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『Barbara』

Barbara No2 65年にフランス人歌手バルバラが発表したフィリップス第2弾アルバムです。個人的には『Barbara Chante Barbara』に並ぶバルバラの傑作!フィリップスからの2枚目なので、俗に「N°2」なんて呼ばれてます。気をつけないといけないのは、『Barbara』というタイトルのオリジナル・アルバムが何枚かあるんです…。聴きたい方は、このジャケットを目安にしてくださいね(^^)。

 バルバラの有名曲が入ってる割合は、『Barbara Chante Barbara』よりこっちの方が多いかも。「la mal de vivre」(孤独のスケッチ)、「Si la photo est bonne」(報道写真)、「Septembre」(美しい9月)、「La Solitide」、「Göttingen」(パリとゲッチンゲン)など、これらシャンソンの大名曲がこのアルバムに入ってるんですよ、凄すぎる、信じられない。

 曲とアレンジで好きなのは、「Le mal de vivre」。この時代のシャンソンのいい所はクラシック歌曲の表現力を残している所で、デュナーミクもテンポも緩急自在です。英米ポピュラー音楽が全盛になってから失われてしまった「音楽を歌わせる」という技術が、戦後からしばらくのシャンソンには残ってたんですね。これが失われたのは悲しい。8ビートのドラムは西洋の軽音楽をダメにしたよなあ…。

 響きが見事なのは「Tol l’homme」。こんな空中にただよっているような和音、音楽やってる人ですら聴いた事がない人の方が多そうですが、こういう音をイメージ出来てしまうセンスが本当に素晴らしい。

 そして、詩の内容や歌の歴史として素晴らしいのが「ゲッチンゲン」。バルバラはユダヤ系で、第2次大戦中はナチから追われて死ぬ思いをしたそうです。エンターテイメントで間の恋だのと言った詩も少なくないシャンソンの中で、バルバラの詩に内省的で厭世的なものが多いのはそういう経験も影響してるんじゃないかと。そんなドイツにひどい目を合わされたバルバラが、戦後にドイツのゲッチンゲンでコンサートをすることになったけど、会場にはアップライトピアノしかなくて、バルバラはグランドピアノを要求したんだそうです。そうしたら会場にたまたまいた老人がピアノを提供、学生たちやお客さんがみんなでピアノを運び…と大奮闘して、数時間遅れで無事コンサートが出来たそうです。これに感動したバルバラは滞在を延長して「ゲッチンゲン」を作り、会場にあった庭でゲッチンゲン市民たちにこの歌を語って聴かせ、感謝したそうです。そしてこの曲の詩の内容は…これは色々と複雑な詩なので自分で読んでいただきたいんですが、要約すると「パリもゲッチンゲンも同じ」と歌っているのであって、不幸な戦争があったけど、憎しみ合わずに和解しましょう、という事。ドイツとフランスだけでなく、いがみ合っているすべての国々の市民に聴いて欲しい歌、いつまでも残って欲しい歌です。

 『Barbara Chante Barbara』と『N°2』は兄弟みたいなアルバムなので、どちらかを機にいったらもうひとつも絶対に気に入るんじゃないかと。個人的には、アレンジやら曲が揃ってるのは先の方で、「Tol l’homme」や「ゲッチンゲン」という大名曲が入ってるのはこっち。この2枚はとんでもなく素晴らしいので、バルバラを聴いたことのない方はぜひ聴いて欲しいです。初期のバルバラも聴かずに歌を語るなかれ、と本気で思います(^^)。


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Bach Bach

Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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