第15位:『トルクメニスタン:バフシの音楽 Turkmenistan: La musique des bakhshy』 子どもの頃にピアノ教室に通った行きがかり上でピアノ演奏をするようになりましたが、そうでなかったらリュート属の楽器を選んでいたでしょう。ギターから始めたに違いありませんが、そうしたらトルコやイランのセタールやサズの演奏に出会った時点でそっちに走ったんだろうな…な~んて思うぐらいにこのCDでのトルクメンの弦楽器演奏はすごかった
第8位:『武満徹:高橋アキ plays 武満徹』 武満徹のピアノ曲は、ギター曲に並んで名曲ぞろいですが、これはすごすぎる精度の演奏で背筋が凍った…武満曲らしくない解釈かも知れないけど戦慄するほどの衝撃を覚えたのは事実
第7位:『Lee Konitz with Strings / An Image』 今年はリー・コニッツさんも亡くなったんですよね(・_・、)。トリスターノ派の重鎮であるリー・コニッツのアルバムで断トツで素晴らしかったのがこれ。というか、このアルバムで僕が感動したのは、コニッツさんではなく、アレンジを担当したビル・ラッソ。半音階あたりに突入し始めたあたりの近代音楽の室内楽というレベルのアレンジや作曲をやってるんですよ、好きとか嫌い以前に、単純にレベルが高いです。ジャズというエンターテイメント音楽からこういうのが出てきた40~50年代って、アメリカ音楽にとって素晴らしい時代だったと思います。今のジャズなんてほとんどポップスですもんね。。これ、2020年に聴いたレコードのジャズ1位でもあります。
第3位~1位 第3位:『Central Asia | The master of the Dotar』 ロックやジャズのギターもいいけど、西アジアの撥弦楽器の音楽を聴いたら、狭い音楽だけを聴いていた自分を悔い改めること必至。それぐらい超絶の馬鹿テク&表現で、ちびりそうでした。でもイランはもっと凄いんだよな、もう8年もブログをやってるのにイランのダストガーに触れてないぞ(^^;)。いつか書こうと思います。。
中国の宮廷音楽は雅楽が有名ですが、雅楽が残っているのは韓国と日本で、共産主義国家になった中国に雅楽はもう残ってないらしいです。というわけで、今も残っている中国の漢人音楽というと、二胡(アルフー)または高胡(カオフー)曲、笛子(デイズ:中国の横笛)、箏(ジエン)、中国琵琶、ヤンチンあたりの演奏という事になるのかな?これは、許可(Xu Ke シュイ・クゥ)さんによる、二胡独奏集です。録音は1995年の三鷹…なるほど、日本制作CDなんですね。許可という方、中国音楽に疎い僕ですらよく名前を聞く人なので、もしかすると日本在住の中華系の人をメインターゲットにしたCDなのかな?
タイトルは『Study in Brown』の続編っぽいですが、実際にはEmArcy に録音が残っていたブラウン=ローチの未発表音源集。日本編集で、1954年から56年までの6つのセッションからの抜粋8曲、既発アルバム収録曲の別テイクまで強引に入れてあったりして(^^;)。でもこのアルバムを買わざるを得なくなったのは、なんと5重奏の中にソニー・ロリンズが入っている曲が3曲もあったから。それだけのことで買っちゃうんだから、若い頃の僕は相当にクリフォード・ブラウンの演奏に魅了されていたんだなあ。。
「クリフォード・ブラウンが生きていたら、その後のジャズの歴史は変わっていた」なんて言われるほど、ブラウニーは突出した存在だったそうです。たしかにこのトランペットを聴いたらそう言われるのもうなづけます、すごいもんなあ。。ところが彼は56年に交通事故で死んでしまい、みじかい活動期間でその生涯を閉じる事になってしまいました(・_・、)。これは、ブラウンの死の直後にブルーノートからリリースされた追悼アルバムです。僕が持ってるのはCDで、ボーナストラックの入った『Complete Clifford Brown Memorial Album』全18曲入りというものでした。クリフォード・ブラウンの参加したブルーノートのレコーディング・セッションは3回あったそうですが、これはそのうち2回がコンプリートされたもの。どちらも1953年録音なので、あの有名なアート・ブレイキーとのバードランド・セッションや、ブラウン=ローチ・クインテットよりも先の録音です。
ふたつめに、音がムチャクチャいい!!ジミヘンのライブ録音って、モービルが入ったものはたぶん10公演ぐらいしかないと思うんですが、それらの公演から選ばれてるのでさすがに録音がいいです。スタジオ録音より音がいいと言っても過言ではないほど。そしてミックスも素晴らしいです。のちに大量にリリースされることになったジミヘンのライブ発掘音源って、音が悪いものがけっこうあったんです。比較しやすいのは、このアルバムと同じ音源が入っている70年8月31日のワイタ島のライブなんですが、このレコードは音がめっちゃくちゃいいし迫力もあります。でも、『Live Isle of Wight 70』は…これ以上はちょっと書けないな(^^;)。というわけで、『イン・ザ・ウエスト』は録音とミックスが素晴らしいです!
ジミ・ヘンドリックスが死の直前に行ったワイタ島でのライブ、僕が中高生の頃にはひとつ前の日記で紹介した『Isle of Wight』だけが出ていましたが、のちにこんなCDも出ました。曲は「Loverman」と「In from the Storm」がダブり…かと思いきや、『Isle of Wight』はコンサート2日目8/31の録音で、こちらは初日8/30の録音なので、同一演奏のダブりはなし。ついでに、僕のジミヘン熱に拍車をかけた「Machine Gun」が収録されてる!という事で、けっきょく買ってしまった20歳の頃の僕でした(^^)。20歳というとロックはほぼ卒業していた頃だと思うんですが、ジミヘンは別だったんだなあ(^^)。メンバーは、ジミヘン(vo, g)、ビリー・コックス(b)、ミッチ・ミッチェル(dr)。
演奏は、ギターもドラムもベースも2日目と同じぐらい良いと感じました。「Voodoo Chile」と「Machine Gun」なんて名演じゃないでしょうか。 でもこのアルバム、音が変なのです。エッジが立ってないというか音が汚いというか、ミックスが色々と雑…。色々あるんですが、ふたつあげると、特定の音だけ「ブワーン」を膨らむ事。もうひとつはリヴァーブにものすごく癖のあるマルチディレイをかけてること。 例えば1曲目「Message to Love」はキーがD♭なんですが、ベースがD♭を弾くとブワーンと膨らむんですよ。これはヘッドフォンで聴いても他のスピーカーで聴いてもそうなので、僕の家のオーディオのせいじゃなくてミックスそのものが原因だと思うんですよ。しかも、ジミヘンとビリー・コックスは楽器を半音下げでチューニングしているように聴こえるので、D♭はライヴを通してよく登場するんです、そのたびに「ブワーン」。ついでに、その辺の中低域に明らかな音溜まりがあって、音が団子になって聴きにくくなってます。こんなのライブではよくある事なんだから、ミキシング・エンジニアが共振周波数をカットしろよ、と思ってしまいます。そんな事すら出来ないエンジニアって、2流じゃなかろうか。
ワイタ島の音源は、『Isle of Wight』にしてもこのアルバムにしても、ミックス次第では名盤になっていたかも知れないと思ってます。ジミヘンやバンドじゃなくて、スタッフのせいで質が落ちているというのが何とも残念…。ところで、ワイタ島のライブって、今回感想文を書いた2枚のアルバムの後にも出ましたよね?そっちはどういう音源でどういうミックスなんでしょう、気になる…。
(from 1970.8.31 the Isle of Wight Festival) ・Intro/God Save the Queen ・Message to Love ・Voodoo Child ・Lover Man ・Machine Gun ・Dolly Dagger ・Red House ・In from the Storm ・New Rising Sun
地味に感じた印象の原因はたぶん2つで、ひとつミックス、ひとつは選曲です。まずミックスですが、以降に出されたワイタ島ライブの音源より明らかにプロっぽいミックスで音はすごくいいんですが、問題はバランス。演奏中はオーディエンスマイクを全部オフ、それぞれの楽器はかなりオン、ドラムは小さめ。だから、それぞれの楽器の音は良い気がするし、演奏も個々で聴くと素晴らしいんだけど、バンド全体がグワッと鳴ってこないんです。「ステージが広くてモニター返しが悪くて、慎重に演奏してるのかな?」な~んて思ってしまうほど。これは楽器同士のバランスを間違えたミックスが悪いんじゃないだろうか。もっとドラムを出そうぜ、みたいな。 もうひとつは、選曲が地味なこと。6曲しか入ってない短さもマイナスに感じたのかも知れません。でもこれは、死んだ翌年に出されたアルバムという所を考えると、意味が分かった気がしました。だって、6曲のうち3曲がスタジオ盤未収録曲ですから、リリース時にまだ知られていなかった曲をなるべく出そうという計らいだったんじゃないかと(のちに『The Cry of Love』なんかに収録されてリリースされた)。もし自分の好きなアーティストが死んで、その追悼ライブ盤が出て、その半分が未発表曲だったら、素晴らしい選曲と感じると思うんですよね。だから、このレコードの価値はリリースされた当時と今ではちょっと違うんだと思います。
というわけで、ジミヘン最後のライブは、いつも売ろうと思って「最後に一回」みたいに聴くんですが、決して悪くないもんだから、ずっと売るのを踏みとどまっている状態(^^;)。でも、ジミヘンのライブ盤だと他にもっといいものがあるから、やっぱり手放そうかな…いや、このアルバムじゃないと「All Along the Watchtower」や「In From the storm」や「Midnight Lightning」や「Freedom」のトリオ演奏ライブは聴けないし、ジャケットがLPだとメッチャかっこいいんだよな…な~んて思って、またしても手放せそうにないのでした(^^;)。いいや、死ぬまで持ってよう。
(from 1970.8.31 the Isle of Wight Festival) ・Midnight Lightning ・Foxy Lady ・Lover Man ・Freedom ・All Along the Watchtower ・In from the Storm
ロック伝説の公演!1967年6月18日、モンタレー・ポップ・フェスティバルでのジミヘンのライブ演奏です。ジミヘンがギターを燃やしたことで有名なステージがこれで、このライブがジミヘン伝説の始まり!これはLPですが、音源はフィルムと同じなんでしょうね(^^)。ドキュメンタリーフィルムとの違いは、このLPには「Can You See Me」が入ってること。そしてこの「Can You See Me」が、あのちょっとショボめのスタジオ録音とは大違いでものすごい勢い!いやーこれはカッコいい。。
ジミヘンのライブって、モンタレーから始まった感があるじゃないですか。つまり、最初の時点で、死ぬ直前まで弾き続けた「Foxy Lady」「Purple Haze」「Rock Me Baby」というナンバーを演奏していて、しかもどれも完成形。演奏が完全にモノになっていて、ぶっ飛んでます!まあでも、プロのセッション・ミュージシャンとして活躍していた頃からとんでもない評判のプレイヤーだったそうなので、デビューと言ったってその時点で8年選手ぐらいのベテラン状態、このぐらいは朝飯前だったんでしょう。ソロ・デビュー前のバックバンド時代の録音を聴くと、これ以上にキレッキレだったりしますしね。それにしても、オープニングの「Killing Floor」のキレッキレのカッティングは人生で何度聴いてもものすごいっす。やっぱりブレイクする人は、ここ一番の大舞台でバシッと決めてるもんなんですね。。
とはいえ、若い頃に聴いた印象だと、最初の「Killing Floor」はカッコいいけど、その後はそこまで持ち上げるほどのものと思わなかったんです。聴く前の前評判が高すぎた事もあったのかも知れませんが、途中でだれるんですよね。久々に聴いて、その理由が何となくわかりました。「Like a Rolling Stone」と「The Wind Cries Mary」が勢いを削いでる事と、ジミヘンの才能が勢い方面に全振りな事です。 まず、ライブの流れをもたつかせている2曲カットして聴いたら…うわあ、すごい勢い、爆走じゃねえか、メッチャかっこいい! で、勢い方面に全振りの演奏ですが、いま聴くとこれはこれでいいと感じました。一本調子になってるし、デビューアルバムみたいな作曲センスや『Electric Ladyland』みたいなアーティストとしての才能は聴けないけど、これはレコードで聴く前提じゃなくて、フェスティバルの大トリでのパフォーマンスなんだから、細かい音楽のニュアンスや曲じゃなくて、男気を伝えてぶっ飛ばす、という以上の正解はないのかも。「Wile Thing」なんて、ほとんどノイズ・ミュージックですし(*´∀`*)。 ロックの中で伝説に残っているステージのひとつ。好き嫌いはともかく、これを一度も聴かずに人生を終えちゃいけません!