ジャン・ユボーのピアノによるフォーレのピアノ作品全集の第2集、2枚組です。1集~2集の計4ディスクでフォーレのピアノ作品を全部聴けるわけです、素晴らしい!収録されていたのは、以下の曲でした。
・舟歌 全13曲
・小品集 op.84
・前奏曲集 op.103
・ヴァルス・カプリス 全4曲
・マズルカ 変ロ長調 op.32
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舟歌」全13曲。舟歌も、
夜想曲と同じようにピアノ独奏曲としてひとつのジャンルとなってる曲で、6/8拍子や12/8拍子が多いイメージ(ごめんなさい、あくまで僕の印象という事で^^;>)。
ショパンの舟歌が有名ですが、
舟歌ってフォーレが一番たくさん書いてるんですよね。8番あたりまではどれも舟歌らしく優雅で軽やかでいい曲、演奏も素晴らしかった!でも個人的に好きなのはその後で、
特に10番と12番が好きです。13番もいい! 10番のイ短調アレグレット・モデラート6/8拍子。独特の色彩感覚で、しかも渋い。作品番号104なので晩年の作ですが、やっぱりフォーレは老いてからの方が素晴らしい…。
12番は、軽やかなだけでなく、印象派的な色彩が滲み始めていると感じました。また、対位法的な音の処理が目立って、ちょっと弾いてみたらけっこう難しかった(^^;)。これも良い曲です!
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小品集」op.84。全8曲ですが、8曲目は夜想曲8番と同じなので、このCDには入ってませんでした(第1集に入ってます)。夜想曲や舟歌のようなキャラクターピースと違い、表題をつけない純音楽としての商品、という事なんでしょうね。そんなわけで、フーガもあれば即興曲っぽいものもあって、色々でした。
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前奏曲集」op.103。全9曲、これは素晴らしい!
フォーレのピアノ作品集で、曲ごとではなく全体としていちばんいいのって、これじゃないでしょうか?!アレグロの2番は編集ポイントが聴こえる…さすがのユボーも一発で弾けなかったか(^^;)。
個人的な好みは、1番、3番、5番、9番。好き嫌いではなく、作曲作品としての完成度が高いと思ったのは4番でした。ただ、4番はけっこう有名なだけにこの曲想をパクったライトクラシックやフュージョンの曲が多くて、ちょっ飽きちゃってるんですよね。。いずれにしても、これだけバラエティに富んでいて、こんなに好きな曲があるならぜんぶ聴け、ぜんぶ弾け、って感じです(^^)。
1番と3番は、和声面で近代音楽性を強く感じるもので、独特の色彩感覚。いやあ、やっぱりフォーレは晩年だよ、絶対そうだって。。
5番はなんというリズムだ!最初の4小節ですら綺麗に弾けないんですけど(^^;)。。そしてこれも対位法的な処理が見事な曲で、しかも現代的な響きを持ってるもんで、カッコいいと思わないわけがないっす。。
9番は、メシアン「世の終わりのための四重奏曲」の終曲の様な雰囲気、なんというのかな、サウンドは全音階的なふわっとした感じで、構造には対位法的、印象派どこか安らかに清らかに昇天する感じ。これは音楽的にも曲想的にもしびれました、すばらしいです…。
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ヴァルス・カプリス」全4曲、「マズルカ」op.32。。ヴァルス・カプリスは、ワルツとカプリス(奇想曲)の性格の両方を持ったものという意味で、僕が知っている曲はリストのものです。どちらも初期作品だけあって明るい舞踊音楽という感じで、典型的なロマン派音楽という感じでした。
この第2集でも、やっぱり
作品番号が100を超えたあたりの後期作品の方が僕は圧倒的に好みでした。というか、好き嫌いではなく、実際に作品の成熟度も後半の方が高いといっていいんじゃないかなあ。そして、ユボーさんの演奏、音色への配慮や、鋭さよりも流暢さを優先するようなところでそう感じるのだと思いますが、なんともフランス的でいい演奏でした。これは良い全集だ!
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