
せっかく
セゴビアのスケール本を紹介したので、ついでにクラシックのギター教本をもう1冊ご紹介。自身が作曲家でもあり優秀なギタリストでもあるカルレバーロが書いたギターの演奏メソッド本、第2巻です。なんでいきなり2巻かというと、
この2巻がクソ有名で、右手のテクニック練習に特化したものだから。やっぱり右手で挫折するクラシック・ギタリストが多いんでしょうね。ちなみに僕は、カルレバーロ教本はこの2巻しかやってません。最後までやったんですが真ん中以降はクソ難しくて、音大時代に死ぬかと思ったソルフェージュの授業みたいでした。それにしてもギタリストってこんな無理なストレッチしてるのか、ピアニストの僕ですらびっくりだよ。ところで、ピアノの教本も紹介してないうちにギター教本の紹介をしてもいいのか…ピアノは何となく教えたくないんですよね、自分が血みどろになって這い上がってきた道なので、そうやすやすと教えたくない、みたいな(^^;)。今のペースでブログを続けていたら、ピアノ教本の紹介まではたどり着けないだろうなあ。。
ピアノと違ってギターはエレキギターやロックやフォークやポップスという身近な音楽があって、そこでのギターがギターにあってギターにあらず、みたいな感じなもんだから、誤解されやすい楽器の気がします。近視眼的にならず、もっとリュート音楽や西アジアの撥弦楽器の歴史を見たり、楽器自体の構造を眺めればわかると思いますが、ギターって明らかに和声と戦慄を同時に演奏するようデザインされた楽器です。別にそう演奏しなくたっていいけど、ギターの100%の能力は発揮できず、フェラーリを買って40キロで走るようなもんです。旋律だけ演奏するならタールみたいにしていった方が合理的だし、和声だけで行くならツィターやハープや箏やリュートに行った方が圧倒的に有利。ギターじゃない楽器を選択した方が良いんですよ、たぶん。それをギターぐらいのサイズに収めたのって、バスと和声と旋律を欲張ったから。馬鹿テクなら6弦じゃなくて11弦にしてもいいけど、それをやっちゃうとリュートみたいに難しすぎてまた衰退しちゃう。だから4和声のストラクチュアを激しいポジション移動なしに実現できる範囲を考えると…たしかに6弦ぐらいが無難な線ですよね。そういう楽器なのです。
そうなると、本当にギターという楽器の能力を発揮した音楽は実は限定されてきて、そのひとつはクラシック・ギター。というか、クラシック・ギターって、ヨーロッパから西アジア、中央アジアあたりの撥弦楽器を総括したようなところがありますよね。では、バスと和声と旋律を演奏するとすると、難しいのは?両手ですが、僕みたいな独学初心者にとっては右手がマジでわからない、理屈が分かったとしてもどうやって練習すればできるようになるか分からない、そういう状態でした。そんなあなたにこの一冊、動くバスと上声の2コースを同時に練習する教本ですよ!というわけです(^^)。で、これがマジで有り難かったです。
この本、スペイン語と英語のバイリンガルで書かれていますが、どちらも読めなくたって弾けば何の練習なのかすぐわかるので大丈夫。この本に限らずですが、クラシック系の技術教本って、1回目は本当に出来ないけど2回、3回とやっていくと出来るようになっていって、自分の成長を体験できるのでまじで楽しい(^^)。ソルフェージュとかもそうじゃないですか。ドを鳴らしてもソが分からない人が、1週間もするとドを出せばソが分かり、ひと月もすれば3和音を出せばすべての音を言い当てられるようになる、みたいな。ああいう成長を体験できました。
とか言って、僕がバスと旋律の同時演奏を学んだのはこの本が最初ではなく、アコースティック・ブルースの教本、ジャズのウォーキング・ベース本、フラメンコの教本もやってたんですけどね(^^;)。親指をどういう角度で弾けば弾けるようになるかは何巻のひとつでしたが、それはこの本じゃなくてフラメンコの教則ビデオとか、それこそクラシックやフラメンコのギタリストのビデオを見まくって突破しました…うまくないので突破できてないのかも(^^;)。。まあ、それぐらいバスと旋律の同時演奏は予習していたはずなんですが、それでもこの本はかなり高度で、やる前とやった後では明らかにギター演奏のレベルが変わったなと実感できました。クラシック・ギターの人って、基礎メソッドでそれが出来るようになってしまえばこの本にはいかないのかも知れませんが、左手で苦心しているようならこの本はおすすめです。それは僕みたいな趣味な人じゃなくて、超有名なクラシック・ギタリストさんが僕にそう言って推薦してくれたので、間違いないと思うんですよ(^^)。この本、入手はアマゾンや一般書店ではちょっと難しく、下手するとヤマハの楽譜売り場でも手にいは要らないかも知れませんが、現代ギター社みたいなギタースコアを売っている所なら入手できるかと。
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