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心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

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Pro tools でショートカットが使えなくなった!その対処法

 プロツールス12を使って録音した曲の編集をしていたところ、とつぜんショートカットが使えなくなりました!うわあ、RとTはむっちゃよく使うのでこれが使えないと結構きついです。。
 原因としてパッと思いついたところでは、「キーボードが英字じゃなくて日本語になってる」「Capslock がかかってる」などが思いついたんですが、どちらでもなし。「Ctrl +@」とか、「command+テンキー1」とかは使えたので、キーボード不良でもなさそう。PCをシャットダウンしてから立ち上げ直しても駄目。さらに、他のProtools データを試しに開いてみたら…おお、こっちは使える!え、という事は、このファイルが壊れてる可能性があるのか、怖え。。

 というわけで、色々調べてみたところ、こんな原因でした!

ProTools_A to Z■Pro tools でショートカットが使えなくなった!その対処法

・何かの理由で「a to z」がオフになった可能性あり。「a to z」ボタンは編集ウインドウの右バーの一番上にあるので(すっごい小さくて醜い!)、それを入れてみる。(今回はこれでした!)

・キーボードが英字じゃなくて日本語入力になっている(僕はこの失敗をけっこうやります^^;)

・Capslock が入ってる

*****
 以上でした。あ~焦りました。僕みたいなアマチュアだと、Pro Tools はオペレーション関係で顔面蒼白になることが多くてビビります。。


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『Paul Bley Trio‎ / Touching』

Paul Bley Trio‎ Touching 1965年録音、ポール・ブレイ・トリオがデンマークのDebut レーベルに残した録音です。このイラストのフリージャズ・シリーズ、ジャケットがみんな似ているもんで、何を買ったのか忘れちゃって混乱してました(^^;)。大名作『Footloose』と同じピアノ・トリオ編成でしたがメンバーは違って、ベースはKent Carter、ドラムはBarry Altschul というわけで、フリージャズ寄りのプレイヤー。でも完全な即興ではないようで、作曲家としてカーラ・ブレイやアーネット・ピーコックがクレジットされていました。

 『Footloose』に比べるとフリー・インプロヴィゼーション色が強い曲が多くて(特にアルバム前半)、そういう曲では演奏しながら考えているような所もあったりしました。でもそれはカーラ・ブレイやアーネット・ピーコックの曲の中でのことなので、どこまで作曲してるのか不思議。。逆に言うと、作曲があるからフリーが得意のメンバーが「ここはどうすればいいんんだろ」とか考えちゃってこうなるのかも。
 そういう「インプロヴィゼーションしてるのに考えて音が出てこない」みたいな演奏はちょっとアレでしたが、集中力があってスピード感のある演奏となるとさすがにカッコよくて、しかもただ指を動かしてるだけじゃなくて「え、これってどういうアプローチで音を選んでるの?」という刺激満載でした!誰かが書いたものでなくて自分でアドリブなり何なりする演奏って、やっぱり頭がいい人がはっきりしたディレクションをもって演奏するとめっちゃくちゃカッコいいです。あと、バリー・アルトシュルのドラムがメッチャかっこいいんですが。

 知的でありつつクールに熱い、みたいな印象を受けたアルバムでした。昔は自分では理解できないと感じるところがけっこうあって、そこがちょっと散漫にも感じたアルバムだったんですが、いま聴くとけっこう良かったです(^^)。でも『Footloose』がカッコよすぎて、僕の趣味としてはコンポジションの比率がもうちょっとだけ高い方が好きなのかも。


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『Paul Bley / Footloose』

Paul Bley_Footloose 知的で先鋭的なジャズ・ピアニストのポール・ブレイは、ジミー・ジュフリー・トリオに参加し、カーラ・ブレイとも絡み始めた60年代が真骨頂!というわけで、リーダー・アルバムとしては1963年発表のこのアルバムからが全盛期だと僕は思ってます。このアルバムもメッチャクチャかっこよくて、しかもすごいです!ピアノトリオ編成で、ベースはこのあと長年の盟友になるスティーヴ・スワロウ、ドラムはピート・ラ・ロッカ。作曲はカーラ・ブレイの曲がメインで、他にオーネット・コールマンとポール・ブレイの曲が入ってました。

 作曲ではカーラ・ブレイとオーネット・コールマンの曲が、単に音符の並びじゃなくてシステム自体にまで介入した見事な作曲で見事!そしてポール・ブレイをはじめとしたバンドの演奏も、アドリブを含めて実に見事でした!
 カーラ・ブレイの作曲の素晴らしさの一例でいえば、「Floater」なんて同じ音型を繰り返しながら長調と短調を入れ替えたりしてテーマではモードに突入…いやあ、こんなのカッコよすぎです、調感はありつつ常に刺激的で、みたいな。
 それが終わたら思いっきりモーダルなアドリブ、ここでのバンドのアドリブがまたすごかったです。指を転がすだけじゃなくてガシガシ強く押しまくる感じ、いかにもジャズって感じで、これはクラシックではまず聴けない熱さの演奏でした。しかし、ポール・ブレイやスティーヴ・スワロウの演奏を聴いていると、演奏だけでなく楽理面でもジャズだけやってたらとうてい無理だっただろうと思わされるところ満載で、そこがまさに20世紀音楽を実現できるミュージシャンだったんだな、と改めて思わされます。ジャズの世界でこういう人って、決して多くないんですよね。

 モードやフォースビルドを含む60年代当時の最先端のジャズ、20世紀前半あたりのクラシックまで射程に入っていて、しかもアドリブも重視ししているという、聴きようによってはフリージャズだけど全然フリージャズじゃないカッコよすぎるジャズ。若いころに僕はこのアルバムに熱狂したんですが、勢いあまってコンプリート盤というのを発見した時に「うおおおおお!!!」と声をあげて興奮し、買い直してしまいました(^^;)。これは別テイクを寄せ集めたものじゃなくって(テイク違いは2曲)、別曲が5曲入ってるんですよ!うち3曲はサラッと演奏したバラードでしたが、追加で入っていたオーネットの曲などがまた見事で、なんでオリジナル盤でこの演奏をカットしたのか分からないほど。それでもこういう時代の最先端を行く音楽を保守的なレーベルのサヴォイが録音していた事に驚きです。ポール・ブレイは60年代に限りますね。ポール・ブレイのリーダー・アルバムを聴くなら僕的にはイチ押しのアルバム、大推薦です!!


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『Paul Bley Quintet / The Fabulous Paul Bley Quintet』

Paul Bley_Fabulous Paul Bley Quintet 1958年録音、フリー・ジャズ寄りのミュージシャンに重用されていた頃のポール・ブレイのアルバムです。拍手も聴こえるので、ライブ録音じゃないかと。
 ポール・ブレイ・クインテットとなってるけど、このアルバム、アルバムジャケットに大きく映し出されてるのはペットのドン・チェリーだし、ベースはチャーリー・ヘイデン、ドラムはビリー・ヒギンス。というわけで、オーネット・コールマンやドン・チェリーのグループのセッションだったんじゃないかと思ったりして。曲も半分はオーネット・コールマンの曲でしたしね。

 実際の音楽や演奏もオーネット・コールマンやドン・チェリーのグループのそれに聴こえました。テーマ部分で2管がトゥッティになるところとか、『The shape of jazz to come』そっくりでした。こういう音楽に、セロニアス・モンクセシル・テイラーあたりのバップ感からカーラ・ブレイの曲やモードやフォールビルドなアプローチに進んだポール・ブレイの色は感じませんでした。勝手な推測をすると、オーネットのグループのメンバーが、「ポール・ブレイっていう白人のピアニストがけっこう頭よさそうだから、彼を入れたら俺たちの野蛮な音楽を理論的にまとめてくれるんじゃね?」みたいに誘って試したセッションだったのかも。オーネットのグループの音楽って、基本的にピアノレスで線の音楽でしたしね。でもポール・ブレイは想像以上にバップ色の強いピアノを弾いてしまった、みたいな。

 発表は1971年ですが録音は1958年。というわけで、ポール・ブレイがブレイクした後に、その人気にあやかって勝手にポール・ブレイ名義にしてリリースされた発掘音源的なアルバムだったのかも。音楽もそうですが、ピアノの演奏も遠くてむっちゃくちゃ聴きにくかったので(本当に音が遠くて、最初の方なんてピアノがいるのか疑ったほど)、ポール・ブレイ目当てで買うと肩透かしを食うかも。でも50年代のドン・チェリーの音楽と思って聴けば、けっこう楽しい…のかな?


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『Paul Bley / Introducing Paul Bley』

Paul Bley_Introducing Paul Bley ジャズ系ピアニストのポール・ブレイは、僕にとってはなかなか捉え難い存在でした。ジャズを演奏する時の自分の意識を変えられてしまったほどの和声感覚を見せつけられたことがあって、そのへんは超がつくフェイヴァリット・ピアニスト。ところがそういう音楽をやっていた時期は意外と短くて、バップをやったり、モンクの延長みたいなゴリゴリしたフリー・ジャズをやってみたり、クラシック音大生が指を転がしているだけのような即興演奏をしたり、かと思えば歌伴でとてつもなく美しいジャズ・ピアノを奏でたり…レコードを買うたびに違う音楽を聴かされるもので、ある程度の量のアルバムを聴くまでは本当につかみどころがありませんでした。
 というわけで、久々にポール・ブレイのアルバムを何枚かまとめて聴いてみよう、そうしよう。まずは、1953年にチャールズ・ミンガスのレーベルDEBUTからリリースされた初リーダー作『Introducing Paul Bley』です!オリジナル盤は10インチ盤で、チャールズ・ミンガスとアート・ブレイキーという超大物をバックに従えたピアノ・トリオ編成です。

 内容は、60年代以降のポール・ブレイからは想像がつかないほど典型的なバップ系ジャズでした。オリジナル曲も半分ありますが、どれもバップ系みたいな。オリジナル以外では「Like Someone in Love」とか、ホレス・シルヴァーやガーシュウィン曲をやってるので、いかにも50年代前半のジャズと感じました。アドリブ・パートもそこまで冴えたものとは思えず、どちらかというと無個性に感じました。でも流麗なジャズ・ピアノというのではなく、バップ的なゴツゴツ感があったのはけっこう好みかも。指がもつれたり、ビートがアフター気味になる時が間々あるんですが、それがモンクそっくりなもんで、もしかしてわざとやってるのかと疑ってしまうほど(^^)。

 なるほどビ・バップの衝撃の直後となる50年代前半にデビューしたジャズ・ミュージシャンって、その後どういう道を進むにせよ、まずはビバップに入れ込んだスタートをする印象があります。のちにバップ系というメインストリームに留まらずに音楽を発展させていった人もいっぱいいましたが、ジャズ・ミュージシャンとして生きるには音楽的にも職業的にもまずはここだったんだろうな、みたいに感じました。


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映画『がんばれ!ベアーズ』 テイタム・オニール出演

GanbareBears.jpg ビゼーのカルメンといえば、僕の世代にとってはやっぱりこれ。1976年アメリカ制作の感動コメディ映画『がんばれ!ベアーズ』です!題材はアメリカの少年野球、大好きで何度も観ました。

 元マイナーリーグ選手ながら今はプールの清掃夫になり、酒びたりの日々を送っているバターメイカー(ウォルター・マッソー)。そんな彼が弱小少年野球チームの監督を任されます。チームは初めての試合で地域最強のヤンキースと対戦しますが、なんと1回すら終える事が出来ずに惨敗。ヤンキースの監督に馬鹿にされた事でバターメーカーは発奮し、昔の恋人の娘でかつて野球を仕込んだセンス抜群のアマンダ(テイタム・オニール)や、彼女に好意を持つ不良少年ケリーなどをチームに入れ、チームの強化をはかります。子どもたちも練習に力が入り、ベアーズは連勝を続けますが…

 何回見ても、子供社会特有の世界観が実によく描けていて、そこに目が釘づけになってしまいます。内気なチームメイトにきつくあたるも、いざ彼が馬鹿にされると相手に食って掛かる少年。大敗すると悔しくて気に登って降りて来なくなる少年。小学校高学年になって女を意識して背伸びしはじめる少女。いや~、僕が子どもの頃もこんなだったなあ。こういうのって、日本もアメリカも関係ないんですね。そういえば映画『スタンド・バイ・ミー』でも同じことを感じたなあ。
 映画前半に大量にしかけてあるコメディも最高!小学生がバイク乗り回して大人の女をナンパするとか、いちいちビゼーのカルメンが派手に流れるとか、女を意識して背伸びしたい少女がチームメイトに向かって「こ〇すぞ!」とか言っちゃったりとか(^^)。生活に笑いって必要ですよね。

GanbareBears_clip2.gif そんなコメディテイストたっぷりの映画が、終盤に向かって変わってきます。最初はやる気なしで子供に優しかった元マイナーのバターメーカー監督も、ライバル監督に挑発された事で目の色を変えて勝ちに行きます。勝つために、子どもに卑怯をしてでも勝ちにいく指示を送り、いちばん野球のうまい不良少年ケリーにも「とれる球は全部お前がとれ」と指示。従うケリーですがこれでチームメイトと不和になり、誰も一緒に帰ってくれなくなります。ああ…
 対戦相手の監督も熱くなって、大人らしからぬ行動をとってしまいます。試合中にピッチャーに手をあげ、ピッチャーは悔しさのあまり試合の最中にプレイを放棄。今はどうか知りませんが、昔の少年野球のコーチってこういう人いたよな。。これを見てバターメーカーは方針を変え、勝つ事ではなくがんばってプレイする事、すべての子供にチャンスを与える事を決意。万年補欠の子どもが試合に出る事におびえると「お前はベンチを温めるために生まれて来たのか?全力でがんばってこい」と試合に送りだします。いやあ、最後の展開は涙が出そうでした。

 コメディとチョイ感動のバランスが絶妙、とくに最後の「子供たちと一緒に野球をする事で、何を為すのか」というところなんて、本当に良かった!ある意味で、コーチングとは何かとか、何かをするときにその本当の意味が何なのかを考える事とか、そういう学びまであったりして(^^)。子どもの頃から大好きな映画で何度も観ていますが、大人になってから見ると少年目線ではなく監督目線で物語が見えてきて新鮮、何度観てもやっぱり素晴らしい映画でした!


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『マスネ Jules Massnet:歌曲集 Melodies ラプラント(バリトン)、ラシャンス(ピアノ)、ミレール(朗読)、ミニョー(チェロ)』

Massnet_Melodies_Laplante.jpg ビゼーと同じころにフランスのオペラ界で活躍した作曲家がマスネで、時代はフランス印象派音楽が花開くすこし前。印象派以前なので和声法的にはドイツ音楽的な機能和声なんですが、音楽の雰囲気が暗く感傷的、匂いだけでいえばロマン派と印象派の中間ぐらい…100年前もフランスはフランスだったんですね(^^)。

 マスネの曲で今でもよく耳にする曲は「タイスの瞑想曲」で、『タイス』というオペラ用に書かれた曲のひとつです。メロディさえ聴けばだれでも「あ、この曲知ってる」となるんじゃないかと。それ以外の有名作だと、これもオペラ用に書かれた「マノン」でしょうか。そのマノンもプッチーニの「マノン・レスコー」に押され気味…同じ台本で別の名曲があるって辛いですね。。
 そんなフランスのオペラ作曲家のマスネですが、マスネって実は歌曲がとんでもなく素晴らしいです。ほら、オペラって、観る人の社会階層が出るじゃないですか。昔は貴族しか見れなかった分野だけど、フランス革命からしばらく経った頃のフランスは没落貴族と成り金資産家と労働者という社会階層が出来てきて、パリにあるオペラ座は「イタリア座」「パリ・オペラ座」「オペラ・コミック座」の3つがまさに当時のパリ市民の社会階層に合致してる、みたいな。でも歌曲はオペラほど世相や社会階層が作品に表面化しないというか、サロンでも酒場でも演奏していたと思うんです。オペラから引っこ抜いた歌曲なんて歌手と伴奏者さえいればどこでもできるので、それこそシャンソンを聴かせる場所でもやってたんじゃないかと。感傷的で内省的なマスネの歌曲は社会階層関係なしにヒトの胸を打つものがあったんじゃないかなあ。もう、それぐらいグッとくる曲が多いんです!
 このCDの1曲目に入っているシルヴェストル詩の「秋の想い」なんて、最初の和音を聴いただけで「ああ…」と引きずりこまれてしまいました。たった1小節で、悲しさ、憂い、陶酔、こういうものを表現出来てしまってるんですよ!ため息が出るほどにすばらしい…。他にも、ため息が出そうになる歌曲が多くありました。シルヴェストルの連詩「四月の詩」の第4曲「君は笑うの?」なんて、後のダミアピアフグレコあたりが嘆くように歌ったシャンソンを先取りしたかのよう。

 時代的にヴェリズモがすでに隆盛していた時代でもあり、マスネ個人の資質だけじゃなくて、時代が悲哀的なムードに繋がってる面もあったのかも。一方でロマン派の匂いも残っていて(特に詩)、これは官能的な響きを残しているのかも。これが融合するとどうなるか…悲しくも官能的、言葉でいうと矛盾してる聴こえるかも知れませんが、音は本当にそんな感じ。このふたつが絶妙に混じった匂いが特徴と感じました。マイナーな音楽でマイナーな1枚かも知れませんが、曲も演奏も素晴らしいです。大推薦です!


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『ビゼー:歌劇《カルメン》全曲 ショルティ指揮、ロンドンフィル』

Biset_Carmen_Solti_LondonSym.jpg こちらはカルメンの組曲版ではなく、オリジナルのオペラ全曲です。あのいちばん有名な「闘牛士の歌」は、前奏曲にいきなり出てくるので、いきなり燃えます!音楽も素晴らしい!「カルメン」は、自由奔放なジプシーの女を主人公にした物語です。闘牛場は出てくるし、舞台はスペインだし、音楽も当時ヨーロッパで流行したスペイン音楽の傾向があるフランスのオペラです。クラシック音楽でドイツ・オーストリアが大本流になったのは、フランスが大衆オペラに走りすぎたからという説をきいた事がありますが、これなんかその典型でしょうね。でも、この俗っぽい所が最高のエンターテイメントにもなってる気が…だって、マジで面白いんですよ!

 カルメンは、オペラ・コミックです。当時のフランスのオペラは、グランド・オペラとオペラ・コミックに分かれていたそうです。グランド・オペラはすべてが歌曲で、内容はシリアスで英雄が登場して、やや金持ち向けのPTA推奨で手塚治虫的。オペラ・コミックはセリフが話し言葉で娯楽要素が強く、庶民的で下世話で永井豪か梶原一騎的。ちなみに、没落しはじめたとはいえ、貴族はどちらでもなくイタリアのオペラを見ていたんだそうな。さすが貴族は違いますね(^^;)。
 今では人気ナンバーワンのオペラ「カルメン」ですが、初演時は酷評されまくったんだそうです。あまりの酷評にがっくりきたビゼーは、セリフのパートをレチタティーヴォに書き直してグランドオペラ風にしたんですが、この後ほどなくして死んでしまったそうで(T_T)。いつの時代も、今までにない事をやると何でもかんでも否定する馬鹿がいるんだなあ…健全な上流階級の若者が見るオペラの主人公にジプシーを持ってきて、さらにフランスの上流階級の象徴であるような衛兵の偉い人がカルメンに狂って殺しちゃうんですから、気持ちもわかりますが。でも、オペラ「カルメン」の登場で、ワンパターンで内容が薄くて形骸化しかかっていたオペラに喝が入り、以降はグランド・オペラとオペラ・コミックの垣根がなくなってしまったんだそうで、ここがターニングポイントだったのかも知れませんね。漫画でいう「デビルマン」や「あしたのジョー」みたいなもんで、下世話だしタブー破りまくりだけれど今までにない魅力があって、しかも下世話なだけでなくて時代思潮を捉えていた…みたいな感じだったんじゃないかと。

 このオペラは今でいう娯楽映画、最高のエンターテイメント!話は面白いし、なにより音楽がワクワクしてくる曲のめじろ押し!当たり前ですが全曲版はセリフも全部入っているので、音楽だけを聴くというわけにはいきません。130ページ超の日本語訳つきの日本盤がオススメです。


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『ビゼー:《アルルの女》第1~2組曲、《カルメン》第1~2組曲 ビシュコフ指揮、パリ管弦楽団』

Bizet_Carmen_Bychkov_PariOrch.png フランスのオペラ作曲家ビゼーの音楽は、「アルルの女」と「カルメン」しか知りません。しかも、僕にとっての「カルメン」は「がんばれベアーズ」だったりして(^^;)。それにしてもこのふたつ、どちらも音楽が素晴らしいです!クラシックというより管弦によるポップスみたいですごくキャッチー、聴いていてウキウキしてきます。というわけで、僕がオペラの全曲版ではなく、演奏会用の組曲形式に編曲し直したものにまず走ったのも当然の事ではないかと…自己弁護ですね(^^;)。

 「カルメン」は大人気曲だったので、オペラを離れて演奏会用にいくつもの組曲が作られています。このCDに入ってるのはホフマン版でした(いちばん有名なカルメン組曲はこれです)。このCDだと演奏順が変えてありましたが、どのみちオペラの中の曲からのセレクトですし、順番入れ替えはよくある事みたい。僕個人としては、「ハバネラ」と「闘牛士の歌」を連続して演奏して欲しかったですが、それは「がんばれベアーズ」に引っ張られすぎですね(^^)。元気で楽しい演奏で、すごく良かったです。
 一方の「アルルの女」は…外れ曲なしは当たり前、それどころか名曲だらけ、そして片っ端から聴いた事ある曲ばかりという素晴らしさ!この時代のフランスはオペラ全盛で、その分だけ交響曲なんかの硬派なジャンルはドイツに大きく遅れを取ってしまいますが、こんな楽しい音楽とお芝居見せられたら、そりゃ真面目で壮大な音楽なんて面倒くさくなってしまうわな。そして、演奏もすごくいいです。

 僕は基本的にダークでシリアスでクレイジーな音楽が好きなんですが、これだけ喜怒哀楽がはっきりした楽しい音楽を聴かされると嬉しくなってきちゃいます(^^)。ビゼーの音楽を取り急ぎ聴いてみたいという方には、まっ先に推薦の1枚です!!


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Pro Tools 11 が立ち上がらない!その対処方法

Pro Tools Authorization Exception 僕はPro Tools を使う時、タワー型のMac Pro をメインで使っています。でもライブ録音の時は重くて大変なので、ノート型のMac Book を使っています。で、ノートはOSやらCPUやらの都合でPro Tools 11。こんな具合でノートは使う機会が少ないのですが、先日ひさびさに外に持っていったら…「Pro Tools Authorization Exception」(その下に「Pro Tools HD 11 cannot run~」の表記)というメッセージが出て、Pro Tools が立ち上がりませんでした。マジか…。でもって、「クロックをチェックする」みたいなメッセージが出てきて、それを実行するもぜんぜん動かず。マジでへこみました。
 というわけで、「Pro Tools Authorization Exception」なるメッセージが出てきてPro Tools 11 が立ち上がらなかった時の対処法です!

■原因は?
 どうも、iLok license-manager がまずいみたいです。これを最新版にアップデートしたら解決しました。

■解決方法
1. 以下サイトに行ってiLokライセンスマネージャーを最新版にアップデート。(またはPCをインターネット接続して、iLok license-manager を起動してしばらくすると、最新版じゃない場合に勝手にアップデートするかどうか訊いてくるかも。)
https://www.ilok.com/#!license-manager

2. iLoK を繋いだ状態でアップロード

3. iLok license-manager を開くと、左上のユーザーのところが「?」になってるかもしれないので、そこをクリックすると、前に登録していた自分の名前が出て、登録しておいたライセンスがずらっと読み込まれた!

 以上でした。定期的なメンテナンスは欠かせませんね。。


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『ロイヤルコンクエスト』 SFCゲーム

RoyalConquest.gif 僕が遊んだゲームの中で、ゲイングランドを超える戦略的アクションゲームはありません。まあ、リアルタイム・ストラテジーなんて言葉が出来た時にはもうゲームをしなくなっていたので、今ならいくらでもあるんでしょうけど(^^)。そんな僕にとって、ゲイングランドに迫る戦略アクションゲームがあるとしたらこれ!スーパーファミコンで出ていたジャレコ製のゲームです。海外では「King Arthur's World」という名前でリリースされていたみたいです。これがゲイングランドに負けず劣らずチマチマしたゲームで、面白かったんです!

 中世イギリスのアーサー王になり、引き連れた8種類の部隊をうまく操作して、敵の領土の奥に進み、そのステージの敵の王を倒せばステージクリアです。このゲーム、ステージごとに異なる敵の城をよく見て、自軍ユニットの使い方を考え、リアルタイムで指令を下して攻略していくのが熱い!
 たとえば、敵の砦が近くにあり、そこから弓兵が弓を撃ってきて、下からは騎兵団が攻めてくる、な~んていう場合。敵の矢がギリギリまで届かない前線に騎士を配置し、敵騎士の特攻を食い止め、王様や他の部隊を守ります。そして、騎士の少し後ろに弓兵隊を配置して、敵の砦に雨あられと弓を打ち込み、敵弓兵を倒し、敵を倒したら前進。砦近くにテントを設営し、今度は工兵部隊を出して砦の門に爆弾を仕掛けて門を吹っ飛ばし、先に進み…みたいな感じ。ね、チマチマしているけど面白そうでしょ?こういう戦略性の高いゲーム、僕のツボなんですよね(^^)。

 慣れないうちはひとつの部隊に指令を出して仕事をさせ、それが終わったら次の部隊を出して…みたいなのんびりプレイになるんですが、慣れてくると騎士隊を先に進めながら工兵に他の仕事をさせ、その間に高い所に弓兵隊を配置し…みたいに手際よく指令を出せるようになり、軍を運用できるようになります。注意しないと、先に進めたはずの軍隊が次々に落とし穴に落ちていたりもするんですけどね(^^)。

 このゲーム、戦略性の高さだけでなく、ちゃんと考えてプレイすれば確実にクリアできる難易度にしてあったのも良かったです。我が家にはまだスーパーファミコンの本体が残っていますが(これ、昔の彼女のなんだよなあ…)、まだ使えるのかな?久々に遊んでみたくなったけど、こんなのはじめたら仕事が出来なくなっちゃいますね。やっぱり僕には、仕事をしながら聴く事が出来る音楽が一番向いているな(^^)。とはいえ、思い出に残っている面白いゲームです!


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『ゲイングランド』 PlayStation2ゲーム

GainGround_PS2.jpg ディープなファンはいっぱいいそうだけど一般受けはしそうにないマニアックなゲーム「ゲイングランド」。なんとこれが忘れさられた頃にプレステ2に移植されました!というわけで、ゲイングランド好きの僕が飛びついて買ったのは必然の流れでした。

 ところがこれがイマイチ面白くなかった…いや、面白いは面白いんですけど、アーケード盤の面白さに及ばないのはまだしも、メガドライブ版にすら負けてると感じたんですよね。スレッガーさんなら「何やってんの!」という事間違いなし。
 なぜそう感じてしまったんでしょう。恐らく、アレンジが良くなかったんじゃないかと。PS2版は奥行きを表現した斜め上視点の3D化というアレンジが施されていまして(真上視点にも切り替えられる)、ドット単位の緻密な戦略が問われたゲームだったのに、当たり判定やら何やらがアバウトな、すごく大味なゲームになってしまったんです。使用武器を右手で投げるか左手で投げるかでゲームプランが変わってしまうほど緻密なゲームだったのに、敵の炎がボワッとにじむように出て、どこまでが当たり判定なのか判然としない…これはゲイングランドのゲーム性自体を否定していると言ってもおかしくないです。

 PS2の時代、ゲームのハード競争に負けたセガは方針を転換して、なんとそれまでのライバル機だったソニーのPS2に自社の名作ゲームをリメイクして次々に投入しました。70年代生まれの私にとっては「おお、なつかいい!」みたいなタイトルが結構あったんですが、リメイク時のアレンジのセンスが微妙なものが多かったです。古いゲームだからそのまま出したら時代にそぐわずに売れないと考えたんでしょうが、せめてオリジナルとアレンジの両方を収録するとかできなかったんでしょうか。というわけで、大リスペクトゲームであるゲイングランドの個人評は、アーケード版>>MD版>>>>>>PS2版、という順になっています。


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『ゲイングランド』 SEGAメガドライブゲーム

GainGround_MD.jpg アーケードゲーム「ゲイングランド」のメガドライブ移植版です。ゲイングランドを作ったゲームメーカーがセガだったもんで、昔はこのゲームを家でやりたかったらセガのハードを買うしかなかったんです。僕がスーファミを買わずにメガドライブを買った理由はこのゲームのためでした。でもメガドラにしてよかった、スーファミにしてたら超名作『スタークルーザー』を遊べませんでしたからね(^^)v。

 もちろん、アーケードの方が面白いです。でもこれは仕方ない、ハードのスペックが違いすぎますから。でも、ハードの性能のわりにそうとう健闘していて、アーケードにはかなわないけどよく出来ていて面白かったです!

 そして、メガドライブ版には唯一アーケードに優っている所があります。アーケード版に比べ、メガドラ版は10ステージも多いのです!ただでさえクリアに時間のかかる戦略ゲームなのに、さらに時間が掛かっちゃうわけですが、でもこの追加ステージがよく出来てました。エスカレーターがあって、順方向に進むと歩く速さが倍増、でも逆走するとめっちゃのろくて敵の弾をよけにくい、みたいな仕掛けがあったりして。この追加10ステージを遊ぶためだけでも、メガドライブ版は遊ぶ価値があります。

 というわけで、ゲイングランドのファンの方は、メガドライブ版もぜひやってほしいです!


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『ゲイングランド』 アーケードゲーム

GainGround_AC.gif 恐ろしく戦略性の高いゲームで、学生の頃、面白すぎてこのゲームのためにゲームセンターに通い詰めていた時期があります(^^;)。ひとりで遊んでも面白いんですが、2人協力プレイがさらに熱くて、ヴァイオリニストの友人と夢中になってやってました。一緒に遊びながら次にやる曲の打ち合わせをしたりしてね (^^)。

 このゲーム、ルールが面白いです。画面上にいる敵を全滅させるか、ステージにある出口から脱出するかでステージクリア。プレイヤーは複数いる自分の手持ちのキャラクターをひとり選んでプレイします。出口から出ると、次のキャラクターを選べます。ステージ上に助けを求めている味方がいる事もあり、その場合は味方を助けて出口から逃げると、次のステージから救った仲間も使えるようになります。使えるキャラクターにはそれぞれ個性があります。足が速くて仲間の救助に向いてるけど武器が貧弱で敵を倒すのには向いてないとか、ブーメランを投げるので攻撃が曲がって使いにくいけど、壁のうしろに隠れている敵を倒すのにはもってこいとか。ね、えらく戦略的でしょ?これがメッチャ面白かったんです!!

 そして、ふたりプレイが燃えました!友人のヴァイオリニストと「お前バリアーを張れるやつを先に出して、ダッシュして突っ込んでくるやつを倒してくれ!その間に俺は足の速いやつを出して捕虜を救出しとくから」みたいな。あと、どうしても敵を全滅できないステージがありまして、時間もあまり残されてなくて、誰を見殺しにして誰を次に進ませるか…みたいなところも、えらく戦略的。僕の中ではゲーセンでやったゲームの中で1~2を争うほどに面白いゲームでした。このゲーム、またやりたいなあ。


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『尺八の世界 Shakuhachi The Japanese Flute』

Shakuhachi no Sekai ノンサッチがリリースした民族音楽CDのシリーズの中の1枚で、尺八を扱っています。演奏は宮田耕八郎さんという方で、宮田さんは流派に属していないそうです。尺八って、三味線や箏に比べると流派に属さない人がけっこういますが、宮田さんはでたらめでヘタクソな人ではまったくなく、横山勝也さんと一緒にユニットを組んでいた事もあったぐらいの実力者です(^^)。

 あああーーーこれはメッチャクチャいい!!テクニックがどうとか、新しい試みがどうとか伝統がどうとか、そういうのをまったく抜きにして素晴らしい音楽と演奏でした!このCDには「鹿の遠音」や「鶴の巣籠」という有名曲を含む5曲が収録されていましたが、すべての曲がマエストーソ、そして常にデュナーミクトアゴーギクに気を配っている感じ。譜面におたまじゃくしだけを書くなら「ボー」とだけ書くところが、「ンボオオオオオオオオオオ」ってなる感じ。表現記号でいくら書き記そうと思っても、この表現は音じゃないと出来ないだろ、みたいな。これが場当たり的でなくて、ひとつの曲で大きな構造を作りながら、たゆたっていました。ああ、演奏って本来はこういうものだよな…な~んて思って、気がつくと尺八の音の中でため息をついていました。
 上みたいな堅苦しい言葉では全然伝わらないと思うので、もう少しイメージで伝えられないかな。月明かりしか届かない夜に岩の上に座って、森に向かってゆったりと演奏してる、みたいな…余計伝わりにくくなりましたね(^^;)>。要するに、それぐらいに音とだけ向かい合っているような、思っているイメージが全部音に反映されているような、そういう演奏に感じました。

 いやあ、演奏家って名前じゃないですね。個人的には、藤原道山はもちろん、山本邦山さんよりも断然こちらの方がいいと思ってしまいました。楽器と一体になるって、そこにはテクニックがないとどうにもならないでしょうが、でもそのテクニックが音と一体になる事に向かって使われている演奏って、なかなかないと思います。これはそういう演奏と感じました。超推薦です!!


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『山口五郎 / 尺八(人間国宝シリーズ5)』

YamaguchiGoro_Shakuhachi_Ningenkokuhou5.jpg 人間国宝となっている琴古流の尺八奏者では、山口五郎さんの演奏も聴いたことがあります。これは日本コロムビアが出した「人間国宝シリーズ」の中の一枚。日本コロムビアの純邦楽のシリーズものって、クラシックのフライヤー並みにダサいものが多くて購買意欲がそがれますが(^^;)、人間国宝のうえにあの山口五郎さんの演奏という事もあって、聴いてみたいという欲が上回ってしまった30歳の頃の僕でした(^^)。収録曲は、以下の通りでした。

・千鳥の曲(手事)山口五郎編曲
 尺八:(替手)山口五郎 (本手)田中康盟、水野香盟、青木朋盟
・鹿の遠音  尺八:山口五郎、青木鈴慕
・八重衣  歌・三弦:藤井久仁江 箏:沢井忠夫 尺八:山口五郎

 1曲目「千鳥の曲」の冒頭の独奏部分がいきなり見事。ポルタメントから入って、ビブラートが入って、切りが入って…ほんの数フレーズの間に尺八の技巧がギッシリ詰まってました。しかもその演奏がものすごくきれいなんですよ!はじまって数秒で「さすが人間国宝と言われるだけのことはあるわ」と唸らされてしまいました。すごい。
 そしてこの曲、尺八が4人で演奏するんですが、なんとポリフォニーです。尺八や琵琶の合奏って、ユニゾンのものを数多く聴いてきたんですが、こんなに見事なポリフォニーを聴いたのは人生で初めて。クレジットに「山口五郎編曲」と書いてあったので、尺八のモダン化を目指してこうしたのかも知れません。
 ちなみに、手事」というのは、長歌や端歌のような歌や語りがあるものの器楽部分の事で、こうした器楽部分を含むものを「手事もの」と呼ぶんだそうです。そして、異なるパートがある場合に、主旋律を「本手」、対旋律や装飾的な演奏パートを「替手」と呼ぶのだそうで。

 「鹿の遠音」、これはカッコいい!尺八と言えばまずはこの曲ですよね(^^)。でもこれ、ひとつ前に聴いた青木鈴慕さんのCDの演奏に似てるな、同じ琴古流だから同じスコアなのかな…な~んて思ったら、多分これ同じ録音(^^;)。僕は尺八の曲というと、ルパン三世で石川五右衛門が登場するときの「ブオオオオオオッ!!」みたいな一球入魂の居合い抜きのようなものを想像してしまうのですが、このCDではこの曲がいちばんそれに近かったです。しかし、聴く耳のない僕には、右と左のどちらが山口五郎さんか分からない(^^;)。

 「八重衣」は、シロウトが聴いた印象だと箏曲の弾き語りの合いの手で尺八が入る感じで、主役は箏の弾き語りだと感じました。曲想も尺八本曲というより箏曲という感じでした。

 このCD、演奏も録音も良かったんですが、ひとつ残念なことがあって、それは解説。山口五郎さんのプロフィール以外の解説はゼロで、純邦楽に疎い僕にとっては、「手事」「替手」「本手」がどういう意味なのか分からないし、それぞれの曲が琴古流の中でどういう位置にあるのか、あるいは新作なのか、そういう事もまるで分らず。
 民族音楽や古楽もそうですが、伝統音楽というのはまだ歴史的な位置が決まってない新作の流行歌と違って社会的位置というものがあるんだから、その辺の解説は欲しかったです。老舗レコード会社が作ったクラシックや純邦楽のCDって、仕事が出来ない社員が追いやられた職場で、やっつけ仕事で作られたようなものが本当に多くて悲しいです(- -*)。演奏も録音も素晴らしいのに、スタッフが作品をダメにするって、本当に悲しい事だなあ。プレイヤーの魅力を何倍にも引きあげてこそスタッフというものだろうに、スタッフが人間国宝の足を引っ張ってどうすんだよ、これだから仕事のできないやつというのは…。


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『青木鈴慕 / 人間国宝 尺八(琴古流) 青木鈴慕』

AokiReibo_NingenKokuhou Shakuhachi kinkoryuu 昔、「楽器はじめて数年目みたいなプレイヤーが演奏する海外のロックバンドのレコードに散在しているくせに、生涯を音楽に捧げている人間国宝クラスの純邦楽の人の演奏をまるで聴いてないのって、すごくもったいない気がするぞ」な~んて思って、純邦楽のCDを聴き漁ったことがあります。ジャンルどうこうじゃなくて、いい音楽が聴きたかったんですよね。そんなふうに思って買った一枚がこのCD、琴古流尺八の人間国宝、青木鈴慕(あおきれいぼ)さんです!ちなみに、このCDの青木鈴慕さんは二世青木鈴慕さんで、初代はお父さんだそうです。
 収録は6曲で、琴古流の本曲から「巣鶴鈴慕(そかくれいぼ)」「鹿の遠音」「虚空」「雲井獅子(くもいじし)」。昭和に入って杵屋正邦が尺八三本会(山本邦山、横山勝也、青木鈴慕の作った会)のために書いた曲が1曲、青木鈴慕本人が書いた曲が1曲でした。独奏と合奏があるんですが、使われる楽器はすべて尺八でした。

 尺八って、息が入って、だんだん音になって、ブワーッと来てヴィブラートがかかってかすれていく…という一音の出て消えるまでの過程だけでものすごく劇的に感じてしまいます。一音でこれだけの表現力がある楽器って、薩摩琵琶と尺八、それに響き線の張ってある南アジア~東アジアの楽器ぐらいのものじゃないかと。「首振り三年ころ八年」なんて言いますが、尺八ってまともに音が出せるようになだけでも何年もかかるらしいですしね。シロウトの僕には、このCDでの青木さんの演奏がどれぐらいのものだなんてまったく分かりませんが、雄大というよりもけっこう速く鋭い感じがしました。でも軽くはなくて、「おおお…」っと引きずり込まれてしまうほど音がすごい!

 良いと思ったのは独奏曲で、本曲の「巣鶴鈴慕」「虚空」はいずれもすごかった!「虚空」という曲、もともとは13世紀に虚竹禅師(栄心の弟子)が作曲したと伝えられているそうです。すげえ、13世紀って、バッハどころかグレゴリオ聖歌よりも古いじゃないか!で、ここで演奏されていたのは琴古流の「虚空鈴慕」と呼ばれているもので、享保13年(1728)に初代黒沢琴古(琴古流の開祖)に伝授されたものなんだそうで。いやあ、尺八の音の深みは、実際に歴史の深みもあるんだなあ。。

 琴古流は、江戸時代の黒沢琴古という人が始めた流派で、僕は尺八というと琴古流と都山流しか知らないけど、逆にいうとみたいな僕みたいなシロウトでも名前を知ってるぐらいの超名門なんだと思います。琴古流には色々な流派があるけど、中でも有名な流派に「鈴慕会」「童門会」「竹友社」というのがあって、初代青木鈴慕はそのうちのふたつ「鈴慕会」「竹友社」を結成しているので、きっと名前を引き継いだ二世もトップだったんじゃないかと(←僕の勝手な想像なので、信じないでね^^)。なにせ人間国宝だしなあ。。
 本当に無知で申し訳ないばかりなんですが、録音も素晴らしく、演奏も素晴らしく、独奏も合奏も聴けて、「巣鶴鈴慕」や「鹿の遠音」みたいな有名曲も聴ければ現代に書かれたものも聴けて、ジャケットもカッコよく、すごくうれしいCDでした!超おすすめ!


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『尺八 ~禅・スピリチュアル (日本の伝統音楽5)』

Shakuhachi Zen Spiritual キング内レーベルのセブンシーズが出した「日本の伝統音楽」のシリーズの中の1枚です。このシリーズ、「琵琶」「雅楽」「尺八」といった具合に、純邦楽がジャンル別に1枚ずつ出ていて、純邦楽入門者だった僕にはうってつけの内容でした!
 収録は7曲で、「鹿の遠音を含む」琴古流本曲が3曲、「鶴の巣籠」を含む都山流がらみが3曲、その他が1曲でした。演奏者は、琴古流は青木静夫(2代目青木鈴慕)、琴古流からキャリアをスタートさせた横山勝也、納富寿翁(この人も人間国宝)など。都山流が初代星田一山など。

 このCDを買った頃は、尺八に琴古流や都山流というものがあるのも分かっておらず、尺八といえばルパン三世で石川五右衛門が登場する時に鳴る楽器ぐらいのイメージ(^^;)。そんな僕にとって、まずはこのCDの初心者向けの解説が素晴らしかったです。
 尺八音楽は宗教音楽、芸術音楽、大衆音楽に大別出来て、宗教音楽は普化宗の虚無僧尺、そのレパートリーは「古典本曲」とよばれる、とか。で、古典本曲の流れにある芸術音楽の老舗が琴古流。でもって、明治時代になると芸術音楽としての尺八が発展して、明治以降に出来た主な流派が都山流、上田流、竹保流などで、その最大流派が都山流、みたいな。ほかにも、曲の解説などが実に初心者向けに分かりやすく書かれていて、このCDの解説で、僕の尺八の予備知識が形成されたといっても過言ではありません(^^)。

 そして、録音と演奏。録音年月日は書かれていないんですが、SP起こしのような歴史的録音や伝説的名演みたいなものは入っておらず、どれもけっこう新しめの録音(全部デジタル録音?)に聴こえました。このCDを買った頃は、右も左も分からないもんで「おお~すげえ」と思っていたんですが、後に2世青木鈴慕さんのものすごい演奏や宮田耕八郎さんの枯れきった演奏に出会って「すごい演奏ってこんなもんじゃないんだな」と思うようになりました。演奏の良し悪し以前に、このCDは合奏が多いのですよね。
そうそう、伝統曲は僕が書くまでの事もないですが、1曲だけ田中允山という人の書いた「峠八里」新しめの曲(といっても、作曲年代は分からず。大正ぐらいかな…)という曲が入っていて、これが新しいから駄目かというとそんな事は全然なくて、漢人音楽みたいな大らかさで良かったです(^^)。久々に聴いて思ったのは、中尾都山作曲の「湖上の月」が、四重奏でやるとこんなに雅楽っぽくなるのかとちょっと驚きました。
 CD1枚で「鹿の遠音」も「鶴の巣籠」も聴けたし、何人もの人間国宝の演奏も聴けたし、尺八の入門編としてこのCDに出会えて本当に良かったと思ってます。尺八を聴いてみたいと思っている方に、最初の1枚として推薦!


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『Amon Düül / Experimente』

Amon Duul_ Experimente 80年代に入ってからリリースされたアモン・デュールの未発表音源です。こんなマニアックなものにまで手を伸ばしてしまうほど、若い頃はジャーマン・ロックにはまっていたんだなあ(^^;)>。

 未発表と書きましたが、ある意味では発表済みなのかも。というのも、アモン・デュールが発表したアルバムのほとんどは、あるジャム・セッションの音源を元にコラージュしたりエフェクトしたりして作り上げたもので、これはそのもとになったセッションの音源だからです。実際、1曲目から「あ、このプレイは聴いたことがある」「これも聴いたことあるな」といった感じでした。音楽は、何台かのドラムやパーカッションがポリリズムを作って、その上にエレキベースと数台のギターが重なり、ギターはコードストロークを中心に同じパターンを繰り返す、というもの。リズムは毎回同じなのでギターのパターンが出来たらあとは垂れ流し、みたいなジャムだったんですね。
 このワンパターンな音楽がつまらなかったかというと、けっこう面白かった…僕がアフリカのプリミティブな民俗音楽とかも楽しく聴けちゃう人だからかも知れませんが(^^;)、ある意味では、むしろこれを加工して作った作為的なファーストやセカンドより興味深かったです。

 でもそう思うのはファーストやセカンドを知っているからなんでしょうね。知らずにこれだけ聞いたら、やっぱり「もうちょっと作ってほしいなあ」と思ったんじゃないかと思います。というわけで、『Psychedelic Underground』や『Collapsing』を楽しんだ人向けの、種明かしCDみたいなものかと。プロレスの暴露本みたいな感じですね(^^;)。


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『Amon Düül / Paradieswärts Düül』

Amon Duul_Paradieswarts Duul 1970年発表、オリジナルのアモン・デュールが発表したサード・アルバムにしてラスト・アルバムです。アモン・デュールは解散後に発表された後のものも含めて5枚のアルバムを発表していますが、うち4枚は同じセッションのものにギミックやリミックスを加えて作品化したもので、唯一の例外がこのアルバムです。

 お、ヴォーカルが入ってる。お、ギターもドラムもベースも英米のロック風に演奏してる。でもそれで音楽自体が英米音楽風になったかというとそうはならず、ギターのリフを基調にワンコードで延々と繰り返していくループ・ミュージックになるのが初期ジャーマン・ロック的。
 初期のジャーマン・ロックって、アモン・デュールに限らず、エンブリオにしてもポポル・ヴーにしても、リフなりスケールなりをとっかかりにいつまでも続くセッション的なものが多いですが、ドラッグ・ミュージックとしてのロックが多かったのかも知れません。もっと良い音楽にするために作曲を勉強するとかは考えないあたりに、なるほどコミューンのある一部として音楽を扱っていたのかもと感じました。でもって、これが聴いていてなかなかハマる、フワフワしてずっとこの音の海の中に溺れていたい感じ。

 あの過剰にアヴァンギャルドな仕上げをした『Psychedelic Underground』を求めてしまうと肩透かしを食うかも知れないけど、この作品だけを抜き出して聴けば、インド音楽に傾倒していた頃のポポル・ヴーみたいでもあるし、生き方として共同体を築いた西洋人のコミューン内にあった、商業性もプロフェッショナルも求めていない純粋な音楽と感じて気持ち良かったです…明らかにドラッグを感じますけどね(^^;)。。


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『Amon Düül / Collapsing Singvögel Rückwärts & Co.』

Amon Duul_Collapsing ジャーマン・ロック幻の大名作と言われていた(今もそう?)『Psychedelic Underground』と同じ69年に発表されたアモン・デュールのセカンド・アルバムです。世評は『Psychedelic Underground』の方が圧倒的に上なんでしょうが、久々に聴いてみたところ、音楽的にはこっちに一票入れたいと思うほど良かった!音質もこっちの方が全然いい…あ、でも僕が持ってる『Psychedelic~』はLP起こしみたいな音のブートくさいCDなので、もしかするとオリジナルのファーストは音が良いのかも。

 何台ものパーカッションがドコドコと鳴り響いているうえで、歪んだギターがうねったり、呪術めいた声が聞こえてきたり、というのがこのアルバムでした。途中でクラシック音楽のコラージュや狼の遠吠えなどのSE、テープの逆回転なんかも入り込んだりするんですが、そういうものと相まって、これはダダとかフルクサスとか、そういうアート的な視点から見た音楽なんじゃないかと感じました。

 『Psychedelic Underground』で聴いたフレーズも出てくるし(たぶん同じ音源)、こうなると「なぜ同じものが出てきてもいいのか」という解釈まで含めて成立させなくてはいけないだろうから、エンジニアやエディターが音楽監督みたいなもんですね。こういう風に書くと安っぽく感じるかも知れませんが、これがめっちゃくちゃカッコいいんですよ。コラージュ系のジャーマン・ロックと言えば、ファウストのレントゲン・アルバムもそうだったけど、久々にあれも聴きたくなってしまいました。黎明期のジャーマン・ロックはシリアスにヤバい事をやる所がカッコいいなあ(^^)。これは推薦、ジャケットがそっけないけど、僕がオリジナルのアモン・デュールで1枚だけ推薦するとすればこれです!


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『Amon Düül / Psychedelic Underground』

Amon Duul Psychedelic Underground 一度聴いたら英米の産業ロックなんてガキくさくて聞いてられない、それが黎明期のジャーマン・ロックだあああっ!!…いつになくリキんでしまいましたが、そんな初期ジャーマン・ロックの名バンドであるアモン・デュールの名作「サイケデリック・アンダーグラウンド」、1969年発表です!アモン・デュールって、レコードデビュー前にアモン・デュールとアモン・デュール2に分裂してるんですよね。2のアルバムのいくつかは以前に感想を書きましたが、2のほうが音楽的で、演奏も圧倒的にうまいです。ついでにいうとエンブリオもアモン・デュールの派生バンドだった筈で、これも元祖より圧倒的にいい演奏。

 でもだからいって1がつまらないかというとそんな事はなくて、1はヤバい、危ない、ぶっ飛んでます。原始主義っぽくドコドコ鳴り響いているディストーションで歪ませたパーカッションがずっと鳴っていて、アコギやエレキギターが同じパターンを延々とループして、うしろで何人もの叫び声が聞こえる…やばいよやばいよ。現代版の旧石器時代音楽みたい…あれ、日本語がおかしいぞ(^^;)。
長時間同じところをグルグル回っている…要するにドラッグ・ミュージックなんだと思いますが、それがアメリカ西海岸のヒッピー音楽みたいにラブ&ピースなお花畑ムードにならず、悪夢のようなヤバさになるのは、楽観主義アメリカと寒く暗い森の中のドイツの差というかか、マリファナとヘロインの差なのかも。

 アモン・デュールは5枚のアルバムを残していますが、このアルバムを含む4枚は同じセッションから作ったものなんだそうです。要するに、音楽を出来る人がデュール2に抜けた後は、まともに作曲や演奏をできる人がいない政治/芸術コミューンになったという事だと思うんですが、それがこうしてひとつのアルバムとして聴けるところまで来ているのは、編集やギミックやミキシングといったポストプロのなせる技なんでしょうね。それにしても、同じドラッグ・ミュージックでも、アメリカとドイツでここまで傾向が変わってくるところが面白いです。音楽的に強烈なのは、言うまでもなくドイツ。でも…若い頃に聴いた時は興奮したけど、いま聴くとそうでもなかった(^^;)。。いま聴いてもかっこいいと思うアモン・デュールのレコードは…その話は、また次回!


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『小野リサ / The music of Antonio Carlos Jobim "IPANEMA"』

Onorisa_Music of AC Jobin Ipanema 小野リサさんが好きと言いつつ、聴いていたのは90年代初頭だけ。その後も小野さんは活動を続けていましたし、僕も小野さんの音楽が嫌いになったわけでもなかったのに、自分が社会人になって仕事仕事で毎日が忙殺されていくにつれ、いつしか小野さんの事を忘れたのです。そんな時、夏になるたびにタワーレコードがやってるブラジル音楽特集のコーナーにこのCDが置いてあって、「お!」と思って買ったのでした。小野さんによるアントニオ・カルロス・ジョビン作品集、2007年発表です。という事は、14年ぶりぐらいで聴いたという事か、時のたつのははやいなあ。

 アコースティックではあるんですがバンドがカルテット以上で、しっかりアレンジしてありました。でもそのアレンジが50年代のボッサそのままで面白くなかった…。アルバム『ナナン』の頃は、最新のブラジル音楽のエッセンスも入ってたと思うんだけどなあ。でも、それを含めてジョビンへのオマージュという事なのかも知れません。
 あと、音楽って、編成が大きくなればなるほど演奏面での表現が削がれると思いませんか?下手な人は人数が多いほどいいのかも知れませんが、うまい人は少ないほどいいというか、多くするならバンド全体で何度も合わせて表現する場所を確定しないと、スコアをさらっただけになっちゃう、みたいな。このアルバムは型に嵌めたというか、肉声が聞こえにくくなっていってしまうというか、そんな風に感じてしまいました。ああ、好きなミュージシャンだったのになあ。。

 というわけで、リアルタイムなブラジル音楽と思って、心地よく聴いていた小野リサさんの音楽だったんですが、15年ぶりぐらいに聴いたら、若いころのあの瑞々しさがなくなっていた…みたいに思ってしまったのは、僕が汚れてしまったからなのかも (^^;)。。


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『小野リサ / Namorada』

Ono Risa Namorada ブラジル音楽の小野リサさんが93年に発表したミニアルバム、7曲入りです。来日公演中のトゥーツ・シールマンズがスタジオに遊びに来てハーモニカを吹いていったなんていうほほえましいエピソードもあるアルバムです(^^)。僕が小野さんをはじめて聴いたのは、このアルバムでした。とにかく気持ち良すぎてしびれて、一気にファンになりました。ブラジル音楽は、ジョビンとかゲッツ&ジルベルトとかの有名作は聴いてたけど、まだ全然深入りしてない頃。まして80年代以降の高音質録音ボッサの気持ち良さはまったく未体験でした。今にして思えば、小野リサさんが僕にとってのブラジル音楽への本格的な入り口だったかも。

 ブラジル音楽といっても色々あって、エレキベースにドラムにシンセみたいなカエターノ・ヴェローソみたいなちょっと合衆国寄りなラテン音楽もありますが、このアルバムはあくまでシンプルな編成でアコースティックなボッサ。ピアノやベースが入る時もありますが、ベースもコントラバスだし、すべてアコースティックなので音がとにかくいい(^^)。。2曲目「QUERO-TE ASSIM」のギターとハーモニカだけの弾き語りなんて、ものすごく心に刺さります。もしかすると僕がトゥーツ・シールマンズをはじめて聴いたのって、このアルバムだったかも。その後・ローラ・フィジイのアルバムとか、色んな所で聴いて、なんてあったかい演奏なんだろうと大ファンになってしまったのでした(^^)。

 それにしても、これはレコーディング・エンジニアも素晴らしいのかも。ギター弾き語りだけだったり、ギター2台だったりハーモニカとギターだけだったりと、バスになにもいない曲もそれなりにあって、音がスカスカになってもおかしくないのに、音がぜんぜん寂しくない、むしろ美しいのです。このあたりまでの日本のレコーディング・エンジニアって、めっちゃくちゃレベルが高いと思います。ADATやプロツールスが出来てからは、ミュージシャン自身が録音もできるようになったからか、「ああ、録音のせいで音楽が台無しだよ」というレコードが増えちゃいましたよね(^^;)。プロツールスが悪いわけじゃなくて、プロじゃない人が録音するのがダメなんでしょうけど。そうそう、ポルトガル語だと思ってい聴いていると、「あ、ここは日本語だ」とビックリしたのもいい思い出です(^^;)>。


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『小野リサ / NaNã』

OnoRisa_Nana.jpg 日本のブラジル音楽歌手、小野リサさんが1990年に発表したセカンド・アルバムにして出世作、『ナナン』です!小野さんはブラジル生まれだそうでポルトガル語ペラペラ。だから小野さんはブラジルの歌手といっても良いかも。

 いや~これは気持ちいい、リラクゼーション・ミュージックの極致、ブラジル音楽ってたまらなく素晴らしいです(^^)。小野さんのオリジナル曲は3曲で、あとはブラジルの作詞家作曲家陣。というわけで、歌詞もみんなポルトガル語です。録音もリオだし、小野さん自身がブラジルのミュージシャンと親しいみたいだし、やっぱりこれはブラジル音楽そのものですね。個人的には、4曲目「マイーラ」がヤバいぐらいにツボ。

 ミュージシャンがうまいとかアレンジがいいとか声が魅力あるとか、それはまったくその通りなんですが、そんな事よりこのホッコリとあったかく優しくリラックスした音が、僕にとってのすべて。90年代、日本にブラジル音楽ブームを起こしたアルバムだけのことはあるすばらしいリラクゼーション・ミュージックだと思います。こういうCDを1枚持ってるだけで、人生の幸せ度が3割増しになるんじゃないかと(^^)。


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『パーセル:歌曲集《薔薇の花よりも甘く》 ルネ・ヤーコプス(カウンターテナー)』

Purcell_Bara nohana イギリスのバロックで、エリザベス朝時代のイギリスの天才音楽家パーセルの歌曲を集めたCDです。曲は、歌曲集「イギリスのオルフェウス」から5曲、劇付随音楽やセミ・オペラから5曲、「われらが慈悲深きメアリー女王の悲しみの死を悼む3つの哀歌」から1曲、1692年の聖セシリアのために書かれたオードが1曲、計12曲が入ってました。伴奏はヴィオラ・ダ・ガンバとテオルボ(リュート属の楽器)でした。という事は、テオルボが通奏低音ですね。

 あれ?いま気づきましたが僕はバロック期の歌曲ってあまり聴いた事なかったかもしれません。ルネサンス以前だったらシャンソンもモテットも聴いてきたし、ロマン派以降ならそれこそ色々と聴いてきた気がするんですが、バロックの声楽って宗教曲ぐらいしか聴いた記憶がない…。何が新鮮って、基本は歌とヴィオラ・ダ・ガンバだけで(テオルボは和音かアルペジオのどちらか程度)、歌とガンバがカノン状に動く事もないので、ものすごくシンプル。これをどう感じるかなんでしょうが、最初は退屈とおもっていたのに、何度も聴いてるうちに清廉としていて良く感じてきました!ルネサンス後期みたいな平進行のプログレッションもちょくちょく出てくるんですが、これも古風で良かったです(^^)。

 そして、この清廉とした響きに絡んでくる詞が面白かったです。「それは自然の声、生きるものすべてに通じる万能の言葉」(Tis Nature Voice)とか、「アレクトが死者を永遠の束縛から解き放つまで」(Music for a While)とか、当時の自然観が反映されていると感じました。バロック時代の本を読むと、妖精とかがいるのが当たり前のように書かれていたりしますしね。ああ、これがバロック期のイギリスの空気感なんだな、みたいな。

 僕の耳は時として保守的になるときがあって、ききなれない音楽を聴くと拒絶反応が起きる時があります。でもこの拒絶反応をあんまり信用しちゃいけなくて、何回か聴いているうちに「ああ、これはこういう事か」みたいにだんだん分かってきて、自分なりに把握できたと思った頃にはその音楽に思いっきり嵌まってる、な~んてことが結構あるんです(^^)。このCDはそんな感じで、何回も聴いてるうちに清廉とした音の中に17世紀のイギリスの自然観みたいなものに魅了されていった感じで、良かったです(^^)。


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『Andreas Scholl / English Folksongs & Lute Songs』

Andreas Scholl English Folksongs Lute Songs アンドレアス・ショルというカウンターテナーの人が歌った、17世紀イギリスの民謡とリュート・ソング(リュート伴奏の歌)を集めたCDです。21曲中10曲がジョン・ダウランド作曲。民謡や俗謡が6曲、作者不詳が2曲(うち1曲が「ヘンリー王」!)、トマス・キャンピオンの曲が3曲という構成でした。基本的にリュート伴奏による歌で、リュートはアンドレアス・マルティン Andreas Martin という人でした。

 リュートの音量が小さすぎる…。歌の半分、いや3分の1も音量が出てないんではないでしょうか。すごくシンプルな演奏しかしてないように聴こえるんですが、それでも何を演奏しているのか分かりませんでした(^^;)。歌はうまいし、すごくエコーがかったホールのような音も嫌いではありませんでしたが、、これは音楽として致命的じゃないか。。

 というわけで、本当は大好きなイギリスの17世紀の民謡とか、権力に潰されるのを逃れるためにあえて作者不詳にしたのかも知れない「ヘンリー王」の事とか、ダウランドとはぜんぜん違う作風に聴こえたキャンピオンについてとか、色々と楽しみにして買ったCDでしたが、これはそういうこと以前に録音のバランスがひどすぎて、聴く気力が失せてしまいました。選曲も面白かったしジャケットもカッコよかったのでおいしい音楽が聴けそうだったんだけどなあ、これはもう売ろう。。


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『ダウランド:イギリスのオルフェウス The English Orpheus ~リュート伴奏つき歌曲集 エマ・カークビー(soprano)、アントニー・ルーリー(lute, orpharion)』

Dowland_The English Orpheus_Rooley ルネサンス期のイギリスの作曲家ジョン・ダウランドの書いたリュート伴奏つき歌曲集です。ダウランドって今ではクラシックギターやリュートの世界でしか聴かれない作曲家になってる気がしますが、僕はイギリスの古楽って好きなのです。ルネサンス以前の古楽が大好きという事もありますし、その中でイギリスってちょっといいなと思うんです。ヨーロッパの大陸側だとラッススとかパレストリーナみたいな音楽史に名を残す作曲家がおごそかな宗教音楽を書いていたりするけど(これもいい!)、イギリスは民謡みたいで、でも3和音が聴こえて(ルネサンス期だとカノンなどのポリフォニーが多いのでめずらしい?)、音の間から妖精とかが見えちゃう感じ。ダウランドはリュートの名手だったそうで、ひとりで爪弾くことのできるリュートという楽器自体が、詩的な音楽に向いていたという事もあったかも知れません。

 このCDもまさにそんな感じで、歌手はソプラノではあるけど朗々とテクニックを見せつけてコロラトゥーラがガンガン出てくる、な~んてことはまったくなく、ハミングしているように軽~く歌ってるようでした。弱音楽器のリュートとの音量差をつけないという事情もあるんでしょうが、素朴な民謡っぽいんですよね。だから、森の中で曇りばかりのイギリスの中世の景色(しかも宮廷じゃなくて木造りの民家、みたいな)が見えるよう。同じルネサンス音楽でも、パレストリーナあたりは石作りの街が見えるんですが、この差が良い。。もう、たまりません。

 ところで、リュート奏者のアントニー・ルーリーという人、リュートの他にオルファリオンという楽器を弾いてますが、オルファリオンって何だ?海のトリトンがポセイドンを倒したピンクに光る剣?(ネットで検索中…)おお~リュート属の楽器なんですね、知らなかった。リュートの代用としても弾く事が出来るし、ちゃんとした奏法で弾くとチェンバロみたいな音がするんだそうです。なるほど、確かに5曲目のインストなんてリュートとチェンバロの間みたいな音だ。。この楽器、形がほとんど美術品です。楽器って今は既製品ぽいのばかりだけど、ヨーロッパの古楽楽器は眺めてるだけで心があらわれそうになるほどに美しいなあ。そうそう、このCDには何曲かリュート独奏が入っていましたが、これがまた素晴らしかったです。リュート音楽って深入りした事はないですが、本当に素晴らしいと思います。


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『ダウランド:ラクリメあるいは7つの涙 ヤコブ・リンドベルイ指揮、ダウランド・コンソート』

dowland Lachrimae or Seaven Teares_Lindberg ルネサンス期のイギリスの作曲家・ダウランドの室内楽作品「ラクリメあるいは7つの涙」です。これはなかなか素晴らしかった!クラシックの世界だと、イギリスってなかなかいい音楽家を生み出しませんが、いざ出てくると素晴らしいですね。ダウランドもそうだし、パーセルもよかった(^^)。このCDでは、リュートを中心にした弦楽器6人での演奏でした。そうそう、ダウランド・コンソートの「コンソート」の意味は、器楽アンサンブルの意味です。古楽でよく使われる名前ですが、古楽限定なのかな?

 リュートの達人だったダウランドには「歌曲あるいはエアー」(Booke of Songes or Ayres)という曲集がふたつありますが、それがヨーロッパで大ヒット!そのエアーを出発点にして作られたのがこのアンサンブル作品なんだそうです。「7つ」というのは、当時信じられていた惑星の数で、曲数はその3倍の21曲。ちなみに3もヨーロッパでは神聖な数なんだそうです。三位一体とか、そういう事かな?こういう所にこだわる音楽観がルネサンス期らしいですね、音楽は音の遊びだけでなくて世界の原理を形にあらわすとか、今みたいに癒しとか娯楽という位置にあるものじゃなかった、と本で読んだことあります。そして、確かにすごく神聖な感じがする音楽でした。なんか、すべてが調和に向かってる、みたいな。
 音楽としては、リュートが主旋律、5台のヴァイオリンやヴィオラやチェロみたいな楽器(古楽器なのでアルトヴィオールとか名前がちょっと違う)が和声というホモフォニーに近く聴こえました。弦楽セクションも動いてるんだけど、もろにポリフォニーって感じじゃなくて、両者の中間みたいな。

 いまの耳だと常に調和だし、複雑なポリフォニーではなくけっこうシンプルなので、長く聴いてると若干飽きてしまいますが、それでもこの美しさは現代の音楽にはないもの。いやあ、これだから古楽はやめられないです(^^)。

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書籍『ワクチン新時代』 杉本正信・橋爪壮

WakuchinShinjidai.jpg 岩波科学ライブラリーのシリーズのウイルス関連の本が分かりやすくて良かったので、今度は同シリーズのワクチン関連本を読んでみました。こちらは2013年発行なので情報がちょっと古いかも。大局に影響はないでしょうが、いま世界中の人々が絶賛接種中のmRNAワクチンの情報など最新の知見はありませんでした…あたりまえですね(^^;)。

 ワクチンそのものについての解説本というよりも、ワクチンの原理を最初に説明して、あとはその歴史を順次説明、最後に現状について書いている、みたいな内容でした。というわけで、個人的に大いに参考になったのは、最初の10ページである第1章「ワクチンとは何か」でした。まあでもタイトルに偽りなしですね、「ワクチンとは何か」ではなく「ワクチン新時代」なんですから。

 以降は、おおむねワクチンの開発や接種の歴史が書かれていて、生ワクチンはよく効くけど強毒化した変異種を生み出しやすいとか、不活性化ワクチンは安全性は高いけど…とか、天然痘や鳥インフルなどのウイルスは人工的に簡単に作れてしまうからバイオテロに注意とか。
 う~ん、2章以降は僕的には頑張って読んだ割に益が少なかったと感じてしまいました。「これこれこういう歴史があるから○○だ」と書いてくれれば機序や効用のメリット/デメリットの理解につながりやすかったと思うのですが(そこが知りたかったのです)、「これこれこういう歴史です」に限りなく近いので、僕はワクチンの歴史を学びたいわけじゃないんだよな、みたいな。さっきのバイオテロの話も、政治家や医療従事者には有益かもしれないし、また読み物としては面白いですが、機序や効能やリスク/メリットというワクチンそのものについての必要情報からは離れてますよね。
 そうそう、天然痘ワクチンとかインフルエンザワクチンとか、それぞれのワクチンの機序についての説明があるので、それはワクチン接種の判断材料になると思いました。

 というわけで、有益な情報は色々あったけど、僕みたいな医学の門外漢がそれをワクチン接種の判断基準にする情報として受け取るには、読む側に工夫が必要となる本かと。何について書きたいのかが分かりにくいんですよね。有益な情報も色々ありましたが、最初の10ページを読むならネットで充分だったかも(^^;)。


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Bach Bach

Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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ロシアとウクライナがほぼ戦争状態に入りましたが、僕はソ連解体後のウクライナについて本当に無知…。これは2016年にオリバー・ストーン監督が作ったウクライナのドキュメンタリー映画。日本語字幕版が出たらぜひ観たい このブログをYoutube にアップしようか迷い中。するなら作業効率としては早いほど良いんですよね。。その時にはVOICEROIDに話してもらおうかと思ってるけど、誰の声がいいのか考え中
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