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心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

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『Astor Piazzolla y su Nuevo Octeto / Tango Contemporaneo』

Astor Piazzolla y su Nuevo Octeto Tango Contemporaneo 1963年発表、アストル・ピアソラ新八重奏団のアルバムです。アレンジもそうですが、ヴァイオリンのアントニオ・アグリやピアノのハイメ・ゴーシスが参加もしている事もあり、同時期に活動していた五重奏の延長にある八重奏と感じました。

 バンドを拡大したのは、やってみたいアンサンブル・アレンジがあったからですよね、普通に考えれば。このアルバムですが、アレンジがタンゴから離れ、その離れ方がクラシック系ではなくプログレッシヴ・ロックやフュージョンのそれに近く、この芸風がアルバムの評価の分かれ目になるかも。僕がこれをどう感じたかというと、すごくカッコよく感じる部分が半分、こけおどしというかガキくさいと感じる部分が半分でした。
 カッコいい部分は同時期のキンテートのアルバム『Tango Para Una Ciudad』あたりとまったく同じ。この時期のピアソラ楽団が確立したモダン・タンゴのあの匂いが炸裂しまくりでした。イエ~イ!
 一方のちょっと受け付けられない部分は、例えば弦チームのオブリとか、フルートのラインとか、ド~ンと来る仕掛けの作り方とか、そういう所。詞のリーディングが挟まるところも、いいと感じずにむしろガキくさいと感じてしまいました。なんというのかな…たぶん、ピアソラさんの美感で言えばもっといいと思っている方法があるのに、聴衆に寄せているようにも思えたんですよね。最高の音楽を目指しているのではなく、聴衆が分かってくれる場所を模索している部分を感じる、みたいな。

 クラシックや現代音楽と、タンゴやミロンガの強力なリズムをミックスして、それを強烈な演奏で表現していくピアソラが好きだった僕にとって、これはまだ頭の中でざっくりと相好を組み立てた段階の音楽に聴こえてしまいました。音楽が鳴ってこないんですよね。フュージョンやプログレなんかに、楽譜だけ書きこんで指だけチロチロ動いてるけどぜんぜんなってない音楽っていっぱいあるじゃないですか。あんなかんじ。
 でもスコア自体は悪いわけじゃなく、演奏がもっとグルーヴしていれば色んな弱点をカバーできてカッコよく感じた音楽なのかも知れません。ちなみに、このヌエヴォ・オクテートはこのアルバム1枚で消滅…実はピアソラも失敗したと思ったのかも(^^;)。


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『Odyssey of Iska』は衝撃の凄さだった… ウェイン・ショーター、逝去

 2023年3月2日、ジャズのソプラノ/テナー・サクソフォニストのウェイン・ショーターが逝去しました。享年89歳。
 ジャズ・メッセンジャーズ参加時のハード・バップから始まって、ブルーノート契約初期やマイルス・デイヴィスのバンドへ参加した時のモード、そして僕がショーターのキャリア・ハイと確信している和声(ものによっては簡単なプログレッションも)つけられた上で、単なるアドリブではなくドラマも即興で構成してしまうインプロヴァイズド・ミュージック、そしてウェザー・リポート参加と、ジャズが大きく変化していった60年代から70年代、そのへんかにすべて対応していったプレーヤーでした。

 僕はショーターさんの音楽を時系列順には経験していなくて、初体験はたぶんマイルス・デイヴィス『AT PLUGGED NICKEL, CHICAGO』。コンボの一体感がとんでもない異次元の即興演奏で、即興中の曲の途中でいきなりガラッと変わるわ、トニー・ウィリアムスのドラミングは異次元だわで、これでショーターの名前が焼きつきました。でも、いま聴くと凄かったのはトニー・ウィリアムスとハービー・ハンコック、そして御大マイルスがすごかったのかも。

 次に経験したのは、たぶんブルーノートと契約して出された初期の作品。『Juju』や『Speak No Evil』あたりです。でもこれがよく分からなくて、しばらく敬遠する事になっちゃったんですよね。。

Wayne Shorter Odyssey of Iska そして時間を空けてから『Odyssey Of Iska』と出会ったのですが、この衝撃と言ったら。。その後僕はマジメに音楽を学ぶことになったので、今ならどうすればこういう音楽を作ることが出来るかを言う事はなんとか出来るかもしれませんが(できるとは口が裂けても言えない^^;)、当時は本当にマジック。また、頭だけじゃなくて演奏能力という身体や、即興の中で音を音楽的に公正して鳴らすという音楽能力もここでピークを迎えたように感じました。ほぼ同時期のセッション『Super Nova』や『Moto Grosso Feio』もそれに準じる凄さでした。

 その後ウェイン・ショーターが参加したウェザー・リポートは、フュージョンのグループ。このグループで僕が好きなアルバムはファースト『Weather Report』だけですが、これはショーターではなく鍵盤のエレクトリック・サウンドのサイケデリック加減が好きだったのかも知れません。

 最後に聴いたのが、ジャズ・メッセンジャーズ時代。いや、もっと前に聴いてはいたんですが、ブログ友だちさん(その方、今はブログの更新をやめてしまっています…残念)からメッセンジャーズ時代の良さを教えていただき、そういうものかと思って聴き直しました。なるほど、演奏より作編曲の意識の高さが先にあった人なんだと思い、なんだかすべての謎が解けた思いがしました。『Free For All』は確かに素晴らしかったです!

 こうして振り返ると、モダン・ジャズ以降のジャズの歴史のすべてを通過、しかも枝ではなく中心グループに常に在籍していたのですね。僕はショーターさんの関わった音楽すべてが好きだったわけではありませんが、音楽面のピークだっただろう『Odyssey Of Iska』や『Moto Grosso Feio』は、本当にすごい音楽だったと思います。60年代後半という時期にショーターさんが生み出したあの混沌としつつ、ロックなどではとうてい及びもつかないハードな音楽は、チック・コリア在籍時のエレクトリック・マイルスの音楽などと相まって、時代の音だったと言えると思っています。どうぞ、天国ではフュージョンやオーセンティックなジャズではなく、あのやばい音楽をその先を作ってください。合掌。


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『病院坂の首縊りの家 オリジナル・サウンドトラック』 田辺信一

Byouinzaka no kubikukuri no ie_OriginalSoundtrack 僕にとっての桜田淳子さんのベストパフォーマンスといえば、歌手としても女優としてもこれ、79年発表の映画『病院坂の首縊りの家』です!一人二役をこなしただけでなく、演技自体が 素晴らしかった桜田さんですが、演技で言えば佐久間良子さんも素晴らしかったです。でもやっぱり映画全体が良いんですね。その「全体」の中に音楽も入っていることは言うまでもありません。

 先に桜田淳子さんの歌から言うと、劇中で桜田さんが歌った「イッツ・オンリー・ア・ペーパームーン」は、桜田さん生涯ナンバーワンの歌唱だと僕は確信しています。嘘かと思われるかもしれませんが、僕はあのナット・キング・コールが歌った名演より、この映画での桜田さんの歌唱の方が上と感じています。バックバンドの演奏も含めての事ですけどね。桜田さんって音痴だと思ってたんですが、この頃はとんでもない歌唱力でした。ちなみに、僕が買ったこのサントラCDには桜田さんの歌が入ってましたが、LP時代にリリースされたサントラにはインストだけで歌が入っていないという噂を聴いた事があります。本当かどうか分かりませんが、もし本当なこのサントラの魅力は半減です。権利問題でもあったんでしょうか。

 そして、劇伴。金田一映画って恐怖映画の側面があって、子供の頃はかなりビビってました。『病院坂の首縊りの家』だと、首だけが中吊りになっていたりね。でも音楽はあまり恐怖を感じるものではなく、メロドラマ風の情緒的な哀しい音楽が中心でした。金田一映画と言っても、市川崑監督作品は、犯人が犯行に及んだ悲劇に焦点をあてていたので、必然音楽もそうなるのかも。
 そして映画版『病院坂の首縊りの家』の音楽といえば、ストーリーにも絡むことになるジャズ・バンドの演奏ですが、これもしっかり入ってました、うれしい(^^)。でも映画の方が力を感じたなあ…これって往々にしてあることですが、他のSEや現実音とも重なって臨場感が出るとか、フィルムの音声トラックにダビングしてテープコンプレッサーが掛かって音が太くなって迫力を感じるとか、雰囲気だけじゃなく具体的な音の上での理由があるのかも知れません。

 70年代に大ヒットを飛ばした市川崑&石坂浩二コンビの金田一映画シリーズって、どれも映画の音楽も雰囲気が似て感じますが、実は音楽監督は変わってるんですよね。『犬神家の一族』では大野雄二さん、『悪魔の手毬唄』では村井邦彦さん、『獄門島』以降の作品は田辺信一さん。それなのにこれだけ似るという事は、監督からのオファーがかなり具体的なものだったのかも知れません。それに応える作曲家って、やっぱりプロだと思います。しかもかなり短期間で書きおろさないといけないでしょうし。


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Bach Bach

Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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ロシアとウクライナがほぼ戦争状態に入りましたが、僕はソ連解体後のウクライナについて本当に無知…。これは2016年にオリバー・ストーン監督が作ったウクライナのドキュメンタリー映画。日本語字幕版が出たらぜひ観たい このブログをYoutube にアップしようか迷い中。するなら作業効率としては早いほど良いんですよね。。その時にはVOICEROIDに話してもらおうかと思ってるけど、誰の声がいいのか考え中
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