
後期ロマン派の代表的作曲家といえば、2人あげるならワーグナーとマーラー、3人ならそこに
リヒャルト・シュトラウスが加わる感じでしょうか。この3人の中で僕が一番すきなのは、3番手のはずのシュトラウスなんです。あとのふたりは、饒舌すぎて長い長い。1曲2時間とか、全部聴こうと思ったら四夜連続じゃないと聴き通せないとか、良い悪い以前に、時間も体力もあるときじゃないと聴くこと自体が無理。また、あちこち連れ回されすぎて、まとめきれてない気がするんですよね。その点、R.シュトラウスの音楽はまとまってる感じがします。しかも「
変容」みたいに、構造や響きでも面白い事するときがありますしね!
R.シュトラウスといえば交響詩ですが、マゼール指揮バイエルン放送交響楽団が演奏したこのCDは、有名な「ツァラトゥストラはかく語りき」に交響詩第1号「ドン・ファン」、そして有名なオペラ
「ばらの騎士」の演奏会用短縮編曲版が入ってました。
「
ツァラトゥストラはかく語りき」は、もともとはニーチェの書いた哲学書のタイトルです。僕はこの本を読んだ事があるんですが、哲学書っぽくないんですよ。哲学っていうと、「私とは考えているその当人のこと」とか「人間は言語によって世界を書き割っている」とか、言葉や思考で真理を捉えようとする分野というイメージがあるんですが、ニーチェのこの本はかなり寓話っぽいです。ある標題に対して「ピエロが1本のロープを渡っていって…」みたいな話が書かれてたりして、これは何かの例えなんだろうな、みたいな。そんな本を音楽化するなんて当然無理、というわけでこの曲は本と切り離して聴いたほうが無難だと思います。
そしてこの曲といえば…やっぱり「2001年宇宙の旅」ですよね(^^)。有名なあのメロディは知ってる人も多いと思うのですが、以降どうなるかというと…色んなシーンを機能和声で作ってあっちこっちへと引っ張りまわされます、いや~後期ロマン派です。サウンドや作曲技法的には「浄化」みたいな挑戦的な事はしてなくって、映画を見てるような音楽。
それは「
交響詩ドン・ファン」も同じ。僕、ドン・ファンって、あらすじぐらいしか知らないんですが、本をちゃんと読んでたらもっとシーンが分かったりして、面白く聴けるのかな?でも、まとまっているとはいえ大衆映画のような後期ロマン派の音楽なので、音や構造は今の耳で聞くとけっこう保守的かな?
RCAのクラシックCDというと、音はアナログっぽくてリッチなんだけど音がつぶれちゃってダイナミックレンジも狭くて…という印象があったんですが、これは
音は太くて迫力がある上にそれぞれのパートがはっきり聴こえて、めっちゃ音がいい!演奏も僕レベルの人間にとっては非の打ち所なし、素晴らしい!最近、指揮者やオケのクオリティって、世間や批評家の格付けを信用しすぎちゃいけないなと思う事がよくあります。マゼールさん、めっちゃよかった(^^)。というわけで、
シュトラウスの代表作の半分が一気に聴けるこのCD、かなりいいんじゃないかと!
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