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心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

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『Enrique Delfino / Recordando con Delfino』

Enrique Delfino_Recordando con Delfino 1967年発表、タンゴのピアニスト作曲家のエンリケ・デルフィーノのピアノ独奏アルバムです。デルフィーノはタンゴの人名辞典に3ページに渡って書かれるほどの重鎮ですが、なにせ1910年代から活躍していた人だし、活動場所がブエノスアイレスやモンテビデオ(ウルグアイの首都)だったので、アルバム文化の流れにはあんまりいなかったのかも。それでも1910-30年代にもたくさん録音されていたらしく、現在残っているデルフィーノさんの戦前録音のほとんどは、ラジオ放送やシングルレコード用のものみたいです。
 これはエンリケ・デルフィーノの数少ない(2作だけ?)オリジナル・アルバムのひとつです。このアルバム、CD化はされておらず、見つかりさえすればそこまで高くない値段で手に入るんですが、そもそも見つからないという(^^;)>。

 うわ、リズムがけっこうガシガシ来る!もう少しリットさせてもいいと感じるところでもどんどん弾いて先に進むし、もう少しレガートに弾いた方がいいと感じるところでもパンパン弾いちゃいます。タッチも強い!ダンス音楽でもあるタンゴなのでそうしているのかも知れませんが、よく聴くと強いのはリズムとバスの左手じゃなくて右手、このへんはさすがに音楽的だと思いました。ピアノ内での音量バランスは絶対に失わないんですね。
 こういう強さに騙されちゃいそうですが、実はグリッサンドなんてメッチャ綺麗。だからリズムやタッチが強いと言っても雑なんじゃなくて実は相当にうまい人、タンゴ・ピアノのマエストロと感じました。デルフィーノさんは作曲家として名の知られた人と思っていたので、歳をとってこれだけ弾けることに正直言って驚きました。

 なるほど、ラテン音楽にピアノを使うとこういう事になるのか、このへんが若いうちにクラシック~ジャズに行った僕みたいな人が知らず知らずのうちに築いてしまった音楽観との差なんでしょうね、なるほどこれがタンゴか、たしかにタンゴにピアニストってこんな感じでピアノを弾く人が多い印象だなあ。
 僕は80年代以降にジャズからタンゴに入ったもんで、タンゴといってもピアソラとそれ以降しか耳なじみがなかったりするんですが、ピアソラって厳密にはタンゴには入らないそうですね。タンゴ・ミロンガ期を中心に見るにせよタンゴ・カンシオン期を中心に見るにせよ、タンゴ全盛は1920-30年代カルロス・ガルデルのCDを聴いた時にも思いましたが、20-30年代を現役として生きた人のタンゴを聴くと、「ああ、これがオリジナルのタンゴなんだなあ」と思わされるんですよね(^^)。

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『Julio de Caro Y Su Orquesta Típica / Reliquias - Tangos de Rompe Y Raja』

Julio de Caro Orquesta Típica_Tangos de Rompe Y Raja フリオ・デ・カロ(1899-1980)はヴァイオリニストで、「近代タンゴの祖」と言われるタンゴの偉人。自分の楽団を率い、娼館でのカップルダンスか町の流しぐらいのものだったタンゴにスコアとアレンジを定着させ、これがタンゴの芸術音楽化につながったんだそうです。これはフリオ・デ・カロ楽団(オルケスタ・ティピカとは、ラテン音楽の楽団の事で、8~12人編成が普通)のオムニバスCD、20曲入りです。なぜ僕がこのCDを買ったかというと、僕が知っている数少ないデ・カロの曲「Boedo」「Copacabana」「Recuerdo」「Todo corazón」「Flores Negras」「Tierra querida」がすべて入っていたから。オムニバス盤って、自分が欲しい曲がすべて入っているものって意外とないんですよね(^^;)。
 フリオ・デカロの楽団は、1924年から30年あたりまでが通常のタンゴ楽団編成で、以降は色々と斬新な事をやったはずだから、これは1924~30年あたりの録音じゃないかと。

 古風で、ヨーロッパ音楽の流れにある気品と、アルゼンチンの大衆性の共存した感じ、いいなあ(^^)。録音が古いもんで、音が潰れて楽器編成もよく分からないんですが、もし通常のタンゴ・オーケストラだったとしたら、コンバス、ピアノ、バンドネオン2台、ヴァイオリン2台の6重奏団だったはず(第2ヴァイオリンがもしかすると他の楽器かも)。ピアノの音なんて潰れてどういう和音を弾いているのかも僕の耳では聴きとれず、コントラバスも聴こえたり聴こえなかったり。だから実際にどうだったかは分からないんですが、ピアソラあたりと比べると、かなりシンプルなオーケストレーションと感じました。コンバスとピアノがリズムセクションで、ヴァイオリン隊とバンドネオン隊がラインで絡む、みたいな。それだけに、タンゴのあの4/4のズン・チャッ・チャッ・チャなリズムを強く感じました。

 でも本当は、このCDよりもっともっとカッコいいアレンジだった気がします。ピアノもコードとバスだけでなくおいしい対メロ弾いてそうだし、セクションも常にトゥッティというわけでもないので、実はかなりイケてるアレンジだった気もするんですよね。ただ、本当に録音が古くてよく聴こえないよ~ん(^^;)。

 フリオ・デ・カロが自分のオルケスタ・ティピカを率いたのは1923年から54年まで(デ・カロは54年に現役引退)。1920年代の時代の大衆音楽でここまでやったら相当なもので、ある意味でシャンソン級、ジャズよりよほど進んだ音楽だったかも。考えてみればアルゼンチンはイタリア移民が多い白人社会だし、貿易航路を考えてもヨーロッパ音楽はよく入ってきただろうし、他のラテン音楽のリズムもどんどん入っただろうし、実は北米よりも音楽的に有利だった筈ですもんね。フリオ・デ・カロの曲は現在でもタンゴ楽団が良く演奏する、タンゴ界のコール・ポーターみたいな人。20世紀初頭の白人ラテン音楽って、今のポピュラー音楽よりよほど豊かな音楽だったんじゃないかと思ってしまいます。


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『First Blood ランボー original motionpicture soundtrack』 ジェリー・ゴールドスミス

First Blood OST 大魔神やゴジラといったサントラだけでなく、芸術音楽も管弦楽曲も、伊福部昭先生の音楽はオスティナートが多いです。大魔神のしつこいオスティナートを聴いて僕が何を思い出したかというと、映画『ランボー』のBGM(^^)ソコカヨ。あの映画の音楽、同じフレーズの繰り返しが多かったと思いませんか?その反復パターンの作り方が伊福部さんのやり口にそっくりと感じたのでした。またそれが効果的なんですよね。

 ランボーの音楽監督はジェリー・ゴールドスミス、映画音楽の大巨匠です。映画音楽の大巨匠がゴジラの音楽を知らないはずがないと思うので、もしかしたら参考にしたのかも知れません。実際に、伊福部さんのオスティナートの技法は、ミニマル・ミュージック流行後のアメリカで再評価が進んだと言いますし。

 ランボー1作目のBGM、すごく好きです。アクション映画と言っても終始ドンパチやるわけでなく、敵がいるかいないか分からない森に入っていってひとりずつ狩られるとか、何かが起きる前の不穏なシーンが多いので、それに合わせるように緊張感のある音楽が多いのです。ここに、アメリカの故郷を懐かしむルーツミュージックみたいなメロディの曲があったり(これがメインテーマ)、軍楽と管弦楽を混ぜたような独特の曲があったりと、映画の内容に合わせる事で色んな音楽のフュージョンが起きたと感じました。ジェリー・ゴールドスミスさんのランボーの音楽は1作目も2作目も傑作、サントラだけでも何度も聴いたのに、映画も何度も見てるもんだから、この音楽が完全に体に入っちゃってる僕でした(^^)。


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『大魔神 メモリアルBOX』 音楽:伊福部昭

Daimajin Memorial Box ゴジラに並ぶ伊福部昭さん作曲の映画音楽最高峰、大魔神のサウンドトラックCD3枚組BOXです!映画全3作をの音楽をまとめています。
 伊福部さんって、ゴジラや大魔神の人だと思っている人もいると思いますが、実際には日本のクラシック作曲家として世界で高く評価されてる人です。東京芸大音楽学部の元トップだし(^^)。そういえば、伊福部さんの書いた管弦楽法の本はすごかったです。音大生のころ、「これを読んでいたら時間がいくらあっても足りないぞ」と思い、最初から読むのを断念したっけ。

 怪獣映画の音楽なので、恐ろしさと雄大さのふたつが求められたと思うんですが、そういう点で評価すると、大魔神の音楽はゴジラを超えています。とんでもない迫力なんですよ。映画を観ていてと分かるんですが、「やべえ、ものっすごく怒ってる神が来ちゃったよ…」って感じがなぜあれほど伝わってくるのかというと、単純に心理的に恐怖を感じるほどの低音が大量に鳴ってるんですよね。けたたましい音が鳴りひびいて、管弦が悲鳴をあげて…その音を聴いてると、もう逃げられない、天誅が下ると感じてしまうという(^^;)。
 作曲は1966年ですが、その時代という事もあったか、管弦に加えて、ピアノのクラスターと電子オルガンの音がうまく混ぜてあって、これが恐怖感を倍増させていると感じました。これは僕のフェティシズムかも知れませんが、昔の古い録音でつぶれた管弦の音って、いい録音とは言えないかも知れませんが、独特の味があってすごく好きなんですよね(^^)。

 ただこのCDボックス、セリフもいっぱい入ってて、それはいらない…。ビデオがない時代、音だけ聴いてドラマを楽しむレコードがあったじゃないですか。ああいう作りです。今は映像を見る手段なんていくらでもあるので、音でドラマを堪能しようなんて人はもういないんじゃないかと。これは当時発表されたレコードをまとめただけなのか、ディスク枚数を増やして値段をあげようという魂胆なのか…。でも、大魔神の音楽は怪獣映画音楽の最高傑作と思ってるので、それでもちょっと手放せないです(^^)。これはヤバい。


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映画『大魔神逆襲』

DaimajinGyakushuu.jpg 大映制作の特撮映画『大魔神』の第3弾、これがラスト作です。3作目の大魔神は、雪の魔人。またしても特撮の素晴らしさにやられました。最高です。

 ふとしたきっかけから武将に強制労働を強いられる村民。村民の子供たちが、過酷な労働を強いられる親を助けようとするが、ひとり、またひとりと力尽きて死んでいく。雪山に祀られている武人像の使いと言われる鷹が、最後のひとりの少年を救うが、武士に打たれて死ぬ。その時に武人像が血を流し…

 前2作に比べると、中盤がすこぶる退屈。子どもが山を越えるシーンは、どうなるのか大体わかっているのに長時間観なくてはならないのでダレてしまいました。映画や音楽って意識追従が大原則だと思うので、「分かってる事を長く観させられる」所があると飽きちゃうんですね、きっと。
 特撮部分は、相変わらず素晴らしくて、ハッとさせられる瞬間がいくつもありました。ただ、構図が今までとほとんど同じものだから、素晴らしいんだけど慣れてしまって、1作目ほどの感動はありませんでした。こういうのってシリーズものの宿命なのかも。

 映画「大魔神」は全3作は、すべて1966年製作なんですね。このクオリティの特撮映画を1年で3つ作るのはちょっと信じられません。すごい。特撮で育った世代としては、特撮最高峰の大魔神はどれも面白かったですが、ひとつだけ人に薦めるならやっぱり1作目。そして、「すぐ嘘ついて逃げようとするわ、自分の罪はみんな人に押し付けて逃げる小物だわ、やりたい放題のクズみたいな現代の悪代官も、大魔神がぶっ〇してくれねえかなあ」と思う自分がいたりして…これって、ある種の風刺なのかも知れませんね。


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映画『大魔神怒る』

DaimajinIkaru.jpg 大映の特撮映画『大魔神』の第2作です。なんと前作の4か月後に公開…いやいやいや、この手の混んだとんでもない特撮映画を数か月で撮影したのか?!凄すぎるだろ、きっと昔の日本映画界は過酷な労働を強いるブラック企業だったに違いない(^^;)。エキストラの人数が半端じゃない上に、特撮もいまだ伝説レベル。さて、第2作の大魔神は水の神。毎度毎度最後に魔人が滅びるので、違う魔人という事にする必要があるのかも^^。

 戦国時代、隣国に滅ぼされたある国。命からがら武神像のある島に逃れる一族でしたが、そこにも敵が攻め込んできます。一族は徐々に滅ぼされ、武神像も爆薬を仕掛けられて吹き飛ばされます。ところが、吹き飛ばした魔人像のかけらが落ちた湖から水柱が立って船が飲み込まれるなど、不吉な出来事が相次ぎます。そん直り、捉えられた姫に火にかけられ、姫が神に祈って涙したその瞬間に、遠くから地鳴りが…

 なんかどこかで聴いたようなストーリーですが(^^;)、さすがに2度目となるとストーリー的には若干飽きてきます。しかし大魔神の楽しさにとってストーリーなんて飾りです、偉い人にはそれが分からんのです。今回の魔人、なんと湖をふたつに割って向かってきます…モーゼかよ、この特撮には度肝を抜かれました!!すげえ、今のCGより全然すげえよ…。特撮というのはやっぱりイリュージョンですね、本当にそう見えるかどうかより、そのイリュージョンの見事さを堪能するものだと思います。荒ぶる神が怒るラスト20分が壮観でした!!


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映画『大魔神』

Daimajin.jpg 1966年、大映制作の特撮時代劇です。子どもの頃、テレビ放送された大魔神の威容と見事な特撮に圧倒されて目が釘付け!あまりの迫力に見終った後も痺れまくってました。「すげえ、すげえよ…」みたいな。

 時は戦国、災厄を取り払ってくれるという伝説の魔人像のある村。その地を治める領主が、謀反を起こされて失脚、姫と若だけは命からがらなんとか逃げ延びる。滝のそばにさしかかると、そこに魔人像を見つける。謀反で成り上がった新しい領主は村人にひどい強制労働を強い、村人は苦しめられる。魔人を沈めていた巫女は殺され、ついに若は捉えられ、そして姫までが見つかり、魔人の脳天に杭が撃ち込まれる。すると神像の頭から血が流れ…

 まず、話が面白いです。抑圧されて爆発というシンプルなものですが、その抑圧が酷いものだから、終盤でついに爆発する復讐劇の爽快さといったらないです(^^)。また、崖の斜面に魔人像を見つける流れ、魔人の足もの徒にこぼれる姫の涙といった描写や演出なども素晴らしくて、最初から最後まで緊張感が切れることなく、映画を観ている間中、その世界に魅了されっぱなしでした。

 そのうえで…特撮がすげええええええ!ラスト20分は完全に特撮の凄さを見る映画で、CGを使わない特撮の完成度もイリュージョンの見事さも、僕がこれまで見てきた映画の中で屈指の出来栄え。ハリーハウゼンとは別種のエンターテイメントで、スーパーマンやスターウォーズですら特撮にここまで感動はしませんでした。この特撮を見るだけでも、この映画を観る価値があります。
Daimajin1_gif1.gif 物語が大きく動くその時、強制労働を強いられた村に暗雲が立ち込め、村が影で覆われる表現…いやあ、これってどうやって撮影したんでしょうか、すげえ。魔人に城門が吹き飛ばされて瓦が崩れ落ちるその瓦の飛び方は、瓦の質感や絵としてのセンスが脅威。武士たちが櫓の上で身をひそめるその向こうに魔人が通りかかり、武士の方に向き直り、腕をふりおろし…このシーンは僕の一番のお気に入りですが、これは特撮のイリュージョン自体を楽しむために作ったようなショットで、イリュージョンお見事さと魔人の巨大さの表現、そして色彩感覚もセンスが素晴らしいです。巨大な魔人が村を歩き、武士を片手でむんずとつかまえて、その体に杭を刺すシーンは、そのえげつない描写の凄さに圧倒されました。そして魔人の最後は…いやあ、こんな最高のエンターテイメントを子供の頃に観る事が出来た僕は幸せでした。なんdろ、特撮の見事さだけでなく、構図、色彩感覚、瓦の吹き飛び方や魔人が迫る足音の迫力など、美的センスが圧倒的なのかも。

 1966年と言ったら、ウルトラマンの制作年。特撮TV番組ではウルトラマンをはじめとした円谷プロの特撮が圧倒的に素晴らしいですが、その円谷特撮ですら大魔神と比べてしまったら…というほどの特撮のイリュージョン。なるほど、かつての日本映画の特撮は世界屈指だったという話を聞いた事がありますが、その筆頭って大魔神ではないかと今でも思っています。結局、特撮の面白さって、リアルかどうか以上に、イリュージョンだと思うのです。イリュージョンとしての特撮映画の楽しさ素晴らしさって、大魔神とレイ・ハリーハウゼンのふたつがトップなのではないかと思っています(^^)。


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『Miles Davis / Someday My Prince Will Come』

Miles Davis_Someday My Prince Will Come 1961年3月録音、マイルス・デイビスのスタジオ録音盤です。コロムビア時代のマイルスの録音は、1/3はコンボでのライブ音源、1/3はコンボでのスタジオ録音、1/3 はギル・エヴァンスとのコラボレーションみたいな感じ。スタジオだとモードに挑戦した『Kind of Blue』など、アルバムごとに意義や挑戦がはっきりしたものが多いです。でもこのアルバムはあまりそういうコンセプト的なものを感じなくて、ミドル~スローテンポのジャズを普通にやった感じでした。別の言い方をすると、ジョン・コルトレーンやウィントン・ケリーが入ってモード的なアプローチもちょっとだけしてるので、『Kind of Blue』と似たコンセプトのアルバムともいえるのかな?メンバーは、Miles Davis (tp), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b),Jimmy Cobb (ds)、そしてテナーサックスは2曲がJohn Coltrane、4曲がHank Mobley。

 レコード会社からお金をもらって記事を書いていたジャズ雑誌の記事やライナーノートでは、「コルトレーン最後のマイルス・バンド参加作」とか、「『いつか王子様が』はポップチューンをモード演奏した傑作」とか、無理やりにセールスポイントを作ってましたけど、そういうアルバムじゃなくて普通にリラックスしたジャズを聴ける感じでした。
 アルバムタイトル曲「いつか王子様が」は、ディズニー映画の主題曲で、マイルスやビル・エヴァンスが好んで演奏したことでジャズのスタンダードナンバーと化しました。このアルバムの「いつか王子様」は、最初にベースがペダルしたりするものの、マイルスのミュート・トランペットは抑制が効いているし、原曲の良さを生かしたとてもロマンチックな仕上がり…かと思いきや、コルトレーンのコーラスだけは思いっきりシーツ・オブ・サウンドしていてマシンガンのごとく吹きまくるからロマンチックなんてもんじゃなくなってました(^^;)。「TEO」も右に同じです。やりすぎです。ドラえもんの映画に執拗に斬首シーンを出すようなものです。61年のコルトレーンといえば、エリック・ドルフィーと絡むわブルース解釈でえらく発展的な事をやるわ、挙句の果てにコルトレーン・チェンジまで開発しちゃった頃なので、曲を美しく仕上げるなんて意識はさらさらなかったんでしょうね(^^;)。もう、バンドで飼う事が出来るような人じゃないです。

 というわけで、コルトレーンが大好きな僕ではあるんですが、このアルバムに関してはコルトレーンが参加していないトラックの方が好きでした。特にスローバラードの美しさは尋常ではなく、「Old Folks」や「Ithought about you」でのマイルスのミュート・トランペットとウィントン・ケリーのピアノは、本当に美しくて素晴らしいと思います。また、ウッドベースのピチカートの録音が良くて、ふたりのうしろで「ボン…」となるその心地よさと言ったら…。ジャズの録音って、70年代に入るとアンプやラインを混ぜたベースの音にしてしまいますが、絶対に生音だけの方がいいよなあ…。

 このアルバム、僕は大学生の時に近所のレンタルビデオ店で借りました。今回聴いたのは大学生の頃以来、なんと30年近い時間が流れていました。1周するのに30年という事は、もしかするとこのアルバムを聴けるのは今回が最後かも。もう一度聴けるとしても次は死ぬ間際で、そんなタイミングでこの美しいピアノやトランペットの音を耳にしたら涙が出るだろうな…。ひとつひとつのアルバム、大事に聴いていこう。。


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『Miles Davis & John Coltrane / Live in Stockholm 1960』

Miles Davis John Coltrane_Live in Stockholm 1960 1960年3月22日、ジョン・コルトレーン在籍時のマイルス・デイヴィス・クインテットが、スウェーデンの首都ストックホルムで行ったライブの録音です!コルトレーンがマイルス・バンドから離れるひと月前の演奏ですね。それだけで飛びついた若い頃の僕でした…好きだったのもあるけど、それ以上に勉強のつもりだったのかもなあ。メンバーは、Miles Davis (tp), John Coltrane (tsax), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。

 普通のジャズ・チューンのほかに「So What」のようなモード曲もやってるんですが、安定してるのはマイルスとチェンバースとフィリージョーで、彼らは間違いなくプロです(^^)。一方、モード曲を持て余してるのがウイントン・ケリーで、1回目の「So What」のマイルスのソロ・バッキングなんて、同じコードを何度もプレスするだけ(^^;)。伴奏をやめちゃうことも結構ありますしね。。曲の構成が単純な分だけ、プレイヤーが音楽をうまく組み立てないと「やってるだけ」になっちゃいそうな曲ですが、まだこの手のモード曲への対応が追い付いてない時代だったのかも。ビル・エヴァンスハービー・ハンコックマッコイ・タイナーがいかに優れていたのかという事かも知れません。
 逆に、先端を行きすぎてるのがコルトレーンでした。ディスク2の方の「So What」のソロなんて、最初は練習のよう、後半は超高速のシーツ・オブ・サウンドで、曲想関係なしにここまでやって大丈夫なのか…と思いきや、ストックホルムの観客は大喝采でした(^^)。聴衆って、昔の方が絶対に音楽を聴く耳を持ってましたよね。。でも、聴きようによってはコルトレーンはこのバンドにはマッチしていなくて、「All Blues」でのソロなんて、フラジオだけでソロ取ろうとしてるんですよ、しかもそれがうまくいってない(^^;)…つまり、かなり実験的ですが、そんな事をしてるのはコルトレーンだけで、他は「ジャズを聴かせるぞ」って感じなのです。う~んこれは自分のバンドで新しい音楽に突入するための準備だったのでしょうか。60年まで来ると、マイルスとコルトレーンは別々にやった方が幸せだったのかも知れませんね。

 ぶっ飛んでいるコルトレーンを除けば、全体的に「さあ、巡業に出て日銭を稼いでくるぞ!」って感じの演奏でした。録音は良くはないですが悪くもなく、なるほどコルトレーン在籍時のマイルス・バンドはライブではこういう感じだったんだな、みたいな。スタジオ録音のアルバムの方がむしろ挑戦的な事をしている所は、マイルス・デイヴィスの意識が「アルバムでは、常に新しい課題の何かに挑戦して、一歩進んだ作品を作り出す」という所にあったのかも。これは考え方ですが、マイルスより、コルトレーンの目線で聴いた方が楽しめる音楽かも知れません。


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『Miles Davis / Milestones』

Miles Davis_Milestones アルバム『'Round About Midnight』が静なら、こちらは動!1958年発表、ジョン・コルトレーンがマイルスのコンボに復帰したアルバムとして、そしてモードの走りとして有名なアルバムです。『Kind of Blue』制作前年で、ハードバップとモードの中間ぐらいのマイルスの絶頂期の演奏!メンバーは、マイルス(tp)、キャノンボール(asax)、コルトレーン(tsax)、レッド・ガーランド(p)、そしてポール・チェンバース(b) とフィリー・ジョー(dr) の鉄壁のリズム隊です。

 うおお、1曲目「Dr. Jekyll」のトランペット・ソロが速い、熱い、凄い!これは強烈、マイルス・デイヴィスって音楽脳は素晴らしいけど、ソロイストとしてはどうしてもクリフォード・ブラウンブッカー・リトルにはかなわないと思ってましたが、58年あたりはトッププレイヤーのひとりと言って過言でないんじゃなかろうか…いやーすごかったです。
 コルトレーンも素晴らしかったです。マイルスのグループ参加時のコルトレーンって、60年代のヨーロッパ公演とか、アルバム『Someday My Prince Will Come』あたりになるとまともにバップ的なアプローチをする事がなくなって、フラジオだけキュルキュル言わせてるだけのソロを取ったりして実験的になりましたが、このアルバムはいいです。「Two Bass Hit」の最初のブローイング・コーラスをもらってますが、そこでのコルトレーンの演奏は見事。モンク作曲「Straight, No Chaser」でのアドリブも素晴らしかったです!

 一方、コードプログレッションを任されたレッド・ガーランドがちょっとかわいそうでした。例えば2曲目「Sid's Ahead」みたいなモーダルな曲になると、コードが動かないもんだからバップ的なアプローチもポンピングもうまく使えず、1小節で1回だけ「チャン」みたいにコードをプレスするだけ、みたいな演奏になっちゃったり。バッキング自体をやめている箇所すらありました。メソッドが完成しきっていない過渡期に即興演奏で対応させられるプレイヤーはしんどい、ちょっと同情するなあ。それでも実力の世界なので「出来ない奴の能力が足りない」という事になってしまうのでしょう、マイルスが翌年の『Kind of Blue』ビル・エヴァンスを起用したのも仕方がない事だったのかも。

 初期のモードとして語られる事の多いアルバムですが、実際にはモードどうこうより、バップをもっと簡単に即興できるようにしてバリバリ演奏しまくった音楽と感じました。というわけで、マイルスのブルーノート録音からプレスティッジに残したハードバップなレコーディング・セッションが洗練されて行き着いたのがこのアルバムで、ハードバップの延長線で音楽をやっていた頃のマイルス・デイヴィスの演奏では、これが一番いいんじゃないでしょうか?!やっぱり「ジキル博士」の超高速ソロに尽きるなあ。。


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『Miles Davis / ‘Round About Midnight』

MilesDavis_RoundAboutMidnight.jpg ジャズ・トランぺッターのマイルス・デイヴィスが自分のバンドにジョン・コルトレーンを入れたレコードをまとめて聴いてみよう、そうしよう。これは1956年、ついにメジャー・レコード会社のコロムビアに移籍したマイルス・デイヴィスの第1弾アルバムです。メンバーは、マイルス・デイヴィス(tp)、ジョン・コルトレーン(t.sax)、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(dr)。

 モダン・ジャズ時代のマイルスのアルバムは、ライブだと白熱したものが多いですが、これはリラックスしたムードのアルバムでした。若い頃は、ジャズといえばハードな演奏が好きだったもんで、モダン・ジャズ期のマイルスといえばライブ盤が好きで、このアルバムは好きじゃなかったんです。ところがいま聴くと、なんと気持ちが良い音楽なんでしょう、それでいて知性も技術もあるという素晴らしさ。
 モダン期やそれ以前のジャズを聴くと、知性的な労働者が、仕事が終わった後に人生を楽しむための音楽だったのではないかと思う時があります。シャレオツな音楽とか、そういうカッコつけた事ではなくて、「ハア~、これはいいねえ」と仕事の緊張を解いて、心を楽しませるような。実際、久々にこのアルバムをターンテーブルに乗せたら、僕はものの数分で脱力してしまいました。「Ah-Leu-Cha」のヘッドでのマイルスとコルトレーンの対位法的な絡みだけは、なぜかグロテスクん絡んでますけど(^^;)、「Round Midnight」も「All of You」も「Dear Old Stockholm」も、なんと大人な演奏をするんでしょうか。自分がしゃしゃり出るわけでもなく、かといってお客さんのためのムード・ミュージックというのでもなく。

 合衆国って、第2次世界大戦までは明らかに音楽後進国でしたが、でも大衆音楽からここまで洗練されたものを生み出したのは偉大だと思います。だって、中世ヨーロッパの吟遊詩人にしても、戦後のフランスの大衆音楽にしても、ここまで高度なものはないじゃないですか。また、高度な事をやっていても難しくはしない所も素晴らしいです。よもや自分がこのアルバムを楽しめるようになるとは思ってもみませんでした。これは良かったです…けど、聴くなら1日の最後に聴いたほうが良いかも。緊張が解けて仕事をやる気がなくなりますので(^^)。あ、そうそう、このアルバムって、オリジナル盤は6曲入りですが、あとからボーナストラック4曲を加えた10曲入りが出ていたはず。僕はそれを聴いてないんですが、別テイクではなく別曲だったはずなので、特にアナログ盤にこだわらないのであれば、今から買うならそちらのほうが良いかも知れません。


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『Hopkinson Smith / Album』

Hopkinson-Smith-A-portrait.jpg 著名なリュート奏者であるホプキンソン・スミスのアルバムです。この方は有名リュート奏者を何人も育てた教育者としても有名で、アメリカ出身でスイスに居を移した人…きっと、リュートのために移住したんでしょうね。リュートだけでなく、古楽系の撥弦楽器であればなんでも弾いてしまうのですが、それはこのアルバムでも同じで、ルネサンス・リュート、バロック・リュート、バロック・ギターなどを演奏していました。すごいなあ。そうそう、1曲だけアンサンブルモノが入っていましたが、あとはリュートをはじめとした撥弦楽器の独奏でした。

 美しい音色だけでも、魂を持っていかれてしまいそうでした。楽器問わず美しいので、タッチもそうだけどホールの響きも美しかったのかも知れません。だいたい、指先だけに夢中にならず、ホールを美しく響かせることは名プレーヤーの条件ですもんね(^^)。
 21曲を演奏していましたが、大バッハやダウランドはもとより、僕が全然知らない作曲家の曲も多数。もしかしたら、リュート音楽だけ書いていたような人なのかな、リュートやギターってプレーヤー作曲家が多いですもんね。
 いい曲をメモしておこうと思ったんですが、みんなすばらしくて途中でメモするのをやめました。いや、マジでこれは素晴らしい。どの人の書いた曲でポリフォニーが多くて、カノンでなくともバスがメロディとは別に動くのが普通。よくリュート属の楽器でこんな曲を弾けるもんだと驚くばかりで、Mudarra という人の書いたカノン状の曲なんて、これをひとりで演奏しているとはとても思えないほどでした。もしかしたら、曲だけでなくこの技巧の素晴らしさで、みんなすばらしい曲に感じてしまったのかも。

 ルネサンスやバロック期のリュート音楽って、聴いていると中世のヨーロッパ庶民の石造りの家や、そこでの生活を想像してしまうんですよね。ほら、藤圭子さんの歌を聴いていると、学生運動とかプロ野球とか集団就職とかキャバレーとか、1970年ごろの日本の空気感がみんな聴こえてくる感じがあるじゃないですか。ルネサンスやバロックのリュート音楽は、同じヨーロッパ中世でも教会より庶民に近い素朴さや祈りや宗教心など、そういうものを色々と感じます。もちろんそれは僕の感じ方や想像でしかないんですが、でも古楽のリュート音楽にしかない独特の世界観って、あるじゃないですか。教会音楽ほど荘厳ではなく、貴族音楽ほど舞踊曲風ではなく、素朴で美しくて…みたいな。もう、あの魅力満載のCDでした。これはいいものだ。。


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『Europäische Lautenmusik Vol.2 ヨーロッパのリュート音楽 第2巻 Konrad Junghänel コンラート・ユーグヘンネル』

Europäische Lautenmusik Vol2 Konrad Junghänel リュート奏者の大家コンラート・ユーグヘンネルによるフランスの古楽リュート作品集に感動したもので、その第2集であるイサイアス・ロイスナーによる6つのリュート組曲を収録したCDも買ってしまった20代後半ごろの僕でした…ロイスナーという作曲家の事はまったく知らなかったんですけどね(^^;)>。

 バロックの組曲なので当たり前と言えば当たり前なんですが、色んな技巧が使われている中にはカノンが用いられた曲もあって、これはぼんやり聴いていると「古風でいい音楽だなあ」なんて感じで通り過ぎてしまいそうでしたが、実は超絶。これ、鍵盤楽器ならわかるけど、リュートだよな…凄かったです。これは作曲家自身もリュートにかなり通じていないと書けないんじゃないかなあ。。
 でも響きが残ってしまうギターやリュート独特の事かも知れませんが、けっこう不協和音が目立って聴こえました。これは和音が鳴っている時に繋留するからそうなるんであって、作曲者も決してこのサウンド自体を気に入っていたわけではないような気がします。リュートではまだ対位法規則が整備しきれていないというか、そういうところもバロック・リュートの作曲や双方の歴史の1ページの気がしました。
 ドイツ・バロックのエピゴーネンに終わらず、「お、やるな」と思った点もいくつかありました。組曲二長調の第1曲ソナチネで鳴らされる長7度とか部分転調とか、これは大家のコピーに終わらない部分が色々とありました。バロックの長調で長7度を鳴らすのって、リュート奏者でいうとホプキンソン・スミスもやってましたが、これって元のスコアはどうなってるんでしょうね。もしかするとプレイヤーの判断なのかも。そうそう、長調曲になると、バロックというよりももっと民謡的な軽やかさを感じました。

 イサイアス・ロイスナーという作曲家はポーランドの作曲家だそうですが(父親も同じ名前で、やはりリュート奏者/作曲家)、いやいや音楽周縁国の田舎作曲家なんてものではない見事なスコアでした。オルガンとかリュートとか、その楽器だけで知られている演奏家/作曲家っていますが、これだけの曲を書くという事は、ロイスナーさんはリュートの世界では有名な人なのかも知れません。


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『Europäische Lautenmusik Vol.1 ヨーロッパのリュート音楽 第1巻 Konrad Junghänel コンラート・ユーグヘンネル』

Europäische Lautenmusik Vol1 Konrad Junghänel 17世紀フランスの古楽リュートのCDです。コンラート・ユーグヘンネルはリュート界の巨匠のひとりで、このCDを含むドイツ・ハルモニア・ムンディに残した録音は文化遺産クラス。というわけで、古楽もリュートも大好きな僕が飛びついたのも当然の事でした…まったく詳しくないんですが(^^)。

 なんだこの深い音は、静謐な音楽は?!CDが始まって30秒も経たないうちに、僕の中での名盤確定です(^^)。収録されていた曲は以下の通りです。

 エヌモン・ゴーティエ(老ゴーティエ:1575-1651)とドニ・ゴーティエ(1600-72)の曲から選ばれた「二短調による作品集」。ゴーティエ一族は、「リュート音楽と言えばこの一族」と言われるほどのリュートの作曲と演奏に秀でた音楽一族で、特に老ゴーティエはバロック・リュートの第一人者だったそうです。これが9曲入っていたんですが(1曲1曲は短い)、どれも短調という事もあるのか、ものすごく深い音楽に感じました。アルペッジョを16分とかのオンタイムでしっかり弾いていましたが、なるほどこれがバロック・リュートに古風さを醸し出している理由のひとつかもしれません。エスプレッシーヴォにはしないんですよね。

 フランソワ・デュフォー「捧げもの L’Offrande」。デュフォーは老ゴーティエと同時代の人で、老デュフォーにつぐ名声を得ていたリュート作曲/演奏家だったそうです。これも短調(F-moll)でしたが、ドイツバロックみたいに重厚、やっぱり素晴らしいっす。いやあマジで素晴らしい。。

 シャルル・ムートン「ハ短調による作品集」。これも短調だ!ムートンはドニ・ゴーティエに学んだ人らしいですが、ムートンの方が技巧的に感じました。ゴーティエやデュフォーはどっしり弾いてましたが、この曲だけはけっこう歌うように弾いている曲もあったので、フランス・バロックの中でもある程度洗練されてからの作品なのかも知れません。これをあの多弦楽器リュートで自分で弾けたら最高に楽しいんだろうな…絶対弾けないけど。

 ジャック・ガロ(老ガロ)「ヘ短調による作品集」。ガロ一族もリュート作曲/演奏家がたくさんいるそうですが、老ガロがいちばん有名だそうです。でもって、老ガロもやはり老ゴーティエに師事したんだそうで…う~んバロック・リュートの本家が老ゴーティエというのは本当みたいですね。バロックだからか、それともゴーティエ直系だからか、曲想がみなにてきこえましたが、それでもこの4曲も良かったです。

 というわけで、なんと全曲マイナー調!いやー古楽のあの古風さやメカニカルな感じだけでなく、深みも感じたのは、装飾音符もしっかり弾く演奏だけでなく、短調曲だけでまとめた事や、高い方がキラキラしすぎない録音あってのものかも知れません。僕はリュートみたいな多弦楽器が好きです。弦は多いけど現代のギターみたいに共鳴胴が大きくないので低音がモコモコせず、弦がパキッと鳴っている感じ。それで互いに共鳴するので、その響きだけで魅了されてしまう、みたいな。これは素晴らしかったです、超おすすめ!


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『Toyohiko Satoh 佐藤豊彦 / Baroque Lute Recital』

SatouToyohiko_BaroqueLuteRecital.jpg オランダのハーグ王立音楽院のリュート指導者にして世界的なリュート奏者のひとり、佐藤豊彦さんによるリュート演奏集です。タイトル通り曲目は大バッハをはじめとヴァイス、ガロなどバロックの作曲家が並んでいて、その中に佐藤さんによるオリジナル曲も入っていました。リュートって一度滅びかけた楽器なので、現代作品を作曲するって大事ですよね。いつも思うんですが、自分でリサイタルをするレベルのクラシックの演奏家は、せめて数曲でも自分でも作曲すべきだと思います。あり曲だけ演奏して金取ろうなんて甘いぜ、クラシック界。

 バッハの曲目は、シャコンヌとソナタBWV1003からアンダンテ。どちらも無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータに入っている曲でした。バッハってたしか自分で無伴奏ヴァイオリンや無伴奏チェロの曲をリュート用にアレンジしてましたよね?これはその演奏でしょうか。ギターやリュートでのシャコンヌを聴いてすごいと思うのは、ヴァイオリンでは演奏上不可能なバッソ・オスティナートをリュートやギターだとぜんぶ演奏できちゃうところ。そもそもああいう曲をヴァイオリンで演奏するところがバッハの無伴奏ヴァイオリンの凄さだと思うのですが、でも音楽的にはギターやリュートの方が完成度が高いと感じました。それにしてもリュート演奏で聴くとこういう響きになるのか、ギターと似たようなものだと思ってましたが全然違う印象になるんですね。えらく透明感があって、バロックというよりルネサンス音楽みたいに感じました。

 ヴァイスは大バッハの1歳下の作曲家で、有名なリュート奏者でもあったそうで、バロンはヴァイスのリュート曲を「後期バロックのリュート音楽の境地」を評価したんだそうで。なるほどー。このCDには「不実な女」という6曲からなる組曲の全曲。なるほどこれは見事、アレンジものではなくリュート用に作っただけの事はある完成度でした。特に第5曲ミュゼットはちょっとバッハでは書かなそうな感じの曲で、面白かったです。

 ガロはフランスの作曲家。バロック・リュートの本家はフランスだそうで、その総本山はゴーティエ。ガロもゴーティエに師事した人だそうです。このCDに入っていたのは「Folies d’Espagne スペインのフォリア」という曲でしたが、これはガロの曲ではなくコロンブスがラテン・アメリカから持ち帰った曲とも言われているんだそうです。なるほど、スペイン風でしたが、リュートでスペイン風の曲を聴けるとは思いませんでした。良い体験を出来たなあ。

 佐藤豊彦さん自作曲「フィリップス氏の墓に捧ぐ」は完全に現代曲の響きで、ムチャクチャカッコよかったです!多弦楽器ですから、複雑な響きを出すにはもってこいですよね、リュートって。こういう曲が増えれば、リュート奏者もリュート音楽愛好家ももっと増えるのかも知れないと感じました。

 以上、すべてが何らかの部分が面白いと感じた素晴らしいCDでした。特に良かったのは、ヴァイス「不実な女」組曲の4・5曲目、そして佐藤さんのオリジナル曲、もうこれを聴けただけでお釣りがくるほど。ジャケットがダサすぎるので買う時は躊躇したんですが(^^;)、これは買ってよかった、素晴らしいリュート作品CDでした!


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『田原俊彦 / A面コレクション』

TaharaToshihiko_Amen Collection ザクとグフ、ゼッツーとゼファー、原田芳雄と松田優作みたいなもので、郷ひろみさんの後釜に見えたのが、80年にデビューした田原俊彦さんです。歌はちょっと苦手だけど踊れるアイドル歌手で、ジャ〇ーズ出身で、ジャ〇ーズ事務所をやめるなり激しい横槍が入り…う~ん似ている(^^;)。これは、トシちゃんがデビューした80年から86年あたりまでのシングルA面を集めたオムニバスCDです。アマゾンを見てびっくり、けっこうプレミア化してるんですね。アイドルのLPやCDって、僕が若い頃は数百円でたたき売り状態だったけどなあ。

 70年代前半生まれという僕の世代的な問題でそう感じるのかも知れませんが、まだガキだった僕から見ても、1980年は日本のアイドルの交代劇となった年と感じました。ここで何かが始まり、なにかが終わった感じ。79年までは、演歌、フォーク、そしてフォークから徐々に入れ変わっていったニューニュージック、これが流行歌の真ん中であって、その中に西城秀樹、沢田研二、山口百恵、ピンク・レディーといったアイドルがポツポツと混じっている印象でした。
 ところが80年になると、このパワーバランスが逆転したように感じました。山口百恵は引退しピンク・レディーは消え、西城秀樹は売れなくなります。入れ替わるように松田聖子と田原俊彦がデビューしたのですが、このふたりの爆発力がすさまじく、気がつけばチャートから演歌が消えてチャートの中心はアイドル、その中にポツポツとミュージシャンが混じっている状態。チャートがAKBとジャニーズとエイベックスしかいなくなる状態になった時期があったじゃないですか。あれの走狗が80年だったと思います。ここが実は日本のチャート音楽のターニングポイント、パワーバランスが入れ替わった瞬間だったんじゃないかと。

 そんな当時のアイドル文化を、まだ小学生だった僕はどう思っていたんでしょう。トシちゃん登場直前の男性アイドルというと、西城秀樹に沢田研二…歌がうまかったんです(^^;)。自分が小学校低学年という事もあり、70年代のアイドルは憧れる事の出来る存在でした。ところが入れ替わって出てきたト〇ちゃんやマッ〇は、小学生の男子が口をそろえて「音痴だよな」と鼻で笑う状態(^^;)。そろそろ早めの第2反抗期で悪ガキ寄りのグループにもいたので、僕に人を小馬鹿にする傾向があったのは確かですが、それにしたってト〇ちゃんが激しい音痴だった事は事実。しかもナヨナヨして思えたから、男の子からするとジュリーや秀樹のような憧れの対象にするのは無理な話でした。
 ところが世間の反応は違って、松田聖子もトシちゃんも売れまくったのです。昔だから宣伝もステマも効きやすかったんでしょうけど、それにしたってこれが売れるとは僕には理解不能。これがきっかけとなり、アイドル文化が嘘くさい子供だましの商売に見えてきて、僕がアイドルに嵌らない大きな理由になった気がします。

TaharaToshihiko_pic1.png ところが、トシちゃんに関しては、その後に思う事が出てきました。当たり前のことだけど、踊りがメインなんだから歌で評価してはいけないっすね(^^;)>。そして、歌唱力はともかく曲はいいものが幾つもあると思いました。
 80年代前半デビューのアイドル歌手の持ち歌って、デビューからしばらくはやっつけ仕事な曲が多く、いい曲を持っている人の方が少ないです。これ、曲を書く側に回ると分かるんですが、自分が精魂込めて書いたものを、まだ売れるかどうか分からない新人にあげるのってイヤなものなんですよ(^^;)。松田聖子も河合奈保子も小泉今日子も、デビューからしばらくのシングルを聴くと、それはもうアレじゃないですか。それって実は、山口百恵や桜田淳子や西城秀樹や郷ひろみといった70年代アイドルも同じです。
 だから、作曲家がある程度本気で取り組んだり、温めていた曲を提供するのは、ある程度売れた人に対して。これをアイドル側から見れば、世間の反応を見ながら自分をセルできるポイントが分かってからが、本当の勝負と思います。売れなきゃそこでおしまいの世界、自分のセルできるポイントは何か、それを具体的な形にしてくれる作家は誰か、これを作れるかどうか、みたいな。ここに成功したのがキャンディーズや松田聖子、失敗したのが河合奈保子。松田聖子にとってのそれが松任谷由実や尾崎亜美であり、山口百恵にとっては影あるクール・ビューティーを演出した阿木燿子&宇崎竜童。河合奈保子はあっち行ったりこっち行ったりとフラフラして、それを作る前に消えてしまいました。トシちゃんは両者の中間ぐらいに感じます。

 こうした面から見た、トシちゃんの個性化のチャンスは、83年末発表「エル・オー・ヴイ・愛・N・G」だった気がします。ポップで、ダンスを披露できて、大量生産品の子供だましやチープさから脱却できる曲が、これ。この曲って、ブラス・アレンジやコード進行を聴くに、ブロードウェイ・ミュージカルを意識したものだったと感じるんですが、なぜそこに持っていったかは偶然ではなく、子供だましやチープさから脱却する道具立てというとが明確にあったのだと思います。理由は、それがこの曲だけじゃないから。次のシングル「チャールストンにはまだ早い」も近い路線なんですよね。でもこの大チャンスをトシちゃんはものにし切れなかったように感じました。その最大の理由は、トシちゃん自体が大人ではなかったんでしょう。

 意外に詞が素晴らしいと感じたのが、デビュー曲「哀愁でいと」。平仮名のところがとってもトシちゃんですが(^^;)、実は詞がすごくて、「その日だけの恋ならば、優しさもない方がまし」などなど。子供のころはまったく詞の意味するところに気づいていませんでしたが、これはもう少し大人の雰囲気を持った歌手が歌うなり、トシちゃんが良い男になってから歌えていれば、さらに良く感じたかもしれません。

 郷ひろみと田原俊彦、似たような売り方をされ、似たようなコースを歩みながら、大きな差がついてしまったように思います。どこが違ったのか…バー〇ングと田〇エージェンシー…じゃなくて、郷さんは、自分の長所だけでなく短所も分かっていた気がするんですよね。自分のウィークポイントを知り、それを認めたうえで何が出来るかを考えるのは重要な事で…アイドルのベスト盤を聴いて、そういう所にばかり目が行くって、僕はもうそういう年齢なんだなあ。まとめると、トシちゃんの私的おススメ曲は「哀愁でいと」「エル・オー・ヴイ・愛・N・G」「チャールストンにはまだ早い」の3曲、これに尽きます。これだけ放言しておいてなんですが、たしかに小学生時代の楽しい時間のBGMとして、トシちゃんや松田聖子の音楽は流れていたように思います。このCDを聴いていると、音楽や歌がどうこうじゃなくて、80年代の楽しさが確かにつあっているように感じたんですよね。戦争おきたり、憲法変えて戦争できる国にしようとしたり、その首謀者がバンされたりしている今と違って、あの頃は楽しかったなあ。


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『郷ひろみ / THE GREATEST HITS OF HIROMI GO』

GoHiromi_GreatestHits.jpg 西城秀樹野口五郎ときて、この人を外すわけにはいきません。新御三家最後の砦、郷ひろみです!1972年にデビューしたアイドル歌手が2022年にまだ現役ってすごくないですか?熱狂的な女性ファンにとっては一生の恋人なんでしょうね。そういう人がいてくれるって、ある意味で幸せなのかも知れません。

 郷ひろみのベスト盤を選ぶときにハードルが高いのは、シングルカットされた曲が多い事。活動期間が長く、コアなファンが切れることなく人気が続いているからでしょうが、2022年までに発表されたシングルはなんと106枚!こんなの、シングルだけを集めたアルバムだってすごいボックスになっちゃいますよね(^^;)。実際に『DANDYISM』というシングル曲を余すことなく網羅したアルバムも年代別に出てます…すごいプレミアだけど。
 というわけで、僕的にどうしても外したくない曲は「林檎殺人事件」と「哀愁のカサブランカ」。意外に両方が入っている手ごろなベスト盤が少なくて、70年代の初期作品を集めたものだと後者が入らず、広い時代をカバーすると前者が入らない、みたいな。この需要を満たした良い感じのベスト盤がこれ、CD2枚組です。

 「男の子女の子」や「よろしく哀愁」といった初期のの曲はいかにも70年代アイドル歌謡、メイン作曲家は筒美京平さんという事もあって、実にいなたいです(^^;)。僕はこのへんの時代をリアルタイムで体験してないので思い入れは無いんですが、思い入れがある人にとっては、このいなたさって70年代にしかないものだし、逆にたまらないかも知れません。時代の匂いというヤツですね。
 僕がはっきりとリアルタイムで聴いた記憶があるのは、樹木希林さんとのデュエット「林檎殺人事件」から。この頃、郷さんも他の御三家と同様にバラエティ番組によく出ていたので、そのへんの流れもあったのかも。ところがこの曲、コメディ・ソングにしては、よく出来ていると思いませんか?部分転調やらなにやらの大きな仕掛けはないんだけど、ソングフォームが独特だし、なにより小技が光ります。サビ頭から平歌に繋ぐところはサブドミナント進行、平歌中は経過和音が効果的に使われます。サビは1325ですが、ジャズに慣れてると3をマイナーのまま使うとこんなに綺麗なのかと驚くばかり。樹木希林さんとのデュエットだからか、郷さんのベスト盤から外れやすい曲ですが、僕的には郷さんの曲ではこれが一番好きだなあ。
Go Hiromi_Photo1 その後は、ステージ上でのパフォーマンスを意識してか、元祖トシちゃんとも言えそうな「お嫁サンバ」「2億4千万の瞳」といったダンサブルなナンバーが目立ち、それは洋楽のカバーへと発展。こっち系の曲もファンが多そうです。振り付けとかあるのかなあ、このへんは荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー」に続いて、登美丘高校ダンス部にバブリーダンスとして復活させてほしいです(^^)。登美丘高校ダンス部ばんざい。
 80年代に入ると、ダンスナンバーと対照的なバラードにも意外に名曲が多く、僕的なイチ押しは「哀愁のカサブランカ」。これも洋楽のカバーで、作曲はバーティ・ヒギンズ。曲はAマイナーですが、Bメロで一瞬並行調のCメジャーに並行調転調させ、そこからダブルドミナントを使ってAmではなくA7を挟む技が素晴らしいです。このよじれる感じこそ、コード進行を凝縮した英米戦後チャート音楽のだいご味。そしてこの和声的にずれる感触が、山川啓介さんの書いた「風吹く胸が探してる君のぬくもり」という詞とマッチしてやばい…「風吹く胸」って、今まで胸に抱いていた女がそこから消えたという事ですよね、こんなの泣くだろ…。

 西城秀樹は曲にも恵まれ歌もうまく、野口五郎がその逆だったのに対し、郷ひろみは歌はアレだけど曲に恵まれた人だと感じました。やっぱりあの超音波のような歌声は、どうしても好きになれませんしね(^^;)。でも、曲に恵まれている間に、自分の長所を見つけ、タレント像を絞り込んでダンスを鍛え、ストイックにトレーニングを続けて体型をキープし…ここは素晴らしいと思います。僕は男だし、またどうしても音楽の方に興味がある人間なので、ルックスやスタイルやステージ・パフォーマンスという所はよく分からないのですが、でも50歳になっても60歳になってもステージ・パフォーマンスのためにあの体型を維持するストイックさはプロそのもの。100枚以上シングルをリリースし続けられたことは伊達じゃないと思います。


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『野口五郎 / ゴールデン☆ベスト』

NoguchiGoro_GoldenBest.jpg 西城秀樹ときたらこの人も外せないです、野口五郎!70年代、このふたりに郷ひろみを加えて「新御三家」なんていって売り出されてました。これは五郎さんのベスト盤。野口五郎もたくさんのベスト盤が出てますが、僕的には「青いリンゴ」「私鉄沿線」「19:00の街」の3曲さえ入ってさえいれば、どれでもオッケーです(^^)。

 自分で見た事はないんですが、野口五郎ってギターがうまいんだそうです。この話を教えてくれたのは例によって中学生時代の友人で、彼自身がべらぼうにギターのうまい人だったので、そうなんだろうと思っていました。のちにスタジオ・ミュージシャンとして活躍する事になった野村義男の師匠筋だと聞いた事もあって、そのよっちゃんもうまいですしね。
 そして、野口五郎さんの家系は音楽一家。おじいさんは人形浄瑠璃の太夫だし、お兄さんは佐藤寛という作曲家(五郎さんに曲をいっぱい提供しています)。僕の小学生の頃の印象では、ゴローはそこまで目立つ存在と思っていなかったので、「へえ、本当はすごい人なんだ。聴きなおしてみたいな」と思いつつ、その日が来ないまま時が流れたのでした。

 そして数年前、妻がこのCDをアマゾンでポチって買ったのです。おお、ついにゴローをじっくり聴ける日が来た!!期待でワクワク、はやく聴かせて(CDキュイーン)…あ、あれ?もしかしてぜんぜん声でてない?ついでに音痴? 一番好きな曲「19:00の街」ですら、改めて聴きなおすと、ピッチが怪しい事怪しい事(^^;)。やたらと多いヴィブラートも、ヴィブラートじゃなくて音がふらついているだけに聴こえてしまいました。僕が自分の中で勝手に膨らませ続けた「ゴローはヒット曲に恵まれなかっただけど、本当は実力者」というイメージは、もろくも崩れ去ったのでした_| ̄|○。

 でも、筒美京平さん作曲の「19:00の街」って、よく聴くといい曲です。平歌は1小節パターンのメロディが模倣しながら下降してあの「19時の街」という綺麗な言葉に着地するし、サビはその逆で第2主題が模倣しながら上がっていってトップノートに届いて…みたいな。これ、こういう作曲面の構造が見えやすいよう、変な歌い回しや表現をせずリズムと音程よくパシッと歌って、サビのトップノートをもっとフォルテに行けたら、もっともっといい曲だと感じたんじゃないかと思ったりして。頭の中で西城秀樹の声に置き換えて再生すると、大名曲に聴こえるんですよね。。

 西城秀樹は『8時だヨ全員集合!』という歌コント番組でよく見かけましたが、野口五郎は『カックラキン大放送』という同種の番組でよく見ました。刑事ゴロンボ…覚えている人の方が少ないかな(^^;)。野口五郎さんって優しそうだし性格良さそう、でもそれが英雄崇拝願望があって弱肉強食な70年代にはマッチしきらなかったのかも知れません。充分に成功した人だとは思うけど、優しい男が受けた80年代だったら、さらに高い評価を受けていたかも。


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西城秀樹のベスト盤を聴きなおしたら感激した

SaijoHideki_pic3.jpg 最近、わけあって西城秀樹さんの「南十字星」という曲を聴いたんですが、タイトルは覚えてるものの、どの曲か記憶がない…というわけで、久々に持っている3枚組ベスト盤を聴きなおしました。ああこれか、それにしても久々にきいたらめっちゃいい曲じゃん!作曲は水谷公生さんか、そりゃいい曲になって全く不思議じゃないですね。

 良かったもんで、ついつい本来の目的を忘れ、CD3枚を全部聴きなおしちゃいました。いやいや、西城さんといえば70年代ですが、今ひとつ売れなくなった80年代以降の曲こそ素晴らしいと感じて、感激しました(ヒデキ感激)。闘病生活となって以降ですらヴォーカルが衰えてなくて、素晴らしかったです。ところで、以前に西城秀樹さんの球場コンサートのビデオをネットで見かけたんですが、空中ブランコから着地失敗してステージに頭打ってるんですよ。ああいう体を張ったステージ・パフォーマンスが寿命を縮めたんじゃないかと思ってしまうなあ。。

 というわけで、以前に書いた『西城秀樹 / GOLDEN☆BEST デラックス』の記事に追記を行いました。良かったらご笑覧いただければさいわいです!

http://cdcollector.blog.fc2.com/blog-entry-784.html

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『America / Homecoming』

America Homecoming やばいっす、久々にアメリカを聴き始めたら止まらない(^^;)。昔、こういうフォークロックのレコードって人気がなかったのか、昔は中古レコード屋で馬鹿みたいに安く手に入ったものでした。CDへの過渡期でもあったし、イマイチ人気のないバンドのLPは1枚数百円のたたき売り。それで大量にガッツリ買ったんですけど、そうやって買ったレコードの大半は結婚する時に手放しちゃって、家に残っているものはあとわずか。でもアメリカは手放さなかった…という事は、昔もいいと感じたんでしょうね。

 平均的なフォークロックより曲がしっかり作られていて、かといってフォークロックらしさも残っていて、そのへんのバランスはさすがと感じました。僕はアメリカのアルバムを3枚持っていますが、どれも似ているので、合わない人にはどれも合わなそうだけど、嵌まる人にはどれも嵌まるじゃないかなあ。どの曲もテンポが速くないので、ロックやラップみたいに「このリスニングは無理だ!」って事がないので、僕みたいな英語苦手人間でも、なんとかついていけるのもいいです(^^)。

 ただ、良い点ばかりでもありませんでした。さすがに3枚目になると粗も見えてくるという事なのかな(^^;)。本人たちはいいんだけど、後ろにくっつけてるあとづけっぽいアレンジが、時として浮いて聴こえます。フォークギターだけでは地味だから、何か足したいのも分かりますが、取ってつけたようなバックではなくきちんとアレンジして、アンサンブルした音楽にすればいいのに…と思ってしまいました。ロックバンドを足せばいいとか、雑なオーバーダビングみたいなイージーな考え方をせず、きちんとアンサンブルの方向を決めて、たとえばバスラインをコントラバス、リードラインを木管か弦あたりを入れて…みたいにするだけでも、ぜんぜん良くなる気がするんだけどなあ。

 70年代のアメリカのレコード産業界ですから、レコード会社側の人間主導でアレンジャーやプレイヤーを用意してアルバムを制作する場合、そんな気の利いた事が出来るディレクターなんていなかったんでしょうね。ああ、音楽のようなものですらフォード・システムに当てはめて考えるアメリカ産業音楽の悲しさよ。そういう所を雑にやらなければ、全盛期のサイモン&ガーファンクルカーペンターズにも負けないアルバムになったかも知れません。


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『America』

America.jpg フォークロック・グループのアメリカが71年に発表したデビューアルバムです。日本盤のタイトルは「名前のない馬」。5枚目『ハート』など、以降の作品に比べると、ポップ色よりもよりフォーク色が強めでした。ネイティヴ・アメリカンと現代のアメリカ人を対比させたジャケットは意味深、それぐらいメッセージ性もあるという事なんでしょうね。フォークロックの度合いとしては、フォークギター&コーラスがあくまでメインだけど、アコースティックだけのフォークは少なく、ロック・バンドがバックで支えてる曲が8割ぐらい

 僕は、アメリカにけっこういい印象を持ってたんですが、じゃあどんな曲があるかときかれると、まったく答えられないぐらい記憶が曖昧。でも、久々にこのアルバムを聴いたら、「サンドマン」とか「Three Roses」とか「名前のない馬」あたりは、「あ、そういえばこれもこれもアメリカの曲だったな」と思い出して、けっこうヒットメーカーだったんだなと思ったりして。テクニックではなく、ゆったり聴かせる音楽と詞の世界がよかったです。「これはちゃんとした歌だな」と、いつも聴き入ってしまうんですよね。コーラスは綺麗だし、フォークギターの演奏も田舎臭すぎずにキレがあってていい感じ、詞も心に沁みるようでいいです。
 そして、ほかのフォークロックに比べてアメリカがいいと思うのは、曲がしっかりしてるところです。フォークって、場合によると言葉ばかりで曲としてメロディもソングフォームもよく分からない、みたいなものもあるじゃないですか。でも、アメリカが作る曲は、曲がしっかりしてるんですよね。

 フォークってやっぱり詞が重要なので、英語詞のフォークは日本で聴かれにくいし、また今はちょっとフォークがあまり評価されない時代みたいなので、アメリカみたいな音楽はあんまり流行らないかも。でも、これは間違いなく70年代のフォーク・ロックを代表するアルバムの中の1枚だと思います。今の時代には地味に思われるかもしれないけど、曲もコーラスも言葉も、じっくり聴くと心に染みました。いや~、歌っていいなあ。こういう人たちがアメリカ大統領になれば、世界はもうすこし平和に近づくのかな…そう単純なもんでもないか(^^;)。


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『America / Hearts』

America_Hearts.jpg 1975年発表、フォーク・コーラス・トリオのアメリカが発表した5枚目のアルバムです。アメリカなのにロンドンで結成されたのは、3人がロンドン駐留のアメリカ軍人の子供だったからだそうです。こういう雑学ってクイズにしやすそうですね(^^)。

 サイモン&ガーファンクルを米ポップスに寄せたぐらいの音楽でした。アレンジはバンド形式で、いかにも70年代中ごろのポップスで、ほっこり感がよかったです。ストリングスを加えている曲もありましたが、アレンジの出来は、キャロル・キング以上、ポール・サイモン未満ぐらい。
 僕は日本盤のLPを持ってるんですが、日本語訳がついてなくて、ちょっと残念。原詩は載っていたので頑張って訳しながら読みましたが、ちゃんと訳せてるか自信がぜんぜんないです(^^;)。ただ、あやしい自分の訳を信じるなら、あたたかい詞の中に、すこしだけ厭世的な視点が入ってるのかな?「最初に冬が来て、それから朝が来た」みたいな。こういうのを見ると、『ある愛の詩』とか、ああいうのを思い出しちゃうなあ。。愛の裏にあるのって、死である気がするんですよね。いずれ死ぬからこそ熱く愛したい、みたいな。

 個人的にいいと思った所は、ゆったりしっとりとした素朴な曲が心地よかったです。決してキャッチーだったり、「おお~これはいい」とインパクトの強いものはないんですけど、さりげなく語りかけてくるような素朴さが、だんだんジーンとくる、みたいな。あ、あと、僕が持ってる日本盤LPは、「シンプル・ライフ」というボーナス・トラックが入ってました。CDには入ってないみたいなので、ちょっと得した気分でした(^^)。


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『峰厚介 / Out of chaos』

MineKosuke_Out of Chaos 1974年、レーベルをEast Wind に移して発表された峰厚介さんの5枚目のアルバムです。あら?峰さんもしかしてテナーサックス吹いてる?いやー本当にE♭管でもB♭管でも何でも吹けてしまうんですね、凄い。そしてメンバーが凄くて、峰厚介(ts)、菊地雅章(p)、岡田勉(b) 、日野元彦(dr)。峰さんって元々は菊地さんのバンドに入ってたと思うんですが、そのバンマスにサイドをつけてもらうのは恐縮するだろうなあ(^^;)。逆に言うと、菊地さんはハートがありますね。音楽やってた時、仲間から「プーさんは新人いじめがきつい」という話をきいた事があって、僕はピアニストで良かったと思ったもんですが、実際には音楽に熱い人という事だったのかも。

 これもモード色が強いアルバムと感じました。曲もそうですが、演奏のアプローチもね。1曲目からドリアンだし、最後の曲もモードだったな…すみません、聴き終わった後に書いてるもので記憶違いがあるかも (^^;)。。ただほとんどプログレッションしないモードでアドリブするだけのものはけっこう聴き飽きた感が。折角モードにするなら、ジョージ・ラッセルハービー・ハンコックみたいにそれを基調としてプログレッションする曲を書けばもっと面白いのに。

 それでも聴きどころがあって、それがプーさんのピアノ伴奏。僕、若い頃に言いなりモード曲をぶっつけ本番でステージでやらされたことがありまして、どう演奏していいか困った事があります。ソロは良いんですが、問題は伴奏。和声が動かないから、似たようなものばかりになってしまいまして(^^;)。もうちょっとマッコイ・タイナーやハンコックの演奏を真面目に押さえておけばよかったと後悔してもあとの祭り、本当に冷や汗かいたんですが、ここでもプーさんのピアノ伴奏のヴォイシングは本当に見事、参考になります。大御所にこんなこと言うのもなんですが、プーさんって若い頃は「ん?独学か?」ってくらいちょっとアレでしたが、このへんになると見事。この後さらに自分のオリジナルな音楽性が加わってアーティストになっていきましたが、プロのピアニストとしてはこの頃が一番いいかも。

 というわけで、聴いているうちに、いつのまにか菊地雅章さんのピアノを中心に聴いてしまったのでした(^^;)。これも間違いなく良いアルバムと思うんですが、メインストリーム系の日本人ジャズの難しさって、演奏表現をリスペクト出来ないと洋楽を真似して上手に演奏できるようになっただけに聴こえてしまう時がある事。黎明期の日本フリージャズ系とはそこが決定的な違いで、このへんのエピゴーネンという壁を越えられないから、どうしてもジャンルとして敬遠しがちになっちゃうんですよね。。


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『峰厚介クインテット / 2nd Album』

MineKosuke_2nd.jpg 1972年発表、サックス奏者の峰厚介さんが発表したセカンド・アルバム…というタイトルのサード・アルバムです…スリー・ブラインド・マイスにとっての峰さんのセカンド・アルバムという意味なんでしょうね。そういえば、リー・モーガンのブルーノートのアルバムにもそんなのがあったなあ。メンバーは、峰厚介(as, ss) 今井尚(tb) 増尾好秋(g) 鈴木良雄(b) 村上寛(ds)。これってほとんど渡辺貞夫バンドなんじゃ…こういうのってナベサダさんは面白く思わないんじゃないかとか思っちゃうんだけど、大丈夫なのかなあ。

 1曲目のソプラノ・サックスの演奏は、モーダルな曲想も含めて完全にコルトレーン。作曲(といっても、こういう2つのコードを並べただけで、しかもその前例がいくつもあるものを作曲と呼んでいいのか^^;)も峰さんだし、アドリブのフレージングとかを聴いても、コルトレーンが好きだった人なのかもと思ったり…というか、このへんの時代のジャズのサックス奏者で、コルトレーンを通過してない人なんていないか(^^)。
 モード調といえば、3曲目がフリジアンっぽかったかな?ブルースやバラードもやってたりするのですが、こういうモード曲が入っていて、でもクラシカルな表現やサウンドは使わず突撃系なので、新主流派っぽく感じるのかも。
 
 これもなかなかいいアルバムだと思いました。ただ、アルバム『Mine』と同傾向の音楽なので、2枚続けて聴いていたらちょっと飽きた(^^;)。まあ、悪く言ってしまえばアメリカのジャズを数年遅れでコピーしてる音楽ですからね、個人の演奏表現に入れなかったり飽きてきたりしてしまうという事かも。でもそうやって口でいうのは簡単な事で、このレベルに達するのはやっぱり素晴らしいと思います。70年代前半のメインストリーム系日本人ジャズのトップランナーのひとりであったことは間違いないと思います。


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『峰厚介クインテット / Mine』

MineKousuke_Mine.jpg 1970年にスリー・ブラインド・マイスからリリースされた、サックス奏者の峰厚介さんのセカンド・アルバムです。僕はずっとこれがデビューアルバムだと思ってたんですが、これより前に1枚あるんですね、知らなかった(^^+)。
 峰さんって、サックスなら何でも吹いちゃうイメージがありますが、このアルバムで吹いていたのはアルトとソプラノ…E♭管とB♭管じゃん、すごい。楽譜がピアノよりオクターブ低いギターですら混乱する僕にとって、移調楽器を演奏できる人って天才だと思っちゃいます。どういう音感と頭の良さしてるんだろ…。というわけで、メンバーは、峰厚介(as,ss), 今井尚(tb), 市川秀男(ep), 水橋孝(b), 村上寛(dr)。へえ~市川さんって昔はエレピも弾いてたんだ!

 ナベサダさんやヒノテルさんやプーさんという、これより少し前のメインストリーム系の日本人ジャズに比べると、かなり新主流派的と感じました。コルトレーンというよりショーターに近く、ビル・エヴァンスよりハービー・ハンコックに近い、みたいな。そんな中、やっぱり格別に素晴らしく感じるのが峰さんのサックスのアドリブでした。まず音のエッジが立っていてキレが抜群、またリズムがいいので演奏が凄いタイトに感じます。さらに32分や16分がバラバラ出てくるフレーズが迷うことなく繋がっていってあふれ出るよう…むっちゃくちゃカッコイイじゃないか!

 若い頃の僕は、峰さんって時代と名前とルックスで、もっとハードバップっぽいジャズをやる人かと思っていて、あまり興味を持ってなかったんですよね、このアルバムを手にしたのもジャケットのデザインが面白かっただったし。ところが音楽も演奏もサウンドも新しく、はじめて聴いた時は、「え、こんなに凄い人だったんだ」と驚いたものでした。その感想は、久々に聴いた今も同じ。フュージョンまでは行かず、少し前の日本のジャズより進化した音楽と演奏本意のアドリブが熱いし刺激的、素晴らしかったです!


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『ザ・タワー Bonus Edition』 PlayStationゲーム

TheTower Bonus Edition なんと高層ビルの経営をするシミュレーションゲームです!そんな資本家になってみたいもんですね。こういうシミュレーションゲームって海外製が多いイメージですが、これは日本製でした。
 与えられた予算でビルを建築し、オフィスや商業施設を誘致したりホテルを経営したりしてお金を儲け、設けたお金でさらにビルを増築して高層化し、地下鉄を引き込んでビルに人がたくさん来るようにして…みたいなゲームです。ビルにいる人が一定数以上になって、最上階にカテドラルを作ってそこで結婚式が行われたらゲームクリアだったと思います。

 経営に行き詰まってゲームオーバーになる事はありませんでしたが、人があまり来なくてテナントが出ていっちゃうとか、オフィスの人が出ていっちゃうとか、売り上げがなかなか伸びずにいつまでたってもステージクリアできませんでした。で、その鍵となるのが、エレベーターの設定による人の渋滞。高層ビルなので、高層階に行く人はエレベーター待ちになるんですが、これがあまり待たせ過ぎると住人のストレスがたまっちゃって出ていっちゃうんですよね。というわけで、このゲームの本質はエレベーター渋滞が起きないように調整する点でした。これが頭を使って面白いんですよ! 

TheTower Bonus Edition_pic1 例えば、すべてのエレベーターを各階止まりにすると、すぐ渋滞しちゃいます。だから、1号機は5~10階まで、2号機は11~14階まで…みたいに調節。また、オフィスフロアは朝来て夕方から夜に退社が多いので、そのフロアに繋いでいるエレベーターは午前は下り急行、夕方からは上り急行にする、とか。
 さらに、「ツインタワーにして、右をオフィスビル、左をホテルにした方が、騒音問題を防げるんじゃね?」とか、「昼の食事休憩の時に行きやすい場所に飲食系の店を固めて、帰りの地下鉄までの導線に食事以外のテナントを固めたらいいかも」とか、色々考えながらゲーム制作者との知恵比べをするのがこういうゲームの醍醐味ですよね(^^)。で、それがすごく面白かったです。

 昔、ある録音セッションに参加して一時的にレコーディングスタジオに入り浸りになった事があるんですが、夜になるとそこのブッキングの女性スタッフさんが、このゲームを事務所でこっそりやってました。で、曲と曲の間の演奏の待ち時間に、その人にルールを教えてもらって見ていたのがこのゲームを知ったきっかけ。それはPC版だったのですが、僕がやったのはプレステへの移植作。PC版は自分ではやった事がないのですが、レコーディングスタジオの人がやっていたのを見る限り、PC版の方が面白そうでした。PC版はステージが多くて、自由の女神の中に建設するとかあったんですよね。とはいえ、プレステ版も僕的にはすごく面白かったです!これも久々にやりたいけど、まだうちにあったかな…。


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『テーマホスピタル』 PlayStationゲーム

ThemeHospital.jpg これも面白かった!1997年リリース、病院を経営するシミュレーションゲームです。僕が遊んだハードはプレステでしたが、元々はPC用のゲームみたいです。

 経営者として病院からスカウトされ、銀行からお金を借りて医者やスタッフを雇い、診察室や病室や手術室を作り、各病院ごとに設定された目標を果たせばステージクリアという内容でした。全10ステージぐらいだったかな?赤字になったり死者数が多くて評判が落ちたりしたらゲームオーバーですが、普通にやっていたらゲームオーバーになることはありませんでした。
 だから、「思ったより問診の患者が多いな、診察室をもう少し増やそう」とか、「医者や看護師のストレスが高いな、休憩室を広くして、テレビでも置いておこう」とか、「手術患者が多いけど、執刀医が少ないから手術待ち患者がたまっちゃってるぞ。ギャラが高いけどあの執刀医を雇おう」とか、そういう病院内に手を入れる作業がほとんど。これが面白かったです!僕みたいなヌルいゲーマーは、極端に難しいなんてものは求めてなくて、適度に頭を使えればそれでいいんです(^^)。

ThemeHospital_pic1.jpg というわけで、クリアを目指すというより、患者さんの流れがスムーズなレイアウトの美しい病院を作るといった面白さの方が強かったかも。受付のちかくに診察室を置いて、そこから放射状に各検査室に行けるようにして、入院患者の病床や手術室は遠めにして、トイレはなるべくどの部屋からもアクセスしやすい場所において…あ、診察室はもっとあった方がいいのか、みたいな(^^)。

 もうひとつの面白さは、随所に笑いがちりばめていた事でした。「末期患者の方は列の一番前に並んで下さい」と院内放送が流れたり、トイレの近くにカーソルを合わせると、「う~ん」という力んだ声が聞こえたり(^^)。そうそう、テレビを見すぎて自分をプレスリーだと思い込んだ患者は、精神科医が言い聞かせて治療する必要があるので、精神科を作る必要があったりして。。

 ああ、書いていたらまたやりたくなってきてしまいました。いちおうソフトもPS2のハードもまだうちにあるんですが、もう5年も10年も電源を入れてないです。動くかな…。


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『蒼天の白き神の座』 PlayStation ゲーム

Souten no siroki kami no kura なんと登山のシミュレーションゲーム、しかしこれが最強クラスに面白い!登山ゲームだなんてマニアックに思われるかも知れませんが、刻々と変わっていく状況に対応しながら進めていくスリルと状況判断が抜群に面白くて、僕がこれまでにやったシミュレーションゲームの中でいちばん面白かったものはこれかも。恐ろしく良く出来てるんです!

 自分は登山隊の隊長。登山隊を組織して、世界にある5つの高峰の登頂を目指します。ひとりで登るわけじゃないんですよね。登山隊をいくつかの班に分け、ある班は登山ルートの探索に出し、ある班には滑落しないようロープを張らせ、ある班にはテント設営の指示を出し、ある班には山の上方に設営したテントまで食料を運ばせ…みたいにして、自分は隊長として色々と指示を出しながら山頂を目指します。

 色々とトラブルが起きるわけです。まだ経験の浅い隊員が高山病になり、ベースキャンプまで下山させる事で計画が狂ったり。ある時から天候が崩れて、山の上の方で足止めを食った隊員たちが凍傷になってしまったり。ゲームを始めたばかりの時なんて、20人近くの隊員の中で、ひとり山頂に立つ事が出来ればいい方です。刻々と変わっていく状況の中で、隊長の自分の判断がものすごく重要。死者が出てしまった時なんて、本当に責任を感じちゃいます。隊も「もうあきらめましょう」なんて士気が落ちまくるし。

Souten no siroki kami no kura_pic1 で、翌年は引退する隊員が出たり、あらたに隊員を募集して良さそうな人をリクルートして隊に加え、若手は能力が低いけど経験を積ませて育て…みたいな。こんな風なので、1回の登山ですらけっこう時間がかかる上にスリル満点なのに、5年、10年、15年という長期計画も重要に。山は5つ…と言ってもそれぞれ登り口が4つも5つもあるので、実際には20~30ぐらいの山があるようなもので、しかもひとつの登山口でも頂上までのルートはいくつもあるので、30年分ぐらいは平気でやっちゃいました (^^)。

 僕はこのゲームにめっちゃくちゃハマりました。今でも、ルートやらなにやらを研究したノートが1冊残ってるぐらいです(^^)。一般にはあまり有名じゃないけど、プレステを深く遊んだ人には「知る人ぞ知る」的な有名ゲームです。いやあ、このゲーム、久々にやってみようかなあ…いやいや、こんな病みつきになるゲームを始めたら仕事が出来なくなるから我慢しよう。


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『Project Zomboid』 PCゲーム

Project Zomboid 奥さんがゲーマーで、面白そうなゲームを見つけると、「ね、一緒にやらない?」と僕を誘ってくれます。今は忙しくてなかなか出来ないけど、僕自身が若い頃にずいぶんゲームをやったクチで、好きなんですよね(^^)。これは2013年発売のPC用シミュレーションゲームで、ゾンビだらけになってしまった世界で、一日でも長く生き延びる事を目指すというもの。ゴールはなし、とにかく生きのびろ!

 マジか、ムッチャクチャ面白かったです!このゲーム、繰り返しアップデートされてるらしくて、僕が遊んだのは#41ぐらい?ってことは、41回もバージョンアップしてるのか、凄い。。斜め上からの見下ろし俯瞰視点、どの家からスタートになるかはランダムで、最初に妻といっしょに始めた時は小さな平屋からのスタートでした。家の外にはゾンビがいるので、まずは屋内を物色して武器や食糧を探しました。食料は冷蔵庫にちょっとあったものの、武器になりそうなものはなし。というわけで、フライパンでぶん殴って外にいるゾンビを撲殺(^^)。
 なんとか家の周りのゾンビは撲滅したものの、今度は食料がヤバい。家にある備蓄食料はわずかで、どこかに食料調達をしに行かないと。そんな事より夜寝てる時に襲われたらひとたまりもないので安全な睡眠場所を作らないと。木を切って、窓に打ちつけて補強&目張りして…ね、面白そうでしょ?

 でも相当に難しくて、最初は数日も生きられませんでした。それがだんだんコツが分かってきて、2週間3週間と生き延びられるようになったのですが、すると今度は食料が腐り始めた!水道や電気も止まった!うわーそういう事か、つまりそうなる前になんとか自給自足の手段を講じないといけないのか!
 こうなるなら、住宅街に住んでいてはダメかも。車を奪って郊外の湖畔を拠点にしてみました。人が少なければゾンビも少なそうですしね。でも人里離れたら離れたで問題もあって、ちょくちょく車で街に出て道具やら何やらを調達にいかないと…。せっせと本を読んで大工のスキルをあげて、ゾンビが侵入しにくいように家を改造。釣りをして、畑を作って、動物を取る罠を仕掛け、外に鍋を並べたり樽を作ったりして雨水をためられるようにして水を確保して、でもそのままでは飲めないから焚火であっためて煮沸して…こうなると、ゾンビどうこうではなく、文明が滅んだあとの自給自足サバイバルゲームですね。でも面白い。

 このゲーム、日本語パッチも出ているので日本人でも大丈夫。時間がある時にちょっとずつマッタリ進める事が出来るので、社会人の僕でも遊ぶことが出来ました。けっこう長いこと妻と遊んでたなあ。実は妻は今でもコツコツやっていて、たまにそれを眺めて、どうなったかを説明してもらうんですが、「近くの森に動物狩猟用のわなを仕掛けた」とか、「寝てる時にゾンビに襲われないよう、階段を壊して2枚に寝てる」とか、進捗状況を聞いているだけでも楽しいです^^)。テレワークで在宅勤務になっている方のお供にどうぞ…いいのかな。。

https://store.steampowered.com/app/108600/Project_Zomboid/

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『ストラヴィンスキー:交響曲集 デュトワ指揮、スイス・ロマンド管弦楽団、モントリオール交響楽団』

Stravinsky_Symphonies_Dutoit.jpg ストラヴィンスキーって「春の祭典」や「火の鳥」というバレエ音楽が有名なので、芸術音楽の作曲家としてどれぐらいの器量のある人なのか判断がつきませんでした。ほら、バレエ音楽や劇音楽って、芝居の内容に合わせて、ジャズを使ったりバロック音楽みたいにしたり、その人の作風なのかどうか判断しにくいし、音だけで構造を作らない事も多いので、色んなシーンを渡り歩く構造になりがちじゃないですか。ただでさえカメレオンと呼ばれてるストラヴィンスキーが音楽に専念するとどういう管弦楽曲を書くのか、興味があったのです。そんな時に、中古盤屋でこんなCDを発見。収録されていたのは、以下の3曲です。最初のふたつはスイス・ロマンド管弦楽団の、最後がモントリオール交響楽団の演奏です。

・ハ調の交響曲
・3楽章の交響曲
・管楽器のための交響曲(ドビュッシーの追憶に)

 「ハ調の交響曲」は、1939~40年に書かれていて、つまり2次大戦まっただなか。ストラヴィンスキーはこの時期に長女、姉、嫁、母をまとめて亡くす不幸に見舞われ、アメリカに渡って、もう2度とヨーロッパには戻るまいと誓ったんだそうです。この曲、アメリカの管弦楽らしいというか、簡潔で楽観主義的な音楽。バルトークも亡命先アメリカでは「これがあのバルトークか」というほど簡潔な音楽を書いてますが、音楽後進国のアメリカではこれぐらいしないと受け入れられなかったのかも知れません。新古典期のストラヴィンスキーって感じでしょうか。

 「3楽章の交響曲」は1942-45年作曲。やっぱり大戦まっただ中の作品で、こっちはかなり戦争を意識したような音楽。でも、そこまでディープではなくて、リズムを強調して軍隊の行進を模倣したりと、サラッと様子だけを写し取った感じに聴こえました。NHK の戦争ドキュメンタリーの音楽とかに使われそうだな…実際に、1楽章は中国の焦土作戦を、3楽章は軍隊の行進するフィルムを見て着想したんだそうです。

 「管楽器のための交響曲(ドビュッシーの追憶に)」これは面白い音楽でした!ドビュッシーの死の追悼のため、フランスの音楽誌「ラ・ルビュー・ムジカール」が作曲家何人かに作曲を委嘱した中の1曲で、1920年の作曲。この曲は1947年の改定版もあるそうですが、このCDで演奏されたのはオリジナルの方。なんとも不思議な音楽で、交響曲となっているものの、和弦でドカーンと来るところはなく、主旋律を受け持った独奏楽器とそれにからむオケの一部からなるアンサンブルが音楽の断片を作って、それが次々に登場したり、折り重なったりしていくものでした。室内楽アンサンブルといった方がしっくりくるんじゃないかと。主題は変奏のようなものもあれば、対立する第2主題のようなものもあったりしますが、なんでもメロディのいくつかはロシア民謡から取られているのだそう。何度も聴きましたが、これはスルメ音楽。最初聴いた時は「ん?」って感じだったのが、何度も聴いているうちにジワジワ来ました。第1主題と第2主題の対立だけでも捉まえられるようになると、聴こえ方が全然変わってくる音楽でした。どちらかというと、晩年に書いたセリー音楽に近い非人情的な構造主義的な音楽かな?

 ストラヴィンスキー、僕にはやっぱり捉まえきれないところのある作曲家です。「春の祭典」や「火の鳥」と、「ハ調の交響曲」みたいな新古典と、晩年のセリー音楽が、同じ作曲家の手によるものだとはとうてい思えません。でも、20世紀の作曲家に関してはこういう作風が変わっていく人というのはけっこう多くて、それだけ技法の開拓が行われた時代でもあったし、音楽が何かという事が問われた時代でも、すこし前のロマン派みたいに「音楽は個人の感情の発露」みたいには思われなくなってきた時代だったのかもしれません。ブーランジェいわく、ストラヴィンスキーは恐ろしく音楽能力の高い人だったそうですが、その人が音楽に何を求めたのかは、彼の全体を観ないと分からない気がしていたので、彼の交響曲をたくさん聴けたのはいい体験でした。やっぱり最後の「管弦楽のための交響曲」がずっと心に残っております(^^)。


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Bach Bach

Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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ロシアとウクライナがほぼ戦争状態に入りましたが、僕はソ連解体後のウクライナについて本当に無知…。これは2016年にオリバー・ストーン監督が作ったウクライナのドキュメンタリー映画。日本語字幕版が出たらぜひ観たい このブログをYoutube にアップしようか迷い中。するなら作業効率としては早いほど良いんですよね。。その時にはVOICEROIDに話してもらおうかと思ってるけど、誰の声がいいのか考え中
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