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心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

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『Pantera / Vulgar Display of Power』

Pantera Vulgar Display of Power 『The Great Southern Trendkill』に始まった僕のパンテラ熱はなおも続き、さらに遡って聴いたのが1992年発表のこのアルバムでした。すげえ痛そう、思いっきり殴られてるよ(^^;)。こういう音楽がチャート上位に食い込むんだなと思った時、数年おきにアメリカで銃乱射事件が起こる理由が何となく分かった気がしました(゚ω゚*)。撃ったり殴ったりしたくなるぐらい、みんな色々とストレスがたまってるんですね、きっと。そうそう、このアルバムのジャケットの下にも表記されている「Parental Advisory」というマークがCDに表示され始めたのもこの頃でした。

 これもカッコいい、以降のアルバムに比べると、少しだけ普通のロックに近いかな?ちょっとモーターヘッドを感じたりして。なーんて書きましたがそれは比較すればの話で、『Far Beyond Driven』とあんまり変わりません。歪みまくってるけど野太いギターの音でザクザクと刻む、これぞスラッシュメタル誕生以降のHR/HMという感じ。

 若い人が聴く音楽、好きだったけど自分の年齢的にはもう卒業かな…。でも若い時にはこういう音楽に同調できる人間でありたい、それが正しい青春というものの気がします。不正や拝金主義にまみれた不完全な資本主義社会の中でフラストレーションを感じない神経の方がどうかしてる、若いならそういうものをぶん殴るパワーが必要だ!…って、それがパンテラで良いのかはまた別問題ですね。。


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『Pantera / Far Beyond Driven』

Pantera Far Beyond Driven スラッシュ・バンドのパンテラが1994年に発表したアルバムです。自分が成人してからリアルタイムで聴いていたロックバンドって、パンテラとメルツバウとジョン・スペンサーぐらいかも。

 パンテラのアルバム『The Great Southern Trendkill』がなかなか良いと感じ、さかのぼる形でこのアルバムを聴きました。やっぱりヴォーカルがハードコアのように「グアアアアア~~ッ」と叫んでいて、それがバイオハザードで脳を撃ち抜かれたゾンビの断末魔の叫びににしか聴こえなくて苦手なんですが、それ以外は僕のツボでした。なんといってもギターのリフがカッコいい、音も野太くてハードロック的で好きです。ただ、好きと言っても同時代のロックをまったくと言ってよいほど聴いてなかったもんで、この音楽が90年代のロックでどういう位置にいるかも分からなかったし、またこのアルバムが2年後の『The Great Southern Trendkill』とどう違うかもわからず、ただ単に「ハードだし新しいな、これが90年代のロックなんだな」みたいに思ってました。

 こういうスラッシュとデスのハイブリッドみたいなロックがアメリカやオーストラリアでチャート1位になった事にびっくり。「殺す」とか「ドリルで脳を突き刺す」とか、そういうものが市民の人気ランク1位になるって、それだけロックが限られた人しか聴かないジャンルになってきたんだな、と感じました。まあ、よく考えれば皆に愛されるロックもどうかと思うし、それはそれで良いのか(^^)。90年半ばというと、日本でもポップスやロックが消えかかっていた頃だったし、ポップスやロックがもうニッチなものに戻りつつあったんですね、きっと。


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『Pantera / The Great Southern Trendkill』

Pantera Great Southern Trendkill テキサスのスラッシュメタル・バンド、パンテラが1996年に発表したアルバムです。スレイヤーの『Reign in Blood』にぶっ飛んで以降、数年に一度の割合で無性にスラッシュやデスメタルを聴きたくなっていた若い頃でした。あまり片寄らず、広く色んなものに触れていたいという気持ちもあったのかも知れませんが、それがスラッシュメタルでいいのかと言われると微妙ですが(^^;)、好きなんだから仕方ない。

 スレイヤーと同じように、最初のデスヴォイス(ハードコア的な「グオオオオ」みたいな例の絶叫です^^;)でちょっと引いてしまいましたが、そこを過ぎたらカッコいい!!最初に一回ドン引きさせる絶叫をかますのはスラッシュのお約束なのかな?詳しくないから分かりませんが、いかにも喉に悪そうなダミ声絶叫はあんまり趣味じゃない…でも、それ以外は音楽も演奏も何もかもが刺激的、これはいい!ギターのリフが命の音楽でしたが、そのギターの音がスラッシュメタルの中では太くてハードロック的で良かったです。どんなに速く弾かれても音が細いとダメなんですよね、僕。メタルよりハードロックが好きな理由のひとつはそこかもと思うぐらいです。
 また、スラッシュという割にZZトップやスティーヴィー・レイ・ヴォーンあたりのハードブルースっぽいものも混じって感じましたが、このへんは地域色なのかも。アメリカではデトロイトとテキサスがハードでやさぐれた音楽の宝庫で大好きです(^^)。ついでに、アメフトのチームもこのへんのチームが好きだったりして。ライオンズとカウボーイズばんざい。

 というわけで、個人的には、スラッシュメタルというよりも90年代のハードロックと呼びたくなるロックでした。それぐらいカッコよかったです。


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『エチオピアの音楽』

Ethiopia no ongaku キングレコードが1971年に現地録音してきた東アフリカはエチオピアの音楽です。解説が小泉文夫さんだったので、小泉さんの研究班が行ったのかな?エジプトとかエチオピアって、アフリカ大陸ではあるけどアラビア半島が近いし、なんとなく黒人社会という気がしません。実際に、黒人とアラビア人の混血が一番多いらしくて、民族も政治的に優勢なアムハラ族が多数派というわけでもない多民族国家。宗教もなんと6割がキリスト教系で(エチオピア正教会。CDの解説にはコプト教とも書いてあったけど、エチオピア正教会とコプト教は違うのかな?分かんないや^^;)、イスラム3割なんだそうです。
 さて、このCDに入っていた音楽は、大きく分けて3種類。ひとつは大道芸人の音楽、ひとつは祭りのときの舞踊音楽の合唱、もうひとつは教会系の音楽でした。

 まずは、大道芸人の弾き語り、これは3曲入ってました。マシンクォという1弦の擦弦楽器を弾きながら歌っているものは、プリミティブでなかなか怪しい感じ。他には、キラールという聴いた感じは月琴みたいな音のする楽器の弾き語りも入ってましたが、これもあまりテクニカルじゃなくてガシャガシャひっかきまわして怪しい感じ。

Ethiopia map 祭りの音楽は、人が大勢集まって輪になって踊ったり歌ったりするものでした。こういうものはゼフェンというそうで、手拍子とコール&レスポンスの合唱でした。これも、高度なコール&レスポンスというより、みんなでガヤガヤやってる感じ。

 エチオピア正教会系の音楽は、色々入ってました。
 まずは讃美歌、これは無伴奏でユニゾンなので、けっこう原始的に感じました。
 次に、聖歌。これは僕が想像しちゃう西ヨーロッパの讃美歌でもロシアやウクライナの正教会の見事な合唱でもなく、まるで仏教の読経。25分ぐらいずっと読経してましたが(フェードインしていたので、本当はもっと長いんだと思います)、古代のジャングルの奥地で神聖な儀式が執り行われてるみたいな雰囲気、壮観で驚きました。
Ethiopia_photo.jpg あと、皇帝が来て儀式を行う時の模様もすごかった!手拍子しながらアフリカ系の低音の皮物の打楽器がドコドコいって、ガヤガヤみんなで歌うアフリカの部落の祭りみたいな感じなんですが、ものすごい人数でウワーってなってて圧倒されました。5万人ぐらい入る野球場やサッカー場で地鳴りするような歓声が上がる時があるじゃないですか、あんな迫力がずっと波状攻撃のように続いてました。これはすごい!

 印象だけでいうと、大道芸人の音楽はプリミティブなアフリカ黒人音楽という感じ。後から作られただろう讃美歌は多分ヨーロッパのキリスト教音楽ともアフリカ音楽とも関係ない感じのシンプルなもの。そして教会音楽はキリスト教なんだろうけど、そこで使ってる音楽は仏教音楽のようで、荘厳で神秘的、何より人数がものすごい感じで、圧倒されました。いやあ、この教会音楽は他ではちょっと聴けない音楽、ものすごい体験をしてしまった。。音楽を聴いたというより、まったく知らない土地で、ものすごい人数で行っている宗教的な儀礼に参加してしまった感覚です。すごいわ…。


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『Sudan: Music of the Blue Nile Province - The Gumuz Tribe』

Sudan_Blue Nile_Gumuz Tribe ひとつ前に紹介したスーダンのブルーナイル州のインゲッサナ族&ベルタ族のCDの姉妹盤、こちらはグムズ族のCDです!ベルタ族の音楽でカルチャーショックを覚えて猛烈に感動したもんで、たまらずこれも買ってしまいました。アフリカの音楽すげえ。このCDに収録されている音楽を演奏しているグムズ族は、エチオピア西のスーダンとの国境地域と、スーダン南東にあるブルーナイル州に住んでいるそうです。

 グムズ族の音楽はすべての氏族で似ているそうですが、詞はちょっと違うんだそうで。でも言葉が分からないので、詞の内容は分かりませんでした(^^;)。音楽の雰囲気から言うと、人に聴かせるものではなく村の人が全員参加して歌う感じ。西アフリカのポリリズミックな打楽器合奏みたいに激しいものは少なく、また儀式的な厳かなものもなく、みんなでゆったり楽しく歌ってる感じで、基本的にヘテロフォニー気味の斉唱でした。

 斉唱チームが2つに分かれる事があったり、ひとりで歌うリーダーが現れて、斉唱チームとのコール&レスポンスになったり、みたいな。たまに入ってくる合いの手が馬のいななきを模倣してるんですが、これが異様にうまくて、最初は本当に馬かと思いました。あまりに絶妙のタイミングで入ってくるので、ようやく「あ、これ、人が擬音してるのか」とようやく気付いたほど。
Sudan_BlueNile.jpg コーラスは完全な無伴奏ではなく、最低でも4分音符で「ドン・ドン」と映打楽器の音がついていました。リズム楽器はシンプルなものばかりでなく、アフロキューバンではないかと思うほど高度な16ビートもありました…キューバよりこっちがオリジナルなんでしょうが(^^)。そして、ものによっては不思議な音のする管楽器が重なる事も。この管楽器が、昔の自転車についていた「パフッ」みたいな音も混じっていたりして、和やかな雰囲気。やっぱり、基本的にみんなで楽しむための音楽なんじゃないかなあ。
 でもって、斉唱チームは基本的に女声なんですが、これが子供みたいな声。皆が可愛らしい声でミャーミャーと歌っているので、子猫たちがニャンニャン騒いでるようでかわいい(^^)。

 こういう共同体の絆が強そうな社会っていいなあ。こういう社会では、音楽は、絆を強める効果もあるんでしょうね。音楽を聴いているというより、村の一因になって皆で楽しく歌っている気分。これもいい、実に楽しかったです(^^)。


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『Sudan: Music of the Blue Nile Province - The Ingessana and Berta Tribes』

Sudan_Blue Nile_Ingessana and Berta Tribes エジプトの南、エチオピアの西にある北東アフリカの国・スーダンの民族音楽を収録したCDです。レーベルはユネスコ…という事は、音楽の世界遺産という理解で良いのかな?僕が持っているCDは輸入盤で解説が英語。というわけで、僕のつたない語学力で頑張って大事なところを訳すと…これは1980年に行われたスーダンのブルーナイル州の現地録音。インゲッサナ族とベルタ族の音楽が収録されています。近い場所に住んでいるふたつの種族ですが、文化はかなり違うそうです。

 インゲッサナ族はイスラム化しなかった部族で、イスラム侵入以前のネイティブな文化をイ維持している部族だそう。インゲッサナには4つの主要グループがあって、このCDではうち2グループの音楽を収録。竹フルートやジャンガー(竪琴の一種)なんかを使っていました。
 彼らの音楽は確かにプリミティブでした。でもこのプリミティブさが曲者で、聴き始めた時には退屈。でも聴き続けていると病みつきになってしまいました(^^)。合唱は中央アフリカや南アフリカのものすごいポリフォニーではなくて、皆で一斉に同じメロディを歌う斉唱のような感じ。弾き語りも、ビリンバウのように少ない数の弦を張った弦楽器で、いくつかの音をひとつのリズム型で反復しながら歌う感じ。ただ、このシンプルな伴奏に乗せて歌う歌が、歌というより語り、それもラップのようにものすごいマシンガントークですごい!ああ~これは何を語っているのか知りたい、きっと英雄物語だったり伝説の伝承だったりするんだろうな。。

Sudan_Map.jpg ベルタ族の音楽。ベルタ族はこの地域で最大の部族で、アラビア化された文化を持っているそうです。それは音楽にもあらわれていて、ルバーブなんかの楽器も使っていたりして。他には垂直フルート、ひょうたんトランペットなんかも使ってました。
 トラック7から始まる音楽がすごい!!例えば、ひょうたんトランペットと合唱のコール&レスポンス。それぞれのパートはヘテロフォニー、そしてパート同氏は似た形を模倣するんですが、これがクロスフェードして出たり入ったりするコール&レスポンスのようなポリフォニーのような、何とも言えない音楽なのです。これはすげえ。集団で入れ子細工になる音楽をやらせたら、アフリカの民族音楽は世界の最先端だと思ってしまうなあ。

 アフリカのプリミティブな音楽には毎度驚かされます。こんな集団音楽、自分ではとても思いつかないし、音の印象もまったく経験したことのないもので、本気で驚かされます。やっぱり、自分お知っているものにばかり触れていないで、知らないものにどんどん挑戦していった方が感動が大きいですね(^^)。。


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『Gerry Mulligan / Night Lights』

Gerry Mulligan Night Lights ウエストコースト・ジャズと言って、すぐに名のあがるミュージシャンって、アート・ペッパーチェット・ベイカーなんでしょうが、僕はジェリー・マリガンジム・ホールやチコ・ハミルトンやシェリー・マンの方がウエストコースト・ジャズっぽく思ってしまいます。それって、どこかで「知性こそウエストコースト・ジャズ」と思っているのかな…だから、プレイヤーじゃなくてアレンジャーに目が行くのかも。これは、1963年にフィリップスからリリースされた、ジェリー・マリガン個人名義のアルバムです。メンバーは、Gerry Mulligan (bari.sax, p)、Art Farmer (flugelhorn)、Bob Brookmeyer (valve trombone)、Jim Hall (guitar) 、Bill Crown (contreBasse)、Dave Bailey (dr)。

 西海岸のジェリー・マリガンは、東海岸のアドリブ至上主義なハードバップ文化と違って、アレンジとかそういう所で「うわあ、これは凄いな、かっこいいわ」と感心させられることが多かったんですが、このアルバムはいい意味でほとんどムードミュージック。それが恐ろしいほどの美しさで、ジャズなのにピアノかメゾピアノぐらいの感じの演奏ばかり、音も絶対に張らずにふくよかな音を保ち続けてます。ギターのジム・ホールなんて、ほとんど鈴の音じゃないかってぐらいの美しい音で、演奏以前に音色だけでやられてしまいました。

 このアルバムをはじめて聴いた時、僕はもう30代に入っていたと思うんですが、はじめて聴いた時の感動は今もどこかに残っています。ウエストコースト・ジャズは客に寄せたムードミュージックに流れ過ぎて終わってしまった気がするんですが、それでもこれだけ美しいと、そっちに流れていった気持ちも分かるなあ。当たりアルバムを引き当てた時のウエストコースト・ジャズは、生きていてよかったと思うほど美しかったり、ため息が出るほどリラックスした音楽だったりしますが、これは間違いなくそういうウエストコースト・ジャズ的な大当たりの1枚。大推薦です!


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『The Gerry Mulligan Quartet』

Gerry Mulligan Quartet_The チェット・ベイカー参加の伝説のカルテットとタイトルがそっくりですが、こちらは「The」がついてる…間違い探しみたいですね(^^;)。チェット参加のカルテットの10年後となる1962年に発表された、ジェリー・マリガン・カルテットの作品です。レーベルはヴァーブ、メンバーはGerry Mulligan (bari.sax), Bob Brookmeyer (Valve Trb, pf), Bill Crow (b), Gus Johnson (dr)。ジェリー・マリガンのカルテットを、ピアノレスの2管でやってくれたのは粋な計らいでした(^^)。1曲だけ、ボブ・ブルックマイヤーがボーンじゃなくピアノを弾いている曲がありましたが、これも良かったなあ。。

 52年から62年というと、ジャズでは激動の期間。52年だとジェリー・マリガンの活躍したウエストコースト・ジャズが全盛でしたが、その後東海岸でハードバップが一気に広がってウエストコーストは衰退。また50年代末になるとハードバップすら時代遅れになりつつあって、モードジャズもフリージャズも台頭しました。これだけの変化があったジャズ界で、最高に気持ちよく知的なアンサンブルを聴かせたジェリー・マリガン・カルテットが10年でどう変化したかというと…同じことをやってました(^^)。でもこれがめっちゃくちゃ気持ちよくて、ジャズの中にこういう古き良きレイドバックした雰囲気を残したものを残してくれた事を嬉しく思いました。知名度や歴史的価値ではチェット・ベイカー在籍時の方が上なんでしょうが、こと音楽だけで言うなら、こっちのカルテットのアルバムの方が上じゃないかと。

 もし何の予備知識もなく、僕がこのレコードを聴いたら、スウィング時代の名プレイヤーが何人か集まって演奏したアフターアワーズか、それこそ50年代初頭のウエストコースト・ジャズと思ってしまいそう。そのぐらいの心地よさです。ジャズは都市部の音楽だと思いますが、都市で働いた大人が、働いた後にこういう落ち着いた音楽をくつろいで聴いていた時代のアメリカって、サラリーマンにとって本当にいい世界だったと思います。こういう事はクラシックやロックやポップスには難しそうですもんね。。ウエストコースト・ジャズばんざい!


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『The Gerry Mulligan Quartet / What is there to say?』

Gerry Mulligan Quartet_What is there to say ウエストコースト・ジャズと言ったら、僕的にはアート・ペッパーチェット・ベイカーよりもこの人。名アレンジャー、名バリトンサックス奏者、そして名バンドマスターであるジェリー・マリガンです!ジェリー・マリガンのカルテットは伝統的にピアノレスの2管ですが、この1958年発表のアルバムもやっぱりピアノレスでした。これが気持ちいいんですよ!!メンバーは、マリガン(bari.sax)、アート・ファーマー(tp)、ビル・クロウ(b)、デイヴ・ベイリー(dr)。

 アンサンブルが素晴らしい、アレンジが素晴らしい!アドリブも満載なんですが、ハードバップみたいに「はい、ここから彼のアドリブね」みたいに、テーマが終わったらあとはみんなでアドリブ回しておしまいってことがないです。ある曲ではオブリ側がきっちりと書かれていたり、ある曲ではアドリブがフォーバーズになっていたり、とにかく構造に気を利かせてあって最高、ハードバップ以降のジャズにありがちな構造の退屈さがありませんでした。
 そして、プレイヤーが全員うまい!最初に耳を奪われたのがベースのビル・クロウのピッチの良さ。ジャズのウッド・ベースって一流プレイヤーでもピッチが怪しい人が多いです、ロン・カーターなんてメッチャ怪しいし(^^;)。でもビル・クロウさんのベースはピッチもリズムもメッチャいい!これはこういうアンサンブル物をやるには超重要なことじゃないかと。
 同じことが他のプレイヤー全員に言えて、アンサンブルばっちりの室内楽をやるための技術を全員がしっかり持ってる感じ。アート・ファーマーなんて、若い頃の僕は「地味だしぜんぜん押しが弱いし、なんでこれがいいんだ?」な~んて思ってたんですが、なるほどアンサンブルのメンバーになるなら、マイルスみたいなミスタッチなんてまったくしないし、ピッチもリズムも正確だし、アドリブもまるで楽譜を演奏しているようにきれいなラインを作るし、完璧でした!

 ウエストコースト・ジャズ特有のレイドバックした心地よさと、スコアとプレイ両方でのアンサンブルの見事さが共存していて、しかもやっていることが大人、100点のレコードでした!若い頃から好きなアルバムでしたが、こういう音楽は40代50代になってから聴くとさらに良さが分かる気がします。今の日本の在野の音楽で、40代50代が楽しめる知的な音楽なんてひとつもないですよね。この前の紅白歌合戦なんて知能レベルが15歳ぐらいで止まってるんじゃないかと思いましたし。。そう考えると、50年代のアメリカはいい文化を持ってたんだなあ。


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『Gerry Mulligan Quartet』

Gerry Mulligan Quartet 1950年代のジャズは、ハードバップのアドリブ合戦に白熱していたアメリカ東海岸に対して、西海岸はアレンジや美しさなど知的なアプローチが目立ちます。そんなふうに僕はイメージしてますが、このアルバムは,50年代に輝いたウエスト・コースト・ジャズの先陣を切った1枚、1952年発表の10インチ盤です。メンバーは、Gerry Murrigan (baritone sax)、Chet Baker (tp)、Bob Whitlock (b)、Chico Hamilton (dr)。もう、メンツだけでおいしい音楽が聴けそう(^^)。

 このバンド、カルテットとは言うものの編成が面白くて、トランペット、バリトンサックス、ベース、ドラム…ピアノレスです。そのコンセプトが独特の色彩を生み出していて、2管が和声的に絡んだり対位法的に絡んだりすることでアンサンブルの妙を作り出してました。ピアノを入れちゃったらこういう面白さは生まれないですもんね。そして、3管ではなく2管にしたので、絡み方がフィギュアスケートのよう。「和音!」って感じじゃなくて、ふたりが糸のように絡んでいくのが楽しいです。こう書くと難しい音楽のように感じてしまうかもしれませんが、あくまで仕事帰りに寄ったジャズクラブでお酒飲みながら楽しめるような楽しいジャズなんですよ、ここが粋でいいなあ。

 そして、ちょっと驚くのがチェット・ベイカーのプレイです。チェット・ベイカーって、楽譜が読めなかったっていうじゃないですか。それでこういういかにもスコアに書いたような音楽を演奏しちゃうんだ、みたいな。スコアで演奏するならなんてことないと思うんですが、なかなか混み入ったラインなので、これを覚えて演奏するとなると、けっこう骨が折れると思うんですよね。スコアには弱かった人かも知れないけど、音感のいい人だったのかも知れません。さらに、アップテンポの曲でのチェットのアドリブが素晴らしくて、「イエ~イ!!」みたいにちょっとご機嫌なってしまいました(^^)v

 ジャズって、少なくともこのアルバムの40年ぐらい前にはもうクラシックと交流があったし、やろうと思えばこれぐらい粋な事は出来るレベルまで来ていたはずです。実際、ウディ・ハーマン楽団とか、先駆けはあったんですよね。そういうクラシカルで知的なアプローチのジャズが大衆に受け入れられたのが凄いです。大衆文化から知性のかけらもなくなった今だったら、こういうのが出てきても聴かれずに終わっちゃいそうですもんね。。難しすぎず、しかし知的で、アドリブに行けばマリガンもベイカーも見事なアドリブを聴かせてしまうという実にシャレオツな1枚でした!そうそう、マリガンもベイカーも、お宅でクサそうで音楽だけやってるマニアじゃなくて、ルックスもファッションもかっこいいし、粋ですよね。こういうものぜんぶ含めてウエストコースト・ジャズというんじゃないかと。このレコード、僕は10インチ盤で持ってるんですが、むっちゃ高かった…。今だと、ボーナストラック入り18曲のCDが出ているので、そっちを買った方がいいかも。


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『プッチーニ:歌劇《マノン・レスコー》全曲 ムーティ指揮、ミラノスカラ座管弦楽団・合唱団』

Puccini_ManonRescoe_Muti_MilanoScala.jpg おお、拍手から始まった!ライブ盤とは思ってなかったもんでびっくりしました(^^;)。ヴェルディと並ぶイタリアのオペラ作曲家の代表格プッチーニの出世作、マノン・レスコーです。この作品を現代に翻案した「情婦マノン」という映画を観た事ありまして、マノンというのは性悪で男を狂わせる代名詞みたいな女性かと思ってました。ところが、このオペラだとちょっと違っていてビックリ。

 騎士デ・グリューは、修道院に入る直前の美女マノンにひと目ぼれします。でも金持ちジェロンテもマノンを狙ってます。修道院に行ってはいけないとデ・グリューは口説き、ふたりはパリに駆け落ち。ボロ家で愛を交わしますが、ふたりはすぐに引き離され、マノンはジェロンテの愛人になってセレブな生活。今度はデ・グリューがマノンを取り返しに来て、またしても二人は駆け落ち。金持ちジェロンテがそれを見逃すはずもなく、警察に訴えてマノンは捕まり、植民地アメリカに島流し。デ・グリューは何とか島流しの船に乗り込み、ふたりはアメリカで脱走。しかし荒野でマノンは力尽きて息絶えます。

 やはりヴェリズモ、またしても死が結末(・_・、)。でも、それ以上に心を動かされる結末なんてないのかも知れません。この作品が大ヒットしてプッチーニは一躍有名になり、以降はルイージ・イッリカ&ジュゼッペ・ジャコーザ脚本、プッチーニ音楽という三者タッグで「トスカ」「蝶々夫人」とヒット作を連発、今も上演され続ける傑作オペラを立て続けに残しました。ちなみに「マノン」の原作は、アベ・プレヴォーという人が18世紀に書いた『ある貴族の回想録』という小説の中に含まれる古いもので、当時のベストセラーだったそうです。

 スコアは、まだ劇伴という感じが強くて、ストーリーに付随してムードだけ作っているだけのところが多く、そんなに面白く感じませんでした。チャイコフスキーのバレエ音楽にも同じことが言えますが、舞台音楽って、最初の頃は作曲家が台本や演技を音で演出する事に気を遣い過ぎて、音楽そのものが弱かったりするんですよね。でも舞台音楽って、作曲家がある程度図々しく自己主張するようになってからの方が面白いです。
 演奏と録音は…このCD、合唱がピッチもタイミングもけっこう怪しい(^^;)。オケも曲も録音もいい感じですが、オペラみたいに大がかりなもののすべてをパーフェクトに持ってくのって、天下のミラノ・スカラ座と言えども容易じゃないんでしょうね。それにしても、心を動かされた悲劇でした。なるほど名作と言われるだけのものはあるかも。そうそう、この作品はDVDにもなっているので、そちらを買う方が賢明かと。


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『プッチーニ:歌劇《トスカ》全曲 ホセ・カレーラス(tenor)、カラヤン指揮、ベルリンフィル』

Puccini_Tosca_Karajan_BerlinPhil.jpg 「蝶々夫人」も「トゥーランドット」も、人の死ぬ悲劇がどこかに入った話でしたが、このトスカは悲劇そのもの、悲しみしかありません。ヴェルディもそうですが、イタリアのオペラって悲劇が多いですよね。こういうのって名前があるんだろうなと思って調べてみたら、ヴェリズモというらしいです。直訳すれば現実主義、19世紀末から20世紀初頭にイタリアで流行した文学の傾向で、現実的な題材を使った悲劇的な内容が多く、客観的に描いているのが特徴みたいです。幻想的なロマン派文学は終わり、現実的な物語が台頭してきたという事なんでしょう。その中で悲劇の比率が多いのは、当時のイタリア社会が、庶民は北イタリアの巨大資本の搾取にあって実際に悲劇的な生活を続けていたからだそうです。そしてヴェリズモのもうひとつの特徴は、それがオペラに波及した事だそうです。なるほど、だとしたらこれはヴェリズモのど真ん中みたいな感じかな?日本でいう浄瑠璃の心中ものに似ています。

 有名女性歌手トスカと画家カヴァラドッシの物語です。ローマの王政に苦しめられていた自分と同志である脱獄囚をかばったために捉えられたカヴァラドッシ。トスカは警視総監に賄賂を払う事で彼を救おうとして、警視総監と見せかけの処刑を行なう密約を取りつけます。その後、トスカは見返りに彼女の体を求められ、その時に警視総監を刺殺してしまいます。
 見せかけの処刑、空砲でカヴァラドッシは逃れるはずでしたが、実は実弾。警視総監は最初からカヴァラドッシを救おうとは考えていませんでした。カヴァラドッシに近寄って実際に死んでいるのを知ったトスカは絶望、そこに兵士が迫ります。彼女はそれを逃れて城の上層階まで行き、投身自殺をします。

 なるほど、たしかに当時のイタリアの苦しい市民生活の現実から生まれた悲劇だ…。トスカはオペラの中でも重要な傑作とされているみたいですが、こと音楽に関しては、プッチーニは後の蝶々夫人のような印象派的な筆致も、トゥーランドットのような名曲のオンパレードでもないと感じました…まあこれは以降の音楽誌を知っている現代人である僕の感想ですけど(^^;)>。それでも、蝶々夫人やトゥーランドットよりも前の作品で、アリアの美しさはさすが。全体の作りもトゥーランドットに似ているので、プッチーニはトスカの時点ではオペラ作家としてもう完成していたんじゃないかと。

 このCD、かなり楽器の輪郭がしっかりしていて、いい録音と演奏だと思いました。あのカラヤン&ウィーンフィルの「蝶々夫人」の神がかった録音には届きませんが、間違いなく名演&名録音じゃないかと。カラヤン指揮のプッチーニのオペラの録音って、いいものぞろいですね。歌手の目玉はカヴァラドッシ役のホセ・カレーラスのテノール。いやあ、さすがなだなあ。そしてカーティア・リーチャレッリというソプラノがトスカ役でしたが、激情的なトスカを見事に歌いきっていてすごかった。僕は歌手をぜんぜん知らないんですが、みんなうまく感じちゃって「みんなすごい!」としか言えましぇん(^^;)>。

 若い頃の僕は、半分は勉強のつもりでクラシックを聴いていたもので、台本が介入するオペラは俗っぽくて好きじゃなかったです。でも、勉強抜きにすると、オペラってよく出来た映画かドラマのようで、あくまでエンターテイメントとしてではありますが、すごく面白く感じます。音楽のクオリティが高い分、映画やテレビドラマより上かも(^^)。悲劇ではあるんですが、それが怒りに向かわずに感動に繋がるのは、悲劇の中で愛を貫こうとする姿勢や、それを音楽で劇的に表現するところにあるのかも。現代だとこれが怒りややるせなさにつながりますが、ヴェリズモの時代は愛でそれを乗り越えようとしていたんじゃないかなあ。そういう当時の人間の意思に感動します。これも深い人間ドラマで、第3幕のクライマックスなんて、心が思いっきり動かされました。良いオペラでした、そのうち舞台でも見て見たいです…その機会はなさそうですが(^^;)。


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『プッチーニ:歌劇《トゥーランドット》全曲 マリア・カラス(sop)、セラフィン指揮、ミラノスカラ座管弦楽団・合唱団』

Puccini_Turandot_MariaCalas.jpg 「蝶々夫人」、話は有名かも知れませんが、「ある晴れた日に」以外の音楽を知っている人は少ないかも。そういう意味でいうと、プッチーニの音楽でいちばん聴かれているのは「トゥーランドット」の気がします。荒川静香さんや浅田真央ちゃんあたりから、日本のフィギュアスケートは世界トップクラスになりましたが、フィギュアスケートを観ているとしょっちゅうトゥーランドットが流れてます。日本人だと、荒川さんや真央ちゃんのほかにも宇野昌磨くんもトゥーランドットを使ってたのを聴いたことがあります。
 「トゥーランドット」も、「蝶々夫人」ほどでないにせよ少しだけオリエンタリズムを感じる音楽でした。というのは、このオペラ、「千夜一夜物語」を題材にした「千一日物語」が題材になっていて、舞台が北京の紫禁城なんでですね。この紫禁城の三人の大臣の名前がピン・ポン・パンなんですが、それを知った時に、幼少期の謎が解けた気がしました(^^)。さて、ピンポンパン…じゃなかったトゥーランドットのストーリーは…

 絶世の美女トゥーランドット姫に求婚する男には、3つの謎が与えられれる。解けない場合は処刑。ものすごく期待が膨らみますが、3つの謎というのは人類の英知にまつわる謎の剣とかそういうのじゃなくって、なぞなぞ(^^;)。トゥーランドットの美貌に目のくらんだ放浪のカラフ王子は、このなぞなぞを難なくクリア。どうだコラァ!
 ところが、単に男に恨みを抱いて無理難題を吹っかけていただけの姫は、結婚したくないと駄々をこねます。これだから甘やかされて育ったわがまま女は困るよ。どう見てもヒモ狙いの詐欺師みたいな男に執着するどっかの皇族もいるしね。しかしここでカラフ王子、「じゃ、もしあしたの夜明けまでに俺の名が分かれば、俺は死んであげる」と提案…意味が分かりません。でも20世紀初頭のヨーロッパって、道端で本当に決闘が行われていた世界ですからね、こういう話も不条理には感じなかったのかも。
 話の山場はここから。王子の名を知る女リューが捕まります。しかし彼女は口を閉ざし、王子を守るために自死を選びます(T_T)。ああ、リュー…本当にいい女というのは、わがまま放題で見た目だけ着飾ったセレブなんかじゃなくって、こういう人だよ。王子は姫にキスをし、自分の名を彼女に告げます。ここでトゥーランドットは王子の名を知るわけですが、リューの死を知って彼女の心は動き、翌日に彼女は王子の名を知っているにもかかわらず、「彼の名は愛です」と告げて大団円。

 フィギュアスケートで死ぬほど愛用されている曲「誰も寝てはならぬ!」は、王子の名を知るため、トゥーランドットが「今夜は誰も寝てはならぬ。彼の名を探し出すのだ、探せなければみな死刑だ」と勅令を出した後で、王子が心情を告白するシーンの曲です。このCDではエウジェニオ・フェルナンディが歌いますが、これが素晴らしい名唱!「姫よ、あなたもまた、あなたの冷たい部屋の中で愛と望みに震えている。私の秘密は私の胸の中に秘められている。朝日が昇った時、私はあなたの唇にそれを告げるだろう。そして私の口づけはあなたを私のものとし、沈黙を破るだろう。」
 僕は、この台本には同意できないところがあるもんで、話は好きじゃないです。「むやみやたらと死刑を申し渡す姫なんか好きになるなよ、顔が良ければ何でもいいのか?」とか、「自分を守るために自刃した女の前で、のうのうとキスしてんじゃねえよ」とかね^^;。持てる者の傲慢ばかり感じるんですよね。でもやっぱり、物語が劇的に高揚する第2幕での「誰も寝てはならぬ」は、さすがにグッときました。フィギュアスケートで聴いてもなんとも思わないんですが(むしろこんな曲選ぶなんてセンスねえなとすら思ったり^^;)、ところがオペラで物語を追いながら聴くと、悔しいけどちょっと心が震えます。僕は、音楽の評価を、音そのものじゃない話とかストーリーで上げたり下げたりするのは違うと思ってるんですが、でも実際こうやって聴こえ方が違ってくる事もあるんですよね。

 僕にとってのプッチーニ初体験は、このCDでした。のちに聴いた「蝶々夫人」の音楽とは大違いで、けっこうオーソドックスな機能和声音楽。そこにちょっとだけオリエンタリズムが入っているので、近いイメージでいえば「アラビアのロレンス」や「ラスト・エンペラー」みたいなスペクタクル映画の劇音楽みたいです。和声的には蝶々夫人の方がモダンなので、「トゥーランドット」の方が古いのかと思いきや、トゥーランドットは1924年の作品で、プッチーニの遺作なんですね。作曲途中にプッチーニが他界してしまったので、未完部分をプッチーニの弟子が書いたんだそうです。
 このCD、録音が1957年と古いわりに、音がけっこういいです。マリア・カラスとセラフィン/ミラノ・スカラ座管弦楽団の作品では、ヴェルディ「リゴレット」を聴いた事がありましたが、そっちは音がボケボケ、でもこっちは歌手の声もオケの音もしっかり聴こえます。個人的には王子カラフ役のエウジェニオ・フェルナンディのテノールが素晴らしくて、なかなか気に入っています。あ、もちろんカラスも素晴らしいです、ちょっと出番少ない気もするし、わがままでイヤな女の役だけど(^^;)。


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『プッチーニ:歌劇《蝶々夫人》全曲 パヴァロッティ(tenor)、フレーニ(sop)、カラヤン指揮ウィーンフィル』

Puccini_chouchouFujin_Karajan WienPhil 19世紀から20世紀初頭に全盛をむかえたイタリア・オペラの作曲家といえばヴェルディプッチーニヴェルディの方が先だし、イタリア・オペラを世界的に有名にしたので圧倒的に有名かと思いますが、音楽的にはプッチーニの方がかなり高度に感じます。プッチーニの頃にはフランクドビュッシーも登場してますし、和声がかなり進化してすごいのです^^。そして、聴く前は「なんだかんだ言っても芝居音楽。しかも享楽的なイタリアだし、題材もあれだし」と思ってたのに、この「蝶々夫人」には序曲を聴いただけでノックアウトされてしまったのでした。和声も書法も一気に豊かになった時代を反映した見事なスコア、パヴァロッティやフレーにセンターに据えたカラヤン&ウィーン・フィルの演奏の素晴らしさ、そして録音がめっちゃくちゃいい!!いやあ、欠点がないなんてものじゃなくて、いい所しかないCD、これはすごかったです。

 蝶々夫人を聴いてまっ先に耳に飛び込んできたのは、ある意味で印象派的な豊かな和声と、音も台本も含めて感じるオリエンタリズムという志向でした。どちらも当時のヨーロッパ文化の傾向のひとつですが、自文化を常に優位に、そして中心に考えるヨーロッパが、好奇心からの異国情緒であったにせよ外に向かって目を開いたのは、西洋音楽の大進歩だったんじゃないかと。違う文化から素晴らしいものがドバっと入ってきて、それを自国文化と融合して、新しいだけじゃなくていいものがどんどん出てきた時代なんですよね。新しい試みだらけなので、模倣に陥らずにそれぞれの作曲家が創意工夫を凝らし、次第に創造的な作品を作ることが必然的になっていく、みたいな(^^)。

 1904年という制作年が、なによりこの豊饒な音楽を作りだす背景にあったんじゃないかと。ドビュッシーの「版画」「海」も、シェーンベルクの「ペレアスとメリザンド」も、スクリャービンの神秘和声も、ちょうどこれぐらいの年でしたよね。スペイン音楽の大流行も、印象派音楽も、現在に繋がる新しい和声も、ヨーロッパで次々に生まれていた時代です。ロックにとっての1966~1972年、ジャズにとっての1948~1967年みたいなもので、クラシックの1890~1920年は特別と感じます。100年たっていまだにクラシック最高傑作と僕が感じるものがこの時代と2次大戦後に集中していると感じるもんで、もしかしてジャズもロックも100年たっても「1950-60年代だよな」とか「66年から72年だよな」とか言われるようになるのかも。いやあ、これはスコアも演奏も録音も文句なしの凄すぎるCD、素晴らしかったです!!そういえばカラヤンって昔マリア・カラスとも蝶々夫人を録音してますが、そっちも聴きたくなってしまいました…でも時間も金も限界があるからなあ(^^;)。。


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『渋滞パニック トラフィック』 MSXゲーム

JyuutaiPanic Traffic_movie 昔のパソコンは、アップルならマッキントッシュ、NECならPC-8801、富士通ならFM-7と、メーカーごとに規格が違っていました。そんな中、メーカーに依存しないWindows の先駆けみたいなMSXというパソコンがありましたが、このパソコンは普及を目指して低価格に抑え込んだからか、スペックが低すぎて、今のパソコンなら簡単に出来る事すらなかなかできず、ほとんどゲーム機と化してました (^^;)。かく言う私も、DTMの先駆けみたいな事をやろうと思ってお年玉を貯めてMSXを買ったのですが、結局はほぼゲーム専用機に。そんな中、このゲームにはメッチャ嵌まりました!

 画面に出ている道路を車やトラックやバスが走っています。この町中の道の交差点の信号を手動で切り替え、渋滞させないようにするのがゲームの目的です。車の登場順はまったくのランダムなので、必勝パターンを作ることは不可能。一定数の車を画面の外に通過させるとステージクリア。たしか4~5ステージで、それを2周するとクリアと聞いた事があるんですが、2周目の3面以上は人間ではクリア不能なんじゃないかという難しさでした(^^;)>。
 えらく単純そうですが、これがメッチャ頭を使う!右折車を溜めるとどんどん渋滞になる、信号を頻繁に切り替えすぎると車がブレーキを踏む回数が増えるのでやはり渋滞になる。トラックやバスのような大きな自動車は停止に時間が掛かるうえに発車も遅い…などなど、いろんな事情を考えながら信号を効率的に切り替えていかなければいけません。これが頭を使う上に、状況が刻々と変わっていくので素早い判断も要求され、これぞゲームと感じました。

 楽しかったなあ。頭を使って、どうやればクリアできるかを考えるのがゲームのゲームたる部分だと思ってるんですが、そういう意味でこれはゲーム・オブ・ザ・ゲーム!うちの奥さんに「チマチマしたゲームが好きだよね」なんてよく言われるんですが、チマチマしてるのが好きなんじゃなくて、考える要素の多い頭脳ゲームを突き詰めていくと、チマチマしたものになるんじゃないかと(^^)。現在このゲームをプレイするのは難しいかも知れませんが、もしチャンスがあったら、ぜひやってみてほしいです!最初の2~3ゲームは訳が分からないかも知れませんが、何をやるゲームなのかが分かった瞬間にド嵌まり必至。こういうのこそスマホ向きなゲームだと思うんだけどな。

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『ロードランナー/同2/チャンピオンシップ・ロードランナー』 MSXゲーム

lode runnner_msx 僕の世代にとってのパズルゲームと言えばこれ、ロードランナーです!80年代に一世を風靡した超メジャーなゲームで、パソコンを皮切りに色々なハードに移植されました。僕が認めているロードランナーは、画面が1画面に表示されているもので、青いブロックに赤い敵のものです。どう解くのかを考えるのがこのゲームの本質だと思うので、ファミコンみたいに横スクロールして画面が分割されているロードランナーは邪道だと思ってます。僕が遊んだのはMSX版でしたが、MSX版の場合は(PC版はみんなそう?)自分が動くまでゲームが始まらないので、実際にプレイする前に、どうやればクリアできるのかを考えるのがゲームの7割。これが楽しかったんですよ(^^)。

 頭脳ゲームとして実によく出来ていて、実に楽しかったです。敵をかわしつつ、迷路状になったステージに散らばった金塊をぜんぶ拾って脱出したらステージクリア。それだけだったら鬼ごっこゲームになってしまいそうなもんですが、敵が金塊を持ち逃げし、床に穴を掘って敵を埋めると敵が金塊を落とし、敵の頭の上を歩く事が出来、穴は斜め下しか掘れず、掘った穴は一手時間が経過すると埋まる…こういうルールのすべてが、ゲームに奥行きを与えています。自分では取りに行けない金塊を敵に取らせたり、時間が経つと埋まるブロックの時間差を利用して脱出口を確保したりね(^^)。

 僕の記憶だと、高いパソコンで出たロードランナーは150面ぐらいあったはず。でもMSX版は80面ぐらいしかなくて、「ロードランナー」「ロードランナー2」のふたつに分かれて出ていました。僕は友達から借りて、ウンウンうなりながらも1と2をぜんぶ攻略!ものすごい達成感があったんですが、そのあとに「チャンピオンシップ・ロードランナー」なるものが出まして、これが激ムズ。数日かけて1ステージをクリアするのがやっとという難易度で、まるで苦行のよう。チャンピオンシップは数面だけやって諦めたなあ…あれ、実力で解けた人ってどれくらいいたんでしょうか。あれを全ステージ自力で解いた人がいるなら、僕は尊敬します(^^)。


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『フラッピー Limited '85』 MSXゲーム

Flappy.gif 僕が生まれて初めてスコット・ジョプリンの曲を聴いたのは、映画『スティング』ではなく、このパソコン用パズルゲームでした。今となっては恥ずかしすぎて穴に入りたい気分です…が、当時は燃えました!

 このゲーム、色んなパソコンで出ていましたが、僕が遊んだのはMSXというハード。重力の働いている画面で、茶色い岩をうまいこと動かしたり割ったりして、青い岩をゴールまで運べばステージクリア。敵を岩で潰している間に岩を少し前にずらすなど、アクション要素も少しありました。これが程よく頭を使わされて、思いっきりハマりました。といっても、昼休みにコンピューター部の部室に遊びに行ってみんなでやってた程度なんですけどね(^^)。
 でも、みんなしてやっていたのに、80面ぐらいに誰も解けない難解ステージがあって、そこで挫折。最後まで行く事は出来ませんでした。全100面だったからもうちょっとだったんだけどなあ。

 当時のパソコンのパズル要素ゲームというと、「ロードランナー」や「倉庫番」なんてものがありましたが、どれも解けない面があるとそこでオシマイになってしまったんですよね。これがパズルゲームの辛い所で、超難解ステージがあると、それまでがどうであろうといきなりオシマイ。海外旅行のかかった最後の一問だけぜったいに解けないクイズ番組たいなもんです。大人になった今なら解けるのかなあ…仮にやったとしても、自分で考えるのがめんどくさくなってYoutubeで解法をカンニングしちゃうんだろうな(^^;)。


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『The Sting / Original Motion Picture Soundtrack』

Sting_Original Motion Picture Soundtrack 映画「スティング」の軽妙洒脱さは、音楽によるところも大きかったんじゃないかと思っています。大げさな管弦楽でもシリアスなスコアでもなく、古き良きアメリカのゆったりほんわかしたラグタイム。これがめっちゃくちゃ良かった!

 この映画で有名になった曲「ジ・エンターティナー」は、スコット・ジョプリンというラグタイムを代表する黒人作曲家/ピアニストの代表作で、僕が本物のラグタイムを聴いたのは、この曲が初めてでした。この映画ではなくて「フラッピー」というテレビゲームが最初だったんですけどね(^^;)。

 かようにして、映画『スティング』の音楽というと「The Entertainer」や「Solace」「Pineapple Rag」なんかが有名すぎてスコット・ジョプリンばかりに目が行くし、実際にもスコットジョプリンの曲がほとんどではあるんですが、マーヴィン・ハムリッシュがこの映画のために書いた曲も少し入っていて、ハムリッシュの手掛けた曲やアレンジも素晴らしかったです!ちなみにマーヴィン・ハムリッシュの手がけた音楽というと、ブロードウェイの「コーラスライン」、映画音楽の「007私を愛したスパイ」「追憶」「ソフィーの選択」など。超一流のアメリカ人作曲家なのでした。グラミー賞やアカデミー賞やエミー賞など、アメリカの音楽賞を総なめにしていたはず。この人が、この映画の音楽を「ラグタイムにしよう」と思いついたんでしょうし、アレンジもやってるんでしょうね。。

 黒人音楽と白人音楽のフュージョンした合衆国音楽の最初期にいた作曲家といえば、ラグタイムのスコット・ジョプリンと、ジャズのジェリー・ロール・モートンのふたりが最初の巨人ではないかと思います。ストラヴィンスキーもガーシュウィンも彼らの音楽から影響され、ルイ・アームストロングホーギー・カーマイケルデューク・エリントンも彼らの後輩。演奏も録音もいいので、ラグタイムを聴くならまずはここから入るのもいいんじゃないかと。僕はそうでした。サントラの枠を超えた大名盤と思います!


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映画『スティング』 ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード主演

Sting.jpg ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの共演した映画では、『明日に向かって撃て!』もいい映画でしたが、僕がいちばん好きなのは『スティング』です!すべてのアメリカ映画の中でも上位に入れたい大フェイバリット映画、超がつくほどの面白さ!はじめてみた時の爽快感と感動は鮮烈で、今でも忘れられません。シカゴに生まれてみたかったと思ったほどの入れ込みようでした…実際にはギャングがいたりして、タフでないと生き残れない世界なんでしょうけどね(^^;)。

 1930年代のシカゴで、コンビを組んで詐欺を働いていたふたり組が、思わぬ事から大物マフィアの売り上げに手をつけてしまいます。それが原因で、ひとりはマフィアに殺されてしまいます。残されたフッカー(ロバート・レッドフォード)は、シカゴの超大物詐欺師のゴンドーフ(ポール・ニューマン)の元に行き、殺された相棒の仇討ちの相談をします。マフィアのボスからあり金すべて巻き上げる壮大で痛快な詐欺が、ここから始まります。

 この映画、最初から最後まで面白いんですが、僕が面白いと思った所は大きく分けてふたつ。ひとつは、詐欺やトラップの描写で、これが見事!いちばん大がかりな詐欺は競馬の詐欺で、電波を遅らせて情報を伝え、そのタイムラグを利用して勝ち馬を先に知るトリックなんですが、最初に見た時はこのトリックの巧妙さに感動してしまいました。他にも、お金を渡したふりをして紙束を握らせる「すり替え」、いかさまカードでカモりに来た相手を逆に嵌める、追って来たFBI自体が詐欺グループの一味など、見事なトラップやどんでん返しの連続。ぼんやり見てると何が起きたかすら分からなくなる見事なスティングで、これを見るためだけでも楽しい映画です!

Sting_Paul Newman もうひとつこの映画でシビれたのは、中年の詐欺師ゴンドーフの生き方です。伝説の詐欺師ですが、もう齢を取ったし、ある程度の食い扶持は確保したので、マフィアの大物をだますなんていう危険な事をしなくても生きていけるんです。でも、なぜまだ詐欺をやるか。フッカーは殺された相棒の仇討ちのためと言いますが、ゴンドーフの答えは、「やるだけの価値がある仕事だから」。なんと深い考え方だろうと思いました。マフィア相手だと、ミスしたら殺されます。それでも相手から大金を巻き上げる事にかける判断がなぜ出来るか。まず、失敗したら死ぬという覚悟があるのでしょう。
 この映画の舞台は30年代のシカゴですが、株で億万長者が次々に生まれると同時に、世界恐慌で没落して自殺する人が後を絶たなかった時代でもあります。それ以前の「独立独歩で努力して生き抜く」というフロンティア・スピリットが、いつの間にか享楽的で楽して稼ぐみたいな考え方になっていき、次第に何が正義かを見失っていった時代です。この時期のアメリカ文学が厭世観に溢れているのは、このあらわれなんだと思います。自分が信じられる強い正義が亡くなってしまうと、どうせ死ぬのに何でがんばるの?何をがんばるの?みたいな意識があって、それが下に向かうと「どうせいつか死ぬなら」になって、上に向かうと「どうせ死ぬ以上は」になるんじゃないかと。ゴンドーフがカッコいいのは、これを意識できていて、分かった上で自分に出来る最大のリスクとリターンを求める生き方をしているように見えたからでした。「どう生きるか」という所で感銘を受けたから、僕にとっての映画「スティング」は単なるエンターテイメント映画に終わらなかったのでした。まあ、失敗したら詐欺師が野たれ死にしただけでおしまいなので、成功するからカッコいいんですけどね。。

 こんなに知的で痛快な映画もなかなかないのでは。観てない人は死ぬまでに一度は見て欲しい最高の映画でした!!


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映画『明日に向かって撃て!』 ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード主演

Asu ni mukatte ute 映画より先に音楽から入った『明日に向かって撃て!』でしたが、後追いで観た映画もなかなかで、束の間の幸福と対照的な悲劇的なラストシーンは、若い頃の僕の心に響くものがありました。ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードは大名作『スティング』での共演を観て感激してましたし、特にポール・ニューマンは中学生の頃に『ハスラー2』を観て以来のあこがれの男性像。ガキくさい女みたいな顔したひよっこアイドルなんかじゃなくて、屈強で苦み走った中年の男のシブさに憧れた!そんな僕だったので、この映画を観るのは時間の問題でした(^^)。

 話は19世紀末の合衆国。西部開拓時代の終焉と第1次大戦の間ぐらいで、実在したアメリカの銀行強盗2人組が主人公。ブッチ・キャシディ(ポール・ニューマン)は野心があり頭が切れ、サンダンス・キッド(ロバート・レッドフォード)は速撃ちの名手。ふたりは列車強盗などで大金をせしめ、ブッチは女教師エッタと楽しいひと時を過ごします。しかしふたりは追われる身になり、ボリビアに逃亡。その後、堅気になる道もありましたがそちらには進まず、最後にはオーストラリアで新しい人生を切り開く事を夢見ながら、自分たちを包囲した警官隊たちに…

 結末はいちおう伏せましたが、アメリカン・ニューシネマときいたら、どういう結末化は書かなくても分かってしまいますね(^^;)>。ふたりとも馬を駆り、速撃ちやカードで名を馳せ、強盗であふれるほど金を儲け…若いころの男だったらみんな憧れそうな不良のカリスマ。今だったらバイクに乗ってビリヤードやちょっと頭の切れる犯罪やって儲けてホテル暮らしで…みたいな感じでしょうか。でも、そんな反社で無頼な「カッコいい」はいつまでも通じません。それでもその「カッコいい」を貫こうとするも…
 この「カッコいい」が、とても重要な事を言っている気がしました。銀行強盗やって、なにがカッコいいのか。これは映画『野獣死すべし』もそうですが、成功して巨万の富を得る事もそうでしょうが、普通なら成功するわけがないような大それたことをやってしまう事、それを成功させる卓越した頭脳なり腕っぷし、それを「カッコいい」と思うのでしょう。それなら別に銀行強盗や犯罪である必要もない…かというと、そうじゃない気がします。普通に生きてたら多少の差があるとはいえ型に嵌まった未来しか見えません。いい会社に入る、農民として生きて死ぬ、うまく行ったとしてほどほどの家を建てて子供を持って…それでどうなる?つまり、常識を覆して、既定路線を歩かされることを拒否したいんですよね、きっと。あきらめが背中合わせの「普通」ではない何かが人生に欲しい…こんな感じが、いわゆる中二病的な夢というやつじゃないでしょうか(^^)。
 ところが、そんなものが簡単に成功するはずもありません。簡単に手に入るはずもないものだから追い求めているという構造的な矛盾もありますしね。で、どうなるかというと普通は普通のさやに収まっていくわけですが、それが嫌だからこういう挑戦をしているのであって、それを通そうとするところに夢をかけているわけではないかと。

 これって、映画の場合はどうでしょう。映画なら成功させる事は造作ないですが、逆にいうと「映画だからな」になってしまうんじゃないかと。では、現実は?ありそうな現実的な結末がこの映画なんじゃないかと。この映画の良い所は、実在した人物が原案になっている所で、ここにアメリカン・ドリーム的な超越願望とロスト・ジェネレーション的な虚無が重なっています。たとえ最後は悲劇であっても、夢のない日常を受け入れるわけにはいかない…ニューシネマの本質はここにあると僕は思ってるんですが、ポール・ニューマンやロバート・レッドフォードのカッコよさが相まって、「超越できるんじゃないか」と思えるし、また結末がいっそう劇的にもなって(ラストの演出はいろいろ言われてますが、個人的には好き…ラストでほのぼのとした音楽を流すのは、この世もまた束の間の夢まぼろしという事のように思えて良い演出だと思っています)、素晴らしい映画だと思いました。
Asu ni mukatte ute_bicycle そうそう、そういう物語なだけに、途中に挿入される彼女との平凡で幸せなデートのシーンが、すごく映えました。彼女と一緒に自転車に乗って、菜の花が咲く青空の下を走って、太陽に照らされて大地が黄金に輝いて、笑い合いながら一緒に林檎をかじって…忘れられない名シーンです。結局、大金を手に入れても、壮大な夢を思い描く事が出来ても、人生の最後に思い出すのはそういう小さな幸福なのかも…そういう事を思わされました。また、ボリビアへ逃亡の際に、その自転車の車輪が空転するシーンをアップにしたのは実に象徴的。空回りという事でしょう。

 『タクシードライバー』、『ガルシアの首』、『バニシング・ポイント』などとともに、アメリカン・ニューシネマの傑作と言われている映画ですが、僕的にはこの映画がアメリカン・ニューシネマ最高傑作かな。あ、『チャイナタウン』がニューシネマに入るならそっちですけど、いずれにしても、男なら死ぬまでに一度は見ておきたい映画じゃないかと。どうやって生きればいいかを思い悩んだ若い頃にこの映画を観る事が出来て、幸運でした。青春時代って、映画や本や音楽に触れないとダメですね、そうしないと人生を考えるようになれなません。


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『Butch Cassidy and the Sundance Kid 明日に向かって撃て! Original motionpicture soundtracks』 バート・バカラック

Butch Cassidy and Sundance Kid_Soundtrack なんだかんだ言って、僕がいちばん好きなバート・バカラックのスコアは、流行歌のシンガーソングライティングではなくて映画音楽。特に、映画『明日に向かって撃て!』のスコアは、バカラック最高傑作だと思ってます。B.J.トーマスの歌った「雨に濡れても」は、自分が幼稚園児の頃、母に手をひかれて歩いていた時にはじめて聴き、「なんていい音楽なんだろう」と感激した思い出の一曲。幼稚園児を「いい曲だ」と感動させる曲って、すごくないですか?オリジナルの演奏じゃなくて、スーパーで流れてる嘘くさい演奏だったんですけど、それでも感動しました。音楽を聴いて、音楽ってただの音なのになんでこんなにいいと思うんだろう、と考えさせられたごく初期の体験でした。「雨に濡れても」がこの映画の音楽だという事を知るずっと前の事、もちろんバート・バカラックのなんて名前すら知らない頃だったし、映画を観たのもずっと後の事でした。

 『明日に向かって撃て!』は映画自体が素晴らしいんですが(いま思えばですけどね。最初観た時は、「え?これで終わり?」みたいに感じて、実はピンとこなかった^^;。それにしてもポール・ニューマン、カッコ良すぎる…)、やっぱりバート・バカラックの音楽が良いです。「雨に濡れても」以外の曲も、サーカス風の音楽とか、アコーディオンやホンキートンクなピアノの使用など、要所に古き良きアメリカの牧歌的な雰囲気を残してあって、ジ~ンと来ちゃいます。その一方で、この音楽を、アメリカではなくフランスの劇伴に近いとも感じもしました。ミシェル・ルグランとか、『黄金の7人』のアルマンド・トロヴァヨーリあたりに近いと思ったんですよね。ややジャズ風味の入ったムードミュージック気味な室内管弦、という所でそう感じるのかな?

 そして「雨に濡れても」。この歌だけを聴いても素晴らしいのに、映画を観た後だと、銀行強盗を繰り返して最後に射殺される男の、人生唯一の素晴らしかった思い出が、すべてこの歌に詰まっているように感じられてしまって涙が止まらない…。物心ついてすぐの時にすでに知っていた曲ですが、きっと僕が死ぬまでこの曲を「いい曲だな」と思い続けるんでしょう。出会う事が出来て本当に良かった曲です。映画も大好きですが、僕個人は映画のDVDは手放せても、このサントラは手放す事が出来ません


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『Burt Bacharach』

Burt Bacharach バート・バカラック名義の4枚目のアルバム、1971年発表です。「バカラック名義」というのは、その間もバカラックさんはミュージカルやテレビ音楽や映画音楽をいっぱい書いていて、そういったサントラもカウントすると、このアルバムでもう10枚目。管弦楽法をきっちり学んだ人は、売れると強いです。

 バカラックさんの代表曲って、映画音楽なら「雨に濡れても」、ポップスならカーペンターズが歌った「遥かなる影」(Close to You)あたりかと思うんですが、その「遥かなる影」が入っているのがこのアルバム。日本でも、作曲家が人に提供した曲をセルフカバーする事があるじゃないですか。来生たかおさんが薬師丸ひろ子さんに書いた「セーラー服と機関銃」を歌ったり、尾崎亜美さんが松田聖子さんに書いた「ボーイの季節」を歌ったり。あれの走りみたいなものかな?でも、「遥かなる影」に関してはカーペンターズのアレンジの方が良かったな。。

 アルバムはヴォーカルナンバーばかりじゃなくインストも入っていて、基本的にフォーリズムに管弦つきでした。レーベルがA&Mですし、A&Mと聴いて「ああ、あのムードミュージック的な音かな」とピンときた人にとっては、だいたいその想像通りの音と音楽と思います。そして、そっち方向でめっちゃくちゃすばらしい曲が、「The April Fools」。映画『幸せはパリで』の主題歌ですが、このアルバムにはインスト版が入ってます。これはいいなあ。ディオンヌ・ワーウィックやアレサ・フランクリンも歌ってましたよね、名曲と思います。

ムード・ミュージック的というか、イージーリスニング的というか、そんな感じなのですが、軽くみてはいけないと思いました。70年代前半の合衆国はベトナム戦争に公民権運動となかなかシリアスな状況でしたが、一方でジャズエイジやフィフティーズのようなアメリカの幸福を表現したものが復活し始めた時期でもあったんですよね。社会には夢がないといけない。60年代後半に出てきたバート・バカラックは、そういう風にアメリカを捉えたかった人だったんじゃないかという気がします。


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『Burt Bacharach / Hit Maker!』

Burt Bacharach‗Hit Maker ポップスや映画音楽に楽曲を提供し、管弦を含むアレンジにも対応するアメリカの作編曲者バート・バカラックのデビューアルバム、65年発表です。このアルバム、僕が持ってるのは赤いジャケットでお姉ちゃんが表紙のものですが、バカラック本人の写った青いジャケットのものがオリジナルみたいです。お姉ちゃんのジャケットの方がいいと僕は思うんですが、世間的にはオリジナルジャケの方が価値が高いんでしょうね。僕が持っているお姉ちゃんジャケットのCDは16曲入りでオリジナルより4曲多く、どういうわけか曲順もかなり違いました。アメリカ盤とイギリス盤とかなのかな?

 バカラックと言えば、自作自演よりも、007や「明日に向かって撃て」などの映画音楽や、他の人への楽曲提供の方が有名なんじゃないかと。やっぱり有名なのは「雨にぬれても」ですよね(^^)。このアルバムもそんな感じで、管弦つきバンドとムーディーな女性コーラスを使ったムードミュージック的。60年代のアメリカ映画みたいな音楽でした。個人的なツボは、「A HOUSE IN NOT A HOME」。女性コーラスの劇的なグッとくる感じなど、ここにはムード・ミュージックの良さが詰まってると感じました(^^)。

 こういうアメリカの映画音楽的な伝統って、いつの間にか消えてしまいましたよね。アメリカのクラシック系の作曲家は、実験音楽系に行くか、伝統的な和声法を使う人だと芸術音楽ではなく映画音楽に活路を見出す人が多かったですが、そういう人たちって、今はどこに消えたんでしょうか。


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『草原のウル ~キルギスの歌』

Sougen no Uru Kirugisu no Uta キルギスでは器楽をキュ、歌をウルというそうで、これはキルギスのウルのCDです。

 このCDに入っているウルは、細竿の撥弦楽器コムズを伴奏楽器に使った弾き語り音楽でした。歌唱法は…男性は、南アジアのものとも西アジアのものとも違っていて、カザフスタンの歌い方に似ていました。音節の最後を長く伸ばすところとか、そこでかけるヴィブラートのかけ方が、モンゴルのオルティンドーに似てると言えば似てるのかな?
 一方、女性の歌い方は、インドやパキスタンの歌い方にそっくり。あの艶っぽくてヌルッとした歌い方です(^^)。そのせいか、音楽までインドっぽく感じました。世界地図を広げてみたところ…ああ~たしかにキルギスからパキスタンは遠くないですね。このCDでは3人の歌手が歌っていましたが、女性のサラマトカン・サドゥコヴァという人が、歌も演奏も抜群にうまかったです。ウルの歌い手はウルチまたはアクンと呼ばれるそうで、前者は歌の上手い人、後者は即興能力の高い人を言うそうですが、この定義だとサドゥコヴァさんはどっちにも当てはまりそう(^^)。

Kirugisu_Sightseeing.jpg キルギスのウルの中で有名なもののひとつが、英雄叙事詩「マナス」というものだそうです。このCDの1曲目は、そのうちのひとつだそうですが、実際には何十安行にも及ぶ長大な叙事詩で、キルギス人の始祖であるマナスとその一族の歴史を歌っているのだそうで。ボルヘスがどこかで「昔、物語とは叙事詩の事だった」なんて言ってましたが、なるほどそれは西洋だけでなく中央アジアでもそうなのかも。

 キュが西アジアの音楽の系統に感じたのに対して、ウルは中央から東アジア方面の音楽に感じました。楽器だけ西アジア方面から流れてきて、それがキルギスの歌に取り入れられたような印象。古賀メロディの演歌の伴奏がクラシック・ギターみたいなもんでしょうか。だから、コムズを演奏しているとはいっても、双方が器楽独奏(キュ)とはかなり違って、モノトニックでのバスと旋律の同時演奏ではなく、ストロークかアルペジオで演奏される感じ。キルギスの歴史を伝える叙事詩であるだけでなく、キルギスの演歌やフォークのようにも聴こえました。


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『草原のキュ ~キルギスの器楽』

Sougen no Kyu Kirugisu no Kigaku 僕的にはほとんど知識がない地域、中央アジアにあるキルギス共和国の音楽です。中央アジアというと広大な草原や砂漠というイメージですが、キルギスは国土の4割が山だそうです。民族はキルギス人6割、ウズベク人15%、ロシア人15%みたいな割合で、宗教はイスラム教が7割でキリスト教20%…きっとこれはキルギス系民族がイスラムで、ロシア系がキリスト教徒という事なんでしょうね。主要産業はたばこや綿花の栽培の農業と、鉱業だそうです。レアメタルとか取れそうですね(^^)。キルギス人と言ってもぜんぜんピンとこない僕ですが、CDの中に入っていたメンバーの写真を見ると、モンゴル系の顔と西アジア系の顔が混じってる感じでした。たぶん、モンゴル系の顔の方がキルギス人なのかな?

 キルギスでは、器楽をキュ、歌はウルというそうです。そして、中央アジアの音楽と言えば長い竿の弦楽器。ジャケットにも写っているキルギスを代表する楽器は、コムズというそうで、名前は違えど、音色も奏法もサズーに似ていました。
 コムズは独奏や合奏も入ってました。独奏で言えば、トルコから中央アジアにかけての長竿楽器の音楽と似ていて、モノトニックに固定バスを演奏しながら、上部で旋律を奏でるスタイル。音階は、大ざっぱにいうと長調系と短調系で、どちらも7度は短7度を使う感じ。

ChuuouAsia_map.gif 撥弦楽器コムズ以外では、クル・クヤクという擦弦楽器や、チョールという管楽器も使われていました。クル・クヤク音域はヴィオラぐらい、音はけっこうノイジーで、低音があまりいないので共鳴胴が小さいのかも。チョールは西アジアのナーイに似ていて、日本でいうと尺八みたいな音。でも、音階の関係なのか、アンデスの音楽にも似て感じました。

 他には口琴の演奏も入ってましたが、このへんはモンゴルからの影響かな?演奏家の中に、えらの張った漢人系の顔立ちをした人がいたので、西アジアからの影響だけでなく、モンゴルの遊牧民からの影響なんかもあったのかもしれません。メンバーが被ってる帽子もモンゴルっぽいデザインでしたしね。

 みんな演奏がうまい!でも、イランイラクトルコの専門の演奏家までは届かない感じ。農家の方が時間の空いた時に音楽に取り組んでるのかな?というわけで、キュは、口琴以外はトルコ系西アジアの音楽の系統にある音楽でした。西アジア系の音楽は大好物なものだから、いつまでも聴いていられるなあ。僕がキルギスを感じたのって、このCDを含む2枚のCDだけ。音楽がすごいと思うのは、音をきていて現地の空気感や思想文化まで何となく感じられる気がしてしまう事です。これって、すごく不思議。


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『カザフの音楽 ステップの風』

Kazafu no Ongaku Sutep no kaze キルギス、ウズベキスタントルクメニスタンタジキスタンの北、ロシアの南に広大に広がる砂漠の国、カザフスタンの音楽です!西はカスピ海に面して、東はモンゴル、北はロシアというわけで、どういう文化の国か、まったく想像がつきません。学校で習った記憶すらないぞ…きっと、習ったけど聴いてなかったんだろうなあ(^^;)。
 カザフスタンは…CDとウィキペディアで情報が違うのですが、CDの解説だとカザフ人36%ロシア人40%(1999年)、Wikiだとカザフ人66%ロシア人20%となっていました…まあいいや。このCDに入っている音楽はカザフ人の音楽で、カザフ人はトルコ語系の言語を話し、イスラム教徒で遊牧民だそうですが、ルックスやファッションはトルコ系というよりモンゴル系でした。まさにトルコとモンゴルの中間という感じなのかも。

 さて、このCDに入っていた音楽は大きく分けて3つ。ドンブラという長竿の撥弦楽器の独奏、ドンブラ伴奏の弾き語り、ゴヴィズという胡弓のような擦弦楽器の独奏でした。カザフでは器楽曲をキュイといい、歌はジル(叙事詩)、アン(歌謡音楽)、オレン(詩)に分かれるんだそうです。プロの音楽家もいるようで、吟遊詩人のように村から村を渡っていくのだそうです。

Kazakhstan_map.gif ドンブラ独奏。CDのジャケットにも写っているドンブラはサズのようなルックスをしていますが、奏法がかなり違いました。2弦なのですが、片方をベース、片方を旋律とリズムを弾き分ける事はせず、ホモフォニー(旋律部と他の声部が同じリズムで動く)で演奏していました。中央アジアの2弦の細棹の撥弦楽器であるドンブラとドタールの差が僕にはわかっていませんが(^^;)、もしかして地域によって呼び名が変わるだけで、同じものなのかも。そうそう、ドンブラのものすごい演奏を聴いたことがあるのですが、それに比べるとこのCDの演奏はあんまりうまくは感じなかった…かな?

 ドンブラ伴奏の弾き語り。女性の弾き語りと男性の弾き語りが入ってましたが、女性弾き語りの方が独奏よりもドンブラの演奏技巧が高度でした。モンゴルもそうでしたが、中央アジアは、男より女の方が歌も楽器もうまい気がします(^^)。そして面白い事に、女性の方が楽器も歌唱もインドやイラン音楽に近いものを感じるのに、男性はモンゴルに近いものを感じました。この差はなんなんだろう。男の方が無骨で、女性の方が高度で繊細な音楽でした。
 ゴヴィズ独奏。擦弦楽器って元々そういうものなのかも知れませんが、キルギスのクル・クヤクも、カザフのゴヴィズもかなりノイズの多い音でした。ゴヴィズはヴィオラとチェロの中間ぐらいの音程に聴こえて、音楽は東欧にあるフィドル音楽に似ていました。ある音階を使って即興的に演奏してる、みたいな。これはかなりプリミティブな音楽でした。

 キルギスとカザフスタンは、こと音楽に関しては、トルコとモンゴルの中間のような文化で、楽器はトルコ、歌はモンゴル寄りの文化という感じでした。楽器の演奏能力は、同族楽器で比較すると、トルコやイランやイラクの方が上かも(^^)。でも、モンゴルと西アジアの中間という音楽の様相が面白かったです。


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『David T. Walker』

David T Walker モダンジャズ黄金時代、ジャズとポップスは別の音楽でした。ところがフュージョンの時代になるとジャズ/フュージョン系のミュージシャンがソウルやポップスのアルバムに参加する機会が増え、とうとう両者の間に「クロスオーヴァー」と呼ばれるジャンルが発生。エンターテイメントより硬派な音楽が好きだった若い頃の僕にとって、ジャズから眺めるクロスオーヴァーはものすごく軟弱に見えてたもんで、クロスオーヴァーにはあまり近寄りませんでした。ところが、マリーナ・ショウという女性ヴォーカリストの『Who is this bitch, anyway?』というアルバムを聴いて「これはカッコいい!」とシビレれ、このジャンルを見なおすようになったのです。そして、マリーナ・ショウのアルバムでギターを弾いていたのがデヴィッド・T・ウォーカー、クソカッコいい演奏でした。これでウォーカーおじさんに注目したんですが、サポートミュージシャンとしての活動が多く、本人のリーダー作にはなかなかめぐり合えず。そんな時にめぐりあったのがこのアルバム、1971年発表のリーダー作です。

 1曲目がジャクソン5の「Never can say good-bye」、アルバム後半ではマーヴィン・ゲイ「What's Going On」も登場…つまり、クロスオーヴァ―というよりもポップスのインスト・アルバムなのでした。ウォーカーおじさんのアドリブは和声進行を元に新たなラインやアプローチを作り出すんじゃなくって、元メロディのフェイクがほとんど。音を溜めてチョーキングを多用するあたりはブルース的ですらあります。これはジャズじゃなくてインスト版ニューソウルだな。

 よく歌うギターなのですごく気持ちいいんですが、この音楽が何をしてるかを考えると、気持ちよく聴かせるBGMを作ってるんだな、みたいな。それを狙ってるんだから当たり前ですが(^^;)。ただ、このアルバムに出会った頃は、ジャズで言えばビル・エヴァンスの『New Jazz Conceptions』やチャールズ・ミンガスの『直立猿人』あたり、ソウルならニーナ・シモンの『I put a spell on you』なんかに心を震わせていたもんで、どうしても聴く優先順位が後になっちゃったんですよね。出会いのタイミングが違っていたら愛聴盤になっていたかもしれない1枚で、ティン・パン・アレー山下達郎を聴いていた若い頃に出会っていたら最高だったかも。


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『Lee Ritenour / First Course』

Lee Ritenour_First Course これも70年代後半のフュージョン系ギタリストとして有名な人、リー・リトナーです。フュージョンがイマイチしっくりこない僕が、なんでこのあたりの音楽をそれなりに聴いているかというと、昔お世話になったドラマーの先輩がフュージョン大好き人間で、聴かされ弾かされたんです…苦痛でした(^^;)。でもその人は優しかったから、ついつい付き合っちゃったんですよね。これは77年発表のサード・アルバムで、リー・リトナーさんのアルバムの中では有名な1枚じゃないでしょうか。

 ここまで来るとジャズのかけらすらない、もうこれはポップスだろ…というのが聴いた当時の感想でした。ジェフ・ベックとAORが混ざったムード系フュージョンといって音を想像すれば大体あたってるんじゃないかと。2曲目の「Sweet Syncopation」なんて、パクリと言ってよいほどジェフ・ベックです(゚∀゚*)エヘヘ…よほど好きだったんでしょうね。でもって、曲にも演奏にも特に表現や主張を感じないもんで、これはスタジオミュージシャンがマーケットに合わせて作った音楽という印象。ディレクターも音楽ではなくて市場ばかりを見ていた気がするので、主体性がない音楽だな、みたいな(゚ω゚*)。

 ロック寄りでスタジオミュージシャン的な主張の弱い演奏のふたつが際立つもんだから、1970年代後半のこっち系のフュージョンはジャズとの繋がりよりも、ウエストコースト・ロックやAORとの繋がりの方が強く感じます。というか、これは僕の中ではジャズではなくポップスです。西海岸の音楽って、実はアート・ペッパーチェット・ベイカーといったウエストコースト・ジャズの頃からずっと、あまり音楽を聴かない人たち向けに作られてきた音楽だと思うので、その精神がここにも生きていたのかも。映画もそうですもんね。エンターテイメントな都市で生まれたインストAORと感じました。


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『Earl Klugh / Finger Paintings』

Earl Klugh_Finger Paintings ジョージ・ベンソンを聴くと思い出すのが、アール・クルーというフュージョン系のギタリストです。アール・クルーはいわゆるジャズギターではなくてエレガットを使っていて、演奏がうまかった印象です。それってこの77年発表のサード・アルバムの印象なんですけど(^^)。

 エレピが入っていて、ベースはウッドじゃなくてエレベで、うしろで気持ちよくイージーリスニングのようなストリングスが鳴っているもんで、軽いフュージョンとかインストのAORというか、そこにちょっとだけブラコンが入っている、みたいに感じていました。そういうアルバムを血気盛んな高校生の頃に聴いたもんで、もうまったく肌に合わず(^^;)。でも、もし僕がそこまで音楽にのめりこまずに会社勤めみたいな人生を送っていたとして、週末に彼女とドライブを…な~んて時にこのアルバムを聴いていたら、「なんて気持ちよくておしゃれな音楽なんだろう!フュージョンって素晴らしいな」な~んて感じていたかも知れません。いや、そうに違いない。だって、いま聴くとけっこう心地よく感じるんですから(^^)。

 というわけで、出会いのタイミングさえ良ければ好きになったアルバムだったかも知れません。AOR 系のギタリストとしてはかなりうまい方ではないかと思いました。それだけに、こういうポップな音楽でなく、硬派に攻めたものがあったら聴いてみたいとも思うギタリストでもあります。アルバムが大量に出ているので、もしかしたらそういうアルバムもあるのかも知れませんが、今さらこのあたりを掘り返す気力が僕の方にない…音楽って出会うタイミングが大事なんだなあ。。


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『George Benson / New Boss Guitar of George Benson』

George Benson_New Boss Guitar of George Benson ジャズギターにどっぷりハマった頃があるんですが、なかなか手を出せなかったのがジョージ・ベンソンです。アルバムジャケットを見ると、ムードミュージック系のフュージョンかディスコのような地雷臭しかしなくて。。聴いたことがあった曲もAORなヴォーカルものポップスだったし(^^;)。いま考えれば、それだってそういうものとして聴けば悪くなかったんだろうけど、「ジャズギター」として聴くとなると、やっぱり話は別でした。でも、ある有名な日本人ジャズ・ギタリストが、「ジャズ・ギターで驚異的にうまいのはジョージ・ベンソン」なんていっていて、じゃあジャズやってた頃は凄かったのかな…と、気になっていました。そんな時に、バンドで一緒になったギタリストさんがジョージ・ベンソンのアルバムを持っていて、「聴いてみる?」と貸してくれたのがこのアルバムでした。

 普通…。デュナーミク面でも音色面でも表現なんてなく、本当にコードにスケールあてて演奏してるだけなんじゃないの?みたいな。12小節ブルースまわしてアドリブしてるだけの曲とかもあるし。
 クラブ系のジャズってあるじゃないですか。ジミー・スミスのそっち系のレコードとか、ブッカーTとか、デビュー時のパット・マルティーノとか、デビュー前のジミヘンとか。モダンジャズというより、ああいうクラブ系のインスト音楽に近かったです。クラブで、みんなが踊っている所で、10分でも20分でもずーっと演奏しているハコバンの演奏、みたいな。なるほど、こういう感じだから、ジャズに進まずポップスに走ったのかと納得。あ、でも、クラブジャズとして聴けばけっこう面白いし、「I don't know 」あたりののソロはカッコよかったです。

 というわけで、けっきょく僕は本気でジャズ・ギターを演奏したジョージ・ベンソンのアルバムに出会えないまま、いまに至ったのでした。そういうアルバムもあるかも知れないけど、それを探す労力に比べて見つかる可能性の方が少なそうだから、潔くあきらめた方が良いのかも(^^;)。


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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
intoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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