チェッカーズと同時期に活躍していた、知る人ぞ知るアイドル・バンドです!売り方がアイドルだったというだけで、実際には自分たちで作詞作曲も演奏もしていた、
ビートルズや
ストーンズと同じ立派なポップロックバンドでした。
アイドルな売り方をしていたわりに不良、でもユーモアにあふれていて、チェッカーズよりだんぜん好きなバンドでした。
ヒットした曲は鈴木キサブロー作曲のデビューシングル「バージンブルー」ぐらいで、これがよりによって本人たちの作曲じゃない所がなんとも皮肉。80年代の日本のチャート音楽はサビのインパクトと分かりやすさだけが重要視される世界だったもんで、歌謡曲的な作りの曲というのがたしかにあって、「バージンブルー」はその条件に嵌まっていたのかも。
でも、
サリィの本当の素晴らしさは本人たちが作った曲だと僕は思っています。ロカビリー調の「雨のミッドナイト・ステーション」や「Bad boys come tonight」はロック箱でバンド活動をしていた所から這い上がってきたグループだと感じましたし、「サマータイム・メモリー」「あの頃スローレイン」は見事なポップナンバー、「ガール」はなんとドゥ・ワップ。見事じゃないですか!
そして、詞をはじめとした、バンドの醸し出している世界観が素晴らしいです。
ティーンエイジならではのキラキラした世界観というか、楽しく切ない青春が見事に表現されていて、聴いていると引き込まれてしまう…。まずは不良っぽさ。「246は俺たちのフリーウェイ」(Bad boys come tonight)なんてのは悪ガキっぽくてカッコよかった!あと、当時の歌番組で、
メンバーのふたりがギターのシールドをアンプにつながずにそれぞれのギターにつないでいたのを見たことがあるんですが、これなんか「当て振りですよ」という事を茶化してやってたんだと思うんですが、こういうセンスが不良っぽくも悪い方に行かずに笑い飛ばすユーモアがあって「あ、このバンドはセンスがあるな」な~んて思ってました。
そして、10代の頃の世界観が出た言葉がグッときました。
遊び疲れたあとのハンバーガーショップ (ガール)
別れの茶店でひとり残されて (あの頃スローレイン)
派手好きなママと忙しすぎるパパは留守 (ハートはキュートなままでいて) …いやあ、これは高校から大学生あたりまでの世代だけが共有できる世界観、男の僕でもジワッと来ちゃうけど、女の子だったらもっと来ちゃうんじゃないかなあ。。
好きなバンドだったんですが、レコードデビュー後の活動期間は3年と短く、たまに歌番組に出るものの、ゆっくりと消えて行ってしまったバンドでした。でもって、当時のレコード会社が今はなき日本フォノグラムだったからか、このベスト盤、CDだと今では高額で取引されています。マジか、俺が中古屋で「おお、なつかしい!」とLPを買った時は数百円だったぞ。。ちなみに、メンバーの皆さんはその後もそれぞれ音楽活動を続けているようです。そうだよな、それだけの能力のあるポップロック・ミュージシャンだと思います。