
ジュネーヴ民族博物館のシリーズの中の1枚、中央アジアのドタールの演奏集です。日本盤は「〈中央アジア〉ドタールの名手たち」。国で言えば、
ウズベキスタン、
タジキスタン、
イラン、
トルクメニスタンあたりだそうです。このCDは素晴らしかったです!
ドタールは、中央アジアから東アジアにかけてたくさんある細い竿の撥弦楽器のひとつで、2弦のもの。「ド(2つ)タール」という意味なんだそうです。これらの楽器は
タンブールとかセタール(3弦)、チャハルタール(4弦)なんて言われるみたいで、2弦のものはドタールまたはドンブラというそうです。
ドタールはガットまたは絹の弦を使うのに対して、タンブールやセタールは金属弦を使うそうです。また、
ドタールとドンブラは指で演奏して、タンブールやセタールはプレクトラム(ピック)を使って演奏するそうです。ああ、この説明だけでも、ガット弦で指奏のドタールは僕の好きなタイプ(^^)。。あ、あと、ドタールはリズミックな演奏となるので、ほとんどの場合で打楽器と一緒には演奏されないんだそうです。
このCDに入っていた演奏は、インストが6割、弾き語りが4割ぐらい。地域別に4つに分かれていて、地域でけっこう違うのが面白かったです。地域別に見ると…
ウズベキスタンのブハラのドタール(2曲)。これは都会の古典音楽らしくて、たしかにちょっと古風な感じ。といっても、普通にフラメンコギターレベルの演奏ですげえ…というか、かなりフラメンコっぽかったです。。ラスゲアードみたいな奏法がすでにあったんですね。。
タジキスタンのパミールのドタール(4曲)。僕にはウズベキスタンのものとどこが違うのか分からなかった(^^;)。
インスト曲はほとんどフラメンコ。この中の1曲はフレットつきドタールなんてのを弾いていて、これは完全にフラメンコ(^^)。でもこの地域の音楽で最高峰と言われている音楽形式はハーフェズと言われる吟遊詩人の弾き語りだそうで、なるほどこれだけ演奏も曲の形式も変わるんですね。
イランのホラーサン東部からアフガニスタンにかけてのペルシアのドタール(4曲)。お、これは楽器の音がぜんぜん違う、
復弦じゃないかい?これはメッチャかっこいい!!やっぱり中央~西アジアの音楽最強はイランだな。それにしても、これは馬鹿テクじゃないかい?4曲中3曲がアブドッラー・サルワル・アハマディという人の演奏でしたが、これはすげえ。。残る1曲の演奏も凄かった。
イランのホラーサン西部のトルコのドタール(2曲)。これもやっぱり復弦。いやあ、トルコのドタールはどれを聴いても「すげえ、メチャクチャいい」という言葉しか出ないっす(^^;)。なんというんでしょうか、どれもこれも楽器と演奏者が一体となってるというか、もう考えるより前に音が出るぐらいのレベルなんでしょうね。ちなみに、これはヴォーカルも素晴らしかった。。
イランのホラーサン西部からトルクメニスタンにかけてのトルクメンのドタール(6曲)。
この地域の音楽で有名なのは、バフシと呼ばれる吟遊詩人の演奏だそうで、このCDにはそれが入ってました。これも素晴らしいんですが、楽器よりも歌に力が入ってる感じかな?
いやあ、中央アジアから西アジアにかけての音楽はとにかくすごいです。つまらないと思ったものを聴いたためしがないです。撥弦楽器の演奏にかけては世界最強クラス、これは一生手放さない殿堂入りCDに決定です…って、なんでこんなすごいCDを20年ぐらい聴いてなかったんだろう、僕は(^^;)>。。
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