
キルギス、
ウズベキスタン、
トルクメニスタン、
タジキスタンの北、
ロシアの南に広大に広がる砂漠の国、カザフスタンの音楽です!西はカスピ海に面して、東は
モンゴル、北はロシアというわけで、どういう文化の国か、まったく想像がつきません。学校で習った記憶すらないぞ…きっと、習ったけど聴いてなかったんだろうなあ(^^;)。
カザフスタンは…CDとウィキペディアで情報が違うのですが、CDの解説だとカザフ人36%ロシア人40%(1999年)、Wikiだとカザフ人66%ロシア人20%となっていました…まあいいや。このCDに入っている音楽はカザフ人の音楽で、カザフ人はトルコ語系の言語を話し、イスラム教徒で遊牧民だそうですが、ルックスやファッションはトルコ系というよりモンゴル系でした。まさに
トルコとモンゴルの中間という感じなのかも。
さて、このCDに入っていた音楽は大きく分けて3つ。ドンブラという長竿の撥弦楽器の独奏、ドンブラ伴奏の弾き語り、ゴヴィズという胡弓のような擦弦楽器の独奏でした。カザフでは器楽曲をキュイといい、歌はジル(叙事詩)、アン(歌謡音楽)、オレン(詩)に分かれるんだそうです。プロの音楽家もいるようで、吟遊詩人のように村から村を渡っていくのだそうです。

ドンブラ独奏。CDのジャケットにも写っている
ドンブラはサズのようなルックスをしていますが、奏法がかなり違いました。2弦なのですが、片方をベース、片方を旋律とリズムを弾き分ける事はせず、ホモフォニー(旋律部と他の声部が同じリズムで動く)で演奏していました。中央アジアの2弦の細棹の撥弦楽器であるドンブラとドタールの差が僕にはわかっていませんが(^^;)、もしかして地域によって呼び名が変わるだけで、同じものなのかも。そうそう、ドンブラのものすごい演奏を聴いたことがあるのですが、それに比べるとこのCDの演奏はあんまりうまくは感じなかった…かな?
ドンブラ伴奏の弾き語り。女性の弾き語りと男性の弾き語りが入ってましたが、女性弾き語りの方が独奏よりもドンブラの演奏技巧が高度でした。モンゴルもそうでしたが、中央アジアは、男より女の方が歌も楽器もうまい気がします(^^)。そして面白い事に、女性の方が楽器も歌唱もインドやイラン音楽に近いものを感じるのに、男性はモンゴルに近いものを感じました。この差はなんなんだろう。男の方が無骨で、女性の方が高度で繊細な音楽でした。
ゴヴィズ独奏。擦弦楽器って元々そういうものなのかも知れませんが、キルギスのクル・クヤクも、カザフのゴヴィズもかなりノイズの多い音でした。
ゴヴィズはヴィオラとチェロの中間ぐらいの音程に聴こえて、音楽は東欧にあるフィドル音楽に似ていました。ある音階を使って即興的に演奏してる、みたいな。これはかなりプリミティブな音楽でした。
キルギスとカザフスタンは、こと音楽に関しては、トルコとモンゴルの中間のような文化で、楽器はトルコ、歌はモンゴル寄りの文化という感じでした。楽器の演奏能力は、同族楽器で比較すると、トルコやイランやイラクの方が上かも(^^)。でも、モンゴルと西アジアの中間という音楽の様相が面白かったです。
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