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『プッチーニ:歌劇《トゥーランドット》全曲 マリア・カラス(sop)、セラフィン指揮、ミラノスカラ座管弦楽団・合唱団』

Puccini_Turandot_MariaCalas.jpg 「蝶々夫人」、話は有名かも知れませんが、「ある晴れた日に」以外の音楽を知っている人は少ないかも。そういう意味でいうと、プッチーニの音楽でいちばん聴かれているのは「トゥーランドット」の気がします。荒川静香さんや浅田真央ちゃんあたりから、日本のフィギュアスケートは世界トップクラスになりましたが、フィギュアスケートを観ているとしょっちゅうトゥーランドットが流れてます。日本人だと、荒川さんや真央ちゃんのほかにも宇野昌磨くんもトゥーランドットを使ってたのを聴いたことがあります。
 「トゥーランドット」も、「蝶々夫人」ほどでないにせよ少しだけオリエンタリズムを感じる音楽でした。というのは、このオペラ、「千夜一夜物語」を題材にした「千一日物語」が題材になっていて、舞台が北京の紫禁城なんでですね。この紫禁城の三人の大臣の名前がピン・ポン・パンなんですが、それを知った時に、幼少期の謎が解けた気がしました(^^)。さて、ピンポンパン…じゃなかったトゥーランドットのストーリーは…

 絶世の美女トゥーランドット姫に求婚する男には、3つの謎が与えられれる。解けない場合は処刑。ものすごく期待が膨らみますが、3つの謎というのは人類の英知にまつわる謎の剣とかそういうのじゃなくって、なぞなぞ(^^;)。トゥーランドットの美貌に目のくらんだ放浪のカラフ王子は、このなぞなぞを難なくクリア。どうだコラァ!
 ところが、単に男に恨みを抱いて無理難題を吹っかけていただけの姫は、結婚したくないと駄々をこねます。これだから甘やかされて育ったわがまま女は困るよ。どう見てもヒモ狙いの詐欺師みたいな男に執着するどっかの皇族もいるしね。しかしここでカラフ王子、「じゃ、もしあしたの夜明けまでに俺の名が分かれば、俺は死んであげる」と提案…意味が分かりません。でも20世紀初頭のヨーロッパって、道端で本当に決闘が行われていた世界ですからね、こういう話も不条理には感じなかったのかも。
 話の山場はここから。王子の名を知る女リューが捕まります。しかし彼女は口を閉ざし、王子を守るために自死を選びます(T_T)。ああ、リュー…本当にいい女というのは、わがまま放題で見た目だけ着飾ったセレブなんかじゃなくって、こういう人だよ。王子は姫にキスをし、自分の名を彼女に告げます。ここでトゥーランドットは王子の名を知るわけですが、リューの死を知って彼女の心は動き、翌日に彼女は王子の名を知っているにもかかわらず、「彼の名は愛です」と告げて大団円。

 フィギュアスケートで死ぬほど愛用されている曲「誰も寝てはならぬ!」は、王子の名を知るため、トゥーランドットが「今夜は誰も寝てはならぬ。彼の名を探し出すのだ、探せなければみな死刑だ」と勅令を出した後で、王子が心情を告白するシーンの曲です。このCDではエウジェニオ・フェルナンディが歌いますが、これが素晴らしい名唱!「姫よ、あなたもまた、あなたの冷たい部屋の中で愛と望みに震えている。私の秘密は私の胸の中に秘められている。朝日が昇った時、私はあなたの唇にそれを告げるだろう。そして私の口づけはあなたを私のものとし、沈黙を破るだろう。」
 僕は、この台本には同意できないところがあるもんで、話は好きじゃないです。「むやみやたらと死刑を申し渡す姫なんか好きになるなよ、顔が良ければ何でもいいのか?」とか、「自分を守るために自刃した女の前で、のうのうとキスしてんじゃねえよ」とかね^^;。持てる者の傲慢ばかり感じるんですよね。でもやっぱり、物語が劇的に高揚する第2幕での「誰も寝てはならぬ」は、さすがにグッときました。フィギュアスケートで聴いてもなんとも思わないんですが(むしろこんな曲選ぶなんてセンスねえなとすら思ったり^^;)、ところがオペラで物語を追いながら聴くと、悔しいけどちょっと心が震えます。僕は、音楽の評価を、音そのものじゃない話とかストーリーで上げたり下げたりするのは違うと思ってるんですが、でも実際こうやって聴こえ方が違ってくる事もあるんですよね。

 僕にとってのプッチーニ初体験は、このCDでした。のちに聴いた「蝶々夫人」の音楽とは大違いで、けっこうオーソドックスな機能和声音楽。そこにちょっとだけオリエンタリズムが入っているので、近いイメージでいえば「アラビアのロレンス」や「ラスト・エンペラー」みたいなスペクタクル映画の劇音楽みたいです。和声的には蝶々夫人の方がモダンなので、「トゥーランドット」の方が古いのかと思いきや、トゥーランドットは1924年の作品で、プッチーニの遺作なんですね。作曲途中にプッチーニが他界してしまったので、未完部分をプッチーニの弟子が書いたんだそうです。
 このCD、録音が1957年と古いわりに、音がけっこういいです。マリア・カラスとセラフィン/ミラノ・スカラ座管弦楽団の作品では、ヴェルディ「リゴレット」を聴いた事がありましたが、そっちは音がボケボケ、でもこっちは歌手の声もオケの音もしっかり聴こえます。個人的には王子カラフ役のエウジェニオ・フェルナンディのテノールが素晴らしくて、なかなか気に入っています。あ、もちろんカラスも素晴らしいです、ちょっと出番少ない気もするし、わがままでイヤな女の役だけど(^^;)。


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Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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