人類最古の物語にしてシュメール文化の最大遺物、ギルガメシュ叙事詩です!最初にこの物語の存在を知ったのはブラザーズ・クエイのパペットアニメ、以降は文学全集などで何度か目にしてきましたが、ここまで本格的な本は初めて。読む前からワクワクでした(^^)。
荒ぶる王ギルガメシュの横暴に苦しむ民衆が、天に何とかしてくれと折る。天は泥から人造人間エンキドゥを創り、ギルガメシュと戦わせようとする。しかし名勝負を繰り広げた両者に友情が芽生える。ふたりは香柏の森で怪物フンババを倒すまでになり、英雄となる。しかしギルガメシュが女神イシュタルの誘惑を退け、怒った女神が遣わした天牛をも倒したことで、神々は親友エンキドゥの死を決定する。親友エンキドゥの死を目の当たりにしたギルガメシュは死を恐怖する。そこでギルガメシュは不死の生命を求める旅に出、若返りの草を手に入れるものの蛇にその草を食われてしまう。そしてギルガメシュは都市にに帰る。 僕が今までに読んだギルガメシュ叙事詩は読みやすいように口語訳されたものでしたが(『
世界最古の物語" target="_blank" title="世界最古の物語">世界最古の物語』Th.H.ガスター著、矢島文雄訳など)、この本は原文ママ。石碑が判別できない所は、予測できる文章はカッコに入れて捕捉、予測不可能な所は空白のまま。
ギルガメッシュ叙事詩はいくつものバージョンが知られてるそうなのですが、もっとも話がよく分かるアッカド語で書かれたもの(AC1000ごろ?)を標準版として全文掲載、それよりも成立年代が古い古バビロニア版(AC1950-1530)などの他のものは、標準版と違う部分だけ抜粋して紹介。いや~これは専門家の研究書レベルだわ、すごい。
そうそう、ギルガメシュ叙事詩って、旧約聖書以前に洪水神話が語られた本とか、冥府下りが出てくる本とか、そういわれる事がありますが、後者は生命の草を求める旅の際の島渡りをそういうのならわかりますが、前者はチラっと触れられるだけで、そういう物語が実際にあるわけではありませんでした(^^;)。こういうのってちゃんと自分で文献にあたらないといけませんね。。
僕的に凄く
ためになったのは、100ページにおよぶ解説で、この解題がすごかったです!なにせ人類最古の書を原文ママなので、えらく神話めいているというか、それが実話なのか象徴的な表現なのかすら分からないことが多く、この解説がなかったら僕は混乱したままだったかも。勝手に「何か深い意味があるんだろうなあ」と勝手に思っていた象徴的な部分(例えば、王の親友が神が作った獣である事の意味とかね^^;)への妄信を、いい意味で崩してくれたすばらしい解説でした.。
というわけで、学術書レベルにすごい本なので、ギルガメシュ叙事詩を深く知りたい人ならこの本一択な気がします。でも原文ママなので、物語自体ははっきり言って実に分かりにくいので、ちょっと知りたい人はライトに書かれたほかの本を選ぶのもありかな?
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