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心に残った音楽♪

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Category: アート・本・映画 etc. > 本(文芸・科学・哲学)   Tags: ---

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小説『定本 ラヴクラフト全集2』 H.P.ラヴクラフト

TeihonLovecraft Zenshu_2 若い頃から一貫して貧乏で、「本は古本、LPやCDは中古」という態度で生きてきたもので、興味ある本や音楽に優先して触れられているとは限らず、好きな作家の本ですら読み抜けがけっこうあります。いちばん困るのは全集もので、ラヴクラフト全集は完全な歯抜け(^^;)。これはラヴクラフトさんがクトゥルー神話系の話を書き始める前の短編小説集。クトゥルー神話以前と言っても、ヌメヌメした気色悪い生命体とか(「名伏しがたきもの」)、怪物系の小説は普通にあるんですけどね(^^)。

 僕がこの本を読んで面白いと感じたのは、数々のラヴクラフトの短編小説ではなく、ラヴクラフトのかつての奥さん書いたラヴクラフトの素描と、ある評論家が書いたラヴクラフトの小説「アウトサイダー」評でした。

■ラヴクラフトの素顔
 まず、元妻ソニアさんの文章。これが、1次大戦前後の合衆国の空気感や、その時代のアメリカ人作家の生活模様が分かって面白かった!ラヴクラフトって1890-1937年まで生きた人なので、小説のいくつかはフィッツジェラルド『華麗なるギャツビー』ヘミングウェイ『老人と海』あたりのアメリカ文学より古いんですよね。
 ソニアさんは実業家で実入りが良く、ラヴクラフトを経済的に援助していたそうです。なぜそこまでしたかというと、ソニアさんが人生で出会った人の中で、ラヴクラフトは信じがたいほどに知的だったものだから、魅了されたんだそうです。でも食うや食わず…まあ、そんなもんですよね。で、ラヴクラフトが他の作家にアドバイスした言葉というのが僕の記憶にずっと残ってまして、「ポーだって、どんな雑誌にも書いていたはずだ。だから、ポルノ雑誌だろうが低俗雑誌だろうが、書かせてもらえるなら選り好みせずに書いた方がいい」みたいなことを言っていたみたい。この文章で、なんでこれだけの文章が書ける人が、低俗と言ってもいいような怪奇小説ばかりを生み続けたのかという理由が分かった気がしました。音楽もそうですよね、プロミュージシャンは食うために作曲や演奏をするけど、大衆に合わせたらわかりやすいものを作ることになるのでその世界の究極なんて出来るはずがない。どこかで意地を通さないとこうなっちゃうんだよな…みたいな。

■アウトサイダー評
 もうひとつ面白かったのが、ウィリアム・フルワイラーという人が書いた、ラヴクラフトの初期小説「アウトサイダー」評でした。僕、ラヴクラフトは1~2冊読んだらもういいや、と思ってたんです。でもこの評論を読んで、がぜん「アウトサイダー」に興味が出ました!「アウトサイダー」は、映画で言えば『The Others』みたいなからくり。湖上で孤独に暮らしている主人公が、ある日ついに意を決して塔を昇りつめたのだが、たどり着いた先は地面のすぐ下の地下室。つまりこの城と主人公というのは…。まあそんなわけで、ものすごく謎めいていて、これは何かを伝えたい小説なんじゃないのかと興味を持ったのです。でも、「アウトサイダー」はこの第2集には収録されておらず。僕は古本屋で第1集を探し続ける事になったのでした(^^;)。

*****
 国書刊行会はアメリカの読み捨て三文雑誌に掲載されていた古いハードボイルド小説を発行したり、セリーヌ全集や幻想文学をシリーズ化して発行したりと、マニアックな世界文学を紹介してくれるので、僕は大好きだったんです…売れそうにないものばかり出すから高かったですけどね(^^;)。このラヴクラフト全集も、単にラヴクラフトの小説を集めているだけでなく、共作の小説や、いろんな人が書いたラヴクラフト評なども各巻に収録しており、ラヴクラフトをきちんと読みたいならこの全集以外にはないといった作りの良さです。訳者は小説によって違うんですが、とても高尚な訳が多くて僕は好き。ラヴクラフトを読んでみたい方は、ジュニア向けの軽薄な訳ではなく、この全集を読もうではありませんか!


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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
intoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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