
子どもの頃、
シューマンのピアノ曲は、ピアノ教室専用曲のように感じてしまって苦手でした。毒がないし優雅すぎるもんで、ロックな僕には退屈に思えてしまってね(^^;)。特に「子供の情景」あたりは退屈の極みと感じてました。そんな時、CDショップで驚きの1枚を発見。
超絶技巧を誇り、ピアノがぶっ壊れるんじゃないかと思うぐらいに激しく攻めるロックなウラディミール・ホロヴィッツが、あの優しくロマンチックな「子供の情景」を弾いてるではないですか!これはシューマンを好きになれるかもしれない、なれなくても異種格闘技の妙を楽しめるかも知れないと手を出したのが、このCDでした。収録曲は以下の通りです。
・トッカータ
・子供の情景
・クライスレリアーナ
・アラベスク
・花の曲
高校時代に初体験して
「おおっ!」と思ったのがトッカータ作品7。7って事は「子供の情景」よりもさらに古いわけで、シューマンの初期も初期といった作品です。
これがメッチャ攻めの音楽で、「子供の情景」というより「クライスレリアーナ」に近い音楽。これがロックで燃えました!
そして、クライスレリアーナの1番。こういう攻めのピアノ曲を演奏した時のホロヴィッツはやっぱりすごい、メッチャかっこいいです!尋常じゃないテクニックですよね、やっぱり。しかも、流麗というより破壊的な迫力、みたいな。この演奏を聴いたら、「クラシックは退屈」なんて口が裂けても言えなくなるんじゃないかなあ。
そして大人になった今、子どものころはあんなに嫌いだった「
子供の情景」にも心を動かされたのが意外でした。ロマンチックさが「綺麗」というだけじゃなくて、死ぬ直前に幼少期を思い出しているような、そんなヤバさ。小編13曲からなるこの曲、「木馬の騎士」とか「ろばたにて」とか、すべて標題がついているのですが、まさにそんな感じの音楽。聴いていて、ため息が出てしまいます。この曲にはマッチしないと思っていたホロヴィッツの演奏ですが、これぐらい強いタッチで克明に描くのも、この曲のやり方のひとつなのかもとすら思ったり。僕が子どものころに聴いたLPの奏者が誰だったか覚えていないんですが、音もボワ~ンとして、ただでさえ霧のような音楽なのに、ただの環境音楽みたいになっちゃってたんですよ(゚ω゚*)。
「
クライスレリアーナ」も良かったです。激情的な曲あり、果てしなく優しい曲ありと、色んな人の感情をあらわしているかのようなピアノ曲で、ジーンと来てしまいました。若いころはその攻めの演奏ばかりに注目して聴いてしまっていたホロヴィッツでしたが、もちろんそれだけの人じゃなくて表現が多彩。どういう曲を弾いても見事、感動してしまった。
ひさびさに聴くCDって、若いころとぜんぜん違った印象で聞こえる事があって面白いです。僕はホロヴィッツの演奏で、シューマンのピアノ曲をいいものだと回収させられたクチ。見かけた方はぜひ!
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