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Category: CD・レコード > 民族音楽・ワールド   Tags: ---

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『トルコの音楽 (世界民族音楽大集成33)』

Toruko no ongaku_33 キングレコードが発売した「世界民族音楽大集成」の33巻、トルコ編です!このシリーズはキングが独自に録音したものだけでなく、フランスの民俗音楽レーベルOcora が録音したものの権利を買い取っているものもあるので、Ocora のレコードを持っている人は買う時に注意が必要ですが、このCDはキング録音の模様。ちなみに、キングはこのシリーズでトルコ物をキング原盤で3枚出しています。これはその第1弾。

 このCDで際立って感じたのは、トルコの音楽のある一部を掘り下げるのではなく、さまざまなトルコ音楽を鳥瞰している点でした。というわけで、最初にトルコ音楽を聴くならここから入るのが超絶におすすめ。。でもって、音楽の感想を書く前に、このCDの超絶に素晴らしいライナー(小泉文夫先生!)から得たトルコとトルコ音楽の基礎知識を。

■トルコとトルコ音楽のざっくりしたまとめ

 いまのトルコ共和国があるのはアナトリア半島とヨーロッパのクリミア地方の一部。しかし広義のトルコ民族はこの地だけでなく東ヨーロッパから中央アジアまで広く分布しています。さらに、現在のトルコ人の祖先が中央アジアからアナトリア半島に移ってくる前にアナトリア半島やトラキア地方を支配していたのは、ヒッタイト人、ペルシャ人、ギリシャ人、フリギア人でした。というわけで、今のトルコ音楽は、東ヨーロッパ、西アジア、中央アジア、地中海音楽が混然一体となって成立したものだそうです。

Toruko_Map1.png そして、伝統的なトルコ音楽は、一般の人が楽しみとして演奏する民俗音楽と、専門家が演奏する芸術音楽にはっきり区別されるそうです。
 民俗音楽の主体となる楽器はサズSaz で、大きさが3つあり、大きい方からディワン(・サズ)Divan、バーラマ(・サズ)Baglama、ジュラ(・サズ)Cura。伴奏のリズム楽器には、太鼓、カスタネット、それにカシクという両手に一対ずつのスプーンをかき鳴らす楽器が一般的だそうです。そして、黒海地方になると、小型のヴァイオリン状の楽器であるケマンチェ(カラデニス・ケマンチェ)も使われるそうです。
 芸術音楽の方は、ペルシャやアラビア音楽の伝統を引き継いでいる形。楽器もツィター属のカーヌーン、縦笛ネイ、民俗音楽に使うものとは違うケマンチェ(クラシック・ケマンチェ)タンブールという大型のサズのような楽器などを使うそうです。でもって、芸術音楽方面の音楽理論は、ペルシャがあまり理論体系化を好まず、アラビア人もペルシャよりは理論化したものの微分音程をあまり厳密には測らなかったのに、トルコはかなり厳密な体系を築きあげたそうです。

■このCDに入っていた音楽:民俗音楽編

 このCDはこうした多様なトルコ音楽を俯瞰できるように編集されていました。大きく分けると、民俗音楽、軍楽、芸術音楽、この3つでした。
 民俗音楽、まずは無伴奏独唱のわらべ歌(M1~3)。トルコは子供が踊りながらまわりの子が歌うのが日常だそうです。こういうの、ほのぼのとしていいなあ。ところで、このわらべ歌の中に、3度が長3度と短3度の中間ぐらいの「中立3度」というものを使ったものがあって、面白かったです。最初に聞いた時は単なる音痴に聴こえたんですが、中立3度は西アジアの音楽に理論的にも組み込まれた音程なんだそうで。
saz.jpg 続いてはサズを伴奏にしての歌(M4~5)。これこそ僕がイメージするトルコ音楽!やっぱりトルコ音楽と言えばサズですよね。しかしこの複弦楽器のビヨンビヨンと鳴る独特の響き、たまらんです。歌も素晴らしすぎ。
 コーカサスに近いカルスという地域の民謡(M6~9)は、合奏。楽器はサズ系の楽器を数本、ケマンチェ、篳篥系のメイ、タンバリン状の楽器デフ、という編成。雰囲気はけっこうトルコの軍楽に近く感じ、歌は南アジア~西アジア系のあのエキゾチックな感じ。これもカッコよかった!そして、こうした民謡を合唱に編曲した曲も入っていましたが、トルコでは元も合唱という文化はなく、ヨーロッパの影響を受けてこういう事をやるようになったのではないかとのこと。

■このCDに入っていた音楽:軍楽編

 軍楽(M10~14)。トルコの軍楽というと、あのものすごい大太鼓とラッパを思い浮かべる僕ですが(映画『敦煌』のウイグルのシーンがすごかった!)、このCDでは歌もついていました。歌がつくと、けっこうギリシャ音楽っぽくなるんだなあと変な感動があったりして(^^)。いや、ギリシャがトルコの軍楽から影響を受けたのかも知れませんが。
 ちなみにトルコの軍楽は、ビザンチウム陥落を記念して1453年から今日まで同じスタイルを守っているのだとか。バッハどころか、ルネサンス音楽や日本の楽琵琶より全然古いのか、すげえ!トルコの軍楽については、『オスマンの響き トルコの軍楽』というCDの感想文として、あらためてもう少し詳しく書こうと思います。

■このCDに入っていた音楽:古典音楽編

 古典音楽はもっとペルシャ音楽やアラビア音楽系のものをイメージしていたのですが、入っていたのはクラシック・ケマンチェの独奏(M15~18)、またはそれに歌がついたものでした。これがなんとも素朴で物悲し気な音楽で、トルコ音楽というよりも東アジアやロシア民謡のような響き。なるほど、ケマンチェを使うという事はもしかしたら黒海沿岸地域で、そのあたりは中央アジアやアラビアよりも東ヨーロッパの影響が強かったのかも。
 
 これはメッチャクチャすばらしい!芸術音楽以外のトルコの音楽は、これ1枚でおよそ俯瞰出来ると感じました。それにしてもサズって素晴らしい楽器ですね。細い棹の楽器は中央アジアからトルコまでいっぱいありますが、サズとタールが最高傑作なんじゃなかろうかと思ってしまいます(^^)。


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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
intoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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