中国の宮廷音楽は雅楽が有名ですが、雅楽が残っているのは韓国と日本で、共産主義国家になった中国に雅楽はもう残ってないらしいです。というわけで、今も残っている中国の漢人音楽というと、二胡(アルフー)または高胡(カオフー)曲、笛子(デイズ:中国の横笛)、箏(ジエン)、中国琵琶、ヤンチンあたりの演奏という事になるのかな?これは、許可(Xu Ke シュイ・クゥ)さんによる、二胡独奏集です。録音は1995年の三鷹…なるほど、日本制作CDなんですね。許可という方、
中国音楽 に疎い僕ですらよく名前を聞く人なので、もしかすると日本在住の中華系の人をメインターゲットにしたCDなのかな?
華彦釣(阿炳)(ホア・イェンジュン、アービン1893-1950) と
劉天華(リュウ・ティエンホウ1895-1932) というふたりの作曲家の作品を取り上げていました。おお、劉天華さんは名前だけは聞いたことがあるぞ!
二胡の独奏曲の作曲をした人では、劉天華は最重要人物 なんだそうで。
阿炳さんの曲では、「二泉映月」 という曲だけは知ってました。これ、いい曲ですよねぇ(*´ー`*)。
シェイ・クゥさんの演奏、きっとすごいうまさなんだと思います。僕、日本人の二胡奏者の演奏を聴いたことが何度かありますが、たいていピッチがかなり悪く、音色もたいがいはかすれて汚い…などなど、クラシックのヴァイオリンやチェロといった擦弦楽器のマエストロの演奏に聴き慣らされた現代人の耳には聴けたもんじゃなかったのです(^^;)。でも二胡って見るからにシンプルな作りだしフレットレスだし、聴く側が思っているより相当に難しい楽器な気がするんですよね。それがこんなに普通に鳴ってしまうのは、きっとすごいことなんだと思います。
でも、僕自身は中国のこういう民間音楽には、いいところとダメなところのふたつを感じてしまうんです。いいところは、大河的なゆったりした感じ。きわどい音も全く使わず安定していて、お茶飲んで「ふう…」と落ち着く感じがいいです(^^)。
苦手なところは…単純すぎて退屈に感じてしまう事が多かったりして(^^)。だって多くの曲が、1/長2/長3/完全5/長6、みたいな長音階系のペンタトニックの単旋律なんですよ。これだと演奏がうまくたって刺激がなさ過ぎてね。。漢人音楽は、民間音楽だけじゃなくて中華オーケストラも同じ傾向で、とにかく曲が安定して音もひたすらきれいなところを目指すPTA的なムードが、現代の毒に汚れた僕にはぬるく感じてしまうんですね、きっと(^^;)。南アジアや東アジアの音楽にあるような、響き線を使っての音の複雑化とか、強烈なリズムとか、倍音率から外れてくる音の組み込みとか、そういうものが欲しい。人間、美しさと同時にヤバいものもないと。清濁併せ呑む器量が必要…とか、聴きながら変な妄想をしてしまいました(^^;)。
でも、ストレス満載な現代社会に疲れて、ゆったりとした気分に浸りたいときに聴いたら、このCDはいいかも…いや、推薦しきれない理由がひとつあります。
このCD、いかにもわざとらしいデジタル・リヴァーブがかかっていて、そこがどうにも興ざめ でした。特に深い考えもなくただつけただけ、みたいな。音像を作るわけでも、アコースティックを作って楽器のおいしい音を作りだすわけでもなく、マジでただリヴァーブかけただけ、みたいな感じなのです。せっかく二胡の独奏をちゃんと聴くんだったら、こういうライトなワールドミュージック・エンターテイメントCDじゃなくて、現地録音のフィールドレコーディングものか、ちゃんとしたホールで録音したものを聴いた方がいいかも…ごめんなさい、生意気言ってしまいました(^^;)。
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