいところがいっぱいあるだけに、この音楽の完成形を聴いてみたいと思いましたが、もう沖さんは…合掌。

08 2020 « »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

月別アーカイブ
検索フォーム
これまでの訪問者数
最近気になってるCDとか本とか映画とか
ロシアとウクライナがほぼ戦争状態に入りましたが、僕はソ連解体後のウクライナについて本当に無知…。これは2016年にオリバー・ストーン監督が作ったウクライナのドキュメンタリー映画。日本語字幕版が出たらぜひ観たい このブログをYoutube にアップしようか迷い中。するなら作業効率としては早いほど良いんですよね。。その時にはVOICEROIDに話してもらおうかと思ってるけど、誰の声がいいのか考え中
アド
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

Archive

RSS